問題児と共に行く世界の破壊者   作:英雄に憧れた一般人

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前回までの仮面ライダーディケイドは


士「お前らのにも変な手紙が来たのか?」

黒ウサギ「あ、あり得ない。あり得ないのですよ」

十六夜「この世界は………面白いか?」

士「そうか、大体分かった」


第2話「少年と虎と夜叉と怪盗」

黒ウサギ「ジン坊ちゃーン!新しい方を連れてきましたよー!」

ジン「お帰り黒ウサギ。そちらの御三方が?」

黒ウサギ「はいな、こちらの皆様方が───」

 

クルリ

カチン

 

黒ウサギ「………え、あれ?もう1人いませんでしたっけ?ちょっと目つきが悪くて、かなり口が悪くて、全身から“俺問題児!”ってオーラを放ってる殿方が」

飛鳥「あぁ、十六夜君のこと?彼なら“ちょっと世界の果てを見てくるぜ!”と言って駆け出して行ったわ。あっちの方に」

 

飛鳥が何気なく答え、十六夜の行き先に指を差す。

呆然とした黒ウサギはすぐさま3人に問いただし始めた。

 

黒ウサギ「な、なんで止めてくれなかったんですか!」

士「“止めてくれるなよ”って言われたからな」

黒ウサギ「ならどうして黒ウサギに教えてくれなかったのですか!?」

耀「“黒ウサギには言うなよ”と言われたから」

黒ウサギ「嘘です、絶対嘘です!実は面倒くさかっただけでしょう御三方!」

飛鳥「うん」

耀「うん」

士「あぁ」

 

ガクリ、という音が聞こえ前のめりに倒れる黒ウサギを士はカメラでまた撮る。それも歪んでいるが、その歪みが黒ウサギの悲壮感を感じさせていた。

そして、ジン坊ちゃんと呼ばれた少年の方を見ると、蒼白になって叫んでいた。

 

ジン「た、大変です!“世界の果て”にはギフトゲームのため野放しにされている幻獣が」

耀「幻獣?」

ジン「は、はい。ギフトを持った獣を指す言葉で、特に“世界の果て”付近には強力なギフトを持ったものがいます。出くわせば最後、とても人間では太刀打ち出来ません!」

飛鳥「あら、それは残念。もう彼はゲームオーバー?」

耀「ゲーム参加前にゲームオーバー?………斬新?」

士「短い付き合いだったが、まぁいい奴だったな」

黒ウサギ「冗談を言ってる場合じゃありません!」

 

その後、黒ウサギは黒い髪を淡い緋色に染めていき、恐るべき速度で跳躍しながら十六夜が向かったであろう方向へ向かって行った。

飛鳥も耀も素直に感心し、とりあえずは箱庭の中をジンに案内してもらうこととなった。

 

ジン「ジン=ラッセルです。齢11になったばかりの若輩ですがよろしくお願いします。三人の名前は?」

飛鳥「久遠飛鳥よ。そこで猫を抱えているのが」

耀「春日部耀」

飛鳥「で、そっちでカメラを持ってるのが」

士「門矢士だ。まぁよろしくな、ジン坊ちゃん」

ジン「はい。皆様よろしくお願いします」

飛鳥「それじゃあ箱庭に入りましょう。まずはそうね。軽い食事でもしながら話を聞かせてくれると嬉しいわ」

 

そうして4人は箱庭の中へと入って行った。

それぞれの想いを抱えながら、これから起こるであろう様々な摩訶不思議に心躍らせるのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

中に入り、ジンの説明を聞きつつ辺りを観察する3人。耀はちょくちょく独り言のようなことを呟いており、飛鳥はジンに色々と質問をしていた。

士は耀の様子が気になり、そのことを耀に直接聞くことにし話しかける。

 

士「お前は猫と話せるのか?」

耀「っ!ど、どうして?」

士「どうもその猫に向けて話しかけてるからな。そうじゃないかと思っただけさ」

耀「………うん、でも三毛猫だけじゃなくて多分どの動物とも話せる」

士「ほう、それは興味深いな」

耀「話せるようになったのは、お父さんのおかげ。それに、動物たちと友達になったから」

 

カフェに着くと猫耳の少女が注文をとりにきた。

その際、先ほど士と耀が話していたような話となり、飛鳥はそのことに驚きを隠せないでいた。

またジンの説明により、幻獣との意思疎通が困難であり、黒ウサギでも全ての種とはコミュニケーションをとれないこと。

 

飛鳥「そう………春日部さんは素敵な力があるのね。羨ましいわ」

耀「久遠さんは」

飛鳥「飛鳥でいいわ。よろしくね春日部さん」

耀「う、うん。飛鳥はどんな能力を持っているの?」

飛鳥「私?私の力は………まぁ酷いものよ。だって」

???「おんやぁ?誰かと思えば東区画の最底辺コミュ“名無しの権兵衛”のリーダー、ジン君じゃないですか。今日はオモリ役の黒ウサギは一緒じゃないんですか?」

 

全員が品の無い上品ぶった声のする方を見ると、そこには2mを超える巨体をピチピチのタキシードで包む変な男がいた。

ジンはその顔を見るや否や顔をしかめる。

 

ジン「僕らのコミュニティは“ノーネーム”です。“フォレス・ガロ”のガルド=ガスパー」

ガルド「黙れ、この名無しめ。聞けば新しい人材を呼び寄せたらしいじゃないか。コミュニティの誇りである名と旗印を奪われてよくも未練がましくコミュニティを存続させるなど出来たものだ────そう思わないかい、御三方」

 

その後ガルドとジンが一悶着ありながらもガルドが異世界から来た3人に“コミュニティ”の説明を行なった。

“名”と“旗印”について、そして、現在のジンがリーダーを務めている“ノーネーム”について。それに

“魔王”について。

 

士「魔王ねぇ」

 

かつて、最低最悪の魔王と呼ばれた少年がいた。

彼は己の未来を聞き、最高最善の魔王になると宣言した。

色々あって士も何度か関わり、最終的には魔王となった彼だが、そんな彼に似たようなものかと当たりをつける。実際は多少異なっているのだが、ガルドの長い話を聞き飽きた士にとってはどうでもよかった。

 

士「そうか、大体分かった」

 

いつもの言葉で返事をする。もはやガルドに一切の興味はなく、目の前に出されている紅茶を啜る。

ガルドはというとジンを罵り、そしてジンとジンの所属するコミュニティに対しての評価をかなり下げたところで士たちを勧誘する。

だが、彼らはすでに結論を出していた。

 

飛鳥「結構よ。だってジン君のコミュニティで私は間に合っているもの」

ガルド「は?」

飛鳥「春日部さんは今の話をどう思う?」

耀「別に、どっちでも。私はこの世界に友達を作りに来ただけだもの」

飛鳥「あら意外。じゃあ私が友達第一号に立候補していいかしら?私達って正反対だけど、意外に仲良くやっていけそうな気がするの」

耀「………うん。飛鳥は私の知る女の子とちょっと違うから大丈夫かも」

士「なら俺も友達第二号として立候補してやろう」

飛鳥「なんでそんな上からなのよ」

士「別に?特に理由はないさ。強いて言うなら、俺だからだ」

飛鳥「呆れたものね」

耀「でも士も良い人だと思う。だから、大丈夫」

 

ジンとガルドをそっちのけで話している3人に対し、ガルドは精一杯のハリボテの笑顔で理由を尋ねた。

耀は友達を作りに来たため。

飛鳥は裕福だった家や約束された将来など人が望みうる人生の全てを支払って箱庭に来たため。

士は世界を旅するという性分なため。

 

ガルド「お…………お言葉ですがレデ

飛鳥「()()()()()

 

ガチンッ!

 

ガルドが喋ろうとしたその口は飛鳥の一言により強制的に口を閉ざされた。その事実にガルドだけでなくジンも困惑していた。

 

ガルド「………!?………!?」

飛鳥「私の話はまだ終わってないわ。貴方からはまだまだ聞き出さなければいけないことがあるのだもの。貴方は()()()()()()()()()()()()()()()()()()

 

飛鳥の質問により、ガルドがどうやってコミュニティをかけた『ギフトゲーム』を行なったのかを聞き出した。

そして、人質はすでにもう殺されたということ。

飛鳥の強制力がなくなればガルドは本性を現し、今にも飛鳥に掴みかかろうとしたが、それを耀が腕を掴み、腕を回すようにしてガルドの巨躯を押さえつけた。

 

士「まぁお前の上に神だろうが魔王だろうがいようと、そこの俺達のリーダーの最終目標はコイツらのコミュニティを潰した“打倒魔王”なんだ。つまりは、お前はもうゲームオーバーってやつだ」

ジン「………はい。僕達の最終目標は、魔王を倒して僕らの誇りと仲間達を取り戻すこと。今さらそんな脅しには屈しません」

 

ジンは魔王という恐怖に負けそうになったが、今は心強い仲間がいる。そして自分達の目標を問われ、その瞳には覚悟を灯している。

“打倒魔王”

それが自分達の為すべきことである。

 

飛鳥「私達と『ギフトゲーム』をしましょう。貴方の“フォレス・ガロ”存続と“ノーネーム”の誇りと魂を賭けて、ね」

 

飛鳥はそう言って楽しそうな笑みを浮かべた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十六夜と黒ウサギと合流後、4人は黒ウサギに叱られていた。

“フォレス・ガロ”相手に『ギフトゲーム』を挑んだことに対してである。

しかし、その理由についても理解は示している。

だからこそ一概に駄目だったとは言えないのだ。

“フォレス・ガロ”の悪事をここで見逃せば必ずまた襲撃される。

今ここで潰す必要があるのは確かなのだ。

黒ウサギはその矛を納めたが、『ギフトゲーム』に参加するのは飛鳥、耀、ジンの3人であることにまた黒ウサギは叱り始めた。

 

黒ウサギ「とりあえず十六夜さんの理由は分かりました。ですが士さんはどうして参加されないのですか?」

士「そんなもの決まってるだろ?俺が参加すれば確実に勝ってしまうからだ。それじゃあ面白くない」

黒ウサギ「そんな理由でですかぁ!?」

士「まぁどうしてもってなら参加するが、お嬢様方は嫌だろ?」

飛鳥「そうね。それに男がいたから勝てたなんて言われたら気分悪いじゃない?だから、今回は私と春日部さんとジン君で戦いたいってわけ」

黒ウサギ「ジン坊ちゃんも男の子だと思うのですが」

飛鳥「ジン君にすごいギフトがあるなら話は別だけど、そんなギフトがないから私達のコミュニティはこんな状態なんでしょう?だったら問題ないわ」

黒ウサギ「そうですか、分かりました。ギフトゲームが明日だと言うのなら“サウザンドアイズ”に皆さんのギフト鑑定をお願いしないと」

 

それから黒ウサギから“サウザンドアイズ”、特殊な“瞳”のギフトを持つ者達の群体コミュニティに向かうという話となった。

ジンは先にコミュニティに戻り、5人は“サウザンドアイズ”へと足を向けた。

黒ウサギから全員が別々の時間軸から召喚されたことなど説明されていたが、士はどうでもよかったため、町並みを写真で撮り続けていた。

どれも歪んでいるが、それでも町並みの様子をよく理解できた。

様々な種族が存在していることは別に士にしてみればおかしくもないのだが、他の3人にとっては珍しいものらしい。

そうして“サウザンドアイズ”に着いたが、これまた一悶着あったが、1人の闖入者によって遮られた。

 

???「いぃぃぃやほぉぉぉぉぉぉ!久しぶりだ黒ウサギイィィィィ!」

 

黒ウサギにフライングボディーアタックを喰らわし、空中4回転半ひねりして街道の向こうにある浅い水路まで吹き飛んだ。

 

黒ウサギ「し、白夜叉様!?どうして貴方がこんな下層に!?」

白夜叉「そろそろ黒ウサギが来る予感がしておったからに決まっておるだろうに!フフ、フホホフホホ!やっぱりウサギは触り心地が違うのう!ほれ、ここが良いかここが良いか!」

 

とりあえずこの光景も写真に収める士。

呆然とする女子2人。

女性店員に別バージョンを頼む十六夜。

それを断る女性店員。

ツッコミ不在とはこのことだろう。

黒ウサギは白夜叉を何とか剥がし、頭を掴んで店に投げつけたが、十六夜が飛んできた白夜叉を足で受け止める。

 

十六夜「てい」

白夜叉「ゴバァ!お、おんし、飛んできた初対面の美少女を足で受け止めるとは何様だ!」

十六夜「十六夜様だぜ。以後よろしくな和装ロリ」

 

とりあえず白夜叉が自己紹介を軽く済ませ、店内、それも白夜叉の私室へと案内された。

その後改まって自己紹介をした白夜叉に外門についても説明する。

 

耀「………超巨大タマネギ?」

飛鳥「いえ、超巨大バームクーヘンではないかしら?」

十六夜「そうだな。どちらかといえばバームクーヘンだ」

士「タマネギでも合ってる気はするがな」

 

そんなボケをかます4人を置いておいて、水樹の話となり、十六夜が直接的に倒したことに白夜叉は驚愕していた。

自身が神格を与えた蛇神が神格を持っていない少年にやられたのだから驚いて当然である。

だが、4人も興味深々と白夜叉を見る。

目の前にいるのは、東側の“階層支配者(フロアマスター)”。

東側においては4桁以下にあるコミュニティに並ぶものがいない“最強の主催者”というのだから、目を輝かせないわけがない。

 

士「“最強の主催者”っていうことは、アンタを倒せば俺達が最強のコミュニティとなるわけだ」

白夜叉「無論、そうなるのう」

十六夜「そりゃ景気のいい話だ。探す手間が省けた」

白夜叉「抜け目ない童達だ。依頼しておきながら、私にギフトゲームで挑むと?」

黒ウサギ「え?ちょ、ちょっと皆様方!?」

白夜叉「よいよ黒ウサギ。私も遊び相手には飢えている」

飛鳥「ノリがいいわね。そういうの好きよ」

白夜叉「ふふ、そうか。しかしその前にもう1人呼ぶべきじゃろ。のう、コソ泥よ」

 

白夜叉がふすまを開けるとそこには1人の青年が立っていた。

黒ウサギ達が驚く中、士はその人物を知っていた。

 

士「海東。お前なんでここにいる」

大樹「やぁ士。もちろん、僕のところにもこの手紙が来たからだよ。この世界はお宝の山みたいだし、とても興味があるんだよね」

十六夜「へぇ〜。ずっと付き纏っていたのはアンタだったって訳か」

大樹「ご名答。君とこの小さい子には気づかれてしまっていたみたいだね」

十六夜「お前も世界の破壊者ってやつか?」

大樹「違うよ。僕は世界中のお宝を集めているだけさ。という訳で、このお宝は頂くよ?」

 

大樹はパッと取り出したのは、1枚のカードであった。

特になんの変哲もないシアン色をしたカードを見て、それが何なのか理解したのは白夜叉と黒ウサギだけであり、他の4人は?を頭に浮かべていた。

そして、理解している2人はまさに驚きを露わにしており、特に白夜叉からは怒りも感じられた。

 

黒ウサギ「それはギフトカード!」

白夜叉「何故おんしがそれを持っておる!?」

十六夜「お中元?」

飛鳥「お歳暮?」

耀「お年玉?」

士「お餞別だろ」

黒ウサギ「ち、違います!というかなんで皆さんそんなに息が合ってるのです!?」

大樹「他にもたくさんお宝はあるみたいだし、これさえあれば僕としても助かるんだよ。というわけであと3つくれないかな?くれないなら奪うだけだけど」

白夜叉「………よろしい。ならば1つだけ確認させてもらうぞ」

 

途端に白夜叉の周りの空気が変わった。

大樹も士も他の者達もそれを感じとった。

白夜叉が着物の裾から“サウザンドアイズ”の旗印──向かい合う双女神の紋が入ったカードを取り出し、壮絶な笑みで一言、

 

白夜叉「おんしらが望むのは“挑戦(ちょうせん)”か──────もしくは“()()()”か?」

 

刹那、世界は和室から黄金色の穂波が揺れる草原、白い地平線を覗く丘、森林の湖畔へとかわり、そして、()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()()

その場の全員が息を呑んだ、

空に浮かぶ星はただ1つだけ。世界を緩やかに水平に廻る、白い太陽のみ。

世界を1つ創り出したかのような奇跡の顕現を前に、改めて認識させられた。

東最強の“階層支配者”、白夜叉。

そんな彼らを見ながら、当の本人は不敵な笑みを浮かべていた。

まるで、新しいおもちゃを見つけたかのように。

 

 

 




皆様読んでいただきありがとうございます。
前回の設定の補足で、士と鳴滝はすでに和解しています。
また海東のギフトは今まで奪ってきた物や能力も含まれるため、下手したら士よりもチートかもしれません。
ただジオウ編で士が100%で戦っていないので、実際はどうかはわかりません。
そのうち十六夜や飛鳥や耀が変身するなんて展開もあるかもしれませんが、変身しないほうが強いんじゃないかなぁと考えているところです。
次回も楽しみに待っていただけると幸いです。

追記、修正を4/20 16:22に行いました。
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