十六夜「やめだやめ。同じ展開は飽きる」
飛鳥「同感ね。まあ前回はかなり大活躍した私だから別に良かったのだけどね」
耀「私も、活躍した」
ジン「耀さんは無理しないでください!と、取り敢えず飛鳥さんと耀さんの活躍でガルドをなんとか倒しましたが」
十六夜「真面目過ぎる。そんなのは読者は求めてねえよ」
ジン「で、ですが」
士「今回大活躍する俺の活躍をしっかりと見ておけ。これで良いだろ」
十六夜「いや俺も活躍するからな?」
飛鳥「というか、私は完全にツッコミ担当なのだけれど」
十六夜「貴重なツッコミ担当だ。期待してるぜ?」
黒ウサギ「皆さん何をやってるんですかあ!!!邪魔してはいけませんよ!」
十六夜「やべ、青ウサギだ」
飛鳥「いえ、赤ウサギよ」
士「ツッコミウサギだろ」
黒ウサギ「誰がハリセンウサギですか!」
十六夜・飛鳥・士「「「誰も言ってねえよ!」」」
大樹「さて、士はちゃんとガルドを倒せるのかな?第7話をご覧あれ」
門矢士は世界の破壊者、仮面ライダーディケイドとなった。
その姿を見慣れたユウスケは驚くこともないが、他の3人はそれぞれの理由で驚いていた。
十六夜「へえ〜、あれがアイツの力か。面白そうじゃねえか!黒ウサギもだが、ほんと退屈しねえな!」
飛鳥「ちょっと待って?何あれ?か、仮面ライダー?何よそれ?へ、変身?とか言ってたわよ」
ジン「そ、そんな…………………………士さんが、ディケイド………!?」
ユウスケ「あれ?ジン君は士のこと知ってるの?」
十六夜「そう言えばさっきもあの怪人を見てそんなことを言ってたな。どういう意味だ?」
士は後ろで話している者達は気にせず、手をパシパシと叩きながら目の前の敵をまずは捉えた。
以前にファイズの世界で戦ったタイガーオルフェノクに似ているが、身体全体はステンドグラスのようなもので構成されていた。
また、ファンガイアの特徴的なカラフルな色合いではなく、オルフェノクの灰色の色合いであった。
その確認が終わると、士はまずライドブッカーを出し、ソードモードへとする。
ディケイド「はぁ!」
ライドブッカーでガルドを袈裟斬りし、続いて横薙ぎした。
ガルドはダメージを受けつつも、長い鉤爪をディケイドに振るう。
しかしディケイドはそれを躱し、ライドブッカーをガンモードにして銃弾を放つ。
ディケイドはガルドが怯んだ所でカードを取り出す。
ディケイド「虎には同じ虎がお似合いだろ」
取り出したカードをベルトへと差し込み、開いていたベルトを左右へと押す。
KAMEN RIDE!
タ・ト・バ!タトバタ・ト・バ!
変な唄とともに姿は変わり、赤い鳥の頭に虎の胴体、バッタの足となった仮面ライダーオーズへと変えた。
続いてディケイドはカードを取り出し、同じように差し込み、左右へと押した。
KAMEN RIDE!
ライオン!トラ!チーター!
ラタ・ラタ・ラトラァータァー!
またも変な唄が流れ、次は全身が黄色となった。
ディケイド「さてと、スピード勝負と行くか!」
ラトラータディケイドは走る態勢をとると、すぐさま走り出した。
その速さは風のように速く、ガルドを翻弄する。
ガルドとすれ違うたびにトラの鉤爪で斬りつけ、ガルドにダメージを蓄積させていった。
だが、ガルドもタイガーオルフェノクの持つ敏捷性を使い、ラトラータディケイドと同じ速度で駆ける。側から見ればかなり速い動きではあったが、それを見ていた十六夜は明らかにガルドが不利であったことを見抜いていた。
実際、ガルドはラトラータディケイドと数回打ち合ったが先に倒れた。
ガルド「オノレ、ナメルナァァァァァァァ!!!」
しかし、ガルドはラトラーターディケイドが自身の方へ来たタイミングで手から光弾を放った。
その光弾はラトラータディケイドへと直撃し、後ろへ大きく吹き飛ばされた。
ディケイド「チッ。ならオルフェノクにはこいつだな」
ラトラータディケイドはまたもカードを取り出し、ベルトへと差し込み左右へと押した。
KAMEN RIDE!
COMPLETE!
姿はまたも変わり、今度は顔にギリシャ文字であるφのようであり、全身は黒に赤いラインが
そしてカードを取り出し、ベルトに差し込み、ベルトを左右へと押すことでベルトがカードを読み取り、己の武器を出した。
ATTACK RIDE!FAIZ EDGE!
ベルトからは紅く刀身が光るファイズエッジが現れ、ファイズディケイドはそれによりガルドが放つ光弾を斬っていく。
ガルドは己の勝機が見えないことに焦りを募らせ、ファイズディケイドに恐怖を抱きながらも咆哮を上げ、立ち向かった。
*
一方
十六夜「で、どういう意味だ?御チビ」
ジンは未だに驚きを隠せないながらも話し始めた。
それは、十六夜達が箱庭に来る前の話である。
ジン「ディケイドは、かつて箱庭に恐怖と破滅をもたらした“魔王”です」
“魔王”
昨日にも説明を受け、街を壊滅させた存在。
士もそれであるとジンは言うのだ。
ユウスケ「ディケイドが魔王?でも士は悪魔だって」
ジン「ディケイドはギフトゲームをどのような相手にも仕掛け、そのギフトゲームに次々と勝利していきました。それは彼のギフトがあまりにも規格外だったからです」
十六夜「そのギフトってのは?」
ジン「ギフト自体は1つですが、複数の力を所有しているギフトなんです。その能力は大きく分けて3つあります。まず、“破壊”。これはギフトゲームに定められているルールが“契約”であろうと“恩恵”であろうとそれを無視し、破壊することが出来ます。それが、修羅神仏のギフトであっても」
飛鳥「そんなのズルじゃない!」
ルール無視かつギフトですら破壊してしまうギフト。そんな馬鹿げた物があってはゲームが成り立たない。
自分達が苦労してクリアした先程のゲームをまるで嘲笑うかのようなギフトに飛鳥は声を荒げた。
ジンは悔しさを滲み出しながらも、冷静に話を続けた。
ジン「ええ。そして2つ目は“次元を超える力”。これは自身が行きたい時間軸、空間に無制限に移動できる力です。これにより箱庭に神出鬼没に現れ、ギフトゲームを仕掛け、あらゆる勝利を得ていました」
十六夜「ハッ。それも確かに厄介だが、まだマシだ。最後はなんだ?それが恐らく、ディケイドを“魔王”たらしめた理由だろ?」
これでは終わらない。
十六夜の言う通り、上の2つの能力も規格外だが、まだ“魔王”たらしめる程ではない。
何故か?
答えは簡単である。
戦いは、1人では限界があるからだ。
ジン「はい。最後は、異世界からあらゆる怪物を召喚する能力」
ユウスケ「あらゆる怪物?まさか、あのオルフェノクやファンガイアみたいなやつらか?」
ジン「そうです。ディケイドが呼び出した怪物は、グロンギ、アンノウン、オルフェノク、アンデッド、魔化魍、ワーム、ファンガイア、グリード、ゾディアーツ、ファントム、インベス、バグスター、スマッシュです。また、ガイアメモリと呼ばれるギフトによって怪物化するドーパントもいます」
種類の多さに、その話を聞いていた3人は息を呑んだ。
ユウスケからすれば、今まで渡ってきた世界の怪人達が呼び出されている事に驚き、その中には己の憧れの人を殺したグロンギすらもいたからである。
飛鳥「多いわね。でも、ただやられた訳じゃないんでしょ?」
飛鳥は何とか絞り出すように質問した。
だが、ただ蹂躙されているのであれば箱庭はすでに壊滅しててもおかしくはない。
しかし今現在、箱庭にそのような様子はなかった。
ジン「もちろんです。あらゆる修羅神仏やコミュニティの連合によって数多くの怪物は倒されました。しかし、ディケイドはいつのまにか姿を消し、残されたのは怪物達と、その怪物を召喚・使役できるギフトで、そのギフトはあちこちにばら撒かれました。そして、ガルドをオルフェノクやファンガイアに変えたのも恐らくそのギフトの1つを持った魔王だと思われます」
ジンはまだ“ノーネーム”が旗と名を持っていた時に仲間から聞いていた。
そしてギフトゲームにも度々乱入している怪物達の姿も見ていたため知っていたのだった。
黒ウサギも知っている。
だが、何故か彼女は士が世界の破壊者と名乗っても仲間へと迎え入れた。
確かに過去の魔王を仲間とすれば、コミュニティ再建も捗るだろう。
しかし、ジンは士がディケイドと知った事で士を信頼出来なくなってしまっていた。
また過去のようにこの箱庭を混乱の渦に陥れてしまうのではないかとどうしても考えてしまうのだ。
十六夜「何にせよ、まずはアイツがあのガルドだったやつを倒して本人から直接話を聞かない限りはどうにも出来ねえだろ。俺はとりあえず黒ウサギを呼んでくる。お前達は終わったら光写真館に向かえ」
そう告げ、十六夜はあっという間にその姿を消した。
あまりにも速いことに驚きながらも、ジンは神妙な面持ちであった。
飛鳥「今は気にしても仕方ないわ。それに、彼だってもしもの時を考えて光写真館を選んだのだと思うわ。それに、今戦ってる彼を見て。アレが魔王程の存在に見える?」
ユウスケ「一応、元・悪の大総統で現・世界の破壊者ではあるけどな」
ユウスケの言葉に2人は思わず顔を引きつらせた。
飛鳥「貴方、馬鹿!?今、彼の疑いを少しでも晴らそうとしてたのに悪の大総統とか言ってしまったら私でも信じれなくなるわよ!?」
ユウスケ「ご、ゴメン!つい言っちゃった」
飛鳥「“つい”じゃないわよ“つい”じゃ!どうすんのよ!?ジン君顔がまた青くなってきてるわよ!?」
ただただジンは士が悪では無い事を心の底から願った。
*
ディケイドの方はと言うと、ファイズエッジによる斬撃はかなりダメージを与え、ガルドはもう満身創痍となっていた。
長かった鉤爪は両方とも折られ、もはや立ち上がる事すら出来ないでいた。
ディケイド「では終わりにしてやる」
ディケイドは元のマゼンタカラーへと戻り、カードを取り出して、このギフトゲームを終わらせるためにカードをベルトへと差し込み、ベルトを左右へと押した。
FINAL ATTACK RIDE!
DE・DE・DE・DECADE!
ガルドの前にはいくつものカードが現れ、ディケイドは高く跳び上がる。ガルドは己の定めに少しでも抗おうと後退しようとするが、それすらもままならなかった。
斜めにセットされたカードの中をディケイドは通り過ぎながら降下していき、ガルドへとキックを叩き込んだ。
ガルドはキックを受け、ガルドの身体があった所にはφの文字が浮かび上がり、ステンドグラスが割れたような音と共にガルドは大爆発をする。
ディケイドはガルドを倒したことを確認し、ベルトを左右へと開き、変身を解除した。
士「俺の勝ちのようだな。ギフトは、そうか」
士は何かを手にし、それをギフトカードへと仕舞った。
振り返れば何故か飛鳥に怒られているユウスケとそのユウスケを怒っている飛鳥、そして士を睨むジンがいた。
だが、戦闘前の事から何か話をするのだろうと考え、取り敢えずは彼らの元へと向かった。
士「ギフトゲームとやらは終わった。さて、今から何処に行くんだ?」
ジン「………光写真館です」
士「分かった、行くぞ。おい、お前らも行くぞ。何時までも遊ぶな」
飛鳥「遊んでなんか無いわよ!せっかく貴方のためと思って行動したらこの人が失言するんですから」
ユウスケ「だからごめんって!本当に悪かったって!ね?」
*
結果から言えば、士の容疑は晴れた。
その理由は夏海、ユウスケ、栄次郎の証言から士達は1度も箱庭の世界へ来た事が無いということ。
そして、海東大樹の証言であった。
まず、光写真館に戻った4人は先に着いていた十六夜と黒ウサギ、そして白夜叉も交えてジンが十六夜達に説明した様に白夜叉や黒ウサギが少し付け加えながらも士達に話した。
しかし、士と夏海、ユウスケ、栄次郎がそれを否定。
この世界にまだ1度も来たことが無かったという事実に、白夜叉も黒ウサギもジンも戸惑っていた。
そこへ現れたのが、姿を消していた大樹であった。
その大樹の手には1冊の本があった。
タイトルは“HAKONIWA”と書かれていた。
士「また盗んで来たのか」
大樹「まあね。ただ協力してもらったのも確かさ。ここも異世界ではあるけれども、地球ではあるからね。少し検索に時間がかかってしまったけどね」
大樹は苦笑いしながらもその本を皆の前でページをめくる。
そこには箱庭の歴史、過去のギフトゲームやその参加者などが事細かく記されていた。
だが、大樹はとあるページを見せた。
そこは、“魔王”ディケイドに関する項目であった。
大樹「これが、君達の言う“魔王”である、ディケイドさ」
ジン「こ、これは………!?」
士「アナザーディケイド………」
そこには、禍々しい姿をしたディケイドに似て非なる存在、アナザーディケイドが描かれていた。
大樹「僕らがアナザーディケイドと呼ぶコイツは僕らの手で、正確にはとある魔王となった少年によって倒された。でも、この箱庭にも来ていたということは、何者かがアナザーディケイドウォッチをスウォルツから盗みだしたか、並行世界のスウォルツがこの箱庭に来ていたかという仮説が立てられる」
黒ウサギ「では、士さんは!!」
大樹「間違いなく白だね」
その言葉で、ジンも黒ウサギも白夜叉ですらも安堵していた。
仲間である士が過去に箱庭で混乱を招き、今なおその影響を与えているなど考えたく無かったからである。
白夜叉「となると、おんしのその力はどうなるんじゃ?」
士「“世界の破壊者”は所謂俺自身の力だからな。実際に少し試したが、次元は問題なく超えられるようだ。それに、ギフトゲームもやってみないと分からんが、それで出来てしまっては面白く無い」
十六夜「ハハッ、いいね。俺とはやっぱり気が合いそうだ」
士「俺もそれは感じていた事だ。よろしくしてやるよ」
十六夜「ああ、こちらこそよろしくしてやるよ」
ジン「大樹さん。その本は一体何処で?」
大樹「これかい?これはとある世界の探偵達の所からさ。ハーフボイルドな彼と
どこかの風都
翔太郎「へっくしょん!ああ、一体誰だ?俺の噂をした奴は」
フィリップ「それは先程の怪盗じゃないかな?それよりも翔太郎!くしゃみをすれば誰かが噂しているという現象は実に興味深い!詳しく調べてみようよ!」
翔太郎「嫌だね。俺はこれから依頼があるんだよ」
フィリップ「どうせまた猫探しだろ?」
翔太郎「そうだよ。悪いか?」
フィリップ「そんな事よりもさっきの怪盗が言っていた“箱庭の世界”というのも気にならないかい?僕らもそこへ連れて行って貰おうよ!」
翔太郎「それこそお断りだぜ!は、ハックション!」
大樹「ま、それは良いとして。これを全て読んでしまってはつまらないからね。戻しておくことにするよ」
ジン「そう、ですか」
大樹「過去の事を知りたいのは分かるけど、それは自分で解き明かしていくべき物だよ。何が起き、どうしてこうなってしまったのか。それは暗く先の見えない道を手探りで行くしか無いんだよ。そうやって自分自身も成長させていく事が、今の君に出来ることじゃないかい?」
ジンは顔を上げ、気づかされた様に大樹を見る。
未熟である自分は今回のギフトゲームでも改めてその未熟さを痛感した。
だからこそ今の大樹の言葉に納得した。
楽な道へ行こうとしてはいけない。
それは、いつか自分の首を絞めることになるから。
そして、苦労した道は、確かに自分の糧となるから。
黒ウサギ「大樹さんも、次元の移動が出来るのですか?」
大樹「ああ、そうだね。こんな感じのやつを出すとあらゆる世界へと行くことができるんだよ」
そう言って出現させたのは、銀色のオーロラのようなカーテンである。
次元の移動を可能にする、士と大樹には可能な能力。
そのカーテンを見て、白夜叉は驚きながらもどこか納得したようであった。
白夜叉「ということは、そのアナザーディケイドとやらもそれによって、あらゆる世界の怪物を呼び出しておったわけか」
士「そうなるな。だが、まずはそいつよりもやる事はたくさんありそうだ」
黒ウサギ「そうですね。まずは耀さんの回復。これは今のところ命に別状はありません。ただ、自然治癒が少し落ちていますね」
士「おそらく、ファンガイアとなったガルドにライフエナジーを吸い取られたからだろう」
黒ウサギ「恐らくは。しかし、それは食事としっかりとした休息を取る事で回復すると思われます。続いては元“フォレス・ガロ”の方々についてですが」
十六夜「それは俺に任せてほしい」
黒ウサギ「十六夜さんにですか?何かお考えが?」
十六夜「ああ」
獰猛な笑みを浮かべる十六夜は、まるでこれから悪戯をするつもりの悪ガキのような顔つきであった。
そこに少しの不安を黒ウサギは抱いていたが、白夜叉がそれを承諾し、十六夜に“フォレス・ガロ”の傘下に入らされていたコミュニティのリストを渡した。
大樹「それなら僕も1枚噛ませて貰おうかな。少年くんも頑張ったようだし」
大樹も悪い笑みを浮かべ、十六夜とお互いに何をこれからするのか話し合っていた。ただ全員が理解したのは、きっとロクでもないことであるだろうということである。
黒ウサギは耀の様子と治療をみるため先に本拠へと戻った。白夜叉も今回の件の後始末などもあるようで、後は十六夜達に任せるとして“サウザンドアイズ”へと帰って行く。
お目付役2人が居なくなったことで、十六夜と大樹はジンを視界に捉え、それに気づいたジンは自分が何かされる事を理解した。
早速と言わんばかりに十六夜、大樹、ジン、飛鳥、士は光写真館を出て、“フォレス・ガロ”の解散令を知り、噴水広場に集まっていた元“フォレス・ガロ”の者達に説明を始めた。
まず、人質は全員殺されたこと。
“フォレス・ガロ”のリーダー、ガルドは完全に死んだこと。
“六百六十六の獣”が沽券を理由に元“フォレス・ガロ”のメンバーを襲うことがないこと。
それを聞いた者達は、歓声ではなく、悲嘆の声を上げていた。
人質が死んでいたこと。近隣の最大手コミュニティが無くなることでの不安などの理由があった。
そして、“ノーネーム”の傘下に入らなければならないかもしれないということ。
だが、ここは十六夜が前に出た。
十六夜「今より“フォレス・ガロ”に奪われた誇りをジン=ラッセルが返還する!代表者は前へ!」
大樹「並びに貴殿らの取られていた人質の解放を行う!彼らはガルドに見つからないよう密かに保護されていた!先程彼らが発見された事により、貴殿らの元へ帰す!」
2人のその言葉に、1000人以上いる衆人達はざわめいた。
彼らが悪巧みをしていたのはこれだった。
十六夜は“名”と“旗印”の返還によって、大樹は“人質”の解放によって、彼らはただのノーネームではなく、“ジン=ラッセルの率いるノーネーム”として名前を売るつもりである。
大樹はジン達がギフトゲームに勝利した事を知り、少しばかりのご褒美として、次元を超える事で人質達を匿い、この時代へと連れてきたのだ。
ただ、歳は経っていないため、時間停止のギフトがあったというホラ話で人質に関しては証言するつもりであった。その事は人質達にも説明しており、彼らもそれを承諾した。
十六夜「聞こえなかったのか?お前達が奪われた誇り────“名”と“旗印”、そして」
大樹「貴殿らの大切な家族である“人質”を返還すると言ったのだ!コミュニティの代表者は疾く前へ!“フォレス・ガロ”を打倒したジン=ラッセルが、その手でお前達に返還していく!」
衆人「ま、まさか」
衆人「俺達の旗印が返ってくるのか………!?」
衆人「それに人質までも帰ってくるのか!?」
十六夜「直ちに列を作れ!統率の取れない人の群れなど、“フォレス・ガロ”の獣にも劣るぞ!」
衆人「「「「「は、はい!!!」」」」」
十六夜と大樹の威圧感と荘厳な話し方に衆人は圧倒され、列を為した。
“階層支配者”から預かったリストを取り出し、ジンに渡した。その際、語調を戻し耳打ちをした。
“しっかりと自己主張するように”と。
脇で見ていた飛鳥と士も3人が企んでいる事に察しがつき、笑いながら戻ってきた十六夜と大樹に小声で話しかけた。
飛鳥「面白いことを考えているようね?」
十六夜「さて、なんの事かなお嬢様」
士「よく全員取り戻す時間なんてあったな」
大樹「僕は泥棒だよ?人質を盗み出すくらい朝飯前だからね」
彼らは初のギフトゲームを勝利に収めた。
それと同時に、勝利だけでは手に入らない物も手に入れるつもりであった。
“名”と“旗印”と“人質”がそれぞれに返還されていき、ある者は狂喜して踊り回り、ある者は旗を掲げ走り回り、ある者は人質であった家族とお互いの無事を確かめ合いながら抱き合い、ある者は泣き崩れていた。
この“箱庭の世界”において、いかに“旗印”が大切な物なのかを十六夜達は再認識させられた。
十六夜はジンが最後のコミュニティに返還したのを確認し、全員の前に立つ。
十六夜「名前と旗印と人質を返還する代わりに、幾つか頼みたい事がある。お前達の旗と家族を取り戻した、このジン=ラッセルの事を今後も心に留めておいて欲しいというのが1つ。そしてジン=ラッセルの率いるコミュニティが、“打倒魔王”を掲げたコミュニティである事も覚えていて欲しい」
衆人はまたざわめき始めた。
あまりにも信じられない話であり、衆人達はジンに目を向ける。
ざわざわと波紋が広がる。
魔王相手に勝てるのか、神格を倒したそうではないか、本気で“
十六夜は続ける。
十六夜「知っているだろうが、俺達のコミュニティは“ノーネーム”だ。魔王に奪われた名と旗印、それを自らの力で奪い返すため今後も魔王とその傘下と戦う事はあるだろう。しかし組織として周囲に認められないと、コミュニティは存続できない。だから覚えていてほしい。俺達は、“ジン=ラッセルの率いるノーネーム”だと。そして名と旗印を取り戻すその日まで、彼を応援してほしい」
十六夜の饒舌ぶりに飛鳥、士、大樹は笑いを必死に噛み殺すので限界だった。普段の十六夜を知っているからこそ、この演説はあまりにもむず痒いものであった。
ジンも複雑な表情を浮かべながらも、十六夜に背中を叩かれ、前に出る。
ジン「ジン=ラッセルです。今日を境に聞くことも多くなると思いますが、よろしくお願いします」
その言葉には歓声と激励の言葉が贈られ、彼らの作戦は成功を収めた。
皆様、読んでいただきありがとうございます。
UA3500達成並びにお気に入り登録60を達成いたしました。皆様本当にありがとうございます。
今はこんな状況ですので、少しでも皆様の心を楽しませれるような作品になればなと思います。
今回は色々とオリジナル展開をさせていただきました。
ガルドのオルフェノクもといファンガイア化。
箱庭に魔王としてディケイドがいたこと。
大樹が地球の本棚から本を盗み出す。
本棚に箱庭についての本がある。
など少し詰め込み過ぎたかもしれません。
そのため文章であったり、言葉遣いがおかしいなと感じればコメントしていただければ幸いです。
また、オリジナル展開がこれからもございますので、その辺りもご了承の程お願いいたします。
感想はどしどしお待ちしております。
「面白かった」「この辺りが悪かった」など賛否両論あるかと思いますが、その感想を真摯に受け止め、次回以降に活かしていこうと思いますのでぜひ、気軽にコメントして頂けたらなと思います。
長々と失礼いたしました。
次回はペルセウス編に突入していきます。
個人的にFGOのイアソンと似ていて、どこか憎めない彼はとても良いキャラだと思います。
次回も楽しみにしていただけたら幸いです(^^)