ようこそ実力至上主義の教室へ ~Lの後継者候補参戦~   作:マキマ

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最終確認

日本に来て早三か月───

 

「ぐへぇっ!!」

 

「受け身が取れていませんね、もう一度」

 

何をしているのかというとワタリさんに護身術の稽古をつけてもらっている。そして今思いっきり投げ飛ばされたところ…ワタリさんは意外とスパルタだった…

 

「今さらですが護身術を使うときなんてあるんでしょうか?」

 

「ないかもしれませんね、しかし念のためです。入学してからは一切こちらから手助けをすることができません。自分の身は自分で守れるようにしておきましょう。」

 

「はい、、、」

 

わざわざこの稽古のためにホテルの一室を柔道場にしてもらったし、やらないわけにもいかないけど…どうかこの護身術を使うときがきませんように…

 

 

 

 

 

 

「戻りました」

 

くたくたになりながらLのいる部屋へやってきた。生活はこの広い部屋で不自由なくできている。家事全般はワタリがやってくれているし、俺は中学に通いながらたまにLの仕事を手伝だったりしている。

 

「お疲れ様です、柊君。順調ですか稽古のほうは」

 

Lは相も変わらずお菓子を食べながら話しかけてきた。

 

「キツすぎます、、、潜入する前に倒れちゃいますよ。」

 

実際めちゃくちゃしんどい。ハウスでもこんな本格的に体を動かしたことはなかったしね。

 

「順調そうで何よりです。それより日本の生活には慣れましたか?日本語はだいぶ柔らかくなりましたが」

 

「はい!だいたい日本の若者というものをつかめてきました。心理テクニックも順調です。この3か月の間に20人の女の子から告白されちゃいました。それに今日の帰りにはタピオカを飲みました。この行為を “タピる” というらしいです!」

 

「それは良かったですね、、、この調子であと1か月頑張ってください。」

正直モテそうとは言いましたが予想以上ですね…心理学は場を支配したり他人から信頼を得るために使ってほしかったのですが、まあいいでしょう。それとタピオカのブームはとっくに終わっています…

 

 

 

 

 

 

それから一か月、ワタリさんの稽古をうけたり日本の世論を知るためテレビや新聞で勉強したりして過ごした。

 

 

「最終確認をしましょう。」

 

いよいよ高度育成高等学校の入学が明日に迫っていた。この高校の入学条件は特殊で筆記試験や面接には意味がなく中学校の教師から送られてくる情報でその生徒の合否を決定するというものだ。中学校にワタリさんが教師として潜入していてくれたおかげで4か月しか通ってなかったけどなんとか合格することができた。俺も中学に通っている間は常に成績トップでいたし自分で言うのもあれだけどクラスの人気者も演じることができたと思う。

 

「調査内容は三年間退学せず通いつづけ学校生活で起こったすべてを報告すること。それとこの学校の最大の特徴、、、進学率・就職率100%、、、 これがどうも引っかかる。この学校の卒業生にこの事実を確認しようと試みましたがやはりダメでした。」

 

「契約書かなにいかで口封じされていますね」

 

 

「おそらくそうですね。しかし、卒業生の就職先のデータをみると確かに夢がかなったといっても過言ではない職業があります。」

 

俺もそのデータに目を通したけど確かにスポーツ選手になった人や留学や就職で海外に行ってる人もいた。それでも…

 

「夢がかなってない人もいるというのが問題ですね。」

 

「はい、数でいえば明らかに希望した進学先や就職先に行けてない人たちのほうが多いです。私の推理では自分の希望を通すにはクリアする条件が存在する」

 

なるほど、、、仮にその条件が卒業間近の試験に合格とかだった場合、俺が学校を退学しないのは絶対条件になる。

 

「条件の内容ももちろん調査対象ですが、、、就職率100%、、、これがどこまで実現可能か把握したいですね」

 

たしかに就職率100%となるとその上限が気になる。いくらその条件を達成したからといってすぐ総理大臣になれるかといったらそれは無理だろう。

 

「わかりました。その条件をクリアし希望できる職業の上限も調査します。」

 

調査内容はこれで終わりかと思ったがLが別の資料を持ってきた。その資料に目を通す。これはLが調査しているある実験施設…実験内容は天才でない凡人が天才の能力を超えるための教育。これだけなら聞こえはいいが………度が過ぎている。実験内容を詳しく見てみるとおよそ人間がこのなせるもではない。勉強だけではなく武術や護身術などの運動面からピアノや茶道などの文化・芸術的なものまでありとあらゆるものを叩き込まれる。倫理感も度外視されていてめちゃくちゃだ。でもなぜ今俺にこの資料を…

 

 

「この実験施設の最高責任者がどうも慎重で、、、、正体をつかむあと一歩のところでこちらの調査に感づかれましてね。施設の運営を一時中断し逃げられました。」

 

ほんとにあと一歩だったんだろうな、資料には最高責任者の候補が数人までに絞られていた。

 

「本題はここからなのですがその施設が一時中断しているこの間に被験者が一人逃亡したようです。そしてこの逃亡した被験者は施設の中で最高傑作であり今この瞬間にも施設の関係者が血眼になって探しています。」

 

おそらくこの実験施設を立ち上げた人物は相当な権力者だろう。そしてあらゆる手段でこの最高傑作の被験者を探し出そうとする。そしてこの手から逃れるには…

 

「国の息がかかっている、、、、高度育成高等学校」

 

「さすがですね、私も同じ推理をしました。ここなら少なくとも3年は安全に過ごせます。そして柊くんにはその人物と接触してもらいたいのです。」

 

この被験者はいわば重要参考人…この人物に協力してもらえば実験施設の実態の裏をとれる。

 

「接触できたら取引を持ち込んでください。取引内容は卒業後の身の安全を保障するかわりに施設の情報の開示をしてもらうことです。そしてその人物の顔も名前もわかりません。学校にいても正体を隠す可能性があります。いえ、むしろ身をひそめる可能性のほうが高いでしょう。おそらく施設で培った力も使わないので探し出すのは困難を極めます。」

 

そもそもこれは推測であってほんとにいるかもわからない。それに安易にこの取引を持ち掛ければ警戒される。どうにか信頼を得つつ敵意がないことをしなければ取引は成立しない。

 

「そして仮にこの施設のカリキュラムをこなしてきたとなれば怪物です。おそらく対峙すればあらゆる面で敵わないでしょうが、、、、 “ 推理力 ”ワイミーズハウス出身のあなたならこの一点において被験者を凌駕できるでしょう。私が保証します。」

 

そう言ってLは珍しく微笑んだ。

話を終えてもう一度資料に目を通す。実験施設の名前は 

 

ホワイトルーム───

 

ほんとにこんな怪物がいるならあってみたい…

その夜は遠足が待ちきれない子供のように寝れなかった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




次回から学校に行きます
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