【安価】安価の機体でガンプラバトル大会に参加する【安価】 作:ダイハイト
戦闘描写不得意なのでお兄さん許して…許して…
『
ガンプラバトルの筐体を挟む形で2人の人物が対峙する。
「そういえば名前を聞いていなかったな。名は何という?」
1人は彩斗商店街の代表者、マツムラ・セイジの旧友。自称35歳の男性【ラル】
「ショウジ。チハ・ショウジといいます。改めて今日はよろしくお願いします」
もう1人はSDガンダムフォースのキャラクター、翼の騎士ゼロの格好をした青年【ショウジ】
2人を見守るのは商店街の代表であるセイジ、この店の店長であるアディ、それと2人の観客。
「うむ……色々と言いたいことはあるが、それはこのバトルを終えてからにするぞショウジ少年」
「ええ、分かりました」
2人はお互いに手にしていた小型端末【GPベース】を接続。ファイターを認識し、バトルシステムが起動していく。
『
筐体から特殊な微細粒子【プラフスキー粒子】散布、展開される。
筐体内には疑似的な戦場を、ファイターの周りにはコクピットエリアが構築される。
『
広がったのは荒れ果てた砂地が広がる砂漠。やや薄暗く設定されたフィールド照度が廃れた雰囲気を更に醸し出しているバトルフィールドだ。
『
バトルフィールド、コクピットスケールの展開を確認した両者は、各々が操る【ガンプラ】をGPベース上のカタパルトエリアにセットする。
「この機体は久しぶりに使うが…頼んだぞ」
ラルがセットしたガンプラは【HGUC グフ】。目立った改造は施されていないが、可動域拡大及び徹底的な細部処理、設定画に忠実な塗装を施した、基本ながらも完成度が極めて高い機体。
(…しまった。ショウジ少年のガンプラを見損ねていた)
と、このタイミングでラルはショウジのガンプラを予め見ていなかったことに気付く。初対面(着ぐるみ)の印象が途轍もないほど強く、挨拶もそこそこにバトルを始めてしまったのだ。
セットされたグフにプラフスキー粒子が散布され、樹脂の塊に命が吹き込まれる。メインカメラが起動し、モノアイが低い起動音を上げて、淡いピンク色に輝く。
(仮にも大会優勝者、油断は出来ない…!)
グフがカタパルトエリアに送られ、操縦に必要な計器表示、スクリーン、アームレイカーがコクピット内に展開。それらを確認すると共にレイカーを握り、いよいよ発進する。
『
「ラル。グフ、出るぞ!!」
電磁カタパルトが解き放たれ、急加速を伴いながらグフが射出される。
もしこの前にラルがショウジのガンプラを見ていたのなら、ラルはためらいもなくケースに入っている要撃爆撃機【ドダイYS】を使用していただろう。
『ガイアライガーRS、チハ・ショウジ……GO!ライガーッ!!』
異様なそのガンプラの発進と彼の掛け声は外野にしか見ることも聞くことも出来なかった。
イッチそれガンダムちゃう。新世紀/0や(応援金髪少女並感)
砂地へと着地したグフはすぐさま稜線の影に身を潜められるポイントに機体を移動させた。ショウジのガンプラが射撃特化型の場合なら身を隠せるし、格闘型であっても直ぐには察知されない戦術である。
(さて、どう出てくるショウジ少年?)
不本意ながら、この砂漠のバトルフィールドはラルの―――というより、グフが得意とする戦場の1つである。稜線こそあるものの視界は開けており、飛んでくる超長距離射撃は影に隠れて防御、であれば近、中距離によるクロスレンジの戦闘が主となるが、その点においてグフは優れていると言えるガンプラだ。
(狙撃の気配は無し、誘導兵器の類も来ないことから、ショウジ少年の)
そこまで思考を動かしたタイミングでラルのコクピットに警報が鳴り響いた。センサーに感あり、高速で接近する物体を捕捉。
「いきなり仕掛けてくるとは!!」
稜線からメインカメラだけを覗かせ、接近してくる物体を確認する。
「…なにっ!?」
これでも歴戦のファイターであったラルの思考が一瞬だけ、それでも確実に硬直した。その隙を突くかのように接近してくる相手は
「しまったっ!!」
止まっていた思考をすぐさま切り替え、半ば反射的に機体を動かしてビームを回避する。僅かに遅かった為か、3条のビームの内1発はメインカメラを掠ったが、幸いなことに損傷は起こらなかった。
そうしている間に接近してきた相手はグフが隠れる稜線を
「な、なんという…」
前脚をそれぞれタイミングをずらして着地、そのまま身を捻るようにして180°ターンして後ろ脚も着地。ラルのグフへ身体を向け、威嚇するように低く
『あのタイミングから避けますか』
開始から20秒、ラルが駆るグフとショウジが駆るガイアライガーRSが初めて相対した瞬間であった。
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SIDE ラル
絶好の攻撃タイミングをみすみす見逃してしまったことと、先の攻撃を辛くも回避できたことをまずは頭の中で整理した。
「しかし…あの機体は……!?」
一見するだけでも頭部形状、右肩部に搭載されたビームライフルの形状から【HG ガイアガンダム】の改造機であることを見極める。が、背部に積み込むかのように搭載された大型ブースターユニットと、そこからサブアームで伸びる2対のビーム砲内蔵のシールドと思しき装備。左肩に懸架された大型のビーム砲と、装備面では原型機の面影を残していない。
何より、四肢周りの構造が異常だ。陸上動物の動きを再現したのであろう関節構造と接地する爪。ただの装甲形状であったMA形態の顔となる箇所に口部と牙を追加。尾部からはリード線が伸び、先端には巨大な剣状のパーツがふよふよと揺らめいている。
(
機体コンセプトを断定し、即座に行動を始める。左腕のフィンガーバルカンを構え、牽制程度にばら撒く形で発砲する。
すると、ガイア(仮称)は跳ぶことも地面を蹴ることもなく―――
イヌ及びネコ科などが行う、四肢を折り畳んで腹部をペッタリと地面へ付ける行為……それを相手は当然のようにやってのけた。元々全高が低い機体が更に低い姿勢を取り、放ったバルカンはガイア(仮称)の頭上を通り過ぎる。
『今っ!!』
伏せたガイア(仮称)がその体勢のまま地面を蹴った。クラウチングスタートの要領で砂を蹴り、おおよそ機動兵器の初速とは思えない速度で一気に接近し―――てくるのかと思えばワシの横を通り過ぎ、背後を取ってきた。
「やらせると思ったか!!」
そのくらいならば想定内。左腕を即座に後方へ向け、ガイア(仮称)が向き直った場所へ構える。が、僅かに遅かったのか既に相手は左肩のビーム砲を発射していた。
白銀の光線が放たれる。一瞬の躊躇いも許されないと判断し構えを解いて即座にそれを回避ではなくシールドで防御する。シールドにビームが命中したものの防ぐことができ―――たかと思ったのだが様子が可笑しい。
「コイツは…!!」
【シールドが凍り付いていた】。正確にはシールドと余波に巻き込まれたであろう左のフィンガーバルカンごとマニピュレータまでもが凍り付き、機能を停止させられていた。
(【冷凍ビーム】…!?どこからそんな発想が…)
想定外の装備にまたも思考が停止しかかるが、2度も同じ過ちを、ましてや思考まで凍り付かせるわけにはいかない。冷凍ビームを放った敵機は次は尾部の縦横無尽に動くブレードを差し向けてきた。
飛来するブレードをまずはシールドで弾き、次に右腕のヒートロッドを展開して再び迫るブレードを薙ぎ払う。2回、弾き飛ばした時点でガイア(仮称)はテイルブレードの攻撃を継続したままライフル含む3門のビーム砲、先の冷凍ビームまでもをワシへ放ってきた。
「なんの…でやあああああ!!」
だがワシとて並大抵のファイターではない。迫り来るテイルブレードは引き続き打ち払いながら、冷凍ビームは避け、ビームは積極的にシールドで防御していく。
そうしていれば、凍っていたシールドとマニピュレータが解けていく。程なく左腕の機能が復旧するとすぐにバルカンをばら撒いてガイアの動きを止めさせる。
流石に無理と判断したのか、ガイア(仮称)はその場から跳び退いてバルカンを回避する。そうして再びグフとショウジ少年の機体は相対することなった。
「…驚いたよ。まさかそんな機体を使うファイターが居たとは」
『私もです。今の猛攻を平然と往なすファイターが居るなんて』
通信ウィンドにショウジ少年の顔……ではないのだが、回線が開いて言葉を交わす。少年の様子を見るに今までのがジャブなのだろう。まだまだ手の内は多いとみる。
「聞いても良いかな?そのガンプラの名前を」
『…ガイアライガー
ガイアライガー……ん?ライガー?何処かで聞き覚えがあるのと同時にそんな名のモチーフになりそうな機体がガンプラとしてあったか?と考えかけたが、今はバトルの最中。油断することは一切できない。
「良い名だな、気に入った。では次は此方から行くぞショウジ少年よ!!」
『ええ!掛かって来てください!!行くぞライガー!!』
少年の言葉に呼応するようにガイアライガーRSが吠えた……態々操作しているのか?
兎も角、ワシはヒートロッドを格納してヒートソードを引き抜き、構えた体勢のまま一気に突っ込んでいった。
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SIDE ティファナ・アディ
今日のショウジ君の服装には久しぶりに驚いた。いつも何かしらのコスプレ…たまに何の変哲もない服装(でもコスプレ)だったりするけどとにかく何かしらはコスしている彼がまさか着ぐるみを、それもこんなある種大事な日に着てくるなんて思いもしなかった。
(この間の鉄仮面といい、いつも何考えて着てるんだろ…)
でも、今目の前であのラルさんと戦っているガンプラには更に驚いた。この間の大会の時に使用した機体――【キルドルブ】も頭おかしい(小並感)と思う機体だったのに、今回のガンプラ【ガイアライガーRS】はそれ以上にBAND〇Iに喧嘩売っ……いや、ガンプラとしてあまりに特異な機体であった。
『でえええええいっ!!!』
『はあああああぁっ!!!』
2機のガンプラが再び激突する。ラルさんの駆るグフがガイアライガーRSの側面を取ったかと思ったら、ライガーが背負う片方のサブアーム先のシールドから大型の鋏が出現し、グフの動きに先んじてヒートソードを掴み取る。更に胴体を傾け、反対側のサブアームと大型クローをグフへ放とうとするが、それは許されないようでグフはシールドでライガーを殴りつけて吹き飛ばし、その反動で自身もライガーから距離を取る……もうライガーで良いか(諦観)
「ラル大尉と、拮抗……いや、少し押されているか……だが…!?」
マツムラさんは目の前のバトルを信じられないような目で見つめている。それもそうだろう、いくらラルさんの本気、青い巨星の代名詞でもある機体【グフR35】ではないとはいえ、力を入れているあのラルさん相手に食らいついている……ように見える。(実際は初見殺しで押し切ってるだけな気がするけど)
(まあ私はあのライガーの動きにドン引きなんだけどね…)
丁度ライガーがグフのバルカン斉射を回避しているのだが、地を蹴る四肢の動き、尻尾をカウンターウェイトにしての疾走、身を捩りながら旋回や転回を行う挙動。全ての動きが機械らしくない…ようは生々しく動いているのだ。
機械ほど精密ではなく、それでも機械なのだから正確な挙動という矛盾する動きにコンピューターの予測射撃は困難だろう。ハッキリ言って完成度が異常だ、どれだけ手を込んだのだろうか。
「「……」」
一方で、マツムラさんの隣で観戦している2人……彼ら曰くショウジ君の知り合いとのことらしいが、何処で知り合ったのだろうか?バトルの光景を見ても特に驚いた様子もなく、寧ろ先の冷凍ビームや大型クローを使った時は金髪女の子の方はワクワクした様子で目を輝かせているし。初老男性の方もショウジ君の戦い方に相槌を打ちながら、手にしているメモに何かを書き記している。
『でいやああっ!!』
『っ!?!?』
そうしている間に戦いに大きな動きがあった。ラルさんがライガーの大型クローの1つを切り落としたのだ。切り落とされた鋏は宙を舞い、やがて刃を地面に突き立てるようにして落下した。これにはショウジ君も焦ったようで一度距離を取るように後退する。ラルさんも深追いはしないようで、ただヒートソードを構えたままだ。
『今のは迂闊だったな少年!!』
『参ったなぁ……ちっ』
よく見ればラルさんのグフは特に大きな損傷は見受けられない。盾が傷だらけでヒートソードも先端部が欠けているが、それだけだった。対してライガーの方は尻尾の剣が半壊、エク…大型クローは片方が脱落、冷凍砲は健在だがビームライフルも失っている。流石ラルさんだ。
『どうする?まだ続けるかね?』
『当たり前でしょう……それに』
そう呟いた瞬間、ライガーの首元にあったパーツが淡い光を放った。
『まだ手の内はあるんですからっ!!』
直後、そのパーツ…え?首輪?首輪と思しきパーツから何かが放たれる。尻尾の挙動よりも速く、並みのビームよりも速く瞬いたそれはグフに向かって行き、一瞬の内に右足に命中した。
「大尉っ!?」
「ラルさん!?」
「「……!」」
それはビーム射撃でも冷凍ビームでもなく……
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SIDE ラル
またしても不意打ちに近い攻撃、それもあろうことか直撃を受けた筈のグフに損傷は無かった。その代わり、右足に巻き付けられるようにビームの…鎖が絡みつき、その先はガイアライガーRSの首輪に繋がっていた。
「な、何のつもりだ少」
とまで言いかけた辺りでガイアは
「っ!?!??!?」
慌てて鎖を切ろうとしたが遅かった。ガイアライガーRSが走り出したことで鎖が引っ張られ、そのままワシは足を取られてしまった。盛大にバランスを崩してランドセルから砂地に倒れ、更にはそのまま引き摺られ始めたのだ。
「ぬおおおおおおっ!?!?!?」
擦れる、擦れる、擦れる。市中引き回しの刑を思わせる光景のままグフが引き摺られていく。ガンプラ1機を引き摺っている筈だというのにガイアライガーRSの速度は一切落ちる様子もなく、その馬力のままに砂漠を爆走する。
何とか脱出しなければ。再度ヒートソードで鎖を切ろうと右手を振りかぶるが、そのタイミングで稜線の段差に右腕が激突し、あろうことかヒートソードを落としてしまった。
「ええいっ!まだだっ!!」
ならば本体だとフィンガーバルカンをガイアライガーRSに向けて放つが、仰向けの体勢、片足が取られアンバランスな状態、引き摺られている障害など、とてもではないが狙いが付けられずに当てられない。
そうしている間にも引き摺られているグフはダメージを負い続ける。砂漠という砂地のお陰でまだマシだが、既にランドセルはスラスター含め破損、右足の付け根も引っ張り続けられている所為で負荷が掛かり、いつ根元からちぎれても可笑しくない。
バキッ!
それどころか、実際に折れてしまった。右足は根元からガイアライガーRSに持っていかれ、背部スラスタ―も動かない為、そのまま砂漠に身を転がす形となった。
「…ふっ、まさかな。ワシがこんな攻撃にしてやられるとは」
優位だったはずが一瞬にして形勢逆転、圧倒的不利な状況へ。両腕で上半身を起こし、遠方を見据える。あの首輪は解除したのだろう。いつの間にか上ってきた砂漠の朝日を背に、四つ足の機体が此方へ向けて駆けてくる。
(成程……アディ嬢が目を付けるだけはある)
奇策とはいえ、ワシを相手に拮抗どころか優位に立てるだけの実力。あまりに奇抜な発想を武装へ落とし込めるだけの技術。マツムラには彼がこの商店街の名を背負うに十分な実力者なのかを見定めて欲しいと頼まれた。
十分だ。彼には戦う力も、創り出す力も十分過ぎるほどにある。これだけの人物であれば多くの人の想いや期待を背負っても戦って行けるだろう。
(もしかしたら、もう背負っているのかもしれないがな)
だが、それとこのバトルの勝敗は別だ。グフの上半身を起き上がらせ、右手で支えたままフィンガーバルカンで接近してくるガイアライガーRSを撃つ。
『これで終わりです!ラルさん!!』
「こい少年!!受けて立とう!!!」
ガイアライガーRSが吠える。走る挙動が段々と速くなり、前脚の爪―――特に
加速をつけ、右前脚の輝きが最高潮になった時、ガイアライガーRSは空高く跳んだ。その前脚を大きく振りかぶって。
『食らえっ!!【ストライクレーザークロー】ッ!!!』
「負けぬわっ!!小僧っ!!!」
ガイアの右爪が迫り来る。フィンガーバルカンが狙いを定め火を噴く――――――――――
『Battle Ended』
最後まで見せない構図
イッチ作を始めとした機体解説の掲載場所(改定)
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イッチが掲示板内で解説(セイ君並感)
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作者が後書きにて解説(次回予告並感)
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作者が活動報告にて解説(説明書並感)
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(そもそもいら)ないです