それでは皆様良いお年を……
俺は赤の塗料が剥がれた鳥居の前に立つ
「ここか……」
塗料の剥がれた鳥居からわかるように、そこはぼろぼろの神社だった
社は崩れて廃屋となり誰も来ず掃除もされていないのがわかる
神社の看板を見る、相当古い神社のようで石に彫られた字が掠れていて読みづらい
「……博……麗、博麗か?」
博麗神社、直ぐに浮かんだのは博麗靈夢が居たあの神社……と言うよりあの神社しか浮かばない
俺は鳥居を潜る
何かの内側に入った、結界だろうか?元々鳥居は結界の役目があるがここまで確りと感じれる程の結界は相当強力だな……そうかこれが博麗大結界か
俺は辺りを見回す
先程の左右は枯れ木しかなく木の葉や草で荒れていた光景が嘘のように無くなっていて
今は左右に桜が咲き誇り、軽く木の葉が落ちているが全く手入れされてないわけではない境内があった
「靈夢、いるのか?」
俺は『浄財』と書かれた賽銭箱の前から社の中へと呼び掛ける
「はいはい?ってアンタ誰よ?」
出てきたのは頭の大きなリボンが特徴的で袖の部分が別れている紅白の巫女服を着た少女だった
俺が知っている靈夢ではないようだ
「俺は黄昏虚、君は?」
「
「……同じ名前なのか」
「同じ名前っていうとお母さんの知り合い?珍しいわねお母さんの名前知ってるなんて、私の霊夢は幽霊の霊にお母さんと同じ夢よ」
博麗霊夢と名乗った少女は驚いた顔をする
「ちょっと昔に居候させてもらってね、まぁ百年経ったんだ代替わりもするか……」
「あら?お母さんはまだ生きてるわよ」
おかしいな靈夢と同じ名前の巫女、霊夢から百年経っても生きているとおかしな言葉が聞こえた気がする
「……俺の知っている靈夢は……先代巫女は人間だった気がするんだが……」
俺は眉間に指を押しあてながら言う
「知らないわよ、最近私もお母さんが人間かどうか怪しんでいるし、けどたとえお母さんが人間じゃなくても私の育て親には変わりないもの」
「……君は先代が好きなんだね」
俺はくすりと笑う
「別にそんなんじゃないわよ」
極めて冷静な声で霊夢は言う
「そうかい」
「そうよ」
間髪いれずに霊夢は答える
「霊夢ーっと兄ちゃん誰だ?」
「君こそ誰なんだい魔女っ娘ちゃん」
黒いエプロンドレスに同じく黒いとんがり帽子、そこから覗く金色の髪をながし箒に乗ったいかにも魔女と言うような少女だった
「私は霧雨魔理沙、普通の魔法使いだぜ!」
「それでは俺も、俺は黄昏虚と言う」
「兄ちゃんは見たことないし外来人か?」
霧雨魔理沙と名乗った少女は箒から飛び降りながら言う
「外来人と言うのが博麗大結界の外から来た奴を指すのであればそうだね」
「外の世界に帰るのなら霊夢に頼めば直ぐだぜ」
「いやいいよ、俺みたいなのは外では何かと生きづらいからね……」
「魔理沙そいつ妖怪よ」
霊夢は俺を指さしながら言う
「妖怪だったのか!でも妖力なんて感じれないぜ?」
「外で妖力をおおっぴらに出そうものなら陰陽師や祓魔師が集まって滅しに来るよ、それに外では妖怪は信じられなくなったからね、妖力が常に消費されて消滅しかねないよ」
俺は笑いながら言う
抜け道はいくらでもあるし、中には適応して外の世界でも平気で生きられるような妖怪や人間の血が入って問題なく活動出来るような妖怪もいると聞く
「けど虚の兄ちゃんは消滅してないんだろ?」
「あははそりゃあね、一応化物って名乗ってるしそう簡単に消滅しないよ、それにしても兄ちゃんか、俺ってそんなに若く見られものなのかね?」
「ん?違うのか?」
魔理沙は首を傾げて言う
「人間から見ても妖怪から見ても俺は老人だよ」
「別にそうは見えないぜ?」
「らしいね、ここに来る前も言われたよ」
「それにしても魔理沙アンタなんで来たのよ」
「あぁそうだった霊夢弾幕勝負だ!」
魔理沙は懐から陰陽の太極図が描かれた八角形の物体を取り出し霊夢に突きつけながら言う
「嫌よめんどくさい」
「ちぇー」
魔理沙は特に駄々を言うわけでもなく引き下がった
「そう言えば霧雨って人里の道具屋の所か?」
「……あぁそうだぜ」
どこかバツが悪そうに魔理沙は言う
「魔理沙は家出してるのよ」
「ごめんね、なんか悪いこと聞いちゃったみたいだね」
地雷を踏んだかと思い俺はそう謝る
「いや、気にしてないんだぜ」
魔理沙は笑いながら言う
その笑みは気にしていない風に見えるがどこか影のあるように思えた
「霊夢、魔理沙も来ていたのかいらっしゃい」
社の方から少し懐かしい声が聞こえる
「お母さん?!」
「あっどうも霊夢のお母さん、お邪魔してます」
「おや、博麗の巫……いや今は先代か」
「久しぶりだな虚」
百年程前の普通の人間であればもう死んでいてもおかしくないはずの先代巫女、博麗靈夢がいた
姿は少し年を取ったのだろうか程度しか変わっていないが、長年仕事をしてきたそんな貫禄がある
服装は巫女服で間違いはないのだが霊夢と同じように袖の部分と服が離れている巫女服だった、少し腹の部分が見えておりそこから黒いレオタードのようなものを身に付けているのがわかる
さらに腕を見ると包帯をぐるぐる巻きにしている
「あぁ人間からしたら久しぶりだな」
「お母さんなんで突然?!」
「懐かしい気配を感じたからな……どうだ霊夢、巫女の仕事は?」
先代は優しげな笑みを浮かべながら霊夢に問う
「仕事も何もないわよ、来る人なんて少ないんだから」
そっけなく言っているように見えるが声の端々に喜色がにじんでいる
「そうか、霊夢この男借りていくぞ」
先代巫女は人差し指でこちらに来いと示す
「え?うん別にいいけど……」
「俺の意思は無視なのか……まぁついていくんだが」
俺はそう言いながら先代巫女についていく