銀河帝国革命   作:悠久なる書記長

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久しぶりの主人公登場です。今回はそこそこ長い話となっています。


4月14日革命

二月革命によって共和国臨時政府が樹立されてから、約1ヶ月が経過した帝国暦488年/宇宙暦797年4月12日、惑星ドイナカンにあるマサラ村・ナニモナイネン村・サボリ―タイン町の3つの町村で、住民達による一揆が発生した。一揆衆の襲撃から逃れ、這う這うの体で逃げてきた警官からの報告を受けたドイナカン領主であるムノー男爵は、領民たちへの見せしめにすべく翌4月13日、男爵家直轄の私兵部隊『ドイナカン騎士団』500名に出撃を命じた。発生地域の人口から見て、一揆衆の戦力は大した数ではないだろうとの予測から、一揆は簡単に鎮圧できるものと、領主たちは考えていた。

 

 

ドイナカン騎士団が出撃した翌日の帝国暦488年/宇宙暦797年4月14日未明、ムノー男爵邸は赤い腕章を着けた兵士たちの襲撃を受けた。付近では銃声が鳴り響き、邸宅は瞬く間に占拠され、男爵は拘束されてしまった。

 

「きっ、貴様たちはいったい何者だ!このワシをバカーダ・フォン・ムノー男爵と知っての狼藉か!」

 

銃を突きつけられ拘束された男爵は、兵士たちを睨みつけながら声を張り上げた。すると、山高帽を被ったリーダーらしき人物が、男爵に声をかけた。

 

「お初にお目にかかりますになるかな?男爵、私は銀河帝国共産党委員長のカール・ハンソン。この星に……いやこの銀河に革命をもたらし、人民のための人民による国家を築かんとする者だ。」

 

「ゲーッ!?ハッ、ハンソンだと!?」

 

「ほう……私の事を知ってくれているようで何よりだ。ならば話は早い。バカーダ・フォン・ムノー男爵!我々共産党は貴殿の持つあらゆる権力と特権を没収し、人民を解放すること決定した!すみやかに党の指示にしたがっていただきたい!」

 

「なにィ!!由緒ある帝国貴族の権利を奪わんとするとはなんたる痴れ者だ!おい!おぬしら曲がりなりにも帝国軍人であろう!今ならワシに銃を突きつけた罪を不問にしてやる!だからさっさと奴を殺せ!殺してしまえ!みせしめに首を切って晒しものにするのだ!」

 

男爵は自分に銃を突きつけている兵士たちに命令したが、誰も従う者はいなかった。

 

「無能とはおもっていたが、まさか現実すら認識できんバカだとは……これならオーディンに居座ってる上院の貴族連中の方がマシ……いや、比べるのも烏滸がましいか。」

 

「なんだと!?ワシをあんな改革の名の下に帝国の古き良き伝統を汚さんとする売国奴と比べるとは何たる侮辱!だいたいワシは……」

 

「もう結構だ喋らなくていい。貴様はこれまで先祖代々が犯してきた罪の全てを背負って人民裁判によって裁かれることになるだろう。それまで弁論でも考えておくんだな……連れていけ!」

 

「なっ、なに!?裁判だと!?ふざけるな!!愚民どもがワシを裁くなどそんなこと許されてたまるか!!はっ、はなせ!?ワシ男爵、男爵なんだぞおおおおおおおおおお!!!!!」

 

兵士たちは暴れる男爵を拘束し連れ出して行った。

 

「……あそこまで行くともはや病人だな。」

 

「失礼いたします。同志ハンソン、放送局と発電所の制圧が完了しました。また市庁舎と警察署、宇宙港の制圧も順調とのことです。」

 

「市街地の様子は?」

 

「目立った混乱は見られません。それどころか我々にパンと塩を渡してくる人民もいるようです。党細胞の活動が上手くいった証拠ですよ。」

 

「うむ、素晴らしい成果だ。それでは我々は放送局へ向かうとしよう。」

 

「承知しました。」

 

ハンソンは副官を伴い放送局へ向かった。

 

 

ハンソンが向かった放送局では、チョウ・エンライ率いる部隊が占拠していた。チョウはこの日の為に工作員として放送局で働いていたのだ。

 

「チョ……チョウ君!?なぜ真面目な君がこのようなことを!?」

 

「局長、黙っていて申し訳ありませんでした。ですが、これでこの星は生まれ変われるのです。我々銀河帝国共産党によって!」

 

「銀河帝国共産党……?」

 

放送局長が考え込んでいると、男爵邸より移動してきたハンソンが到着した。

 

「初めまして放送局長。私が銀河帝国共産党委員長のカール・ハンソンだ。」

 

「カール・ハンソン……アーレ・ハイネセン以来の大犯罪者がまさかこんな辺境に潜伏していたとは……」

 

「このような乱暴なやり方で、あなた方の自由を奪ってしまい申し訳ない。だが我々としても絶対に失敗は許されなかったのでね。」

 

「また反乱を起こすというのですか。ただでさえ帝国は戦乱の渦中にあるというのに、こんな辺境の一惑星まで巻き込もうというのですか!」

 

「局長、それは違う。私が戦乱を呼び込むのではない。既にこの星も戦乱に巻き込まれているのだ。君はこの星だけ平和に過ごせるとでも思っているのか?」

 

ハンソンの問いに局長は何も答えなかった。

 

「それにな局長、男爵家が統治しているこの星の惨状を見て本気で平和だと断言できるのか?ここまでの道中で我々を遮らんとする者は一人もいなかったぞ。むしろパンと塩をもって歓迎してくれた。男爵家の搾取によって明日の食料もない人民がだ。既に男爵家に人心はなく、人民が革命を望んでいたという証拠ではないか。」

 

「そっ、それは……」

 

「どうやら君は男爵と違って多少は頭が回るようだな。だが、それだけだ。君に関する調査も既に終えている。随分と甘い汁を啜ってきたようだな。地位に胡坐をかき、人民からの搾取を黙認するどころか加担したその罪は重い。連れていけ!」

 

ハンソンがそう言い放つを放送局長は兵士たちに連れていかれた。

 

「他の局員たちには危害を加えるなよ!彼らは我らが革命が成った後の重要な協力者になるんだからな!」

 

「同志ハンソン。テレビ・ラジオ放送の準備が整いました。」

 

「よろしい。それでは案内してくれ。」

 

ハンソンはチョウ・エンライの案内で放送スタジオへ向かった。

 

 

「ドイナカン、並びにシベリア星系全ての人民に告ぐ。我々は銀河帝国共産党である!

隠忍自重してきた共産党は今朝未明を期し、一斉に行動を開始し惑星の行政、軍事、インフラ等の主要施設を完全に掌握し、引き続き軍事革命委員会を組織した。

我々共産党が決起したのは、腐敗した無能な男爵家とその一派に、これ以上惑星と人民の運命を任せておくことはできないと断定し、百尺竿頭で彷徨するこの星系の危機を克服するためである。

 

軍事革命委員会は

①共産党指導のもと労農同盟による階級独裁に基づく新社会の建設

②他星系の革命勢力との連帯強化と旧帝国勢力の打倒

③革命戦争を戦い抜く為の強力な労農赤軍の創設と防衛体制の構築

④農奴解放と土地革命による公正な分配の実施

⑤貨幣の統一と経済の現代化の推進

⑥絶望と飢餓に苦しむ人民の救済と社会保障制度の整備

⑦機会の平等に基づく教育制度の整備

⑧腐敗と不正の一掃し清新な社会の創造と治安の回復

以上の八大政策を強力に推進し、人民の人民による人民のための政治を実施していく所存である。

 

人民諸君!

諸君らは共産党及び軍事革命委員会を全幅的に信頼し、動揺せず各員の職場と生業を平常通り維持してほしい。我々軍事革命委員会は全人民の団結と忍耐と勇気と前進を必要としている!

さあ、共に進もう!

 

人民革命万歳!

労農同盟万歳!」

 

ハンソンの宣言は、シベリア星系及び周辺星域で放送された。これと同じくして、惑星中心部の主要施設全ての制圧が完了。市民による目立った反発も見られず、残りは地方反乱討伐へ出発したドイナカン騎士団のみとなっていた。だがハンソンは彼ら騎士団にも、既に布石を打っていたのである。

 

 

「ヂュ、ヂュー・ドゥー隊長!?これはいったいどういう事だ!?」

 

ドイナカン騎士団を率いていたアーホー団長は自らの現状を認識できず困惑していた。鎧袖一触で鎮圧できると侮っていた一揆衆との戦闘が予想より苦戦している中、突如後方の部隊が謀反、一揆衆と挟み撃ちになってしまったのである。

 

「どうもこうも見ての通りですな団長。前方には一揆衆、後方には反乱部隊……まさに前門の虎後門の狼という現状ですぞ。」

 

「クソッ!まさか騎士団内部に裏切り者がいたとは……ここはなんとかして撤退しなくては!」

 

「おっとそういうわけにはいかないんですよ将軍。」

 

ヂュー・ドゥーはブラスターを引き抜くと団長に突き付けた。

 

「なっ、ヂュー・ドゥー隊長!?何のつもりだ!?」

 

「我々は軍事革命委員会に降伏するという事ですよ団長。」

 

「軍事革命委員会?どういうことだ!」

 

「それは我々に捕まった後に分かります。」

 

「ええい!訳の分からんことを!誰か!誰かおらんか!ヂュー・ドゥーが乱心したぞ!こやつを討ち取れ!」

 

団長は必死に叫んだ。すると兵士たちが駆け込んできた。団長は安堵の表情を浮かべるが、すぐに驚愕した。兵士たちは皆、銃口をヂュー・ドゥーではなく自身に向けてきたのである。

 

「なっ!?」

 

「そう言う事ですよ団長。既に部隊の多くが我々と共にあります。前線の連中も無用な血を流すことを好まんでしょう。」

 

「そんな……まっ、待ってくれ!金でも女でも好きな物をくれてやる!だから助けてくれ!」

 

将軍は必死に命乞いをした。だが返ってきたのは無慈悲な勧告であった。

 

「貴方の処遇を決めるのは私ではない。人民ですよ。貴方はこれから人民裁判によって裁かれるのです。命乞いはその時にでもするのですな。おい!こいつを縛り上げて連行しろ!」

 

ヂュー・ドゥーがそう命令すると兵士たちはアーホーを連行していった。

 

その後、騎士団の指揮を引き継いだヂュー・ドゥーは全部隊に対し戦闘停止と武装解除を命令、状況が掴めていない前線の部隊からは抗議の声が上がったが、前方と後方の両方から銃を突きつけられている状態では何もできず、部隊は降伏した。これにより後に「4月14日革命」と呼ばれるハンソンの三度目の革命は、無血革命という形で遂に成功となったのである。

 




行き当たりばったりで書いてたので、まさかここまで続くとは思わなかったのですが、何とか完結までもっていければと思っています。
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