飛鳥「え!?なんか変なのに変わったわよ!?」
十六夜「ヤハハッ、安心しなお嬢様。俺がコテンパンにたたきのめしてやるからよ」
士「海東には荷が重そうだな?」
大樹「ふっ、誰に言っているんだい士。僕は勝利というお宝を逃した事は一度もないよ」
黒ウサギ「皆さんもっと危機感を持ってください!ルイオス様のアレは完全にやばいのですよ!?」
耀「そんな感じの第12話。私は疲れたから眠るね」
飛鳥「耀さん!?」
ルイオス「うがぁぁぁぁぁ!!!やれぇ、アルゴール!!!」
ルイオスの叫びと共にアルゴールは二人へと向かって行った。先程の戦闘のダメージを感じさせないことに、二人は違和感を覚えた。だが、すぐに意識を戻し、十六夜は先程と同じ様にアルゴールを殴り付けた。が·····
十六夜「おいおい、どういうことだこりゃ。あいつ、強化されてんじゃねぇか」
ディエンド「ゾディアーツスイッチの力だろうね。あのゾディアーツスイッチはペルセウスの力を有していた。つまり、ペルセウスの血を引くルイオスとの相性は悪くないわけがないんだよ。そして、ルイオスが強化された事で彼の持つギフトも強化された。その証拠にルイオスは“星霊”をさっきよりも支配出来ている」
大樹の言う通り、ルイオスがペルセウス・ゾディアーツへと変身してからというもの、十六夜も大樹も徐々に押されていた。
ルイオスとペルセウス・ゾディアーツの相性は悪くないどころか最高レベルの適合をしている。故にルイオスの強化と共にアルゴールの強化もまた最大限まで引き上げられている。
先程の戦闘のダメージだけでなく、攻撃した瞬間から回復し、それよりもダメージを負うごとに“星霊”アルゴールは強くなっていた。
ここまで来ると最悪の想定をせざるを得なくなってしまう。
ディエンド「このままでは、彼はホロスコープスに至ってしまう」
十六夜「ホロスコープス?なんだそりゃ」
ディエンド「簡単に言って仕舞えば、今よりももっと強くなるってことだよ。それも、桁違いにね」
十六夜「へぇ、めっちゃ面白そうじゃねぇか!」
ディエンド「ま、それはそれで面倒なんだけどね」
少し含みのある言い方をしながらもディエンドライバーで銃撃をルイオスに放つ。しかしルイオスは剣によってその銃撃をいとも簡単に叩き落とす。
十六夜は十六夜でアルゴールを殴るが、アルゴールは少し後退するだけで大したダメージは与えられていない。
ルイオス「クハハハハハハ!!!もう諦めろ!お前達が勝つ事など不可能なんだよ!」
ルイオスはアルゴールと共に大樹の召喚したライアを撃破し、ライアの契約モンスターであるエビルダイバーも石化した後、粉々に砕いた。
そんな光景を見ていた黒ウサギとジンは驚きと共に絶望を感じていた。
ジン「あ、あれに勝てって言うんですか?そんなの、そんなの無理ですよ」
黒ウサギ「いくら大樹さんと十六夜さんが強いと言っても、いくらなんでも無理があります。もうゲームは───」
十六夜「おい黒ウサギにおチビ」
黒ウサギが棄権を提案しようとしたその時、十六夜が黒ウサギへと声をかける。
十六夜のその顔には、悲哀も、後悔も、苦痛も、絶望も一切なく、ただ“楽しい”という感情だけで溢れていた。
十六夜「お前ら、何か大切なことを忘れてるんじゃねぇのか?」
黒ウサギ「な、何を··················」
十六夜は獰猛に、かつ無邪気に告げる。
それは、元の世界では何事にも退屈していた彼に、この世界が与えたもの。化物だと言われていた彼をこの世界は否定する。逆廻十六夜を恐怖の象徴から仲間の1人として迎え入れた。
そんな彼だからこそ、絶望などしない。
何故か。
決まっている。
十六夜「こんなおもしろおかしい状況は、俺は大好物なんだってことをな!!!」
そう言って十六夜は先程よりも何倍もの強さでアルゴールを殴る。
アルゴールは今まで感じたことのない衝撃に怯え、そして吹き飛ばされた。
爆弾が爆発した音よりも何倍もの轟音が宮殿に響き渡る。
ルイオス「なっ············!」
黒ウサギ「嘘、でございますよね?」
ジン「箱庭最強種の1つである“星霊”を、それも魔王時にも引けを取らない、いやそれを超えている今のアルゴールを、吹き飛ばした?」
十六夜「あ?んなことはどうでも良い。俺が言いたいのは、今のこの状況を勝手に終わらせようとしてんじゃねぇよ。俺達の目的を忘れたのか?」
魔王を打ち倒せしコミュニティ。
それが彼ら“ノーネーム”が掲げ、そして今まさにこのゲームがその初陣なのだ。故に敗北は許されない。
勝利以外など眼中には無く、端から負けるつもりなど毛頭無い。
絶望などとうの昔に経験した。
歩みを止めようとしたことは山ほどあった。
しかし、いつ仲間達が帰って来ても良いように。そう思って前を向き続けた。
目の前の敵は、そんなかつての絶望に値するか?否!
今のこの状況は敗北が濃厚か?
否!
仲間を信じ、託す。
それが今ジン・ラッセルに出来る、唯一の“ノーネーム・リーダー”としての役割である。
十六夜「言えよ、“リーダー”。その命令を、今だけは聞いてやるよ」
暗き闇は、圧倒的な光には勝てない。
眩しいほどの彼に、彼らにジンは告げる。
ジン「十六夜さん。大樹さん。このゲーム、勝ってください!」
十六夜「ヤハハッ。あぁ、やってやるよ!!!」
ディエンド「美味しいところは全部持っていかれてしまったが、任せたまえ。確実に“勝利”を盗みだしてみせよう!」
ギフトゲーム第2戦。
改めて火蓋が、切って落とされる。
*
一方ミラーワールド。
そんな彼らを見ていた飛鳥達はホッと安堵する。
士「ま、あいつらが負けることはないだろ」
飛鳥「そうね。私達にはどうすることも出来ない訳だし」
耀「そうだね。でも、そうものんびりしていられないかも」
飛鳥「え?」
飛鳥が耀の言葉に疑問を持つと同時に、先程と同じようなモンスターの声が響いた。
士は腰にベルトを当て、カードを準備した。
騎士長「まだいたのか」
士「ここは奴らのホームだからな。ルイオスが何体か持っていたか、それとも野良のやつなのかどうでも良いが。来たやつをぶっ飛ばすだけだ」
飛鳥「その意見には賛成ね。やってやろうじゃない!」
それぞれが戦闘態勢を取る中、耀は何かを感じ取った。
動物達と言葉を交わせる耀だからこそ感じ取れたナニカ。
それは思わぬ形で彼らの目の前へと現れる。
*
KAMEN RIDE!Specter!
KAMEN RIDE!Necrom!
ディエンド「英雄には英雄の力ってね」
大樹はスペクターとネクロムを召喚する。
そしてスペクターはノブナガアイコンを、ネクロムはサンゾウアイコンをそれぞれのベルトへセットし姿を変える。
それを見た十六夜は戦闘中にも関わらず興味深そうに観察する。
十六夜「なるほどな。そいつらは過去の偉人の力が使える訳だ」
ディエンド「正解。ま、その使える偉人にも限りはあるけどね」
十六夜「マジでこのゲームが終わったら付き合えよ。そいつらともやり合いてぇ!」
ディエンド「君が僕よりも早くそいつを倒せたら良いとも」
十六夜「言ったな?言質はしっかりとったぜ」
確認をとった十六夜はすぐさまアルゴールへと向かった。
何度も殴る音とアルゴールの悲鳴が聞こえ、大樹は少し失敗したと言わんばかりにため息をついた。
ルイオス「よそ見ばかりしてるんじゃねぇ!!!」
突然来たルイオスの剣撃を大樹は何事もなく避け、銃撃を放つ。がそれは先程と同じように剣で叩き落とされる。
ディエンド「口調がさっきよりも怖くなっているよ?化けの皮が完全に剥がれちゃったね」
ルイオス「ハッ!貴様らを皆殺しにすれば何も問題なんてねぇんだよ!」
ディエンド(ふむ、これは早くしないと取り返しのつかないことになりそうだ。早めに決着をつけるとしよう)
ディエンドが後ろに下がり、ルイオスは追撃をかけようとすればネクロムが立ちはだかり、さらにスペクターの銃撃を喰らった。
ルイオスは鬱陶しそうに剣を振るうが、それをネクロムもスペクターも躱す。それがさらにルイオスを腹立たせた。
ルイオス「がぁぁぁぁ!!!鬱陶しいハエどもめ!」
ディエンド「そのハエはどっちかな?」
大樹が銃撃を放つ。
ルイオスはまたかと苛立ちをさらに募らせながら剣を振るう。
ルイオス「何度も何度も同じことしてるんじゃねぇよ!いい加減無駄だって学習しろ!」
大樹「あぁ、何度も同じ手なんてやると思っている君がね!」
ルイオスが銃撃を叩き落とすことに集中している間に、大樹はルイオスの背後へと立ち、反撃も出来ないほどの至近距離に迫っていた。
そして大樹はこれでもかと言うほどの銃撃をルイオスに浴びせる。
ルイオス「ぐぁぁぁぁぁぁ!!!」
大樹「よく言うだろ?三度目の正直ってさ」
ルイオス「クソがぁぁぁぁぁ!!!」
ルイオスの怒りの一振りを大樹はサラッと躱し、追撃をかける。そこへスペクターの銃撃とネクロムの援護もありルイオスにダメージは蓄積されていった。
ルイオスは一度変身が解かれ、元の姿へと戻った。
しかしすぐにスイッチを押し再度ペルセウス・ゾディアーツへと姿を変える。
ディエンド「まだやるのかい?」
ルイオス「当たり前だ!貴様ら如き“名無し”風情に負けたなんてことになったら、“ペルセウス”の名は地に落ちる!そんなこと、させてなるものか!例えどんな手を使ってでも、僕は勝たなくちゃいけないんだよ!!!」
ルイオスのそれは、今までの我がままで自分勝手な姿とは違い、コミュニティを、そして英雄である先祖の名を守る為のリーダーとして見えた。その姿に少し感心したが、すぐさまルイオスの口調は先程までの乱暴な口調へと戻った。
ゾディアーツスイッチの副作用か、と考えすぐに戦闘態勢をとる大樹。
ルイオス「骨も残らずに殺してやるよ!!!」
先程よりも速い動きで大樹に襲いかかる。
適合率がまた上昇したことにいよいよ油断ならぬ状況で、大樹はディエンドライバーを構える。
と、その時。
十六夜「俺も混ぜろやぁぁぁぁ!!!」
アルゴールとの戦闘を終えた十六夜がとんでもない速度でルイオスを殴り飛ばした。あまりの出来事に流石の大樹ですらポカンっとしてから苦笑いをする。
ディエンド「全く、下手をすると士以上の化け物だね」
十六夜「あ?喧嘩ならいつでも売ってるぜ。買うか?」
ディエンド「今はまだ遠慮しておくとするよ。君がこっちに来たってことは、アルゴールは倒した訳だ」
十六夜「あぁ。多分もう立ち上がれねぇだろうよ。“星霊”ってのも大したことなくて不完全燃焼なんでね。こっちに混ぜさせてもらうぜ」
ディエンド「構わないさ。さて、決着をつけるとしようじゃないか」
2人の会話が終わったと同時にルイオスは再度立ち上がった。あまりの衝撃にまたも変身が解かれたようだが、ルイオスは勝つ為にスイッチを押す。
すでにボロボロだというのに、ルイオスは未だ勝つことを諦めていなかった。
ルイオス「負けない!ボクハ!オレハ!負けナどシナイ!」
言葉すら覚束ないルイオスに、2人は確実に倒す意志を固めた。
そこには全力で戦おうとするルイオスに対する、ほんの僅かな敬意が込められていた。それを知るのは、大樹と十六夜の2人だけなのだが。
ディエンド「決めるよ。君に合わせる。好きなように戦いたまえ」
十六夜「あぁ、これで終わらせてやるよ!」
十六夜はさっきルイオスを殴った速度よりもさらに速く駆け、ルイオスに打撃を与える。そのダメージはしっかりと効いているようで、殴られ、蹴られ、また殴られと防戦一方であった。
そしてルイオスがダメージに耐えかね膝をついた時、大樹はディエンドライバーに決着をつけるカードを差し込む。
ATTACK RIDE!CROSS ATTACK!
FINAL ATTACK RIDE!
DI・DI・DI・DIEND!
スペクターとネクロムはそれぞれ必殺技を放つ態勢をとり、ディエンドライバーからは青緑色に光るカードが無数に現れ、渦を巻くようにルイオスへと狙いを定める。
ディエンド「それなりに楽しめたよ。さらばだ!」
大樹が引き金を引くと同時に無数のカードと同じ色の光線がルイオス目掛けて発射された。スペクターとネクロムもそれぞれのライダーキックを放ち、ディエンドのFINAL ATTACK RIDEとそれぞれのライダーキックがルイオスに直撃した。
ルイオス「ぐぁぁぁぁぁぁ!!!」
ドォォォォォン!!!
ルイオスの叫びの後に爆発音が辺りへと響き渡った。
*
ルイオス「············うっ」
大樹「おや、お目覚めかい?思ったよりも早いね。箱庭の人間だからかな?」
ルイオス「こ、ここは······。ハッ、ゲームは············!······いや、そうか。負けたんだな」
大樹「ご名答。君達“ペルセウス”の完全敗北だよ」
変身を解いた大樹がルイオスの言葉に返答する。
ルイオスが気を失っていた間、ゾディアーツスイッチは電流が走ると共に破壊され、辺りの石化は解かれた。
黒ウサギはミラーワールドから帰還した士達を見つけ、無事な姿に泣きながら喜び、その姿は士にバッチリと撮られていた。
“ペルセウス”の面々は自分達の敗北を知り、膝から崩れ落ちる者や嘆き悲しむ者で埋め尽くされた。しかし騎士長の言葉により、自らが為すべきことを理解し、そのための行動をし始めた所である。
十六夜は少し不完全燃焼であったようで、士や大樹にひたすらちょっかいをかけ、痺れを切らした大樹によって召喚された数人のライダー達と戦闘中である。
それらのことを聞き、ルイオスは己の未熟さ、不甲斐なさ、その他諸々を感じた。
ルイオス「全く、あんだけ大口を叩いてこの様とは。情けないな」
大樹「しかも奥の手のスイッチを使ってもボロ負けするなんて、笑えてくるよ」
ルイオス「くっ!まぁ良いさ。負けは負けさ。素直に認めるよ」
大樹「そうか。なら敗者である君達から何を
ルイオス「吸血鬼じゃないのか!?」
大樹「それは彼らの欲している物であって、僕の欲しい物じゃない」
あまりのことにルイオスは痛む傷を忘れ立ち上がる。
そして1つの考えに辿り着く。
大樹はルイオスの持つギフトを欲していた。
つまりそれが狙いかと考える。
だがその考えを見透かした大樹から否定される。
大樹「もう君のギフトには興味が無いよ」
ルイオス「なら、何を············」
大樹「辺りを見てみなよ。特に君の部下達をさ」
大樹に促され辺りを見渡すルイオス。
破壊され尽くされた宮殿。泣き喚き、嘆き悲しむ部下達。そして、彼らの立てていた御旗。
そうして理解した。
自分達には、もう何も残されていないのだと。
大樹「“ペルセウス”の名も、御旗も戴いたよ。君の最後に見せたプライドに敬意を示して、名を貶めることだけはしないと約束するよ」
ルイオス「そ、そんな············」
大樹「ま、これから頑張りたまえ。それじゃあね」
大樹は項垂れるルイオスに興味を無くし、その場を去っていく。徹底的に打ちのめされたルイオスに優しい言葉をかけるつもりは毛頭なく、ただトドメを刺した者としての責務を果たしただけである。
こうして、“ペルセウス”と“ノーネーム”の戦いは、“ノーネーム”の完全勝利によって幕を閉じたのであった。
*
“ペルセウス”とのギフトゲームの翌日の夜。
“ノーネーム”本拠屋外にて。
“ペルセウス”に勝利したことによる祝勝会が行われることになっており、セッティングはすでに“光写真館”の面々と子供達で色とりどりに飾り付けがなされていた。
レティシアは“ペルセウス”から無事に取り戻し、正式に仲間として迎え入れられた。まぁメイドとして問題児達は扱うのだが。
メイドレティシアの所有権は士と大樹が辞退したことで、十六夜が4、飛鳥と耀が3ずつという取り決めになり、そのことに黒ウサギがハリセンでツッコミを入れたのは言うまでも無いだろう。
黒ウサギ「えーそれでは!新たな同志を“ノーネーム”及び“光写真館”の歓迎会を始めます!」
ユウスケ「イェーーーイ!」
子供達「「「「イェーーーイ!」」」」
栄次郎「さ、ジャンジャン作るからジャンジャン食べていってよ」
飛鳥「あらこのお肉、中々柔らかくて食べやすいし美味しいわ」
耀「こっちのソーセージも、モグモグ、中々」
十六夜「ヤハハッ!肉は速い者勝ちだよな!」
子供「あ、十六夜お兄ちゃんズルイ!」
子供「野菜も食べなきゃ駄目だよ!」
夏海「こっちにはおにぎりもありますよ〜」
小夜「ハムハム、うん、美味しい」
各々が笑顔で溢れ、とても楽しんでいる様子に黒ウサギは思わず涙を溢しそうになってしまう。
こうして歓迎会が出来るのも“光写真館”の面々のおかげであり、感謝しても仕切れなかった。久々のご馳走に子供達やジン、それに飛鳥達も歳相応の表情を見せていた。
だからこそ、問題児達と“光写真館”の面々を喜んでもらおうと白夜叉発案でのサプライズがあった。
黒ウサギ「それでは本日の大イベントが始まります!皆さん、箱庭の天幕に注目してください!」
黒ウサギの掛け声と共に全員が一斉に天幕を見上げる。今宵も満点の星空が広がり、空に輝く星々は燦然と輝きを放っていた。
そんな中、変化が訪れる。
輝く夜空に星の線が何本も引かれる。
そう、流星群である。
子供達も、“光写真館”の面々も、問題児達も感嘆の声を漏らす。あまりにも幻想的なその光景に皆目を奪われていた。
黒ウサギ「この流星群を起こしたのは他でもありません。我々の新たな同志、異世界から来た彼らがこの流星群のきっかけを作ったのです」
黒ウサギの説明に思わず異世界から来た面々は驚きの声をあげる。だが黒ウサギは気にせず説明を続ける。
曰く、箱庭の世界は天動説のように箱庭中心にルールが回っているのだと。そして、“ペルセウス”はサウザンドアイズ”から敗北により追放され、この星々からも旗を下ろしたのだと。
こればかりは普段驚くことが少ない十六夜ですら驚きを隠せないでいた。
何せ、この星空の全てが箱庭の為だけに作られているというのだから、驚かない方が無理な話である。
ペルセウス座があった場所は流星群と共に跡形もなく消滅し、“サウザンドアイズ”からの祝福に彼らは茫然としていた。
黒ウサギ「ふっふーん。驚きました?」
十六夜「やられた、とは思ってる。世界の果てといい、水平に廻る太陽といい············色々と馬鹿げたのを見たつもりだったが、まだこれだけのショーが残っていたなんてな。おかげ様、いい個人的な目標もできた」
黒ウサギ「おや?なんでございましょう?」
十六夜は天高くペルセウス座のあった所へ指を掲げ、告げる。
十六夜「
黒ウサギは絶句し、そして弾けるような笑い声を上げる。
黒ウサギ「それは··········とてもロマンが御座います」
十六夜「だろ?」
黒ウサギ「はい♪」
新たな希望達は燦然と輝く夜空にも負けない輝きを強く、そして美しく放っていた。
それは泡沫の夢では無い。
それは取り戻せない過去の栄光ではない。
それは彼らが創り出す、まだ誰も知らない未来へと続く物語。
彼らの道は茨だろうと何だろうと、目の前の障害を打ち砕き進む。それが彼らが歩む彼らの在り方である。
*
大樹「で、
本拠から離れた場所にて、大樹はとある人物と会っていた。
???「今回のルイオス氏のゾディアーツ化、それに前回のガルド氏のファンガイア化とオルフェノク化。どちらも少しばかりはこっちでも影響があったさ」
大樹「だけど大した影響ではない、ということかな」
???「あぁ。引き続きよろしく頼むよ」
大樹と謎の人物が会話を終えようとした時、そこへ士が現れた。
士「なるほどな。海東を呼び出したのはやはりお前か、
ウォズ「その呼び方は辞めてくれるかな、門矢士」
そこにいたのは、仮面ライダージオウである常盤ソウゴに仕える青年、仮面ライダーウォズことウォズであった。
ウォズはフッと笑い、士へと顔を向ける。
士「始めから違和感があった。黒ウサギは俺達を呼んだ時、海東がいないことに何もおかしいとは思っていなかった。まぁここだけならアイツが抜けているってことでまだ納得出来るが、だがアイツは海東を呼び出した張本人であるにも関わらず反応が無さすぎた。そこから海東を呼び出したのは別にいると考えにいたったわけだ。そしてそんな芸当が出来るのは、おそらく俺達を除けばお前だけだろう?」
ウォズ「長々と説明をどうも。まさしくその通りだとも」
ウォズは士の推測を肯定する。
続けて士は大樹をこの箱庭に呼んだ理由について推測を伝える。
士「海東を呼んだのは、お前達の世界が歪み始めたか?」
ウォズ「あぁ。我が魔王の世界だけではなく、様々なライダーの世界に異変が起き始めた。ブレイドの世界にファンガイアが現れたり、ウィザードの世界にミラーモンスターが現れたりとしている。今はまだ落ち着いているが、近いうちに大量のモンスターが世界を覆い尽くすのは確実だ」
士「その原因が、この箱庭ってわけか」
いち早く異変を感じ取ったウォズは大樹と共に原因を探り、そして原因が箱庭であるということを突き止めた。
そして今回と前回の怪人化による影響は元の世界でもあり、ファイズの世界にタイガーファンガイアが現れ、キバの世界にはタイガーオルフェノクが出現した。またペルセウス・ゾディアーツが何故か令和ライダーの世界にも現れたとのことである。
ウォズ「箱庭に出現したモンスターがこちらの世界にも現れる。それも別のライダーの世界に。過去に来た魔王“アナザーディケイド”の置き土産が間違いなく原因だろう。そして、その“アナザーディケイド”もいずれ現れると、この本には書かれている」
士「つまり、俺達に“アナザーディケイド”を倒して異変を解決しろって訳か」
ウォズ「その通り。我が魔王はまだ完全には力も記憶も取り戻していない。だからこそ、今、解決に動けるのは君達だけというわけさ」
士「そういうことか。まぁ仕方ない。引き受けてやる」
ウォズ「感謝するよ、門矢士。こちらも何か動きがあれば知らせよう。それでは私はこれで」
ウォズはそう言ってマフラーを使い、いつものように姿を消した。
元の世界での異変。
箱庭での魔王復活の兆し。
それぞれが絡み合う中で、世界の破壊者、ディケイドは星が降る夜の下、その瞳に何を映すのか。
今回で第1巻分は終わりです!
長かったですね。
また分からない部分などあれば感想にてお書きくださいませ。
次はやっと北へ行きますよ!
問題児達はどんな問題を起こすのか、黒ウサギの心労は無事なのか、お楽しみに!