問題児と共に行く世界の破壊者   作:英雄に憧れた一般人

6 / 13
前回までの仮面ライダーディケイドは





大樹「コミュニティ“光写真館”の海東大樹だ。ようこそ、僕達のコミュニティへ」

夏海「問答無用!黒ウサギさんに迷惑をかけた罰です!光家秘伝、笑いのツボ!」

ユウスケ「聞けばあんた達の所って子供達ばっかりって言うんだったら俺達もいた方が色々と手伝えると思うからさ」

十六夜「魔王───か。ハッ、いいぜいいぜいいなオイ。想像以上に面白そうじゃねえか………!」


第5話「“魔王”を倒す者達」

 

 

 

“ノーネーム”・居住区画、水門前。

居住区よりも先に十六夜が手に入れた水樹と呼ばれる苗を貯水池に設置するためである。

その貯水池にはすでにジンと子供達が貯水池の掃除を行ってくれていた。

 

ジン「あ、みなさん!水路と貯水池の準備は調っています!」

黒ウサギ「ご苦労様ですジン坊ちゃん♪皆も掃除を手伝っていましたか?」

子供「黒ウサのねーちゃんお帰り!」

子供「眠たいけどお掃除手伝ったよー」

子供「ねえねえ、新しい人達って誰!?」

子供「強いの!?カッコいい!?」

黒ウサギ「YES!とても強くて可愛い人達ですよ!皆に紹介するから一列に並んでくださいね」

 

黒ウサギの掛け声と指を鳴らす音で子供達は一糸乱れぬ動きで横1列に並んだ。

その数は20人前後と思われる。

普通の人間の子供もいれば、何人かは猫耳や狐耳の少年少女もいた。

 

十六夜(マジでガキばっかだな。半分は人間以外のガキか?)

飛鳥(じ、実際に目の当たりにすると想像以上に多いわ。これで6分の1ですって?)

耀(………。私、子供嫌いなのに大丈夫かなあ)

士(これで今まで運営してきたってことは、それ程だけ黒ウサギが身を粉にして働いてきたってわけか)

大樹(正直子供は考えが読めないからね。出来るだけお宝は彼らの目のつかない所で出すとしようかな)

 

それぞれが色々と思うこともあったのだが、夏海とユウスケは子供達を見てやる気を出しており、小夜は特に気には止めていなかった。

小夜自身、子供は強くあるべきということが実体験を通して考えているため、このような状況でも“今自分にできること”を子供達自身に考えさせ、成長させていくことが大事であると感じている。

それは黒ウサギも似たように考えているようで、子供達に新メンバーを紹介した後、組織としてのあり方やギフトゲームに参加できないもの達の役割を再認識させていた。

 

黒ウサギ「コミュニティはプレイヤー達がギフトゲームに参加し、彼らのもたらす恩恵で初めて生活が成り立つのでございます。これは箱庭の世界で生きていく以上、避ける事が出来ない掟。子供のうちから甘やかせばこの子達の将来の為になりません」

 

これ以上ない厳しい声音であり、今日1日の中で1番真剣な表情と声であった。

名と旗と仲間を奪われた3年前から、たった1人でコミュニティを支えていた黒ウサギのようなものしか知らない厳しさである。

この黒ウサギの真剣さに、改めてここにいるもの達は理解した。

自分達に課せられた責任は、それは自分達が考えるよりも重いものなのだと。

 

黒ウサギ「ここにいるのは子供達の年長組です。ゲームには出られないものの、見ての通り獣のギフトを持っている子もおりますから、何か用事を言いつける時はこの子達を使ってください。みんなも、それでいいですね?」

子供達「「「「「よろしくお願いします」」」」」

 

20人前後の子供の元気な声は、異世界から召喚された彼らを圧倒するには充分であった。

 

十六夜「ハハ、元気がいいじゃねえか」

飛鳥「そ、そうね」

耀(………。本当にやっていけるかな、私)

士「なら早速俺のことは士様と呼べ。後は1号2号でもABCでも好きなように呼ぶといい」

夏海「なんでそうなるんですか!」

ユウスケ「こちらこそみんな、よろしくね!」

小夜「………よろしく」

大樹「あまり子供は得意じゃないんだけど、仕方ないか」

黒ウサギ「さて、自己紹介も終わりましたし!それでは水樹を植えましょう!」

 

そう言って水樹を植えるための準備であったり、過去には龍の瞳というものを使って貯水池を利用していたことや、水汲みの現状なども話として上がり、改めてこのコミュニティの現状が酷いことを理解出来た。

そして『御チビ』と呼ばれたジンが十六夜に水仙卵華についての説明をした。

 

ジン「噴水広場にも確かあったはずですよ」

十六夜「ああ、あの卵っぽい蕾のことか?そんな高級品なら1個ぐらいとっとけばよかったな」

ジン「な、何を言い出すのですか!水仙卵華は南区画や北区画でもギフトゲームのチップとしても使われるものですから、採ってしまえば犯罪です!」

大樹「なら言い出さなければいいわけだね」

 

2人が大樹の方を見ると、その手には先ほど話が上がった水仙卵華が綺麗に咲いていた。

ジンは開いた口が塞がらないと体現したような顔で、十六夜は大樹とハイタッチを交わしていた。

 

ジン「な、なんてこと………」

大樹「別に、僕からすればお宝なんだから、盗むのは当然のことさ。別にコミュニティの為でも士達の為でもない。僕は僕の為にこれを採ってきたに過ぎないんだよ」

十六夜「同感だな。俺も水樹を貰ってきたのは気が向いたからだ。コミュニティの為、なんてつもりはさらさらない。それにだ。俺は俺が認めない限りは“リーダー”なんて呼ばねえぜ?」

 

彼らの言葉にジンは気づかされた。口では笑いつつも、その眼は全く笑っていないことに。

 

十六夜「黒ウサギにも言ったが、召喚された分の義理は返してやる。箱庭の世界は退屈せずに済みそうだからな。だがもし、義理を果たした時にコミュニティがつまらねえことになっていたら………俺は躊躇いなくコミュニティを抜ける。いいな?」

大樹「僕は士について来ただけだ。だから君達がどうなろうと知ったことではないよ。それに僕は泥棒だ。まるで宝の山のようなこの世界で僕から自由を奪うというのなら、僕はすぐにコミュニティを抜ける。それこそ、ここにいる意味が一切ないからね」

 

十六夜は“つまらないこと”

大樹は“自由を奪うこと”

彼らにとっては何よりも重要なことであり、この箱庭の世界はそれだけ彼らには魅力的なのだ。

だからこそジンも覚悟を示さなければならない。

彼らという強力な戦力を手放さない為に。

このコミュニティの“リーダー”としてあるために。

 

ジン「僕らは“打倒魔王”を掲げたコミュニティです。何時までも黒ウサギに頼るつもりは一切ありません。お2人にも、このコミュニティが“面白い”と思わせてみせます。次のギフトゲームで………それを証明します」

十六夜「そうかい。期待してるぜ()()()()

大樹「楽しみにしてるよ。()()()()

 

大樹は手に持った水仙卵華をギフトカードにしまい、士達の方へと戻って行った。

ジンは静かに覚悟を決め、その覚悟を見届けんとする2人の最強と怪盗は誰にも気づかれずに、楽しそうに笑うのであった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本拠となる屋敷につき、まるでホテルのような巨大さに全員が感嘆した。

中に入り、それぞれが己の部屋を決め、まずは『風呂に入りたい』という全員の要望により、黒ウサギは湯殿の準備を進める。

しばらく使われていなかった大浴場に黒ウサギは顔を真っ青になり、すぐさま掃除に取り掛かった。

それぞれは部屋を1通り物色し、来客用の貴賓室で集まっていた。

待つのも暇であったため、士のカメラで写真を撮ったり、今までこの箱庭の世界で撮ってきた写真などをみんなで見ていた。

 

飛鳥「これは最初の写真ね。ほんと、何でこんなに歪んでるのかしら?」

耀「世界が俺に撮られたがっていない、だってさ」

夏海「似てます似てます!士君に似てます!」

十六夜「これは白夜叉の所のやつか」

大樹「こっちは街の景色だね」

ユウスケ「これはさっき通ってきたところのやつだな。どれも相変わらず歪んでるけど」

士「仕方ないだろ」

小夜「でもお兄ちゃんらしいよ」

黒ウサギ「み、みなさ〜ん。湯殿の準備が出来ました!女性陣からお入りください!」

 

皆で写真を見ながら話していると湯殿の掃除が終わったであろう黒ウサギに声をかけられ、女性陣は先に湯殿に入りにいった。

女性陣の姿が見えなくなれば、十六夜と士、ユウスケは外へと向かった。十六夜と士は何故外に行くのかは目的があったが、ユウスケは士について行くという事だけであるが。

大樹は屋敷やその周辺を見て回ると言い、1人ふらっと歩いていった。曰く「隠されたお宝の匂いがする」ということらしい。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

大浴場

体を洗い流し、湯に浸かり、ようやく人心地ついたように寛いだ。

大浴場の天井は箱庭の天幕と同じようで、天井が透けて満点の星空が輝きを放つ夜空が見えた。

その星空を見つつも5人は今日1日を振り返った。

 

黒ウサギ「本当に長い1日でした。まさか新しい同士を呼ぶのがこんなに大変とは、想像もしていませんでしたからね」

飛鳥「それは私達に対する当て付けかしら?」

黒ウサギ「め、滅相もございません!」

夏海「本当に、士君と大樹さんがご迷惑をお掛けしたようで」

黒ウサギ「いえいえ。士さんも大樹さんも白夜叉様に臆することなく対峙した姿に頼もしさを感じました。皆様なら、きっと数々のギフトゲームをこなしてくださることだと黒ウサギは期待しているのですよ♪」

夏海「そうですね。私も少しくらいならお役に立てると思います。その時は遠慮なく言ってくださいね」

 

夏海はそう言って自身のギフトカードを見せた。

オレンジのカードに光夏海・ギフトネーム

“キバーラ” “破壊者殺し”と書かれていた。

この2つに3人とも首を傾げた。

 

飛鳥「キバーラっていうのは何かしら?」

夏海「まあ私に力を貸してくれる存在ですね。ただ出てくると少しうるさいので今はしまってますが」

耀「………破壊者殺しって、士のこと?」

 

そう言われた時、夏海の顔は少し曇った。

言うべきか、言わざるべきか。

しかし悩んだとしても仕方なく、彼女達は仲間であると思い、少しだけ話すことにした。

士が世界の破壊者と呼ばれてること。

そしてその士を過去に1度、殺したこと。

 

黒ウサギ「………それは、本当なのですか?」

夏海「はい。私は士君を1度殺しました。多くの犠牲を生み、仲間だったユウスケも殺した士君を止めるために」

飛鳥「なら何故彼らは生きているの?それこそあり得ないことじゃないかしら?」

夏海「それは………すみません、今はこれだけで」

飛鳥「そうね。少し深入りし過ぎたわ。でも、貴方達を見ていると、とても仲がよくて羨ましいわ」

夏海「まあたくさんの世界を巡ってきましたからね」

黒ウサギ「小夜さんは、士さんの妹さんなんですよね?」

小夜「うん、そうだよ。私は特に力なんて無いけど、それでもみんなの力にはなりたいと思ってる」

黒ウサギ「YES!いつでも人手は大歓迎です♪」

小夜「ありがとう」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

その頃十六夜、士、ユウスケは────────

 

十六夜「おーい、そろそろ出てきたらどうだ?」

 

十六夜が屋敷の外に出て声をかけた。

返ってくる言葉はなく、あたりはただ静寂に包まれている。

 

士「ここを襲うのか?襲わないのか?襲うというのなら相手をしてやる」

ユウスケ「十六夜も士もさっきから何を言ってるんだ?」

 

ユウスケは未だに理解出来ておらず、ただその場には風が吹き抜けるだけであった。

十六夜は痺れを切らしたのか、呆れたようにため息をつき、石をいくつか拾い、その石を木陰へと軽く投石した。

 

ズドガァン!

 

十六夜の軽いフォームからは考えられないデタラメな爆発音が辺り一帯の木々を吹き飛ばし、同時に現れた人影が空中高く蹴散らせ、別館へと振動を与える。

別館からは慌てて出てきたジンが士達に問う。

 

ジン「ど、どうしたんですか!?」

士「侵入者だ。おそらく、“フォレス・ガロ”のやつらだ」

 

十六夜により蹴散らされた者達は空中から落ち、意識ある者はかろうじて立ち上がり、十六夜達を見つめた。

 

侵入者「な、なんというデタラメな力………!蛇神を倒したという噂は本当だったのか………!」

侵入者「ああ………これならガルドの奴とのゲームに勝てるかもしれない………!」

 

侵入者は士達の予想通り、“フォレス・ガロ”の者達だった。

犬の耳を持つ者や長い体毛と爪を持つ者、爬虫類のような瞳を持つ者など半端に変幻をした獣人という言葉が適切な者達である。

彼らの目的には士と十六夜はわかっていた。

そして、彼らからその言葉は発せられた。

 

侵入者「恥を忍んで頼む!我々の………いえ、魔王の傘下であるコミュニティ“フォレス・ガロ”を、完膚なきまでに叩き潰してはいただけないでしょうか!!」

十六夜「嫌だね」

士「断る」

ユウスケ「いいですよ………って何で2人とも断ってんだよ!?」

 

ユウスケは助ける気満々であったが、他の2人はあまりにも早い返事、それも断りの返事であることにジンも驚いた。

 

十六夜「大方ガルドってやつに命令されてガキを拉致しに来たってところだろ」

士「ガルドに人質を取られているから逆らえないものな」

ユウスケ「そこまで分かってるんなら頼みを聞いてやろうよ!」

十六夜「何でだよ。それに、その人質はもうこの世にいねえから。はいこの話題終了」

侵入者「─────…………なっ」

ジン「十六夜さん!!」

士「隠してても明日にはどうせわかることだ。それに、こいつらは人質を取られているという理由でガルドの命令に従って、新しい人質を取ってきた奴らだぞ?」

ジン「はっ!」

 

ジンは振り返る。

そこには顔を俯ける侵入者達。

命令と言えど、人質を攫ってきて、新たな被害者と加害者を生み出したのは他でも無い彼らなのだ。

そして、人質が本当に死んでいるという言葉を改めて告げられ、侵入者達は膝から崩れ落ちた。

その様子に、ユウスケとジンは悲痛な表情を浮かべ、士はすでに興味をなくしたかのように別館にもたれかかる。

ただ、十六夜は彼らの姿を見て、それはそれは新しい悪戯でも閃いたかのような表情をした。

十六夜は侵入者達に近づき言葉をかける。

“フォレス・ガロ”とガルドが憎いか?と。

侵入者達は答える。

ああ、憎い!と。

十六夜は尋ねる。

お前達では奴を叩き潰すだけの力がないのか?と。

侵入者達は答える。

仮に叩き潰せたとしても、背後にいる魔王に目をつけられては………と。

十六夜は目を光らせる。

彼らは、使えると。

 

十六夜「その“魔王”を倒す為のコミュニティがあるとしたら?」

 

全員が十六夜に顔を向ける。

十六夜はジンを抱き寄せ、こう告げた。

 

十六夜「このジン坊ちゃんが、()()()()()()()()()()()()()()()()()と言っているんだ」

ジン「なっ!?」

 

士は理解した。

ジンの考えではコミュニティを守る事と、旗印と名を奪った魔王だけを倒すつもりであったが、十六夜は全ての魔王を対象に活動するコミュニティであると考えている。

おそらく、前例はない。

だが、誰もが夢見た事であろう。

箱庭にて、修羅神仏悪鬼羅刹が蔓延るこの世界において、魔王という天災を倒す、英雄(ヒーロー)の姿を。

そして、英雄という光を彼らは待ち続けていた。

誰もなすことが出来ないと。

魔王には勝てないと。

光は、暗過ぎる闇の中では輝けない、と。

これは開戦の狼煙。

宣言することにより、“打倒魔王”を掲げたというコミュニティはすぐに箱庭中に広がる。

そして、魔王と魔王を倒したいという同士が集まるだろう。

“ノーネーム”であるこのコミュニティの名を売るにはこれ以上とない戦略。

十六夜はジンを馬鹿力で黙らせ、侵入者達に言葉を告げ、侵入者達は希望を抱き走り去った。

ジンはあまりのことに、膝を折り、茫然自失となっていた。

ユウスケは哀れに思い、ただ肩に手を置いた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

本拠の図書館にて、十六夜から改めてジンは本当の理由を聞いた。

ユウスケも納得し、十六夜の言葉に理解を示していた。

十六夜の作戦は筋が通っており、成り行きでリーダーとなったジンとしては彼の作戦に最初は怒りを覚えたものの、今では十六夜と真剣に話を詰めていた。

さらにジンは十六夜に“サウザンドアイズ”のギフトゲームに十六夜1人で参加することを提案した。

それは十六夜という戦力の把握と元・魔王であるかつての仲間を取り戻すためである。

十六夜もそれには了承し、明日に備えて休むためそれぞれが部屋に戻った。

士とユウスケは近々別のギフトゲームにも参加してもらう予定であるため、今回は何かあればすぐに動けるサポート役に回ることになった。

こうして、異世界から来た者達による新たな伝説が幕を開けた。

 

 

 

 

 




皆様読んでいただきありがとうございます。
UA2000達成いたしました。まことにありがたいことです。
今回投稿が少し遅れてすみませんでした。
ディケイドと問題児を観直したりしていれば気がつけば時間が経っており、今の時間となってしまったわけです。
まだ完全には理解出来ていないところもあると思いますので、その辺りは指摘していただけるとありがたいです。

次回こそはガルド戦を行います。
次回も楽しみにしていただけると幸いです。
  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。