一年草の忘念記   作:604技術開発隊

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第一期
1:ヒトとヒトでないモノ


死んだんだと思った…………が

どういう訳か生きていた。

いや、生き返っていたと言う方が正しいのかもしれない。

思い出すのは“彼女”の幸せそうな笑顔とその笑顔の対象である名も知らぬ男。

そう、彼女は私を忘れ結婚した。

…………まぁ、今となってはどうでもいい。

きっと私は水疱瘡にでもかかっていたんだろう。

一生に一度の病で、必ずかかってしまう。

今の私はもう二度と水疱瘡にはならない。

気にすることも何もない。

 

さて、私が思うにこれは輪廻転生というやつだ。

しかし前世の記憶があるというのもおかしな話。

恐らく今後の生活に私の記憶は大きく障害となってしまうのではないだろうか?

私の記憶の中に人間に関する良い思い出が一切ない。

それが今現在の私の両親と思わしき人間にどう影響が出るか………恐らくあまり良くはないだろう。

ま、私を誕生させた両親なのだ。

私は恩を仇で返す様なマネはしない。

いくら二度と人間の顔を見たくないと願っていたからといってそれは変わらない。

必要最低限の恩義は返すつもりだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

私の容姿は珍しいことにアルビノだった。

特に体が弱いということもないのだが………前の私の影響か?

確かに怪我をしやすいが………すぐ治る。

両親は私を気味の悪いものを見る目で見、私の妹を溺愛している。

私はここでも厄介者のようだ。

それだからだろうか?私は一日の大半を保育施設に預けられている。

それが何?というわけではない………一人で研究をする時間ができて嬉しいと言うべきだろう。

何故か?

毎度毎度私は妹に研究の邪魔をされる。

妙にベタベタしてきて正直気持ち悪い………そもそも私としては妹だろうと赤の他人だ。

……………まぁ、公では私とアレは兄妹なのだから突き放したりはしないが。

 

「や、やまもとくん………?」

 

「………………」

 

人間を見るよりもPDAを見た方が良い。

このPDAは私の両親が私に買い与えた物だ。

恐らくこれで私を遠ざけたかったんだろう………………効果は抜群だな。

私が今研究しているのはエネルギー学……何物にも負けず、劣らず、そして少量で膨大なパワーとなるエネルギーを開発しようと思っている。

もし開発できても発表はしないし人に技術を明け渡すつもりはないし私にしか造れない造りにしてやる。

何故か?

それは簡単な話、人間に私の開発したものを使われるなんて鳥肌モノだからだ。

そしてもしもの際に私はこのエネルギーを使用した兵器で自分自身を守るつもりだからだ。

 

「…………やまもとくん?」

 

「……………………」

 

その為にはさっさと新エネルギーを開発して兵器の構想を組み立てなければ………

私には前の私と違い水疱瘡ではないので時間がある。

 

「………やまもとくん!」

 

「…………………」

 

しかし今呼ばれている山本とかいうやつ…………返事してやれよ………煩くて集中できねぇ。

 

「やまもとくん!!!!」

 

「……………煩い」

 

「やっとへんじしてくれたね!」

 

「……………山本って……あぁ、私か」

 

迂闊…………今の私は山本姓だった。

このパターンは面倒な人間に捕まってしまったパターンだ。

人間には面倒なタイプがある。

私の様な一人静かに過ごすのが好き(心の底から本心)な人間に妙なお節介を焼いてくる人間と一々難癖をつけてくる人間だ。

今回は前者のタイプだ。

そしてこれは後者よりも面倒なタイプだ。

後者は無視をしていれば飽きて別の標的を探しに何処かへ行くが、前者は無視をしても煩く付きまとう。

 

「………………何だ?私は今忙しい」

 

「え?でもみんなとあそんだほうがたのしいよ?」

 

「知るか…………」

 

私は移動するべく立ち上がる。

こういうときの対処方法は至極簡単だ。

逃げるに限る。

立ち上がる私に何か期待しているのかお節介バカは顔が緩む

私はそのまま別の木陰へと移動する。

ふ、バカめ………期待していたお前の顔はお笑いだったぜ………はぁ。

木陰の理由はPDAに太陽光が反射して文字が読みづらいからだ。

本当は室内が良いのだが………人間に邪魔されるからな。

 

 

 

 

 

 

 

この時私は選択肢を間違ったと言ってもいいかもしれない。

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