問題児と共に行く世界の破壊者   作:英雄に憧れた一般人

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前回までのディエンドと問題児は






士「おい、ディケイドをディエンドに変えるな」
大樹「でも前回の主役は僕だよ?」
十六夜「いや俺だろ」
飛鳥「どっちでもいいから早くしましょう」
耀「………完全、復活!」
ルイオス「………何で僕までここにいるんだよ」
士「世界を破壊してこそディケイドだからな」
ルイオス「訳わかんねえよ!」
大樹「まあ今回と次で僕らにボコボコにされるんだから、気にしたら負けさ。あ、もう負けてたね」
ルイオス「お前、マジでぶっ殺す!」
白夜叉「くっくっくっ、おんしらは本当に面白いのう。では第10話、『伝説への挑戦』じゃ。楽しむがよい」



第10話「伝説への挑戦」

─────5日後

“ペルセウス”の本拠。

ルイオスは黒ウサギに熱い視線を送っていたが、それを無視して黒ウサギは切り出した。

 

黒ウサギ「我々“ノーネーム”は“ペルセウス”に決闘を申し込みます!」

ルイオス「何?」

 

ルイオスの表情が変わる。それを無視して黒ウサギは十六夜と大樹が持ち帰った風呂敷のか中から“ゴーゴンの首”の印がある紅と蒼の宝玉をルイオスだけでなく“ペルセウス”の側近達にも見えるように取り出した。

 

側近「こ、これは!!?」

側近「“ペルセウス”への挑戦を示すギフト……!?まさか名無し風情が、海魔(クラーケン)とグライアイを打倒したというのか!?」

大樹「決闘の方式は“ペルセウス”が所持するゲームの中で最高難易度のもので構わないよ。どうせ僕達が勝つからね」

 

“ペルセウス”一同が驚いているのを傍目に見ながら大樹が決闘の方法を提示しつつ“ペルセウス”を挑発する。ルイオスとしては下層のコミュニティのために設置され、“ペルセウス”への挑戦を可能とするこの制度を撤廃しようとした矢先に今回のコレである。元々の怒りと不快感にさらに上乗せされ、ルイオスは怒り狂いそうになっていた。

様式も整った立派なギフトゲームであるため、“ペルセウス”側も断れば今後の威信に響くこともあり容易に断ることができないのである。

 

ルイオス「ハッ………いいさ、相手してやるよ。元々このゲームは思いあがった身の程知らずなコミュニティに、僕達との間にどれ程格の差があるのか思い知らせてやる為のものなんだから。2度と逆らう気が無くなるぐらい徹底的に………()()()()()()()()()

 

華美な外套を翻して憤るルイオスに、十六夜と大樹はこれから起こるであろうことを想像して、笑いを堪える事で精一杯だった。だが逆にその姿は禍々しく、映画に出てくるような悪役の様な笑いとなっていた。

それはもう、横から見ていた士、飛鳥、耀、ジンがドン引きするくらいである。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

契約書類(ギアスロール)” 文面

 

『ギフトゲーム名 “FAIRYTALE in PERSEUS”

 

・プレイヤー 一覧 逆廻 十六夜

          久遠 飛鳥

          春日部 耀

          門矢 士

          海東 大樹

・“ノーネーム”ゲームマスター ジン=ラッセル

・“ペルセウス”ゲームマスター ルイオス=ペルセウス

 

・クリア条件

ホスト側のゲームマスターの打倒

・敗北条件

プレイヤー側のゲームマスターによる降伏。

プレイヤー側のゲームマスターの失格。

プレイヤー側が上記の勝利条件を満たせなくなった場合。

 

・舞台詳細・ルール

✽ホスト側のゲームマスターは本拠・白亜の宮殿の最奥から出てはならない。

✽ホスト側の参加者は最奥に入ってはいけない。

✽プレイヤー達はホスト側の(ゲームマスターを除く)人間に姿()()()()()()()()()()()

✽姿を見られたプレイヤー達は失格となり、ゲームマスターへの挑戦権を失う。

✽失格となったプレイヤー達は挑戦権を失うだけでゲームを続行する事はできる。

 

宣誓 上記を尊重し、誇りと御旗の下、“ノーネーム”はギフトゲームに参加します。

               “ペルセウス”印』

 

“契約書類”に承諾した直後、一同は間を置かずに光へと呑まれた。

次元の歪みにより門前へと追いやられ、ギフトゲームの入口へと誘われる。

白亜の宮殿の周辺は箱庭から切り離された未知の空域を浮かぶ宮殿に変貌していた。

 

黒ウサギ「まずは宮殿の攻略が先でございます。伝説のペルセウスと違い、黒ウサギ達はハデスのギフトを持っておりません。不可視のギフトを持たない黒ウサギ達には綿密な作戦が必要です」

大樹「確かにそうだね。だけど、無いなら奪えばいいだけの話だよ」

 

黒ウサギは、はい?という顔で大樹へと振り向いた。大樹の手には既にハデスの兜が1つあった。

 

黒ウサギ「な、なんで持っていらっしゃるんですか!?」

大樹「このゲームは少年くんが敵に見つかれば問答無用で負けだからね。それは面白くない。なら転移した瞬間に敵に奇襲を仕掛ければいいだけの話さ」

十六夜「あの銀のカーテンか」

大樹「ああ。ここでも問題なく使えるみたいだ。とりあえずはコレをつけたまえ」

ジン「は、はい………」

 

ジンは大樹からハデスの兜を受け取りそれを装着した。ジンの姿は瞬く間に色を無くして姿を隠す。

 

黒ウサギ「ならルイオス様の所にもそれで!」

大樹「何を言っているんだい君は?」

黒ウサギ「はい?」

大樹「これは()()()だよ?ゲームは楽しまなければもったいないじゃないか。それに、チートを使ってボスをすぐに倒しても面白くない。僕はこのゲームを楽しむと同時に、アイツの心を()()()()()()()()()()()()()()

 

大樹のその顔は先程見せた表情よりも更にドス黒く、黒ウサギとジンはその表情に身を竦めた。

 

大樹「それに、僕は1人でも確実に彼らに勝てる。例えどんな事をされても、神にだって勝てる自信があるよ」

十六夜「ハッ、分かってるじゃねえか。オマエとも気が合いそうだぜ」

飛鳥「同感ね。よく言うじゃない、ゲームは楽しくプレイしましょうって」

士「とりあえず、役割を分けるべきだな」

 

士が仕切り直し、このゲームでの役割を確認する。

大きく分けて3つ、ジンと共にゲームマスターであるルイオスを倒す役と索敵での見えない敵を撃退する役、そして失格覚悟で囮と露払いをする役割である。

 

大樹「士。今回は僕に譲ってくれないか?」

士「別に構わん」

大樹「感謝するよ。僕が少年くんと一緒にゲームマスターを倒すよ」

 

大樹がこんなにも積極的なのはルイオス達の持つギフト目当てであるという事は理解していたが、ここまで執着を見せる事に黒ウサギは驚いていた。彼の実力も未知数なため、正直託すことに不安なのだが、待ったをかけた者がいた。

もちろんの如く、十六夜である。

 

十六夜「なら俺も混ぜろ。アイツのギフトにも興味がある」

大樹「分かった」

士「なら俺と春日部が索敵だな。兜は海東が1つ盗んできたやつがあるからあと1つだな」

 

サクサクと役割が決まっていく中、飛鳥は不満げに全員に向けて言う。

 

飛鳥「あら?なら私は囮と露払いかしら?」

士「安心しろ。俺もどちらかというと囮と露払いだ。ただ索敵も出来るというだけだ」

大樹「それに、君のギフトはルイオス1人に対するよりも多数相手にする方が向いている。ここは大人しく引き下がってくれないか」

飛鳥「………はあ、分かったわ。ただし、負けたら承知しないから」

十六夜「安心しろお嬢様。俺達が負けるわけねえだろ?」

 

士と大樹の説得にため息をつきつつも自身の至らなさも理解しているため飛鳥は引き下がる。

十六夜もヤハハと笑いつつ飛鳥に勝利を約束した。

黒ウサギは今回は審判としてしかゲームに参加できない事を言われ、それぞれの役割が決まった。

しかし、黒ウサギの表情は決して明るいものではなかった。

 

黒ウサギ「ですが、油断しているうちに倒さねば、非常に厳しい戦いになると思います」

士「奴の持つギフトか?」

黒ウサギ「はい。彼が所有しているギフトが黒ウサギの推測が外れていなければ────」

十六夜「隷属させた元・魔王様か」

黒ウサギ「そう、元・魔王の………え?」

 

黒ウサギは思わず素っ頓狂な声を出してしまった。

そんな黒ウサギを気にもかけず、十六夜の言葉に続けるように大樹も推測を述べる。

 

大樹「神話どおりならゴーゴンの生首は戦神アテナに献上されているからこの箱庭にはない。だけど石化のギフトを所有し、使用している」

十六夜「星座として招かれたのが、箱庭の“ペルセウス”なら、さしずめ奴の首にぶら下がっているのは、アルゴルの悪魔ってところか?」

 

士も何となくだが理解をしているようで、全く分からないというのは飛鳥と耀の2人であった。

ジンと黒ウサギも驚いていたが、黒ウサギが驚愕したのはその答えを導き出す過程とその答えに帰結することの異常さである。

 

黒ウサギ「まさか…………お2人は、箱庭の星々の秘密に………?」

 

黒ウサギは信じられないものを見る目で首を振り返りながら問いかける。

 

十六夜「まあな。このまえ星を見上げた時に推測して、ルイオスを見た時にほぼ確信した。後は手が空いた時にアルゴルの星を観測して、答えを固めたってところだ。まあ機材は白夜叉が貸してくれたし、難なく調べることが出来たぜ」

大樹「僕はこの世界で初めて星を見た時だね。星々の輝きとハッキリと満月が出ていることの2つに違和感を持ってね。それを前に持ってきたHAKONIWA(あの本)を読んで納得したんだよ」

 

あまりにも当然という風に答える2人に黒ウサギは何度目か分からない驚きをした。もはや彼らが来てから驚いていない方が少ないのではないかと思い始めるぐらいである。

 

大樹「それと、彼女は一応お嬢様だからね。多少なりとも護衛も必要だろう」

 

大樹はそう言ってシアンの色の銃の形をしたドライバー、“ネオディエンドライバー”をクルクルと回しながら出した。いつのまにか取り出した1枚のカードをそれぞれネオディエンドライバーの読み取り装着(ライドリーダー)へと差し込み、カード装填機構(ディヴァインフォアエンド)を前へと押した。

 

KAMEN RIDE!RIOTROOPER(ライオトルーパー)

 

トリガーを引いた事で、顔はギリシャ文字のΟ(オミクロン)が模された兵隊の様な仮面ライダー、ライオトルーパーが3体召喚された。

その召喚された存在に飛鳥や耀はもちろんの事、黒ウサギやジンだけでなく十六夜すらも驚いた。

 

大樹「そのお嬢様を守ってね」

 

ライオトルーパーは「了解した」というように頷き、飛鳥を守る様に立った。

 

黒ウサギ「………それが、大樹さんのギフトですか?」

大樹「まあ僕のギフトの一部って言った方が適切だね」

 

何でもないようにそう言う大樹に、黒ウサギは改めて海東大樹という存在が分からなくなった。次元を超え、あらゆる物を誰にも気づかれずに盗み出す事ができ、人すらも召喚出来る事が可能である事に、もう規格外過ぎて開いた口が閉じれなかった。

 

士「さてと、準備も出来た事だ。乗り込むとするぞ」

十六夜「オマエら、帰ったら俺と喧嘩しようぜ」

大樹「考えておくよ」

黒ウサギ「で、どうやって乗り込むつもりで?」

 

この先の展開は何となく予想が出来ていた。

だから黒ウサギ以外の飛鳥、耀、ジンは自然と耳に手を置き、十六夜、士、大樹は門の前に立った。

 

3人「「「()()()()()()()()()()!」」」

 

3人揃って仲良く、白亜の宮殿の門を蹴り破った。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

宮殿内は3人が門を蹴り破ったと同時に慌ただしく動き始めた。

ルイオスのいる最奥へ至るための階段の確保、敵を監視できる位置への配置など、本拠を舞台としただけあって見事な連携が行われていた。

しかしその見事な連携は、“問題児のお嬢様”と“世界の破壊者”、そしてライオトルーパーによりすぐに崩された。

まず、入った瞬間に大樹は“インビジブル”により姿を透明化させた。

囮役の飛鳥と士はライオトルーパーを連れて正面の階段前広場へ行き、白亜の宮殿を破壊し回る。

飛鳥は十六夜から借りた水樹から出る水を操り、騎士達を圧倒した。急なギフトゲームという事もあり、本拠を保護する恩恵(ギフト)すらも準備不足である隙を突き、宮殿内を好き放題に荒らし回る。

ただ、どうしても水樹を操るのが精一杯な事もあり隙が生じる。が、そこはライオトルーパーが飛鳥への攻撃を弾いたり、遠距離から攻撃してくる敵を狙って攻撃するなど飛鳥のサポートをしっかりとこなしていた。

士はライオトルーパーと共に騎士達へ攻撃しつつ、不可視の兜を被った敵を探していた。

索敵能力は耀にも引けを取らない程であるため、見つけ次第ライドブッカーガンモードで撃ち落としていった。

 

士「大丈夫ですか、お嬢様?」

飛鳥「私なら全然大丈夫よ。それよりも貴方の方こそ、その姿で大丈夫かしら?」

士「ああ、今回の主役は譲ったからな」

飛鳥「そう。それで負けないでよ?」

士「かしこまりました、お嬢様」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

一方、十六夜達は息を殺して状況を(うかが)っていた。

宮殿の柱の陰に隠れ、耳を澄まして周囲の気配を耀は探った。やや間があってピクリと反応を示した耀は全員に目配せをした。

大樹はその意図を汲み取り、敵の位置を探り、足音が聞こえた瞬間に静かに敵の腹を殴りつけた。

すると敵の騎士が姿を現し、兜が落ちた。

その兜はジンに渡された兜と同じ物であった。

 

十六夜「ビンゴ。これで俺と御チビの分が確保できた」

 

兜を装着した十六夜もジンと同様に姿から色を消した。十六夜が兜を手に入れた事でジンは物陰に隠れ、耀が陽動、十六夜が耀に釣られた敵を叩き、大樹がそのサポートに回るという作戦を瞬時に共有した。

十六夜は耀に少し申し訳ないとは思ったが、耀は別段気にしていないようであった。

そうして3人は物陰から飛び出し、敵は耀だけを見つけ捕らえようとする。

だが、耀を捕らえる前に十六夜や大樹にやられて地に伏したり宮殿の外へ吹き飛ばされる。

特に十六夜の一撃は騎士達が悲鳴を上げながら幾層もの壁を突き破り、揃って第3宇宙速度を維持したまま雲海の向こうまで吹き飛ばすのだ。相も変わらず容赦のない。

見えている敵をほぼ片付けたため、耀が索敵を始めようとした瞬間、突然壁へと叩きつけられた。

十六夜はすぐに反対側に蹴りを、大樹は辺りに銃撃を行うが何一つ手応えがなかった。

耀の五感をもってしても感知できない敵に、十六夜と大樹はある可能性が思い浮かぶ。

 

十六夜達の使う()()()()ではなく、()()のハデスの兜を使っている敵がいる。

 

姿だけでなく、臭気、熱量、物音までも消す、完全な気配消失を可能にするギフト。

神仏ですら暗殺を可能とする不可視のギフトを託された騎士が、付近で息を潜めているという事実はあまりにも十六夜達には都合が悪かった。

大樹はディエンドライバーが、十六夜は兜が取れた時、すぐに失格にされるからである。

そうなると、仮にルイオスの所まで辿りついても、戦えるのはジンだけとなってしまう。

そうなると勝ち目はゼロに等しい。

故に、最も忌避しなければならない敵である。

 

十六夜「一旦引くぞ!春日部!」

 

十六夜は壁に叩きつけられた耀を抱き上げる。

それを見計らった様に、姿の見えない敵は十六夜を襲う。巨大な鈍器の様な物で横薙ぎに十六夜は吹き飛ばされる。大樹も来ると分かっていた為、十六夜の近くを乱射するがどれも空振りである。

 

十六夜「あぶけえなオイ!兜が本当に取れるところだったぞクソッタレ!つーかカウンターでも入れてやろうかと思ったのに、ホントに感知出来ねえ。いっそ手当たり次第に殴ってみるか?」

大樹「それは得策じゃない。それに、彼女は何かを思いついた様だ」

 

どこからともなく聞こえてきた大樹の声に少し驚きつつも抱えている耀の方を見る。

 

耀「聞かれるかもしれないから、今は一度逃げて」

十六夜「オーケー。期待してるぜ」

 

十六夜は再度耀を抱き上げる。直後、また背後から鈍器の様な物で殴られるが、蛇神の力でさえ傷を負わない十六夜には致命になりようがなく、カウンターの蹴りをいれると今度こそ鈍器らしいものを弾いた。

その鈍器は人間大の大きさを誇る鉄槌であり、兜を確実に壊す事が出来るものであった。

不可視の騎士はその鉄槌を拾い、また気配を潜め、機会を窺う。

耀は十六夜に指示をし、十六夜は指定された位置まで耀を運んだ。大樹は不可視の騎士を牽制し、十六夜達に相談する時間を与える。

 

耀「次に、私が合図したらそこに攻撃して」

十六夜「別に構わないが、感知出来るのか?」

耀「出来る。相手は、()()であって()()じゃないから」

十六夜「なるほどな」

 

耀の考えを理解した十六夜はすぐ近くで待機する。

息を整え、集中する。

すると十六夜と大樹の耳には僅かながら耳鳴りのようなものを感じ、大樹も耀が行おうとしている事に得心する。

耀が使っているのは“音波”である。

幾ら神仏すらも暗殺できる兜であっても、透明になるだけであるならば、イルカやコウモリのようにソナーとして音波を使えばその位置を把握する事が出来る。

十六夜と大樹は一般人よりも発達した五感を持っているからこそ感じ取る事が出来るのであって、普通の人では恐らくというか確実に無理だ。

耀は不可視の騎士を見つける。

右、左、正面の3方向の内の、左。

不可視の騎士も耀が探知する事が可能であるという事も気づいているであろう。

柱の陰に隠れ、様子を窺っている。

静寂がその場を支配する。

狩る側と狩られる側。

その立場は、耀という存在がいなければ全くの逆となっていたであろう。

不可視の騎士は駆け出し、耀を襲撃する。

速く、すぐに横に迫って来たのを感じた耀はすぐさま声を出す。

 

耀「左方向、今すぐ!」

 

騎士は鉄槌を振り下ろそうとした瞬間、十六夜の先程と同程度の一撃を脇腹に喰らった。

 

騎士「ぐっ………!」

 

僅かな呻き声を上げ反対側の壁まで叩きつけられた。

大樹はすぐさま騎士の兜を取る。

姿を現したのは、ルイオスの側に仕えていた側近であった。

 

大樹「ハデスの兜、いただいたよ」

騎士「仕方あるまい。実力で負けたのだ、持って行くが良い」

大樹「そうさせてもらうよ。しかし、彼の一撃を加減していたとはいえ、よく耐えたね」

騎士「それは、我等の鎧が優れていたのだろう。何より、無鉄砲な一撃で負けたのならともかく、ギフトを真正面から打ち破られての敗北だ。──見事。お前達には、ルイオス様に挑むだけの資格がある」

 

歴戦の騎士が自身の敗北を潔く認め、敵の実力を認めるあたり、ルイオスよりも騎士として“ペルセウス”を率いる者として相応しい大樹は思う。

とにかく、最も厄介な本物の兜をつけた騎士を倒した大樹達は一旦ジンに本物の兜を被せ、大樹もインビシブルの効果が切れたのか姿を現したため、ジンの被っていたレプリカの兜を被る。

十六夜、ジン、大樹、耀の4人はそのままルイオスの待つ、最奥である最上階まで目指した。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 




皆様読んでいただきありがとうございます。
UA5500を超え、もうすぐで6000を達成いたします。皆様ありがとうございます。
今回、“ペルセウス”戦前半という部分を何とか書き終わりました。
更新も遅く、皆様にはご迷惑をおかけいたします。
活動報告の方にも書かせていただきましたが、こちらの更新は出来る限り毎日、最長でも3日の間には更新していく予定です。
皆様にこれからもこの作品を楽しんでいただけたらと思います。
また、誤字脱字がございましたら指摘していただけたらと思います。
感想や質問も遠慮なく書いていただけたら幸いです。

次回は“ペルセウス”戦後半です。そういえばルイオスの今回の取り引き相手って確か箱庭の外の奴でしたね。
次回も楽しみにしていただけたら幸いです。

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