ようこそ実力至上主義の教室へ ~Lの後継者候補参戦~ 作:マキマ
よろしくお願いいたします。
ワイミーズハウス───
各国首脳の一部しか実態を知らない世界的探偵L
、その後継者を育てるために設立された
ここイギリスにあるワイミーズハウスは優れた知能を持ちながら身寄りのない子供たちを集め普通の教育機関では教わらない考え方、膨大な知識を学ばせていく施設である。
俺の名前は 柊(ひいらぎ) 塁(るい) 。
ここのハウスではロンという愛称で呼ばれている。
両親は日本人らしいけど物心ついたときにはハウスにいた。親の顔も知らないが寂しいと思ったことはない。
ハウスには一緒に鬼ごっこで遊んだりテストで競い合う兄弟がいるし、
この施設を経営しているロジャーは親のように思っている。この生活に満足していたんだけど…
「ロジャー、話って何?」
昨夜、俺はロジャーから大切な話があると部屋に呼ばれていた。
「先日Lから連絡があってな…急な話だがロン、日本に行く気はないか?」
日本…俺の故郷か、少し興味はある
「もしかしてLの仕事の手伝い?」
「そういうことだ、話が早くて助かる。私も機密上詳しい話は聞かされてないが
その仕事が順調にいけば三年半は帰ってこれないらしい。
もちろん強制ではなく答えを急がなくてもいい。行くかどうかはロンが決めてくれ。」
正直Lの後継者になりたいかと言われればそうでもないし、
ここを離れるのも悲しいが──
「行くよロジャー、俺もそろそろ15になる。いつまでもハウスにはいられないしいい機会だよ。」
「そうか…わかった。出発は一週間後だ、ハウスのみんなにはそれまでに別れを言っておくように」
普段あまり表情がでないロジャーの顔は少し寂しそうだった。
出発日の朝、ハウスでの思い出に浸りながら庭を歩いていた。
「意外でした。ロンがLになることに興味があるとは。」
後ろから話しかけてきたのはニア。兄弟であり親友でありライバルだ。
「興味ないよ、それにハウスを出ると言っただけ。Lが関係してるなんて一言も言ってないけど。」
「ロジャーの部屋での会話をたまたま聞いてしまいまして…」
「嘘だね」
「はい。嘘です。」
かまをかけてきたがニアなりに推理してLが関与していると思ったのだろう。
「寂しくなります…」
「似合わないこと言うね。それも嘘かな?」
「張り合う人がいなくなります。」
ハウスでは様々なテストを受けさせられる。だいたいトップは俺かニア。あとメロっていう性格のきついやつがいて頭は回るがニアとは相性が悪い。Lの後継もこの三人のうちの誰かになるとみんな思っている。
「メロと仲良くやりなよ。」
「…はい。ロンもお元気で」
そういってニアは自室に戻っていった。もともと人間関係にあまり頓着がないやつだったけどニアが一番Lの後継に向いていると思う。テストでは互角だったけどたまにやるチェスでは7割ぐらいニアの勝ちだし、もしニアがLになったら冷静に 無感情にパズルを解くように事件を解決していくだろう。
「ロン~いかないでぇ」
ハウスの兄弟たちは泣きながら別れを惜しんでくれた。
「ごめんね、、、それじゃあみんな元気で」
ハウスのみんなと離れるのは悲しいしLになることに興味もない
それでも行くと決めたのは──
″ 探求心 ″
行ったことのない場所で何をするかわからないし、Lの仕事に関わるとなると未知の経験もたくさんするだろう。そんな非日常を求め旅立つ
─── 日本
慣れない街並みや言語に囲まれながら指定された場所にきて数分、長身の白髪の男性が話しかけてきた。
「 柊(ひいらぎ) 塁(るい) くんですね」
やさしい声でそう尋ねてきたのはLの遣いの人だろう。はい、と返事をすると
車に乗せられ連れてこられたのは高級そうなホテル。そこの最上階の一室にLはいた。
「はじめまして、ワイミーズハウスから来ました。 柊(ひいらぎ) 塁(るい) です。」
「あなたがロン、、、柊(ひいらぎ)くんですね。」
猫背で話しかけてきたこの男性がL…30から50歳ぐらいの人だと思っていたけど
想像よりずいぶん若いな。20代前半ぐらいかな、、、
「さっそくですが日本に来てもらったわけを話しましょう。
端的に言うとある高等学校の潜入調査をお願いしたいのです。」
潜入調査か~、うすうす分かってはいたけど正直得意と思えない。
「わざわざLの後継の中から調査員を派遣するということは入学が難しいということでしょうか」
顔が日本人なのも採用理由の一つなんだろうけど、、、
「たしかに入学も困難ですが、問題は入学した後ですね。この学校は退学者が非常に多いです。そして調査内容は退学せず卒業し試験内容や学校で起こったことを全て報告するというものです。」
要は入学から卒業までの三年間で難関な試験をクリアし続ければオッケーってことか。
「ただ、そこの学校は少々特殊でして。学校の方針で入学してからは
一切コンタクトが取れません。国が運営している学校でセキュリティーも固い。」
国が関わっているのか、話が大きくなってきたな、、、
「随分変わった学校ですね」
Lがお菓子を食べながら答えた
「はい、日本では初めての試みで生徒は入学してから外部とは一切連絡が取れず生活も校内にある施設で全て完結する仕組みです。何より教育に力を注いでおり試験も知識を問われるものだけでなく様々な実力を問われるものが多い、、、厄介なのはその特殊な試験で退学者が少なからず出ているということ。」
なるほど、、、話がみえてきたぞ。その特殊な試験を三年間クリアし続け全ての
試験情報を持ち帰るというのがミッション。
「どこかの教育機関からの依頼でしょうか?」
「合衆国からです。この学校の教育方針は成功しているといえます。
毎年有能な人材を国に排出しており、それを警戒しての依頼でしょう。
教育内容が法に触れていたり倫理的にアウトなら訴え完全に白なら
自国の教育方針に取り入れるつもりかもしれません。」
特殊な教育という点においてはワイミーズハウスと似ているかも、、、
その学校にとても興味がわいてきた。
「国からの依頼でしたか、責任重大ですね」
期待と同時に不安も大きい。
「そんな身構えなくても大丈夫ですよ。日本人というだけであなたを選んだわけではありません。ロジャーから頂いた普段のあなたの情報やハウスのテストの回答などを元にこちらで柊くんのことをプロファイリングさせていたただきました。この調査で重要なのは、そうですね一言で言ってしまえば “ 人間的魅力 ” でしょうか」
意外だな、てっきり推理力や適応能力が必要だと思っていたしそれに自分に魅力があるとも思えない。
「国が運営しているだけあって情報が得にくいのですがその数少ない情報から推理する
と人間関係が大切なのが分かりました。」
「つまり個人戦ではなく団体戦ということでしょうか?」
「一概にそうとは言いきれませんがおそらく、、、。そして柊君、
あなたには人を引き寄せる力がある。中性的な容姿もそうですが優しい雰囲気で人を魅了させる。簡単に言うとモテるということですね。」
はぁ、、、なんというかすごい俗世的な理由で選ばれたんだな。
「それを無意識にできているということはすごいですが入学してからは
意図的にその長所を活かしてもらいます。 …ワタリあれを持ってきてください」
ワタリ、ここまで案内してくれたご老人…その彼が大量の本と資料をもってきた
「申し遅れました。Lの身の回りの世話をしております。ワタリと申します。」
ていうかこの部屋、ワタリさん、L、俺の三人しかいないけどこの人ひとりでやっているのかな、、、、
「はい、よろしくお願いします。、、、それでワタリさんこれは?」
大量の資金をみて尋ねる
「主に心理学の本ですね、それと入学予定の学校の資料です。」
よくみると本のタイトルには『メンタリズム』や『気になる女性の落とし方』などがあった。
もちろんハウスでもこういう心理学は学ぶがまさか活用する日がくるとは、、、
「それと柊君には入学までの4か月の間、私立中学に通ってもらいます。潜入してもらう学校、高度育成高等学校には面接や筆記などの入試試験がありますがそれらの試験自体に意味はありません。入学希望の生徒が通う中学校の教師がその生徒の情報を事前に高校側に渡しその情報をもとに入学の合否を審査します。」
入試試験は完全に建前ってことか、思い切ったことをするなこの学校、、、
「つまりその4か月の間に通う中学の教員に優秀さをアピールするというのが最初の課題でしょうか」
「いえ、それはご心配なく。そこの私立中学には教師としてワタリを送り込んあります。なので裏工作で柊君が高度育成高等学校の入学はほぼ確定しています。」
すごいな、、、、ワタリさんってなんでもできちゃうな
「それより柊君にはこの4か月の間に日本の生活に慣れ、
心理テクニックの勉強と実践をとことん繰り返してもらいます。」
こっちのほうが断然難しそう、、、
今日から日本で新しい生活が始まる───