銀河帝国革命   作:悠久なる書記長

13 / 24
今話は前話から少し前の話になります。しばらく銀英伝要素がなくなるのでご注意ください。
サブタイトルを変えました。


邂逅

惑星ドイナカンのとある山奥に不時着したハンソンは、脱出ポッドを廃棄し、辺りを見まわした。

 

「ふう、何とか脱獄に成功したぞ……しかしここはいったい何処なんだ?さすがに無人惑星という事はないと思うのだが……取りあえず人のいる場所へ向かおう。」

 

ハンソンはそう呟くと、あてもなく山の中を歩きだした。

 

 

出発してから既に数時間が経過していたが、人里は一向に見つからず、山の中を延々と彷徨っている現状に、ハンソンは焦っていた。

 

「くそっ!歩いても歩いても人里が見つからない……このままでは本当に不味いぞ……せめて日が暮れる前に野宿できそうな場所を見つけなくては……」

 

そう呟きながらハンソンは必死に山の中を彷徨い続けた。

するとハンソンの願いが通じたのか、開けた場所に辿り着くと、少し遠くに家が数軒建ち並んでいるのが確認できた。

 

「おぉっ!ようやく人里を見つけたぞ!怪しまれるだろうがここは行くしかあるまい!」

 

ハンソンは疲れ切った身体を奮起させ、集落へ向かった。

 

 

もうすぐ日が暮れようとする中、ようやく集落へと辿り着いたハンソンは、農作業を終え家に戻ろうとしている老人に声をかけた。

 

「そこの御老人!」

 

「うん?なんだぁおめぇ、見かけねぇ顔だな。もしかして町からきたのか?」

 

「御老人、突然で申し訳ないが今晩泊まらせてもらえないだろうか。少しだが金も出す。」

 

ハンソンはそう言いながら、ジュガシヴィリから渡された財布から30マルク程を取り出し、老人に手渡した。

 

「なんだこれ?オラの持ってる金とはちげぇじゃねえか。」

 

「そんなはずはない!これはちゃんとした帝国マルクのはずだぞ!」

 

「帝国マルク?そんなもん聞いたことねぇべや。領主様の判子も押されてないし、こんなもん金じゃねえ。」

 

「帝国マルクを知らない?いったいあなたは何を言ってるんだ?」

 

「だからそんなもん知らないって言ってるべ。しかしおめぇ怪しいやつだな、身なりも変だし変なもん持ってるし……もしかして魔女か!?」

 

「魔女?何を言ってる?」

 

「怪しい魔女め!オラが退治してやる!」

 

そう言うと老人は持っていた鍬でハンソンに殴りかかった。

ハンソンは攻撃を避けながら叫んだ。

 

「何をする!?」

 

「この攻撃を避けるとはますます怪しいやつだな!おーい!怪しい魔女が出たぞー!捕まえて領主様に突き出すぞー!」

 

老人の叫び声と共に集落から人々が出てきた。

 

「なんだ?」「魔女ってどういうことだ?」「なんか変なやつがいるぞ。」

 

ハンソンは誤解を解くべく必死に叫んだ。

 

「違う!私は魔女ではない!」

 

「騙されるんじゃねえ!こいつは怪しい紙っぺらを金を称してオラに渡してきたんだ!」

 

「怪しい紙だって?」「変な恰好もしてるし……」「とっ捕まえて吐かせればいい」

 

住民達は各々武器を持ち出しハンソンに迫った。

 

「くそっとにかく逃げるしかない!」

 

「逃げたぞ!」「追え!」

 

ハンソンは慌てて逃げ出し、住民達は捕まえるべく追いかけた。

 

 

ハンソンは山の中へ逃げ住民達を撒くことに成功した。

 

「ふう……何とか撒いたか……しかしいったいあの村は何なんだ!?帝国マルクを知らない?余所者を魔女だと?旧時代の歴史の世界にタイムスリップでもしたのか!?」

 

そう独り言ちていると、茂みから青年が飛び出てきた。

 

「くそっもう追い付かれたのか!?」

 

ハンソンが慌てて逃げようとすると、青年は呼び掛けた。

 

「待ってください!私は貴方を捕まえる気はありません。信じてください。」

 

青年の呼びかけに、ハンソンは立ち止った。

 

「君はあの集落の者ではないのか?」

 

「いえ、あの村の者です。私の名はマオ・ツォートン、あそこにあるマサラ村の学校で教師を務めています。失礼ですが、カール・ハンソン先生で間違いないでしょうか?」

 

「確かに私はカール・ハンソンだが……何故私を知っているのだ?」

 

「町で貴方の手配書を見たことがあるからです。それにロンドリーナ・コミューンでの超高速通信ラジオで貴方の声明を聴いたことがあります。」

 

「そういう事か……それで?稀代の大犯罪者を前にして君はどうするつもりだ?若者よ。」

 

ハンソンが警戒しながらそう言うと、マオを頭を下げてこう言った。

 

「この村を……いや、この惑星を救っていただきたいのです。」

 

「……どういうことだ……?」

 

「詳しくは家で話します。どうぞこちらへ。」

 

ハンソンは戸惑いながら、マオについて行ったのであった。

 

 




次こそは早めに投稿したいなぁ……

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。