東方暇潰記   作:黒と白の人

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第57記 吸血鬼異変

博麗神社に帰ってくる頃には日は落ち暗くなり始めていた

博麗神社に上がり俺は勝手場を借りて猪を調理する

俺は先程の猪に霊力を流し込み妖力を散らす

その時の霊力の多さに靈夢に驚かれたが別に問題ない

 

「しかし、良いのかい?」

 

俺は猪を煮込んでいる鍋の火を見ながら靈夢と話す

 

「なにがよ?」

「あの惨状で間違いなく俺は妖怪かなにかの類いだと思われたはず、ここに不利益はないか?」

「別に問題ないわ、私自身人里に降りるなんて滅多にないもの」

 

靈夢はどこ吹く風とばかりにそう言った

 

「それはそれでどうなんだ……」

「暇なものよ巫女なんて」

「それはそうと里の外には何があるんだ?」

「そうね、最近赤い館が出来たわね」

「赤い館?」

「そ、確か吸血鬼が住んでるって話よ」

「吸血鬼ねぇ……」

「もういいんじゃない?」

 

靈夢はグツグツと煮えたっているしている鍋を見て言う

 

「ん?あぁ猪は煮込むほど肉が柔らかくなるんだ、もう少し煮込むかな」

「へぇ、そう言えば残りは?」

「凍らしといたよ」

「へ?」

 

靈夢は目を点にして固まる

 

「ん?どうした?」

「……霊力も感じなかったし違うと思うけど一応聞くわ、術で凍らしたの?」

「いや能力だけど?」

 

靈夢は指を頭に当て唸る

 

「アンタの能力がますます謎になったわ」

「別に隠すことじゃないしな、俺の能力は『嘘と真実を操る程度の能力』だよ」

 

靈夢は少し前の酒飲み幼女の鬼のように小首を傾げる

 

「俺が猪の血を消しただろ?」

「えぇ消してたわね」

「あれは妖怪猪の血を嘘にした」

「……凍らしたのは?」

 

靈夢は眉間にシワを寄せて指でトントンと叩く

 

「あれは肉を凍らしたことにしたんだよ、そうだね無理に言葉を使うんだったら……肉が凍っていたことを真実とした?」

「なんで疑問形なのよ」

「だって我ながら無理がある言い方だからだよ、そろそろ良いかな?」

「それにしても、手際良いわね家事は任せようかしら……」

「まぁ主夫やってたからね」

「結婚してたの?」

「………………まぁね」

「……その長い間は何?」

 

俺は目を鍋に向ける

 

「さて、もういい頃合いだ猪鍋食べようか」

「まぁいいわ、食べましょう」

 

俺の話題転換に靈夢は訝しげな表情をしたがそう言って猪鍋に眼を向けた

 

猪鍋は靈夢から好評で

「よし、これから家事はアンタに任せる!」

との言葉を頂いた

 

 

猪鍋を片付け

茶を貰い談笑していると視線を感じる

 

「やっとか」

「来たのね」

 

俺以外の、馴染みのある妖力の気配を感じそう呟くと靈夢も同じように感じ取ったようで俺と同時にそう呟いた

 

俺の後ろにある縁側にスキマが開き中から紫が降りてきた

 

「こんばんわ、博麗の巫女、虚」

「ああ、こんばんわ紫」

「えぇこんばんわ紫」

 

夜の挨拶が終わった所で俺はゆっくりとその場から立ち上がり拳の骨を鳴らした

 

「さて、探す手間が省けた……」

「ま、まぁ待ちなさい虚」

「……と言いたいが何かあるんだろ?」

 

紫はまだ少し怯えているが声を真剣にした

 

「え、えぇ赤い館が動き出した」

「赤い館……確か吸血鬼の館だったよな?」

 

靈夢に同意を求めるように俺は靈夢に視線を送る

 

「そうよ虚それで紫、動き出したって言うのは?」

「この幻想郷を支配下に置こうとしている」

「……つまり紫、アンタを引きずり落として幻想郷の頂点に立とうとしている、これでいいか?」

「ええその通りよ、ここ幻想郷では人を襲うことを禁じていたわだから他の妖怪も吸血鬼についたわ」

「…とすると、相手さんは軍勢と言うわけか」

「それで、貴女は私に妖怪達の鎮圧を頼みたいのね」

「ええ、お願いするわ……虚貴方はどうする?」

 

紫は靈夢に頭を下げた後俺の方を向いて言う

 

「俺?」

「妖怪である貴方は今回どうするの?」

「どうするって言うと?」

「この紛争において貴方は……いえ虚、お願いするわ力を貸して頂戴」

 

紫は俺が言って欲しい意図を察してくれたのか言い直す

 

「それは誰として?」

「貴方の友人の八雲紫として」

 

俺はクスリと笑う

 

「それでいい、これで幻想郷の管理者としてとか言われたら頭を掴むところだったよ、良いよその話引き受けた」

「ありがとう」

 

紫は柔らかく笑ってそう言った

 

「気にしなくていいよ、協力するって言ったしね」

「紫いつ攻めてくるかはわかってるの?」

「おそらく明日の夜頃」

 

俺はチラリと紫の後ろの月を見る

月はほぼ満月明日には完全に満月となることが分かる

 

「夜のほうが力が上がるからな、おまけに明日は満月……伝承通りなら吸血鬼さんがめんどくさい事になってるんだよなー」

 

俺は眉間に指を当てため息をつく

 

「めんどくさい?」

「簡単に言うと不死化する」

「死なないってこと?」

「その通り、粉になるまで潰そうが首と胴体をサヨナラさせようが復活する」

「どうするのよそれ?」

「なぁ紫」

「何?」

「外では妖怪が迷信となり信じられなくなっているよな?」

 

紫は俺が何を言いたいのかわかったようだ

 

「虚、まさか……確かにそれなら吸血鬼を殺れるわ、でも駄目よ絶対にそれは駄目」

「大丈夫だよ」

「紫、虚は何をしようとしているの?」

「虚は私が張った結界の外に吸血鬼を出して消滅させようととしているの」

「この方法が一番楽だしな」

「それで吸血鬼と対消滅するっていうの?!」

「別に俺は消滅しないよただ妖力が減るだけ、元々俺は元人間だからな」

「……わかったわ」

 

紫は渋い顔をしながら頷く

 

「ならそれに合わせて博麗大結界も張りましょう」

「博麗大結界?」

 

靈夢が何か言い出そうするところに紫が言う

 

「私が説明するわ、元々幻想郷に張っているのは私が張っている幻と実体の境界の結界、これで忘れられたものが幻想郷に流れ込むようになり外からの殆どの干渉が出来なくなったわ」

「続けてくれ」

「それで博麗大結界、これで外と幻想郷を完全に隔離するわ……待たせることになるけど全てが終わったら必ず私が迎えに行く」

「了解待ってるよ紫」

「ええそれじゃ明日」

 

スキマを開き紫は帰っていった

 

「さて俺達も明日に備えて寝ますか」

「そうね」

 

そう言って俺達は眠りについた

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