早苗を学校から迎えに行き神社に帰り俺は今夜は何をするか考える
「今日は豚汁でも作るかな」
「良いね、最近夜は冷え込むからね」
俺は冷蔵庫の食材を見ながら言う
大鍋を棚から取りだし釜戸の上に置く、コンロはあるのだが永琳と同居していたときはIH、それ以外の時は基本釜戸でコンロは最近と言っても過言ではない、そのため釜戸使って料理したことの方が多い、それに俺の料理の火などは術を使う、その方が直感的に火加減しやすいのだ
「……ねぇ虚」
「なに?」
俺は包丁の手を止めて返事をする
「虚はここから居なくなるんだよね……?」
「……たぶんね」
後ろに衝撃が来た
俺は首を動かして後ろを見ると諏訪子が俺を抱き締める
「行くなよ……私達残して行くなよ……」
「別に永遠の……」
あの時と同じ言葉を言おうとすると諏訪子に遮られる
「それでもだ!」
諏訪子は叫ぶ
「私がどれだけお前を思っているかわかっているのか?!お前のことを一日千秋の思いで、何年も待ってたんだぞ!やっと……やっとなんだよぉ……いくなよぉ……」
諏訪子は泣き始める
「……あまりこういう所は見せたくないんだが、諏訪子」
「なんら……よぉ」
俺は妖力を使い炎をだす
その炎はどこか頼り無いような、もう消えてしまうのではないだろうかと言える程どこか儚い
「もう俺に妖力はほとんど残ってないんだ……」
俺はその炎を握り潰すように消しながら言う
「うぇ……え?」
「畏れを集めてすらいないのだから、当たり前の話だな」
「じゃあ虚は……」
「いや消滅したりはしないと思うけど、どうだろうね俺は後天的に妖怪になってるから、人間に戻るのかそれとも妖怪として消滅してしまうのか……」
「……いや虚は消滅なんかしないよきっとね」
諏訪子は目元を腕で擦り、そう確信しているかのような自信をもって言う
「なんの根拠があって言う?」
「忘れたの?虚は神になったじゃないか」
「神だって信仰がなければ意味がない……」
「うんその通り、だけどね信じられることが信仰なんだよ」
チッチッと諏訪子は指を振りながら言う
「ん?つまりどう言うことだ?」
「虚、なんで神が減ったの?」
「それは信仰が無くなったからだろ?」
「うんその通り、じゃあ信仰ってなに?」
「さっき諏訪子が言っただろ?信じられることだって」
「うん、今の時代は自分の目で見て、科学的根拠をもって初めて信じられる」
「つまり何が言いたい?」
「私は虚が存在しているって信じているんだよ、ここで信仰が発生して虚が消えるなんてあり得ないんだよ、自分が愛した人を信じないなんてありえないでしょ?」
諏訪子は顔を隠すように抱き締めている腕の力を強める
俺は頬をかきながら言う
「ナチュラルにのろけて来るよな諏訪子は」
「惚れてくれた?」
「黙秘権を行使する」
「ふふふ、そうか!」
諏訪子は頭をグリグリと俺に押しあてながら笑う
「はいはい、神奈子達とご飯出来るまで待っとけ」
俺は勝手場から諏訪子を出す
「豚汁は後少し煮込めば出来上がりかな?」
俺は煮込み終わるまでの時間に使った調理器具を洗い、水を切り元の場所に戻す
「よし、完成っと……?」
かさりと何か軽い物が落ちる音がして俺は振り返る
そこには封筒が一つ落ちており、たった一言
「ここに来て」と共に地図が同封されていた
「……紫か?」
俺はその封筒を袖に入れておき全員の豚汁を御椀に注ぎ持っていく