【安価】安価の機体でガンプラバトル大会に参加する【安価】 作:ダイハイト
その代わりにAGE-1のガンプラ入手しました。アヤト風の塗装に挑戦したいと思ってます。数年振りにガンプラ購入し、塗装初挑戦します。
SIDE リカルド・フェリーニ
「……っと!これでいつでもOKだな!」
トップコートの吹き付けを終え、全てのパーツが揃っていることを確認してから完成したパーツをクリップから1つ1つ丁寧に外していく。
「これですぐにでも【相棒の改修】が行える」
机に並べたこれは相棒であるフェニーチェを改修するための装甲パーツや武装パーツ。こうして事前に制作しておくことで、短時間でガンプラの改修を行うことが出来るのだ。
「コードネームは【リナーシタ/
こうしてパーツが完成した以上、今すぐにでも改修は行える。それも本体側へは最低限の改造だけで行えばいいので、ものの2時間程度で終えられるだろう。
しかし、明日からは世界大会の最終ピリオド。俺は既に決勝進出を決めているとはいえ、迂闊に新生した相棒を出撃させて手の内を曝け出すなんて真似は出来ない。
(……なにせ、相手があいつ等だからな)
俺の試合は明後日の第28試合目…それも相手はレイジ達2人だ。あいつ等も既に決勝トーナメント進出は決めているとはいえ、先述の通り手の内は明かせられない。
かと言って、お互い決勝トーナメントに進むんだからお互い手加減するか?……ハッ!んなわけないだろうが!!
「なら!やることは1つだけだ!」
机に置かれた相棒【ウイングガンダムフェニーチェ】を手に取り、相棒の顔を見つめる。お色直し前の大一番だ!派手にいこうじゃねぇか!
「とことん最後まで付き合ってもらうぜ、相棒!!」
俺の言葉に応えるように、オッドアイに塗装されたカメラアイが光を反射した。
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SIDE ニルス・ニールセン
正直、今大会で僕が
そもそもな話、【戦国アストレイ頑駄無】の性能があればどんなガンプラ、どんなファイターであろうと勝つことが出来ると思っていました。
「けど、そうじゃなかった…っ!」
第5ピリオドでの戦い。純粋なバトルでは無かったとはいえ、戦国アストレイが相手を完璧に捉えることが出来なかった……初めて
(完全無欠の僕のアストレイをよくも………っ!?)
……まただ。何故僕はこうも
僕の目的はプラフスキー粒子の秘密の解明。その為の世界大会参加。その為のガンプラバトル。その為のアストレイ……その筈なのにどうして僕は…っ!!!
(と…兎に角!今は落ち着いて作業を進めないと)
頭を軽く振って気持ちを落ち着かせる。こんな状態では正確なヤスリがけはもとより、下手をしたらナイフで手を切りかねません。
「…こんなところでしょうか」
【これを装着する】戦国アストレイ頑駄無、そしてその横に立てかけられたタブレット端末と、表示されている【鎧武者】の画像を交互に見比べながら、加工しているパーツの状態確認や比較を行っていく。
「ここはもう少し削った方が……いえ、そうするとバランスが崩れかねませんね」
少々難航していますが、決勝トーナメント開幕までには間に合うでしょう。明日からの最終ピリオドは僕の対戦相手を見るにアストレイをそのまま使用すれば問題ありません。明日勝てば決勝に進出……まったく、とんだ苦労をすることになりましたよ。
(……チハ・ショウジ、次に戦う時は僕が貴方を倒しますっ!)
……またも、僕は感情的になっているようです。こんなことでむきになって、衝動的に動いている…何とも情けない話です。
ですが、不思議とそれが心地良いように感じています。この怒り…ではなく感情の高ぶりがそんなに悪い気もしないように感じる。これはどういうことなのでしょうか?
とにかく、今は決勝トーナメント用の追加装備、仮名称【ジンバー】の制作を進めなければ。
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SIDE ヤサカ・マオ
「……で、作ったは良いですけどどうしましょ?」
ワイの目の前には愛機である【ガンダムX魔王】。その右隣には【改造案1】のパーツ群、左隣には【改造案2】ということで1機の支援機が置かれている。
「一先ず形にしてから考えれば良いかと思うてましたが、いざ考えると悩みますねぇ…」
改造案1は【汎用性と火力を両立強化】のコンセプトで、主に【ガンダムXディバイダー】と【ガンダムDX】のパーツ群をベースとしたX魔王本体を改修する改造。
改造案2は【機動力と火力のみ超強化】のコンセプトで、X魔王の予備パーツを1セット分丸々を使用して【Gファルコン】を改造、制作した支援機を身に纏う追加装備の装着をする改造。
前者は総合的な性能の引き上げられますが、いまいちパッとしない改修に。後者は特化分野を大幅に引き上げられますが、その分バランスも悪い。
「参りましたねぇ…う~ん……」
売り言葉に買い言葉というわけやないですが、あの時チハ・ショウジさんにあないなこと言われた手前、黙ってられる筈も無く…こうして試合の合間に作ってきた魔王の改造パーツですけど、考えなしに作った結果決められなくなってしまうとは…あはは
(考えなし……そういえばショウジさんって、どんな気持ちであないなガンプラ作ってはるんやろうか?)
思えばあの時聞いていなかった。
何故そんなガンプラを作ったのか。
何故そんな機体で世界大会に出場したのか
何でそこまでこだわるのか。
(……まっ!そこまで考えてはるとは思いませんけどね)
今日までのあの人の戦い方を見れば分かります。あの人はどないな機体でも【楽しんで戦ってはる】いうことが。
第2ピリオドのあの機体を見た時はあまり楽しんではるとは思いませんでしたが、第3、第4と試合を進めていく毎に、あの人達が如何にバトルを楽しんではるのかというのが見て取れました。
(多分ガンプラもそんな感じに気ままに作ってはるんでしょうね……気ままに楽しく…)
何かにこだわるのではなく、気ままに、楽しく………
「おっ!」
せや!閃きました!ワイも【気ままに心のままに】作れば良いだけですやんか!
「そうと決まれば!!」
名前はそうですね~……そのまんま【ガンダムX超絶魔王】とでもしましょうか!!
セイはん達、きっと驚くでしょうな!!
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SIDE アイラ・ユルキアイネン
「これが新しいガンプラだ」
ナイン・バルドが私の目の前に置いた1つのガンプラに視線を落とす。
一目見たイメージは以前まで使っていた【キュベレイパピヨン】を一回り大きくし、重装甲にした重量級のガンプラだ。
「【クシャトリヤ・モルフォン】。キュベレイパピヨンの戦闘データを反映してある。すぐに使いこなせるだろう」
「はい」
「すぐに慣熟訓練と調整を行う。準備しろアイラ」
「はい」
ナイン・バルドは私に背を向けると、実験室の方へと歩いて行った。私は置かれているクシャトリヤ・モルフォンを手に取る。
「………はぁ」
このタイミングでの機体変更。特に問題がある訳では無いが、調整と最適化を行わなければならないことが至極面倒臭い。
恐らくは例のファイター…チハ・ショウジと使用ガンプラが機体変更の理由なのだろう。動きに追いつけない、視えても追えない、勝てないかもしれないと思ったファイターである人物。私がそう告げた途端、ナイン・バルドは大慌てでこの機体を用意した。
急造したガンプラとはいえ、カタログスペック上の性能はパピヨンを上回り、エンポティシステムとの同調性能も強化されているらしい。つまりは【このガンプラであればチハ・ショウジに勝てる】ということなのだろう。
しかし、私にはチハ・ショウジより気になっている相手がいる。
「……レイジ」
あの赤い髪のファイター。レセプションパーティーの一件で出会い、その後も度々鉢合わせるファイター。ある時は口論し、ある時は助けてくれたり、肉まん渡してくれたり……短期間の出来事だというのに、気が付けば彼が頭の中から離れないほど大きな存在になってしまっていた。
「このままいけば…いつかはレイジ達とも戦うことになる……」
もしその時がくればどうすれば良いだろうか?
私はレイジ達に勝てる?
私の力があれば勝てるだろう。
……勝った時は?
もうレイジ達と話すことも会うことも…
もしそうなったら…私は……私は………
「アイラ!!何をしている!!」
「っ!?」
「準備しろと言っただろう!早くしろ!!」
「は、はいっ!」
再び現れたナイン・バルドの声に大慌てでスーツに着替え始める。
……とにかく、今は勝たないと。
戦って勝ち続けないと……居場所が無くなっちゃうから。
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SIDE メイジン・カワグチ
「用意が出来たよ、タツヤ」
「無理を言ってすまない、アラン」
無理を言って用意してもらったことを謝罪し、アランが渡してくれたアタッシュケースを受け取る。
「良いさ。君がこれをすぐ用意してくれだなんて、よほどのことがあったに違いないと思ったからね」
「アラン…恩に着る」
「タツヤ、その機体についてなんだが」
「ああ、承知している」
アタッシュケースを開けると、そこには1体のガンプラが
「…【ガンダムアメイジングエクシア】!」
「GNソードとシールドの最低限は用意したが、それ以上は間に合わなくてね」
「十分だ。ありがとう」
申し訳なさそうに言うアランだが、十分以上の成果だ。パーツ状態からの制作を覚悟していただけに、この短期間にここまで仕上げてくれたアランには感謝しかない。
「では、早速始めるとしよう」
「始める…?まさか…」
「ああ」
驚いた様子のアランに私は部屋の片隅から2つのガンプラの箱を取り出し、それを見せつける。
「この機体を…私色に染め上げる!!」
「あ、【アストレアTypeF2】に【アヴァランチエクシア】……っ!?」
「機体構想も既に固まっている。決勝トーナメント第2回戦までには間に合わせるぞ!」
さしずめ、【アメイジングエクシアType3A】とでも仮称しようか。
「手伝えアラン!ケンプファーアメイジングはもう調整を終えているのだろう?」
「ああ!もちろんだ!」
恐らくイオリ君、ヤサカ少年、そしてリカルド・フェリーニも私と同じように新機体や更なる改造を施した機体を用意しているだろう。
だからこそ、私も負けるわけにはいかないのだ!!メイジンとしてだけではなく、1人のファイターとして!!
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SIDE レイジ
「レイジ、2000番の紙ヤスリをお願い」
「おう」
「レイジ、そっちは今どんな感じ?」
「ああ、こんな感じだ!」
「…うん!次はこのライフルをお願い!」
「任せろ!」
セイに1つ1つ確認してもらいながら、俺は頼まれている【新装備の制作】を少しずつ進めていく。作業を始めた時は求められる精密さと正確さに驚いちまったが、セイの指導のお陰もあって何とか出来るようになってきたぜ。
「それにしてもセイ。こんなペースで次の試合に間に合うのかよ?」
「いや、間に合わないよ」
「なっ、間に合わないってどういうことだよ!」
「いくらレイジが手伝ってくれてるっていっても、これは2日や3日で完成できるようなものじゃないよ」
作業を続けたまま当然のように話すセイ。俺は作業を忘れ、セイに詰め寄る。
「良いのかよセイ!?次の相手はフェリーニなんだぞ!?」
次の試合は1対1のタイマンバトル。しかもその相手はあのフェリーニの野郎だってのに新装備が間に合わないってのはヤベェじゃねぇのかよ!?
「だからこそだよ、レイジ」
「どういうことだよ…?」
スタービルドストライク用の【新パーツ】制作を続けながらセイは答えた。
「僕達もフェリーニさんも既に決勝トーナメントに進出は確定してる。でも、必ず勝たないといけない訳じゃないから、新装備の完成は間に合わなくても良いんだ」
「でもよっ!それじゃあ明後日の試合は全力で戦うなって言う気かよセイ!」
あくまで決勝トーナメントで戦えばいい。次の試合は消化試合なのだとセイは言っているようだった。折角のフェリーニとのバトルだってのに、そんなことをしろって言うのかよ!?
「違うよ、レイジ」
「…?」
セイが作業の手を止め、俺を真っ直ぐ見る。そして、改修中のスタービルドストライクを見せる。
「僕達はこの予選ピリオドの中でスタービルドストライクの性能を見せ過ぎてしまったと思うんだ」
そう言われ、気付く。俺達は決勝トーナメントへ上り詰めるまでにアブソーブシールドやディスチャージシステムだけでなく、奥の手として用意していたRGシステムまで出してしまった。
「世界の舞台は本当に凄い。たった1度の攻防でアブソーブシールドの性能や弱点を見破られるんだから」
そう話すセイの表情はとても苦々しいものだった。『僕の力不足で』と訴えるような悔しさが滲み出ているようにさえ見える程に。
「だから、次の試合までに完成が間に合わなくたっていい。これは、決勝トーナメントで勝ち進んでいくための布石なんだ」
「セイ……ああ、分かったぜ」
ただがむしゃらに戦うだけじゃねぇ。セイが作ったガンプラを、スタービルドストライクの【全力】を俺が発揮するんだ。
そうじゃねぇと、あいつ等に真っ向から勝つどころか張りあえねぇからな。
「レイジ。フェリーニさんのウイングガンダムフェニーチェにはスタービルドストライクで勝つよ!お互い勝ち進むことは決まってるからって、負けるわけにはいかない!」
「当然だぜ!前哨戦だろうがなんだろうがバトルはバトルだ!!」
「ああ!!」
セイが掲げた拳に己の拳を打ち合わせる。例え手の内を見られていようがフェリーニの野郎に負けるわけじゃねえ。この試合に勝って、決勝トーナメントでも勝ち上がるってことをあの野郎に見せつけてやる!
「ところでセイ。新しいビルドストライクの名前はどうすんだ?」
「……
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SIDE マリオ・レナート
「おいおい!?どうすんだよ兄貴!?」
マリオが狼狽えた様子で俺に叫ぶ。焦る気持ちは分かるが、少しは落ち着け。戦場でもその様子では、足を掬われるぞ。
「俺達はもう1回も負けられないんだぜ兄貴!?それなのによりにもよってあの女が相手なんて…!」
「静かにしろフリオ。気が散る」
「だけどよ兄貴!!」
フリオの焦りも当然だ。危険な状態であることは確かなのだから。
我々は現在1敗でチハ・ショウジも1敗。現在の状況を見るに次の試合で勝った方が予選ピリオドを通過、決勝トーナメントに進出することが出来る。
…敗北は許されない。なんとしても勝たなければならない状況だ。
「…フリオ、奴のスレッドはどんな状態だ」
「お?ちょっと待て……丁度あの女が戻ってきたようだぜ!」
「よし、フリオはそのままスレッドを監視。機体安価にはシャルドール・アヤトに投票だ」
「ああ、了解だぜ兄貴!」
作業を続けながらフリオに指示を出す。今思えば、チハ・ショウジのスレッドを特定しておいて正解だった。次にどの機体を使うか、どんな戦法を取るのかを事前に知ることが出来る。…もっとも、それを対処できるかどうかは別問題だが。
(…最悪のシナリオは当日の機体にバーサルが選ばれた場合だな)
最も性能が突出していないシャルドールを選択してほしいところだが、選出方法が安価である以上予想は困難。…最悪を想定し、現状にできる最善の準備を備えておく必要がある。
(…こいつは決勝トーナメントまで温存しておきたかったが…仕方ない。プラン変更だ)
机に置かれている1体のガンプラ【ジムスナイパーK9】へ視線を移す。
こいつは元々、決勝トーナメントでチハ・ショウジ以外のファイターを想定して制作した機体だ。チハ・ショウジ対策の機体は制作していたが、現状では間に合わないだろう。
…苦肉の策ではあるが、この機体と既に完成しているパーツを使い対応するしかないか。
「フリオ。奴の機体が確定次第手伝え。明後日までには仕上げるぞ」
「いくら兄貴でも今から明後日までには間に合わないんじゃ…!」
「問題ない。ベースに【K9】、後は【左腕】と【バックパック】で対応させる」
本来であればチハ・ショウジが使う各機体毎に対策可能なガンプラを制作するが、今からそれら全てを完成させるには時間が足りない。
組み上げや試験稼働が間に合わない新機体の制作に時間を割くより、既に完成しているパーツを使い【対チハ・ショウジ用機体】をK9ベースに改修することが最善だろう。
戦場で現地改修や急造、修復はつきものだ。その上で戦果を上げられる機体を作りあげることが重要と言える。
(プラン外の改修だ。機体名は…【ジムスナイパー改K9γ仕様】とでもしておくか)
ケースに収納してある【対チハ・ショウジ用機体】のパーツを取り出していく。
対ロードバーサル機体用【巨大なクロスボウ型の兵器】
対キルドルブ機体用【白を基調に金の差し色の騎士風の腕】
対ガイアライガー機体用【黄色の大型ブレードが内蔵された腕】
対シャルドール機体用【巨大なクローが付いた漆黒の腕】
……さあ、どう来る?チハ・ショウジ。
レナート兄弟のは元ネタがあったりなかったりします。
一番上だけ滅茶苦茶分かり易いっすね…(遠い目)
イッチ作を始めとした機体解説の掲載場所(改定)
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イッチが掲示板内で解説(セイ君並感)
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作者が後書きにて解説(次回予告並感)
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作者が活動報告にて解説(説明書並感)
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(そもそもいら)ないです