【安価】安価の機体でガンプラバトル大会に参加する【安価】   作:ダイハイト

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折角のバトルロワイヤルなのだから複数話に分けるぜ!なので初投稿です。


世界大会本戦 第2ピリオド

『長らくお待たせしました。世界大会、第2ピリオドの競技内容についてご説明致します』

 

 初戦となった第1ピリオドの試合の翌日、第2ピリオドの試合とその内容が明らかになった。

 

【全ファイター80名以上によるバトルロワイヤル】

 

 スタジアム中央の巨大バトルフィールドを使用し、宇宙(そら)地上(だいち)を分けることすら出来る超広大な戦場で、参加ファイター全員が競い合うという内容だ。

 

 1/3の機体が残った時点で終了となり、生存したファイターに勝ち点4ポイントが付与される。その為、普段のガンプラバトルとは異なる立ち回りが求められ、より柔軟な思考と戦略が必要とされるのだ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――が、そんな高度な思惑よりも【明らかに色々とおかしい存在】に、観客はおろかバトル前のファイター達も目も思考もそちらに奪われていた。

 

「何よっ!?皆してジロジロ見て!!アタシ達が何かしたっていうの!?」

「いや…その……随分慣れたね、リターナ」

「何が!?」

「い、いや!何でも有りません!」

 

 第1ピリオド第16試合。既存のガンプラバトルの常識からは大きく外れ、正に出鱈目と言って良い戦いを見せたファイター、チハ・ショウジとそのオペレーターであるリターナ・ベル。

 彼女達が生粋かつ狂気のレベルでコスプレイヤーであることは既に一部で出回り、前日の試合でもそれは一目で分かった…もっとも、誰のコスプレなのかは限られた人にしか理解できなかったが。

 

 その分、本日はこの場に居る者達ならばまだ分かる人物だ。ファイターの彼女は先程から妙にオドオドしているというか、青臭さが滲み出ている青年【コウ・ウラキ】

 オペレーターの彼女は口調が強く、こっちはこっちでお転婆さが途轍もなく溢れている少女【クェス・パラヤ】

 

 此処まで(・・・・)は分かる。何故その2人の組み合わせ?と疑問には思うが、まだガンダム作品キャラのコスプレということで昨日よりは十分理解できる範囲だ。

 

 

 

―――だがその【服装】が明らかにおかしいのだ。

 

 ウラキの方は地球連邦軍の制服やパイロットスーツではなく、クリーム色の薄めの生地で作られた、砂漠があるような国の民族衣装のような独特な恰好。

 クェスの方は更に独特で、こちらもやはり軍服やパイロットスーツ、ましてや私服でもない。全体的に白を基調とした上と差し色が金色のスカート、胸元には金と青の装飾。そして何より肩にあたる箇所がかなり大きい、ガンダムで言うならサザビーの肩部のようになっていて、ここも同じく白で差し色に金と赤。

 

 あまりに独特かつ意味不明な格好だ……観客席の一部では何故か騒めきが起こっているが些細な事だろう。

 

 その2人の姿、そして恐らくチハ・ショウジ(コウ・ウラキ)が【抱えているガンプラ】の存在がこの広大な場に居る全ての人達の視線を一身に集める原因となっているのであろう。

 

「こればっかりは仕方が無いさ。だろ?」

「でも!!!」

「良いんだって……行くよ。リターナ、おいで」

「っ!………はい!マスター!」

 

 

 

 

 

(((((はあああああああああああああああああっ!?!?!?!?)))))

(((((マスターああああああああああああああっ!?!?!?!?)))))

 

『それでは、第2ピリオドを開始します』

 

 彼等の周囲にしか聞こえなかったが試合開始の直前というタイミングで更に驚愕と困惑をさせる要素をぶち込んでくる2人だが、直後に展開されたプラフスキー粒子によるコクピットエリアによってその姿は遮られてしまった。

 

Please set your 【GP BASE】(【GPベース】をセットして下さい)

 

色々と衝撃が収まらないまま、各々のファイターがGPベースとガンプラをセットする。勿論、彼等だって同じように。

 

「リターナ、コントロールの準備は良いね?」

「はいっ!」

 

チハはその言葉と共にカタパルトエリアに【虹色の騎士】を、リターナは胸元の装飾の中にある青色のクリスタルを額へ付け直す。

 

「コイツは調整をしても完全に扱いきれない要素が多いんだ。注意して」

「…分かりました」

 

プラフスキー粒子が2人の機体に散布され、その巨躯(・・)の瞳に光が灯る。

 

『Battle Start』

 

「全システムのクリアを確認。リターナ・ベル」

「チハ・ショウジ」

「「出ます」」

 

会場いっぱいに満たされる歓声の中、バトルの火蓋は切られた。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

SIDE メイジン・カワグチ

 

「……っ」

 

【柄でもなく焦っている】

 

 試合開始直後だというのに私の心はどこか落ち着かないでいた。

 

 アランが居ないから?違う、寧ろ不要と言ったのは私の方だ。

 集中的に狙われる?違う、そんなことは想定の内だし、対処も十分可能だ。

 イオリ君たちが心配?……そんなことを気にする筈が無い!!

 

 では何故か?(・・・・・)

 

「何処だ……あのガンプラは……!!」

 

 試合開始の直前、比較的自分の近くに居た為にハッキリと見ることが出来た【あのガンプラ】。

 チハ・ショウジ、そしてリターナ・ベル。コスプレそのものについてはもう良い、考えること自体が恐らく無意味だ……いや、正確には無意味ではないのだが(汗)

 兎も角!!その2人が【抱えていた】あのガンプラ!!今現在、私は市街地エリアを突っ切っている最中のためか視界の利きが悪く、先程からひっきりなしに襲い掛かってくるファイターを捌くのに……ええっい!鬱陶しいぞドム・トルーパー3体!!

 

 くそっ!メイジンの名を継いだというのに、たった1組のファイター達にこうも意識を向けないといけないとは!今からでも遅くは無いからアランを呼び戻すか…いや、しかし…

 

「ええい!!こうも感情を揺さぶられることになるとは!!」

 

 だが仕方があるまい。言い訳という訳では無いが、【あんなもの】を見れば誰だってこうなる筈だ。現に今の私がそうなのだから……そう、こうして必死になって飛び去っていくガンプラ達のような行動に、【真っ赤に染まった空】のように……

 

「っ!?!?!?」

 

 移動を慌てて止め、後ろを振り返る。ついでにそこのビルの影に隠れていたハイザックにナイフを投げて撃破しておく。

 振り返った先に見えたのは、今しがた見えた真っ赤な空が見間違えだったのかと思うほど青い空、その空を飛ぶガンプラ達がある方向から一目散に皆逃げていく光景と【真っ黒になって落ちていく】複数のガンプラの姿、そしてその方向にあるビルの隙間から微かに見えた【虹色の鎧】

 

「……よもや、よもやそんな機体を持っていようとはな!チハ・ショウジィ!!!!!」

 

僅かに覗いた射線を頼りに、私は【ケンプファー・アメイジング】のビームライフルを発射した。

 

『タツヤ駄目だ!』

 

アランの制止の言葉が届いたのはその直後だった。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――【事態】はほんの数分前から始まった。

 

 試合開始直後、宇宙、地上問わず早速あちこちが戦場となった。

 

 

『あのガンプラは!?アビゴルバイン!?』

『やはり!こちらのビームをかき消した!しかしっ!!』

『一度見せただけでアブソーブシールドの弱点を見抜かれた!?』

 

 

『……』

『『うわああああああっ!?!?』』

『つ、強過ぎるっ!?』

 

 

『喰らえよっ!!』

『く……あぁっ!?!?』

『頂き!!』

 

『な…何だ…と…』

『ふっ…油断は禁物ですね』

 

 

 僅か数分で既に十数機は撃墜されただろう。バトルロワイヤルというだけあって1対1、複数対1、複数対複数、様々な状況の戦場が入り乱れている、まさに混沌というような有様だ。

 

 そして、市街地エリアの郊外。

 【そのあまりに巨大な姿】と【そのあまりにド派手な色】に群がるように、最低でも10機のガンプラが、とある1体(・・)のガンプラに襲い掛かっていた。

 

「馬鹿じゃねえのか!!」

「んなデッカイ図体晒して!!」

「一斉に行くぞ!まずは彼奴だぁー!!」

「チカチカしてウゼェんだよ!」

「まさに的だな!!」

「そんなガンプラで来たのを後悔するんだな!!」

 

そんな声を上げながらそのガンプラ(・・・・・・)へ迫る【MS06-JK ザクハーフキャノン】【XM-X2ex クロスボーンガンダムX2改】【OZ-12SMS トーラス】【GAT-X252 フォビドゥンガンダム】【EMS-04 ヅダ】【CAMS-03 エルフ・ブル】の5機を筆頭に、更に多くのガンプラがその1体へ殺到し、手にしているライフルやバズーカをこれまた一斉に放つ。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

―――――だが、その1体は【あまりに規格外が過ぎた。】

 

「敵弾来ます。ビーム17条、実弾31発」

「実体弾だけ防いで。ビームはどうせ届かないさ」

 

 【380mm(メガサイズモデル)を超える巨体】が、左手に装着した【メタルグリーンの盾】を前面に構える。直後、シールドが僅かに光った(・・・・・・)かと思えば、迫っていたビームは唐突に全て掻き消され、実弾は全て盾に着弾した。

 

「着弾、損傷はありません。【ギガンティック・パワーシールド(巨大なる力の盾)】、Iフィールド発生装置含め全て正常に稼働しています」

 

 巨大な盾の裏、そこには【クリアのメタルの2種のレッドで彩られた剣】に加えて、裏面いっぱいになるほどの大きさの【Iフィールド・ジェネレーター(円盤型の装置)】が淡く緑の光を発している。

 

「馬鹿なっ!?10機以上の総攻撃だぞ」

「う、嘘だろオイ!?まるで効いてねぇぞ!?」

「何だよ今の動き!?巨体に似合わず挙動が速い!?」

「コイツにもIフィールド……だがなんて出力と範囲だ!?」

「あ、あああ……」

 

 途端に怖気づいてしまったように動きが悪くなるガンプラ達。

 

「リターナ、【インフェルノ・ナパーム】を使うよ」

「分かりました。【ギガンティック・フレイムガンブレード(巨大なる炎の銃剣)】、抜刀します」

 

 盾に収納された、同じく巨大な鮮やかな赤色の剣……ではなく、グリップにトリガーが付けられた【ガンブレード】を右手で引き抜き、それを構える。

 

「き、来たぞ!?!?」

「ああああああああああっ!!!!!」

「撃て!撃つんだ!!!」

「あいつに撃たせるな!!やれ!!やるんだっ!?!?」

「動きを止めるだけでいい!!一斉射だ!!!!!」

 

 銃剣を構えた【虹色の巨人騎士】にガンプラ達が再び一斉攻撃を掛ける。ビームが駄目なら実弾を、或いはより強力なビームをと、135mm対艦ライフルやグレネードランチャーを放ったりドッズライフルやバスターライフルを放つ機体もいる。

 

 が、より強力なビームを放ったのにも関わらずそれらは全て目に見えないフィールドに全て捻じ曲げられ、今度は盾ではなく本体に命中した実体弾は直撃の爆発が起きても目立ったダメージは無く、中には曲面部分にそのまま弾かれるものもあった。

 

「続いて被弾、されど問題ありません。チャンバー内の火炎温度、臨界点に到達……撃てます」

「良し……さぁ行けっ!!!!」

 

 トリガーを引くと同時に銃剣の刀身の赤みが一気に強まる。危機を感じたガンプラ達は一斉に逃走を開始したが、既に遅かった。

 

 次の瞬間にはその刃から一気に湧き出るように、凄まじく広大な火炎放射が放たれた。巨大さ故なのか、並みの中距離兵装に匹敵する射程を誇る炎が一瞬にして市街地の上空を覆い、逃げ惑うガンプラ達をほぼ全機包み込んだ。

 

 ものの5秒ほどだろうか。炎はその程度で消え去ると、空には殆どガンプラは居なくなっていた。あったものといえば【真っ黒く焦げ付き、一部が変形まで起こしたガンプラだったもの】が無残にも墜落していく姿。

 

「ナパームの正常放出を確認。敵機、総数【8機】を撃墜しました」

「よしよし!これで少しは落ち着けそうだね」

 

 が、その直後にビルの隙間から緑色のビームが死角といっていい場所から襲い掛かってきた。幸い、発しているIフィールドがそれを掻き消し、ダメージとはならなかった。

 

「射撃位置特定……-25°、11時方向の地点、数1です」

 

リターナが告げた地点には1体のガンプラ。僅かに通っていたのであろう射線を精確に狙い撃った、紺色に塗装されライフルを構えるケンプファー。

 

「へぇ?あのメイジン・カワグチ自らとは」

 

虹色の巨人騎兵―――【新世騎兵ロードバーサル】はその銃剣をケンプファー・アメイジングへと構え直した。

 

 




※主人公達です。
外見(キャラクター)と性格が合ってない?いえ、合ってます。

2人の衣装は……言わなくても皆もう分かるよね?(遠い目)

イッチ作を始めとした機体解説の掲載場所(改定)

  • イッチが掲示板内で解説(セイ君並感)
  • 作者が後書きにて解説(次回予告並感)
  • 作者が活動報告にて解説(説明書並感)
  • (そもそもいら)ないです

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