催眠おじさんVS美少女勇者:地球最大の決戦!RtA   作:ルシエド

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催眠感度23倍

 おじさんは小学生組の若さを感じていた。

 

 小学生のノリに合わせきれない自分の老いを感じていた。

 

 子供のノリに合わせられるのがいい大人だと思ってはいたが、合わせきれる自信がだんだんとなくなってきた。

 

「小生、こういうこと言いたくないんだけどさ……」

 

「おじさま。

 "こういうこと言いたくない"とは言いますが、言いたいんですよね?

 言いたくなければ黙ってるはずです。

 言いたいから言うんですよね?

 でも"こういうこと言いたくないけど"と予防線を張っているのでは?

 "自分も君を責めたくないんだよ"って。

 おじさまらしくもない保身が見えます。

 もっと堂々と言い切って、堂々と言いたいことを言い切ってしまいましょう!」

 

「あ、はい。小生言いたいです」

 

「出鼻挫かれてる~」

 

「アタシは園子の出鼻をもっと挫いてほしいけどな」

 

 やたらテンションが高い須美と園子に引っ張られるようにして、放っておけないおじさんと銀がメンバーに加えられていた。

 

「じゃあ言おう。小生達本当にやるの?」

 

「やりましょう!」

「やろうぜ~!」

「まあ……アタシも須美と園子ほっとく気は無いんで……」

 

「……まあいいか」

 

「インチキおじさん、ノリが悪いぜ~」

 

「む、すまん。ノると決めた以上はノらないとな」

 

「静けさや~、岩に染み入る~?」

 

「「 乃木園子~! 」」

 

「「 イェーイ! 」」

 

「……仲良いわね、おじさまとそのっち」

 

「やめろ須美。園子とわしおじさんのこれにジェラるな。戻ってこれなくなるぞ」

 

「ジェラってないわ! 羨ましくなんて……!」

 

「はいはい」

 

 かくして、園子の思いつきに須美の発想が加わった恐るべき行軍が始まった。

 

 

 

 

 

 それは、どこにでもある光景だった。

 数人の不良が、町中でキレイな女性を囲んでいる。

 ナンパ、と言うべきか。

 不良の悪行、と言うべきか。

 彼らは全員童貞で、一人でナンパする度胸もなく、女性が心底迷惑そうな顔をしている時点で迷惑をかけるだけの大失敗になっていることにも気付いていなかった。

 

「へっへっへ、お姉さん、お茶しないぃ~」

「俺達といいことしようぜぇ~」

「へっへっへ、悪いことしないからさぁ~」

「へっへっへ……へっへっへで被りすぎだろ俺達」

 

「はぁ……最悪……誰か助けてくれないかな……」

 

 悪に囲まれた女性が心の中で助けを求めた、その時。

 

 そこに、世界を照らす催眠の光が輝いた。

 

「何奴!」

 

 不良達の声を受け止め、ロリを連れたおじさんが現れた。

 ロリの内二人は軍服を改造した異様な服を着ており、残り一人は錦の御旗を掲げ、おじさんは汚れてもいい黒いジャージを着ていた。

 

「淑女を囲み卑猥な関係を求めるその邪悪な所業、許し難し」

 

「何者だ、名を名乗れ!

 我らを伊予にその人ありと知られた不良達チーム『多魔血(タマっち)』と知っての狼藉か!」

 

「貴様らが罪を数えし後にそうしよう。まずは鎮まり、お縄につくがよい」

 

「おのれ何も知らぬオッサンと幼女風情が!

 であえであえ! かまわん、彼奴らをひとり残らず切り捨てい!」

 

「はっ!」

「承知!」

「木刀の錆にしてくれる!」

 

 ぞろぞろ現れる不良達。

 しかしおじさんとロリ達は微動だにしない。

 

「国防仮面一号、すみ助さん」

 

 黒髪の少女が頷く。

 

「国防仮面二号、カクカクそのっちさん」

 

 金髪の少女が頷く。

 

「―――こらしめてやりなさい」

 

「「 はっ 」」

 

 襲いかかる不良軍団。

 

 二人の少女は慌てず騒がず、おじさんの葵の家紋(手書き)のスマホを取り出した。

 

「ひかえいひかえい! このおじさまの催眠アプリが目に入らぬか!」

 

「「「 あへええええええええっ!! 」」」

 

「こちらにおわす御方をどなたと心得る!

 畏れ多くも先の副将軍!

 または私のおじさま、水戸光圀公にあらせられるぞ!

 おじさまの御前である、頭が高い、控えおろう!」

「ひかえおろー!」

 

 不良達が一斉に膝を折り、頭を下げた。

 

「みっ……水戸の御老公!」

「何故ここに!?」

「か、伊予二万石の我等ではお取り潰しじゃあ!」

「何故こんなことに……!」

 

「うむ。その方達の悪事の数々、小生が確かに見届けた。

 罪なき女性に迷惑をかけた罪、許し難し! 沙汰を待つがよい!」

 

「「「 は、ははーっ!! 」」」

 

 おじさんの手元から催眠波が飛び、不良達がナンパを禁止され、黒髪の少女がおじさんの前に出る。

 

「すみ助さん!」

 

「はっ! これにて、一件落着!」

 

 無言で、元気そうで可愛らしいショートの髪の子が、後ろで旗を振っていた。

 

 

 

 

 

 それは、どこにでもある光景だった。

 ガングロギャルが、コンビニで店員に詰め寄っていた。

 

「だからぁ~、うちが万引したっていう証拠どこにあんのさ~」

 

「カバンから商品出てきたでしょ、万引娘」

 

「ぐうの音も出な……うちやってないからぁ!」

 

「今認めかけてたなこいつ」

 

「あのさぁ、高いのよぉ化粧品。

 うちの家の貧乏っぷりじゃ買えないの。

 でも買えなきゃ学校でいじめられるしさぁ……」

 

「最近の学生は大変だね。でも万引きしただろお前」

 

「しーてーなーいーかーらー! キャハハハ!」

 

 万引き、と言うべきか。

 未成年者の犯罪、と言うべきか。

 万引きという名の、犯罪未満扱いされる犯罪の悪。

 

「あー傷付いた。イシャリョー払うか、見逃してくんない? 無理? だめぇ?」

 

「はぁ……最悪だ……誰か助けてくれないかな……」

 

 悪に迫られた店員が心の中で助けを求めた、その時。

 

 そこに、世界を照らす催眠の光が輝いた。

 

「何奴!」

 

 ガングロギャルの声を受け止め、ロリを連れたおじさんが現れた。

 

「店員に卑劣なる要求を行い傲慢を通さんとするその醜悪、許し難し」

 

「何者だ、名を名乗れ!

 この身は大権現様より名を携わりし者、坂田花子なるぞ!

 ちりめん問屋風情の分際で身の程を知るが良い! こうべを垂れよ!」

 

「貴様らが罪を数えし後にそうしよう。まずは鎮まり、お縄につくがよい」

 

「おのれ何も知らぬオッサンと幼女風情が!

 であえであえ! かまわん、彼奴らをひとり残らず切り捨てい!」

 

「はっ!」

「承知!」

「付け爪の錆にしてくれる!」

 

 ぞろぞろ現れるガングロギャル達。

 しかしおじさんとロリ達は微動だにしない。

 

「すみ助さん、カクカクそのっちさん―――こらしめてやりなさい」

 

「「 はっ 」」

 

 襲いかかるガングロギャル軍団。

 

 二人の少女は慌てず騒がず、おじさんの葵の家紋(手書き)のスマホを取り出した。

 

「ひかえいひかえい! このおじさまの催眠アプリが目に入らぬか!」

 

「「「 んほおおおおおおおおおっ!! 」」」

 

「こちらにおわす御方をどなたと心得る!

 畏れ多くも先の副将軍!

 または私のおじさま、水戸光圀公にあらせられるぞ!

 おじさまの御前である、頭が高い、控えおろう!」

「ひかえおろー!」

 

 ガングロギャル達が一斉に膝を折り、頭を下げた。

 

「みっ……水戸の権中納言様!」

「何故ここに!?」

「と、土佐二万石の我等ではお取り潰しじゃあ!」

「何故こんなことに……!」

 

「うむ。その方達の悪事の数々、小生が確かに見届けた。

 罪なき店員に迷惑をかけた罪、許し難し! 沙汰を待つがよい!」

 

「「「 は、ははーっ!! 」」」

 

 おじさんの手元から催眠波が飛び、ガングロギャル達が万引きを禁止され、金髪の少女がおじさんの前に出る。

 

「カクっち!」

 

「はっ! これにて、一件落着!」

 

 無言で、元気そうで可愛らしいショートの髪の子が、後ろで旗を振っていた。

 

 

 

 

 

 それは、どこにでもある光景だった。

 野良犬が、スーツを着たサラリーマン風の男に噛みつこうとしていた。

 

「ひぃぃぃ」

 

「ワン! ワン! ワン!」

 

 鋭い牙。逞しい体。野犬の牙はサラリーマンの喉を噛みちぎってあまりある。

 

「た……助けてたも~(おじゃる丸化)」

 

 サラリーマンが心の中で助けを求めた、その時。

 

 そこに、世界を照らす催眠の光が輝いた。

 

「何奴!」

 

 犬が叫び、ロリを連れたおじさんが現れた。

 

「出会ってすぐの者に牙を剥くその獣の如き性情、許し難し」

 

「何者だ、名を名乗れ!

 麻呂は恐れ多くも帝に官位を賜りし藤原少納言!

 浪人風情が参内を許された我になんたる悪口雑言! 首を出せい!」

 

「貴様らが罪を数えし後にそうしよう。まずは鎮まり、お縄につくがよい」

 

「おのれ何も知らぬオッサンと幼女風情が!

 であえであえ! かまわん、彼奴らをひとり残らず切り捨てい!」

 

「ワン!」

「ワン!」

「オォン! アォン!! アオォン!」

 

 ぞろぞろ現れる野良犬達。

 しかしおじさんとロリ達は微動だにしない。

 

「すみ助さん、カクカクそのっちさん―――こらしめてやりなさい」

 

「「 はっ 」」

 

 襲いかかる野良犬軍団。

 

 二人の少女は慌てず騒がず、おじさんの葵の家紋(手書き)のスマホを取り出した。

 

「ひかえいひかえい! このおじさまの催眠アプリが目に入らぬか!」

 

「「「 アオオオオオオオオオオオンッ!! 」」」

 

「こちらにおわす御方をどなたと心得る!

 畏れ多くも先の副将軍!

 または私のおじさま、水戸光圀公にあらせられるぞ!

 おじさまの御前である、頭が高い、控えおろう!」

「ひかえおろー!」

 

 野良犬達が一斉に膝を折り、頭を下げた。

 

「みっ……水戸の、黄門……!」

「何故ここに!?」

「あ、阿波二万石の我等ではお取り潰しじゃあ!」

「何故こんなことに……!」

 

「うむ。その方達の悪事の数々、小生が確かに見届けた。

 罪なき通行人に迷惑をかけた罪、許し難し! 沙汰を待つがよい!」

 

「「「 は、ははーっ!! 」」」

 

 おじさんの手元から催眠波が飛び、最近四国で問題になっていた野良犬の増加問題が解決され、黒髪の少女がおじさんの前に出る。

 

「すみ助さん!」

 

「はっ! これにて、一件落着!」

 

 無言で、元気そうで可愛らしいショートの髪の子が、後ろで旗を振っていた。

 

 

 

 

 

 流れるように敵の襲撃が始まる。

 其はバーテックス。

 生態系の頂点(バーテックス)

 おじさんの出現により、バーテックスは未知なる敵に対し、新たな戦術を選択した。

 

 神世紀時代のバーテックスの基本戦術である大型運用を一度止め、西暦時代のバーテックスの戦術である小型の投入により、人類側戦術の分析を試みたのである。

 いわば斥候。

 いわば生贄。

 いわば捨石。

 小型を使いおじさんや、洗脳された射手座、未来式の勇者システムを徐々に現代式に降ろしている東郷など、バーテックスは不確定要素への学習を始めた。

 

 迫るは"星屑"。千に届く白色の群れ。

 

 バーテックスと戦うべく、世界が樹海に飲み込まれた、その時。

 

 そこに、世界を照らす催眠の光が輝いた。

 

「何奴!」

 

 バーテックス・星屑の声を受け止め、ロリを連れたおじさんが現れた。

 

「人類に仇なし平和を奪う鬼畜の所業、許し難し」

 

「何者だ、名を名乗れ!

 この身は天孫降臨より179万2470余年、東征の時代よりの天使である!

 天津彦彦火瓊瓊杵尊、彦火火出見尊、鵜葺草葺不合尊より任を受けし者!

 徳川の生温い太平に浸かりしちりめん問屋風情が口応えしていい存在ではない!」

 

「貴様らが罪を数えし後にそうしよう。まずは鎮まり、お縄につくがよい」

 

「おのれ何も知らんオッサンと幼女風情が!

 であえであえ! かまわん、彼奴らをひとり残らず切り捨てい!」

 

「はっ!」

「承知!」

「天に坐す天照大神への捧げものとしてくれる!」

 

 ぞろぞろ現れる小型バーテックス達。

 しかしおじさんとロリ達は微動だにしない。

 

「すみ助さん、カクカクそのっちさん―――こらしめてやりなさい」

 

「「 はっ 」」

 

 襲いかかるバーテックス軍団。

 

 二人の少女は慌てず騒がず、おじさんの葵の家紋(手書き)のスマホを取り出した。

 

「ひかえいひかえい! このおじさまの催眠アプリが目に入らぬか!」

 

「「「 いぐうううううううううッ!! 」」」

 

「こちらにおわす御方をどなたと心得る!

 畏れ多くも先の副将軍!

 または私のおじさま、水戸光圀公にあらせられるぞ!

 おじさまの御前である、頭が高い、控えおろう!」

「ひかえおろー!」

 

 バーテックス達が一斉に膝を折り、頭を下げた。

 

「みっ……水戸の御大老!」

「何故ここに!?」

「お、讃岐二万石の我等ではお取り潰しじゃあ!」

「何故こんなことに……!」

 

「うむ。その方達の悪事の数々、小生が確かに見届けた。

 今の時代の罪なき人類に迷惑をかけた罪、許し難し! 沙汰を待つがよい!」

 

「「「 は、ははーっ!! 」」」

 

 おじさんの手元から催眠波が飛び、動きが止まったバーテックス達がヒュプノ・バーテックスに捕食され、ヒュプノ・バーテックスがおじさんの前に出る。

 

「ヒュプノ!」

 

「はっ! これにて、一件落着!」

 

「プーさん喋れるようになったの!?」

 

 めっちゃ驚いた様子の元気そうで可愛らしいショートの髪の子が、後ろで旗を振っていた。

 

 

 

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