ありがとうございます
俺の横に金髪の美女が寝ている
何故だ!?
おかしい彼女は昨夜布団に潜って寝たはずなのだが今は俺の隣で眠っている
俺はもう一度布団の中を覗く
狐の彼女が気持ち良さそうに寝息を立てて眠っている、その表情は安心しきっていて起こせそうにはない
ふと腹辺りに重みを感じて布団を少し上げるとそこには狐の彼女の尻尾が乗っていた
少しの間ジッと見詰めていると堪えきれなくなり、俺はその尻尾を触る、触ってしまった
あっ……これヤバい奴だ
俺は触れた瞬間に理解した
意識は離さなければならないと思っているのに体はその尻尾から手を離そうとしない
モフモフ……モフモフ……
気がつけば他の尻尾も集めてモフッていた
落ち着くんだ俺
まずはここを抜け出さないと……
起こさずに……あれ、これ無理ゲーじゃね?
尻尾は俺に巻き付き腕は俺の背中に回されガッチリホールドされているためどう動こうとも彼女を起こさずにと言うことは出来そうにない
「……別にまだ触っていても良いのだぞ」
「え?!」
彼女は既に起きていたようだ
「……傷はもういいのか?」
「あぁ快復した」
「解いてもらっていいか?尻尾」
「……わかった」
彼女は俺に絡み付いている尻尾を外した
あぁモフモフが……待て待てこれで良いんだ、何を考えている俺は……
気を抜けば俺の意識の外で腕が尻尾へと伸びそうになる
「傷の手当て……礼を言う」
「どういたしまして」
「昨日の作り置きしたいなり寿司、まだ有るけど食べる?」
「頼む!」
彼女は子供のように目を輝かせ言う
「はいはい」
と言っても作っておいたのをラップかけておいただけなんだけどな
ラップどこから出したって?能力で創っただけに決まってるだろ?
しかし便利だなこの能力
いなり寿司結構沢山作ったつもりだったんだがな……
数十個程作っていたいなり寿司は一つ残らず食べてしまった
「……旨かった」
「お粗末さまでした」
俺は茶を入れ彼女に出す
「ありがとう」
彼女が笑顔を浮かべる
少し見惚れてしまったのはここだけの話だ
彼女と談笑していると夜が来た
「もう夜か」
「居たいなら、ここに好きなだけ居てもいいよ?」
「ありがとう、でもこれ以上は流石に私が辛い」
俺は玄関まで見送る
「そうだお前の名前は何なのだ?」
「ん?俺かい?俺は黄昏虚だアンタは?」
「
「藍……ね」
俺はそう呟きながら名前を覚えるために何度か同じように呟き頷く
「傷の手当て改めて礼を言う、ありがとう」
「別に気にしなくて良いよ後これ、持っていくと良いよ」
「これは?」
それは青の勾玉で紐を通し首からかけられるようになっている
「まぁ厄除けみたいなものだよ、昔神様の真似事やってたからね少しはご利益あるかも知れないよ?」
「神様の真似事か……ありがたく貰っておくよ」
藍は首に勾玉をかける
「世話になりっぱなしだな私は」
「別に助けたのも俺がやりたかったから、やっただけ」
「それではな」
藍は引き戸を開けて外に出る
「あぁまだ陰陽師が居るかもしれないから気を付けろよ」
「心配してくれるのだな」
「当たり前だ、せっかく助けたのに命散らされたら寝覚めが悪い」
「ありがとう」
「気にするな」
藍はそう言って出ていった