3000文字にしましたがここまで大変とは思いもよらなかったです
赤い館は湖の上の島に建っていた
湖は霧が深く館も黒いシルエットでしか確認することが出来ない
俺は草履に【滑走】の概念を込めて湖をスケートのように滑りながら赤い館に近づいていく
館に近づくに連れてシルエットが大きくなり館がかなり大きい建物と認識した
館…?と言うよりこれは城と言う方がまだしっくりと来そうなんだが…
そんなことを思いつつ俺は更に館へと近づく
湖が途切れ陸地に上がり暫く歩くと格子の門が見えてきた
その門の前に緑色のチャイナドレスのような服に身を包み薄緑色の帽子を被った長い赤髪の女が立ってるのが見える
女はこちらに気付くと警戒する目を向ける
「何の目的でここに来たんですか?」
「吸血鬼の男を殺しにきた」
俺は簡潔にそう伝える
すると女は空を見上げた後、片手で顔を覆いため息をつく
「……貴方は馬鹿ですか?」
わりと本気の憐れむような声が返ってきた
「わりと本気の憐れみを込めた声って傷付くんだな」
「せめて空を見上げましょうよ」
女に言われ俺は空を見上げた、空には不気味な赤い月が輝いている俺が見上げた姿を見た女は続ける
「満月ですよ?ただでさえ死にづらい吸血鬼が更に死にづらくなるんですよ?」
「いや、わかってるよ?」
首を傾げる女に俺も同じように首を横に傾けてそう返答を返した
「ならなんで…命は、投げ捨てちゃ駄目ですよ?」
「こんな見知らぬ奴を心配って……アンタは、優しいんだな」
俺は手を口許に当てて笑う
一言二言話すだけで分かった、この女はとてつもない程のお人好しだと
「日を改めて満月じゃない日にでも…」
「それは出来ないね」
「何故ですか?」
「今夜この幻想郷は閉ざされる、それまでにアイツを外に叩き出さないといけない」
「……どうしても、ここを通るのですね」
「あぁ」
女は構えをとる
対して俺は脱力した自然体、何の構えも取らない
「ならば私は門番の役目を果たします!」
「そうかい、ならば黄昏虚、押し通る!」
「
お互い名乗り終わると
女、紅美鈴が名乗り終わると同時に俺は加速して紅美鈴に掴み掛かる
「速いっ!?」
彼女との距離は短く詰めるのに数秒掛からない程だったが、紅美鈴は身を捻り回避した
俺はそのまま裏拳の要領で拳を横に振る
女はそれを屈んで回避し俺の懐に飛び込んでくる
「ハァ!」
紅美鈴は力強く踏み込む、地震かと錯覚するような揺れが俺を襲って体が固まる
そんな固まって動かない俺の顎に紅美鈴は掌底を打つ、その掌底は俺の顎を正確に打ち抜いた
「捕まえた」
「嘘…」
衝撃を
余程自分の技に自信があったのか女は驚愕の表情で固まり動きが完全に止まった
俺は女の腕を引いて体勢を崩し首に手刀を入れて意識を刈り取った
「そん……な…」
「時間がない、寝ててくれ」
女は力なく倒れ地面に倒れる前に俺はそれを支えて抱き抱えた
手を一度打ち鳴らす
元々そこに存在していたかのように脚が2つ三日月のように丸くなりユラユラ揺れている揺り椅子がそこにあった
「よっと」
俺はその揺り椅子に女を座らせた
「さて次行きますか」
俺は鋼鉄の門を開けてこの家の者の趣味なのか様々な花を横目に赤い館まで走る
赤い館の扉を開け中に入る
目の前に階段がありそこから左右に廊下が続き、俺がいる一階にも左右に道がある
「……空間が弄られてる?」
館の中は外見通りかなり広い
「おや、気付かれますか」
声が聞こえた瞬間俺はナイフに囲まれていた
俺は床に片手を叩きつけた、そこから円形の結界が出現しナイフを全て弾いた
「全く、危ないじゃないか」
俺は近くに有ったナイフを拾い声が聞こえた方向に居た女に投げつける
「傷ひとつ無しに言う言葉ではないですね」
女はナイフを指で挟むようにして受け止める
女はここに仕えるメイドだろうか?
銀髪を揉み上げ辺りで三つ編みにし青と白を基調としたメイド服を着ている
「さて美鈴との一部始終は見ていましたが、アイツを殺すですか……」
どうやらあの男はここでも邪魔な存在らしい
「アンタは?」
「申し遅れました、私は
「黄昏虚だ……役職は特にない」
「無職と言う奴ですね」
冷たい笑みを浮かべながらメイドはそう言った、言葉の槍がグサリと刺さるのを幻視した、このメイドは心に刺さるような事を平気で言うようだ
「……出来れば道案内でも頼みたいんだけど」
「ええ構いませんよ」
「駄目ですよねぇ……って、え良いわけ?」
「はい、でもお嬢様と妹様に手を出さないで頂けませんか?」
俺は指を口許に当て考える
「……この幻想郷支配に関係してないのであれば」
「関係していないと断言しましょう」
「……わかった」
「ありがとうございます」
そう言ってメイドは頭を下げた
長い廊下を歩き大きな扉の前でメイドは止まる
「ここか?」
「はい、中にアイツがいるはずです」
俺は扉を勢いよく開ける
部屋はなんと言えば良いのだろうか
中世の謁見広間のような形をしており
奥に玉座のような物がありそこに座るのは吸血鬼の男
隣に軽くウェーブした青みがかった銀髪、悪魔のような翼を生やした幼女
さらに隣に濃い黄色の髪をサイドテール、七色の宝石のような物を吊るした翼を生やした幼女が立っていた
「お嬢様!?」
「少し待て、何かおかしい」
二人の幼い吸血鬼はこちらを見ているようで見ていない、目の焦点があってない
「っ?!貴様ぁぁっ!お嬢様と妹様に何をした!!」
「なぁに、これと言って大したことはしていないさ、ただ少しおまじないをかけただけさ」
「グングニル」
銀髪の吸血鬼はそう唱えると掌から紅い槍を召喚する
「レーヴァテイン」
黄色の髪の吸血鬼は持っている棒が曲がったような奇妙な物が燃え盛り、炎の大剣となる
「さぁ、覚悟はいいか?」
「……メイド」
「私には十六夜咲夜と言うお嬢様に着けて頂いた名前があります」
「なら十六夜、ちょっと下がってろ邪魔だ」
俺は手を前に突きだす
「何をしようと言うのだ?」
「最近ごり押しやってなかったからなぁとかまぁその辺は置いといて……消し飛べや」
俺の掌から放たれる極太の赤みがかった黄色の光線、その光線は男と幼女二人を飲み込んだ
「なっ?!お嬢様と妹様には手を出さないはずでは!」
「やり合えば殺しかねん、出来ればこれで気絶してもらいたいが…」
爆発音がして爆風と壁の欠片が飛んでくるのを腕で防ぎ煙が晴れるのを待つ、煙が晴れると男の座っていた玉座のような豪華な椅子と後ろの壁が無くなっていた
椅子があった近くには無傷の男と倒れて傷だらけで動かない二人の吸血鬼がいた
「お嬢様!!」
「盾にしたか、アンタの娘じゃないのかい?」
「コイツら等しく私の駒だ、キングを守るのがポーンの勤めであろう?」
「クズが」
俺はそう吐き捨てる
「さぁどうする、私は寛大だ今までのことを謝罪し八雲の女達を連れてくるのであれば許してやらんでもないぞ?」
俺は真っ直ぐ吸血鬼の側で進みその余裕の笑みを浮かべている顔を殴り飛ばした
縦に回転しながら後ろの穴の空いた壁より外に出た吸血鬼は羽を広げ体勢を立て直す
「笑わすな、畜生以下の存在に下げる頭なんか持ってない」
「後悔するなよ!」
俺は吸血鬼が動く前に再度掌を吸血鬼に向けて突き出した
「もう一発、行ってみるか?」
俺はニヤリと笑い再度光線を放つ、それと同時に俺は指をパチンと鳴らす
「そんなもの……っ?!」
何かをしようとした吸血鬼は驚きその一瞬で光線にのまれる
「…わた…しになにを……した?!」
吸血鬼はボロボロになり息も絶え絶えに言う
しかし傷も直ぐに再生を始め無傷の姿に戻る
「さて、なんのことやら」
「惚けるな!変身が使えぬ……貴様いったい私に何をしたァァァ!」
吸血鬼は爪を伸ばし俺を切り裂こうと飛びかかってくる
「少し変えるか、次はこんなのどうよ?」
俺は突きだした掌から光線を出した、今度のは先程より少し太い物だ
「ふん、そんな直線の攻撃当たるか!」
吸血鬼は横に飛び光線の射程からはずれる
しかし、俺が放った光線は吸血鬼の手前で拡散し小さな光線が吸血鬼を襲う
「言っただろ?少し変えるって」
吸血鬼に当たった光線は爆発を起こす
そこに殺到するように次々と別の光線が当たり爆発する
「憐れ吸血鬼は爆発四散ってか?」
「私は……私は、栄えあるスカーレットの吸血鬼だ!この程度では死なん!」
四散した血が集まり吸血鬼の形をとる
「さてそろそろか……」
俺は霊力が集まっている博麗神社を見る
俺は吸血鬼が人の形をとったのを確認して吸血鬼を蹴り飛ばす
「くっ?!」
「紫!」
俺は吹き飛ぶ吸血鬼の頭を掴んで投げ飛ばす
俺が名前を呼ぶと幻想郷を守る結界が解かれ吸血鬼と俺は結界の外に出る
俺達が外に出た瞬間結界が再度構築されていく
「まずい?!」
「行かせると思っているのか?」
俺は吸血鬼を殴り飛ばし足止めをする
「このままでは貴様も消えるぞ!」
「消えるのなら俺はこんなことをしてはいない」
「この化物がァァ!」
「お褒めにお預かり恐悦至極」
俺は四本の光線を放つ今度の光線細く鋭い
光線は吸血鬼の四肢を貫く
「がぁ?!」
結界の光りが止む、後ろの結界が完成したようだ
「これでチェックだ吸血鬼」
「まだ……終わるわけには…」
今度は吸血鬼の後ろから光が差す
「あ……あ……アアアアア?!!」
「妖力失ってそこに朝日か、チエックメイトだな吸血鬼」
「せめて……貴様も道連れだァァ!」
身体が灰となりながらも吸血鬼はこちらに襲い掛かる
「吸血鬼よ、無に還るがいい!」
俺は手を突きだし太い赤みがかった黄色の光線を放つ
光線にのみ込まれた吸血鬼は完全に消滅する
「さて、これからどうしていこうか……」
俺はこれからどうしようかと考えながら朝日を見る
これにて幻想郷支配を目論んだ吸血鬼の話は閉幕
次は外の世界での話