ようこそ実力至上主義の教室へ ~Lの後継者候補参戦~ 作:マキマ
ここが高度育成高等学校、、、、、でっか
そして人が多いな、自分のクラスを確認するため掲示板に向かう。この高校は中学での成績や普段の生活態度で入学が決定する。俺は最近までイギリスにいたから日本の中学には4か月しか通えてないため入学はギリギリ、そのせいで俺の初期成績はあまり良くないってワタリさんが言ってたけど、、、まあ大丈夫でしょ
俺のクラスはCクラス───
校内地図を見て教室に向かいドアを開ける。そして教室全体をみて思った。ガラわるっ!なんで机に足かけたんの、なんでそんなガタイいいの、なんで室内でサングラス?そして申しわけないけど全体的に知性が感じられない。ABCDと4クラスあったけどまさか成績順か?いやアメリカから調査がくるくらいの学校だぞ、そんな単純なはずはない。それとも、、
「ねぇちょっと!通れないんだけど」
ドア付近でいろいろ考えていたら後ろから声をかけられた。振り返ってみると短髪の少女がこちらを睨んでいた。
「あぁごめんね」
「ドアの前で立ち止まんな」
敵意むき出しの少女はそう言い捨て通り過ぎる。ちょうどいいし、、、試してみるかな
「俺、柊(ひいらぎ) 塁(るい) これからよろしく」
自分の魅力と話術がどこまで通用するのか興味本位でこのとげとげしい少女に話しかけることにした。
「、、、、伊吹(いぶき) 澪(みお)」
こちらに目も向けず彼女はそう答えた。
「へ~、澪っていうんだ。澪はなんでこの学校を選んだの?」
「ちょっと!気安く下の名前で呼ばないで。それにそんなことあんたには関係ない」
「え~~けち~」
なんか下手なナンパみたいになってきたな。
「俺はやっぱり就職率100%ってとこに惹かれたかな。この学校に通い続ければ自分の夢が叶うってすごいと思わない?」
「ここにいる大抵の奴はそうでしょ、、、私もそのうちの一人だし、ていうかいつまでそこにいんの!」
澪が自分の席に着いた後も俺は話し続けていた。いやいやながらもコミュニケーションはとってくれるんだな。そうこうしているうち先生らしき人物が教室に入ってきた。
「ほら席につきな」
あっちに行けと言わんばかりにしっしっと手を払う。
「ちぇ~」
このままじゃなんか負けた感じになるし放課後また話しかけえるか、、、、
「入学おめでとう。君達Cクラスの担任の坂上数馬だ。この学校では3年間クラス替えがないので長い付き合いになるだろう。さっそくだがこの学校の特別なルールを説明しておきたい。今から配るプリントに目を通してくれ」
先生の自己紹介とこの学校の説明が始まった。俺は話を聞きつつ数枚のプリントを速読しその内容とLからもらった前情報とを照らし合わせる。そして先生が金銭の説明に入る。
「学生証カードを配らせてもらう。これは簡単に言うとクレジットカードのようなものだ。敷地内にあるものは全て学生証カードの中にあるポイントで購入できる。カラオケなどの娯楽の為の代金を払うのもポイントでやり取りする。そしてポイントは毎月1日に自動的に振り込まれることになっており君達全員には10万ポイント、つまり10万円が支給されている」
坂上先生のこの発言で教室内が一気にざわつき始める。10万円、、、およそ750ポンド(イギリスの貨幣)。ハウスにいたころお小遣いは20ポンド(3000円)もらえれば十分だったのに、さすが国が運営しているだけある。っていってもさすがに毎月10万はありえないだろうな。先生も毎月1日にポイントが振り込まれると言ってたけど毎月1日に10万振り込まれるとは言ってないし、そもそもそんなにお金配ってたら国が破綻する。しかし俺はともかく普通の高校生がこの説明で気付けるだろうか。ざわついている教室を見渡しているとロン毛のいかつい男と目が合った。男がニヤリと不敵な笑みを見せてきたので、こちらもニコッと笑顔を返した。
そんなこんなで入学式や学校の敷地内の説明が終わり、今日のスケジュールは終了した。クラスの生徒たちはさっそくもらったお金でどこに遊びに行くかで盛り上がっていた。俺はというと…
「どこ行くの?買い物?」
「またあんたか、、、しつこい」
さっきの続きで俺はまた澪に話しかけていた。
「ねぇ~何するの?」
「だからあんたには関係ない」
そういって教室を後にするが俺は澪の後ろについていった。校舎をでたあたりで呆れながら澪が話しかけてきた。
「ほんとに何が目的なの?」
「別に、何するのかなーって」
「はぁ~もう好きにすれば?私についてきたっておもしろいことなんてなんもないよ」
ため息をつきながらあきらめたようにそう言い澪は歩き始めた。
「じゃあお言葉に甘えて」
澪の後をついていきたどり着いたのは…
「映画館、、、何か見たい作品でもあるの?」
「それを今から決めるんでしょ」
いやいやながらもそう返してくれた澪はチケットの発券機の前で数分悩み作品を決めたのか画面を操作しチケットを購入した。
「ちょ、まって」
俺はとなりの席のチケットを発行したが、しらんとばかりに澪は先にシアターに入っていった。
「おいてくなんてひどいじゃん」
俺は購入した座席、澪の隣に座った。上映開始まであともう少し
「はぁ~、、、あんたももの好きね」
完全にあきらめた表情でそういった澪はもう俺のことは気にしないスタンスをとっていた。
「ごめんて、はいどうぞ、お詫びのしるし」
そういって俺はさっきおいてかれた際に買ったジュースを渡した。澪は一瞬驚いた表情をしたがすぐに怪しむような視線を向けてきた。
「はぁ?!なんのつもり?こんなの頼んだ覚えないんだけど」
「そんなこと言わずに、ほらポップコーンもあるよ」
俺は二人前のポップコーンを二人の座席の間にある肘掛けに置いた。
「はぁ~もうお金、、、、後で返しって言われても返さないから」
呆れながらそう言い、ポップコーンを口に放った。
「ほらもう始まるんじゃない?」
上映時刻になりシアターのライトが消え映画が始まった。
「な~んかいまいちだったね」
「あんま面白くなっかた、画面はお金かけてそうだったけど」
ジュースとポップコーンの効果だろうか、俺の感想に対し自分の感想を返してくれた。
映画が終わり俺たちはシアターを出た。このまま映画館も出ると思ったが澪がチケットの発券機で立ち止まった。
「まだ何か見るの?」
「嫌なら帰れば?」
澪はまたチケットを購入しシアターに向かった。
「いやだからまって!」
俺もすばやくチケットを発行し澪の後を追う。そしてさっきと同じように隣の座席に座る。映画が終わりお互いの感想を少し語りまた次の映画を見る。これを繰り返した。
「よくわからなかった」
「音楽はいいと思ったけどね」
「なんか嘘くさい話だったな~」
「役者の演技が下手」
「本当に普通だったね」
「今日一つまらなかった」
そうこうしているうちに時刻は夜の8時。最初の映画の上映時刻が1時だったからほぼ半日映画を見ていることになる。俺は集中力を鍛えるトレーニングもしてきたから疲れはないけど澪はすごいな、ほんとに映画が好きなんだろう。
「次が最後、難しくてわからないって評判の映画。」
少し心を開いてくれたようでちょっとした会話ならできるようになっていた。
「正直今のところ全部微妙かな、俺映画とかわかんないのかも」
というか娯楽自体を今までの人生であまり経験したことがなかった
「私も十本に一本くらいしか面白い映画には出会えない。映画なんてそんなもん。」
俺たちはそんな会話をしながら今日最後の映画が上映されるシアターに向かった。
え、うわ…すごいどうでもいいシーンなのに……涙が出てきた。こんな経験初めてだ。これが感動するってやつなのか。ていうか泣いてるとこ見られたくないな。そう思いおそるおそる澪のほうを見てみると澪も泣いていた───
「あのラスト、俺死ぬまで忘れないと思う」
「私も、あれだけで今日のチケット代の元取れた」
映画館の帰り二人で最後に見た映画の感想を語り合っていた。正直今日で澪との距離はだいぶ縮まったと思う。喜怒哀楽などの感情を共有することで他人との距離が縮まるこの効果をシェアー効果というがまさにこれだな。最初は興味本位で澪についていったけど思わぬ収穫があった。
「俺今まで趣味とかなかったけど今日澪のおかげでそれが見つかったかも。ありがと」
「は、はぁ?別に私はなにもしてないし、、、、それと下の名前で呼ぶなっていっただろ!」
“ 返報性の原理 ”人間には人に良くしてもらえばそのお返しをしようとする心理が働く性質がある。今日一日いっしょにいてわかったが澪はその性質が特に強い。
「じゃあ、俺のことも塁(るい)って呼びなよ。」
「ますます意味わかんないんだけど、、、もういいいわ、あんたをまともに相手にしてるとこっちが疲れる。」
そう言う澪だがまんざらでもない雰囲気だった。
「じゃ、俺はここで。今日はありがと」
「はいはい、、、、」
はぁ、ほんと意味わかんなくて変な奴。そういえば他人と映画を見たのは初めてだったかも…意外と悪くないな…