東方暇潰記   作:黒と白の人

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第6記 都市の外

何時からだっけなぁ……

 

俺はソファに深く腰掛けて白い天井を見上げる

 

今日は休みなのだが、家にいるのは俺一人だけだ、家主である永琳は少しばかり前から開発の仕事に駆り出され家をずっと空けている

 

今回の開発は自棄に長いなぁ、何時から居なくなったんだったかなぁ……

永琳が空飛ぶ車作った時だっけ……?

マターとか言うよく分からない物質見つけて鉄とかの鉱物に変換できることを見つけたからだっけ……?

錬金術の秘術の応用を発見して等価交換の法則を破った頃だっけ……?

 

彼女が何時からこの家を空けだして、居なくなったのかはもう覚えていない

はぁ、と口からため息が溢れた

 

勿論だが愛想を尽かされた訳ではない

家を空ける期間が長くなったがそれでも全く帰ってこなくなった訳ではない、極稀に帰ってくる事もあってその時は開発室の愚痴を聞き酒を飲んで話す、しかしやっぱり帰ってくることは大分無理しているらしく次の日の昼頃にはもう開発室へ戻っている、それ以外の会えない間はテレビ電話のような物で画面越しに会って話しているため、愛想を尽かされた訳ではないはずだ

 

「寂しいなー」

 

特に理由なく俺はテレビのリモコンを取りテレビの電源スイッチを押す

今日の天気予報等を報道しているテレビを見ながら俺は独り呟く

 

「アイツと久しぶりに合うかな……」

 

そう呟いて俺はリモコンのスイッチを押してテレビを切り服を着替えて外に出た

 

俺は都市を軽く歩き回り酒屋から適当な酒を幾つか買い込み都市の外に出た

 

 

 

都市の外に出た俺は妖怪の多い森の中に入りその奥へと進む

 

「黄昏虚ォォォォォ!!」

「っ!?」

 

怒鳴るような煩い声

ソレは上から腕を振りかぶり俺の立つ場所にその腕を降り下ろした

俺はソレの拳を体を捻って躱し

そのままソレを蹴り飛ばした

 

「その拳で挨拶みたいなのやめろ豪鬼(ごうき)!」

「ハハハ!ケンカしようぜ虚!」

 

地面を叩き体勢を立て直した男はそう言って喧嘩を売ってくる

 

「嫌だよ……土産やるからこれでおとなしくしてろ」

 

俺はそう返し、都市で買った酒を投げると豪鬼はそれを掴み取った

 

「お!酒か!と言ってもあそこの酒微妙なんだよなぁ」

「お前が飲んでる酒がおかしいんだよ」

 

豪鬼は文句を言いながら酒瓶の栓を開ける

 

黒の短いツンツンとトゲのような髪は後ろに跳ね、派手な赤い着流しを着たこの男、頭に少し長い二本の角があり率直に言うならば鬼である

 

こいつとは少し前、外へ妖怪退治のときに出会い戦った妖怪だ

結果は痛み分けで、都市に帰ったときボロボロだった俺に永琳が泣きながら飛び付いて来たのは昨日のことだったかのように思い出せる

その時は傷は無くなっていたため全部かすっただけだと押し通し、泣き止んでくれた

 

豪鬼は瓶のまま飲むらしく俺も瓶の栓を開け豪鬼と酒瓶を打ち合わせ乾杯した

 

「そういえば虚」

「ん?なんだ?」

「……おそらく俺ら妖怪達はお前のすんでる場所都市つったか?…そこに攻め込むわ」

 

豪鬼は酒瓶のまま煽り明日の天気は晴れるだろうかと言うように軽く言う

 

「……はぁ?」

「俺等妖怪はなぁ人の恐れを糧にしてんだよ」

「あぁ、妖怪というのは一種の恐怖から生まれてくるからな」

 

豪鬼は瓶の酒を飲み干しもう残ってないかと瓶の中を覗き空になった瓶を投げ捨てた

俺は新しい瓶を豪鬼に投げ渡した

 

「……あぁ、都市で何だったか、軍だったか?そこに居るテメェからしたら知っていると思うが月に移住するんだっけか?」

「……」

 

確かに都市は月にいく……そう軍の上層部に聞かされているし永琳が帰って来なくなったのもそのロケットを開発するため

 

(だんま)りかよ、まぁそうなんだろうなぁ?」

「何故知っている?」

 

これは上層部しか知らない情報であるし知っている人物は限られている上に妖怪であるコイツらが知って良い情報でもない

 

「何おかしそうな顔してんだぁ?お前は自分で言ったじゃねぇか、俺等は恐怖から生まれるってなぁ?なら簡単だろう?自分の頭ん中見られて思っていることや記憶を覗かれることを恐怖する奴だっているに決まってんじゃねぇか?」

 

豪鬼はケラケラと笑い酒に口をつける

 

つまりそれで都市の人物の頭の中を読み取ったと言うことか……

 

「まぁんなことはどうでも良いんだよ、虚よぉテメェこっちに来ねぇか?」

「どういう意味だ?」

「人間の姿をしながらも妖力を持ち、鬼である俺とタメ張れるぶっ壊れた身体能力に意味不明な再生能力、十二分に妖怪(化物)より化物している、少なくともテメェの人間だった部分なんて殆ど残っちゃいねぇだろう?」

 

確かに豪鬼と戦ったとき俺は化物染みた再生能力というよりは不死性といったほうが的確だろう、それにより俺は豪鬼に勝つことができた

 

「確かに俺は人というよりは妖怪とか化物のほうがあってるし妖力は近接戦闘してるときに妖怪の血も多少飲んだことあるかもしれん……それに俺は軍でもこの人外じみた身体能力だから怖れられてる節がある」

「なら丁度良いじゃねえか……」

 

あぁその通り普通なら俺はお前たち妖怪側だろう

 

「でもだ……俺は都市に大事な人がいる、だからお前らにつくことはできない」

「そうか…まぁわかってたことだ…ハハハ…………それでこそ俺が認めた奴だ!」

 

ガハハと快活に豪鬼は笑い

体を揺らしてその反動で立ち上がる

 

「ならば次合うときは敵同士だ!その時はしっかり殺してやるから覚悟しておけよ虚!」

「そのときは俺の手でお前を殺してやるよ豪鬼」

 

俺を指差し宣言するように言う豪鬼に俺はそう言い返した

 

「ハハハ言うじゃねぇか他の妖怪共の攻撃で死ぬんじゃねぇぞ虚!」

「誰にいってんだ?お前こそ流れ弾か何かで死ぬなよ豪鬼?」

「この俺がその程度で死ぬとでも思ってんのか?じゃあな虚」

「お前こそ俺を侮りすぎだ馬鹿、じゃあな豪鬼」

 

俺達はそれぞれ森へ都市へ帰っていった

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