八坂神奈子
結論から言うと私は友人を止めることができなかった…いや、言いくるめられたという方が正しいか
勝手場で正座をしている私はまだ痛む頭をさする
「……神奈子、何故いきなりあんなことをした?」
私の前には仁王立ちをして顔は笑っているが般若を背中に携えた虚がいる、そしてその後ろには頭から煙を出し倒れている友人の姿
「すまない」
私は正座を崩さず頭を下げる
私が顔を上げると虚は頭をかきながらため息をつく
「はぁ、まぁ怪我はなかったし、いいよ」
虚は続けていう
「とりあえずご飯食べよう、ほら諏訪子も死んだふりはもういいから」
「バレてたか」
「当たり前だ、何年一緒だったと思ってるんだ?」
友人は笑いながらむくりと起き上がり頬をかく
「起きてたのかい?」
「起きてたよ」
「ほら居間に行ってて、運ぶから」
「はーい」
友人はそう返事をして頭の後ろで腕をくみ歩いていく
「虚は食べないのかい?」
「俺は早苗ちゃんと朝食べたよ」
そう返事を返してもらい私は勝手場から出ていく
友人と遅い朝食を食べ私は社の縁側に座り空を眺める
「神奈子」
私が振り替えると友人が私の後ろに立っていた
「どうしたんだい?諏訪子」
「いーや暇だったからさ」
友人はよっこらせ、と言いながら私の隣に座る
「……」
「……」
私達はただ空を眺めるそこに会話はない
ことっと何かを置く音がし私はそこに目を向ける
「なんか日向ぼっこ気持ち良さそうだな」
虚が少し笑いながら、茶と菓子を持ってきていた
「あぁ毎日こんな感じだよ」
友人は茶と菓子に手を伸ばしながら言う
私もつられるように菓子と茶に手を伸ばす
「前みたいなことはないのか……」
「うん、ここに人が来るのはほとんどないよ」
友人が頷きながら答える
「そうか……」
「あぁ、私は別に前みたいに戻りたいとは思ってないよ、神奈子も居るし早苗もいる、それに虚だって今は側に居てくれるからね」
「……そうか」
虚はクスリと笑いそう返す
「虚ここ座って」
友人は自分の隣を叩きそこに座れと言う
虚がそこに座ると友人はその膝の上に頭をのせる
「……はいはい……」
虚はクスリと笑い、友人の頭に手をのせて撫でる
「気持ちいいよ……」
友人は目を細める
ただ友人が男の膝の上に頭をのせて、撫でられているだけなのに、羨ましいと感じてしまう
羨ましいから私も競うように虚の肩に寄りかかる
「ん?」
虚が隣に寄りかかった私の顔を覗きこむ
「……なんだい悪いかい?」
「いや、別に」
そう言って虚はもう片方の手で私の頭を撫でる
確かにこれは心地が良い
私はしばらくされるがままにされている
それがすごく心地が良くて、私は意識を手放す
八坂神奈子END