【安価】安価の機体でガンプラバトル大会に参加する【安価】 作:ダイハイト
SIDE ヤサカ・マオ
無事に予選ブロックも通過し、本選進出を果たしたと思うてたら、とんでもないファイターの話を耳にしました。
「【キルドルブ・NEXT】に【ガイアライガーRS】、【シャルドール・アヤト】ですか…」
この間、色々乗り継いで会いに行ったガンプラビルダー、セイはんとは隣のブロックに参加したあるファイターが使っているガンプラはどれもレベルが高い……というより【無茶苦茶】だと思いました。
「特にこのライガーて…」
このガイアライガーというガンプラ、ハッキリ言って酷過ぎます。ガイアガンダム本来のコンセプトを無視どころか書き換えてますやんか。腕周りと胴回りの構造、そしてあの【ビーム砲】を見るに変形は出来ないのでしょう。これなら無理にガイアをベースにする必要は無い、寧ろバクゥとかの方が積載面積も大きくもっと良い形にできたとワイは思います。
(全く、とんでもないファイターが現れましたな)
だが、それはそれとしてビルダーとしての能力は極めて高い。キルドルブ・NEXTに積まれた摩訶不思議な右腕にインコム、ガイアライガーの運動性能に無茶と思われながらも均等に積まれた多彩な武器、シャルドールの忠実な汎用性と決勝で見せた【武装再構成システム】
どれをとっても世界に十分通じるだけの技術であることは間違いあらへん。ワイ、そしてあのセイはんをも超える技術やもしれない…
「だがワイはガンプラ心形流の使い手!!ガンプラの出来栄えで負けるなんてことはあらへんで!!」
愛機【ガンダムX魔王】を片手に、再度意気込みを入れる。こんなファイターが現れたところでワイは尻込みしまへんで!!待ってろ!この【チハ・ショウジ】という御方!!!!
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SIDE リカルド・フェリーニ
「こ、このガンプラは……!?」
最初にその記事を目にしたとき、俺は思わず目を疑った。
『東東京地区予選会優勝 チハ・ショウジ/彩斗商店街』
レイジが参加している予選会のすぐ隣のブロック、そこの優勝者にして世界大会本選へ進出したファイターの名前と写真、そして3体のガンプラの写真が掲載されていたのだが。
「【キルドルブ・NEXT】…!!」
間違いない、【あの時】のガンプラだ。まだレイジとも会う前、たまたま寄った小さな商店街の大会で猛威を振るっていたヒルドルブベースの機体。あの時よりも更に奇怪な改造を施しているようだが、あの時の機体に間違いなかった。
(まさかこんなレディ……ガール??がこのガンプラの
あの時は確か鉄仮面のコスプレをしている人がファイターだったが、恐らくは【彼】はこの機体を制作した
「だからってこんな改造にする必要はねぇだろ!!!」
良く見ればその隣の【ガイアライガーRS】というガンプラも色々と不可解だ。パーツ配置を見るにMA形態だけの運用に割り切った改造が施されているが、その割に武装は近接寄りとMA運用のコンセプトと武装が噛み合っていない。これもキルドルブ同様チグハグな機体だ。
「なんたってこんなガンプラを!!」
唯一、【シャルドール・アヤト】という機体だけ汎用機のようで、シンプルに纏められている。だからこそ不可解なのだ。なんたってこんなガンプラを、しかも代表を務めている人に使わせているのか。件の2機はどう考えたって使いにくい戦いにくい機体だろう、これならシャルドール1機に限定した方がまだ良い筈だ。
「わっかんねぇな!くそっ!」
まさか意図的にこんな不可解で奇怪な機体を使わせてピエロにでもしてるんじゃねぇだろうな!?こんな年端もいかないような子を!?
なんて考えが一瞬頭に浮かびつつも、【ウイングガンダムフェニーチェ】を見る。
少なくとも、この子と世界でぶつかることは避けられない。せめてその時に理由の1つでも聞いてみるほかない…か。
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SIDE ニルス・ニールセン
先日、大変興味深い資料を手に入れました。世界大会本選へ向けて各国のファイター達の情報収集をしていた時です。
「【その場で武装を再構成】…ですか」
日本のある地区で行われた決勝戦。その勝者となったガンプラが終盤披露したシステム。
(2基の端末を3Dプリンター…いや、片方は【プラスチックを分解して材料化】、もう片方が【材料を基に武装を構築】しているのか)
とても従来では考えられないような、それでいて非常に画期的かつ斬新なシステムでした。この僕ですら思い付けない…いえ、思い付けても再現できるかどうか怪しくなるようなシステムです。
「これだけの技術力……もしかしたらプラフスキー粒子の秘密を知っているのかも?」
このシステムは恐らくプラフスキー粒子の特性を利用したものでしょう。ならばそれを使えるということは相応にプラフスキー粒子についてを知っている可能性があるということ。
「これは要マークしなければならないファイターのようですね」
資料を一旦机に戻し、その上に置かれた【戦国アストレイ頑駄無】を見てから部屋を後にする。そういえば、確かミス・ヤジマがガンプラの作り方を教えてほしいと言ってきましたが……さて、この忙しい時にどうしたものでしょうかね。
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SIDE 3代目メイジン・カワグチ
「どうしたアラン?随分と訝し気な顔だが」
「え?あ、ああタツヤ……これを見てくれるか?」
3代目メイジン・カワグチを襲名し、来たる世界大会本選へ【ケンプファー・アメイジング】の調整の最中にアランがタブレットを手渡してきた。そこには東東京地区で行われた予選会の結果と、2人のファイターの名前。
「【チハ・ショウジ】と【トオヤマ・ゴオ】……この2人が何か?」
「勝った方のファイターのガンプラを見てほしいんだ」
そう言われてチハ・ショウジのガンプラを確認する。掲載されているのは決勝戦で使用されたガンプラ【シャルドール・アヤト】のみの情報だったが……ほう、これは
「分かったかい?タツヤ?」
「ああ、【注意しなければならない相手】ということだな」
ベースとしているシャルドール改特有の汎用性を十全に活かし、モード切替可能なライフル、近接戦用のビームガン、ダミーをも使えるミサイルポッド、シールドに内蔵したアンカーに、この戦いでは使われていないビームソード。
そして何より【AGE-BUILD】と名付けられた【武装再構成システム】
これは厄介だ。何より、これを形にするだけの技術力と運用できる実力を持っているファイター自身の方が厄介と考えられる。
「今、PPSEの一部スタッフを使ってこのファイターの情報を集めてる。他に確認されている2機のガンプラについてもね」
「分かった。留意しておこう」
もし、世界大会の場で戦うことになれば十分気を付けねばならなくなる相手になるだろう。しかし、今の私はメイジン・カワグチ!
メイジンの名を継ぐ者として、私の戦いでガンプラバトルの在り方を変えなければならない!2代目とは違う、本当の【ガンプラバトル】というものを!
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SIDE イオリ・セイ
「セイ?何見てんだ??」
「これかい?別の予選会ブロックの試合映像だよ」
レイジに声を掛けられながらも、僕はとある試合映像の戦闘を余すことなく目に焼き付ける。特にこの【キルドルブ・NEXT】というガンプラ……ハチャメチャだ。
「ヒルドルブがベースなのに格闘戦に特化した改造。機体全周の箱は多分爆発反応装甲で防御を高めている。右腕のクローは原理は不明だけど何らかの波動障壁を張ったり直接波動を当てたりして攻撃。しかも【NT-D】を搭載してナラティブガンダムのインコムをサイコ・キャプチャーとし…‥」
「お、おいおいセイ!?気味悪いぞ?」
流石に気味が悪いと言われるのは嫌だからそこで思考を一旦止める。とはいえ、このガンプラを使うファイターは僕達と同じく予選会を勝ち抜き、世界大会本選へ進出したという。
「こんなガンプラと戦うには今の【ビルドストライクガンダム】、それに【ビルドガンダムMk-Ⅱ】じゃ駄目だ…」
マオ君のガンダムX魔王を見た時にも感じた感覚。それが映像の中だというのにこのキルドルブというガンプラからは同じものを感じることが出来る。
(駄目だ!今のままじゃ世界大会では勝ち進めない!)
でも【僕が持ってるガンダムの知識】の中で、彼らのような機体を超える機体は作れそうに無い。何か……何かがあれば、僕の中で燻っているこの【何か】壊す決定的な何かさえあれば…
「……ってあれ?レイジ?」
「セイ君ー?チナちゃんが来てるわよー?」
「えっ!?あ、はーい!!」
レイジはいつの間にかいなくなるし、委員長は来るしで大忙しだな!
一先ず今はこの考えを保留し、大急ぎで一階へ降りる。このキルドルブ・NEXTのファイターみたいな【無茶苦茶な発想】の機体と戦うガンプラを作るには、僕はまだ未熟なのかな…?
目を付けられました(アカン)
イッチ作を始めとした機体解説の掲載場所(改定)
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イッチが掲示板内で解説(セイ君並感)
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作者が後書きにて解説(次回予告並感)
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作者が活動報告にて解説(説明書並感)
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(そもそもいら)ないです