モンスターハンター 黎明期   作:マキシマムダンガル

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第一話 夜明け前

ある日、無敵のハンターと呼ばれた男の訃報が知らされた

最強無敗とも呼ばれ、全ハンターの目標であり

憧れでもあった

 

しかし、そのハンターがクエスト中に亡くなった

しかも、追い討ちをかけるように

彼の遺体は見つかっていない

彼が使っていた大剣が発見され

周辺を長期間探索したが腕の一本も見つからなかった

 

 

ギルド全体が落ち込むなか

一人の少女だけが、懸命にそのハンターを探し続けた

 

その者の名は「ジャック」

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

十年前 ココット村

 

そこには無敵のハンターと呼ばれる前の

ジャックの姿があった

 

フィールド 森丘

 

草木の生い茂る森の中で彼はあるモノを探して歩き回っていた

 

「ふぅ、これだけあれば大丈夫だ」

 

彼のバッグの中にこれ以上は入りきらない位の量の特産キノコが入っている

彼の探し物は特産キノコだった

 

「さてと、そろそろ帰ろう」

 

ジャックは荷物を抱えてキャンプに戻る途中

アプトノスの群れがいるところを横切り帰ろうとしていると

川の方にアプトノスが異常に集っていることに気づく

 

「何だあれ?」

 

ジャックは奇妙に思い

近づいてみるとアプトノス達が何かを舐めていることに気づき

さらに近づくとその舐めているものは傷だらけの少女であった

 

「な、えっ!?」

 

少し焦りつつもアプトノス達を追い払い少女を抱えてキャンプに走って行った

そして、キノコを納品した後大忙しでココット村へ向かった

 

 

 

 

 

ココット村

 

ココット村には昔ギルド本営により設立された集会場があるが

今は凶暴なモンスターが現れなくなったため

本来の使い方ではなく、医療施設や商業施設として使われている

 

ココット村 集会場内 医務室

 

「へクター先生!」

 

ジャックが勢いよく扉を開き医者の名前を叫んだ

 

「何にゃ何にゃ、騒々しい」

 

部屋の奥から白衣を着たアイルーが出てきた

 

「先生、ち、ち、ち、治療を!」

 

ジャックの切羽詰まる表情を見て

へクターはナースを呼び治療室へ運んでいった

 

「少し待ってろにゃ

 安心しにゃ、わし失敗しないにゃ」

 

へクターはそう言って治療室へ入って行った

 

 

 

しばらくして、ジャックが心配そうに座っているところに

へクターがやって来た

 

「ジャック、終わったにゃ」

 

「せ、先生!あの子は!?」

 

ジャックは心配そうな顔でへクターの肩を揺すった

 

「あ、安心するにゃ・・・

 見た目に反して傷は浅かったにゃ

 しばらく、安静にしてちゃんとご飯を食べたらすぐよくなるにゃ」

 

「よ、良かったぁ」

 

胸をなで下ろし表情を緩めるジャックに

へクターは煙管を加えながら

 

「さて、少しクエストに出てもらうにゃ」

 

「クエスト?何を?」

 

「薬草とハチミツを採ってきて欲しいにゃ」

 

「何でおらが」

 

「あの子を治療するのに結構な量を使ったにゃ

 これ以降の治療にもたくさん必要にゃ」

 

「だったら、ギルドに申請すればいいんじゃあ」

 

「それでも問題にゃいんだが

 そうなると届くまで随分時間が掛かるにゃ

 その間に状態が悪くなったら大変にゃ」

 

「むぅ、んじゃあ分かった

 早速行ってくる

 村長には・・・」

 

「わしが伝えておくにゃ」

 

ジャックは一度荷物を取りに家に戻り

すぐさま森丘まで向かった

 

 

 

 

 

 

 

 

森丘

 

また、草の生い茂る中

ジャックはゴソゴソと薬草やハチミツを採取していた

森丘には多少の肉食獣はいるが

余程危険なモンスターは生息していないため

ギルドからココット村へ帰ってきた老年ハンターが

安全にハンター稼業を続ける場所としても有名である

 

「ふぅ、流石にこれ以上採ったら種が絶えちまう」

 

ジャックは立ち上がり伸びをしながら腰を叩いていると

頭上から押し潰されそうなほどの威圧感が降ってきた

 

「っ!」

 

誰であろうと気づいてしまうほどの強い殺気と威圧感に

ジャックは一瞬硬直してしまうが

すぐに正気に戻り背の高い草むらの中に体を隠した

隠れて身を潜め息を殺していると

竜巻のような程の風圧が辺りに吹き荒れ

それと同時に草木を枯らすような強烈な殺気を放つリオレイアが姿を現した

 

ジャックは声を上げそうになるのを口を手で押さえて堪え様子を伺った

リオレイアは周辺を何かを探すように歩き回りながら匂いを嗅ぎ回っている

恐らく子どもを探しているのだろうとジャックは予想したが

リオレイアが異常なまでに傷付いているのに気が付いた

 

しかし、1番の疑問はこんな場所になぜリオレイアがやって来たのかである

十数年前までは飛龍の巣が在ったためリオレウスが飛んでくることもあったが

数年前の大規模作戦の時に飛龍の巣を破壊し危険なモンスターは殆ど姿を消したはず

しかも、目視できるぶんにはあの傷はハンターの攻撃によるものではない

おそらくはモンスター同士の縄張り争いで付いた傷だとわかる

 

そんなことを考えながら身を潜めていると

リオレイアはどこか悲しそうな顔で飛び去っていった

ジャックは勢いよく立ち上がり呼吸を整え走ってキャンプまで向かった

 

その道中である

少女を見つけたアプトノスの群れがいるところを通ろうとすると

そこになぜかリオレイアがいたのだ

リオレイアは基本的に自分の縄張りの周辺にしかいないため

ここまで降りてくるなんてことは無いはずである

しかし、今目の前にそのリオレウスの姿があるのである

ジャックは息を潜め身をかがめてバレないように進んだ

 

しかし、突如リオレイアが振り返りジャックを睨んだ

ジャックはリオレイアの殺気立った目に恐怖のあまり動けなくなった

リオレイアはジャックの元まで行き匂いをかぎ始めた

すると、リオレイアは何かを感じたのか一瞬動きを止めるが

すぐに悲しそうな目をして飛び去ってしまった

ジャックは何が起きたのか理解できずしばらくの間呆然としていた

 

しばらくして、ジャックは我に返り急いでキャンプへ行き納品を終え

急いでココット村へ戻った

 

 

 

 

 

 

 

 

ココット村 (ジャックが森丘に出て数分後)

 

謎の少女が目を覚ますと

目の前にはなぜかアイルーの顔があった

 

「キャッ!」

 

少女が悲鳴を上げると目の前のアイルーも飛び上がりベッドから転げ落ちた

 

「にゃにゃ~、急に大声を上げないで欲しいですにゃ」

 

ナースのような服を着たアイルーは頭をさすりながら起き上がった

 

「あ、あなたは・・・」

 

「私ですかにゃ?

 私はここで看護長をしています

 ニャイチンゲールともうしますにゃ」

 

ナース服を整えながら深々と頭を下げた

 

「こ、ここは?」

 

「ここは集会場内にある治療施設ですにゃ

 ちょっと待つにゃ、今先生を呼ぶにゃ」

 

ニャイチンゲールはそう言って部屋を出て行き

少し経って白衣を着たアイルーが入ってきた

 

「あ、あなたが先生ですか?」

 

少女は恐る恐る声を掛けると

口にくわえた煙管を右手に持ち煙を吐くと

 

「そうだにゃ

 その様子だと特に異常はなさそうだにゃ」

 

「えっと、ありがとうございます」

 

「うむ、ちゃんと礼が言えるのは良いことだにゃ

 して、お嬢ちゃんは何ていうのにゃ?」

 

少女は少し躊躇いながら

 

「れ、レイアと言います・・・」

 

へクターはカルテのようなものに少女の名前を書き綴った

 

「お嬢ちゃんはどこの村出身だにゃ?

 ギルドに連絡して送ってやるにゃ」

 

へクターはカルテを片手にレイアにそう言うと

急にレイアが大きな声で

 

「や、やめて!」

 

突然大きな声を出されてへクターは少し驚くが

すぐに落ち着いた口調で

 

「まぁ、人間誰にでもそういうのはあるにゃ

 しばらくは安静にしているにゃ

 安心しにゃ村長にもそう伝えておくにゃ」

 

へクターはそう言い残してレイアの病室から出て行った

 

 

 

 

そして、しばらくして

へクターがジャックの帰りが遅いため集会場の外に置いてあるテーブル席で

飲み物を飲んでいると

そこにやっとジャックがやって来た

がしかし、その表情は真っ青であった

 

 

「な、どうしたにゃ顔が真っ青だにゃ」

 

「い、いや、何でも無いよ

 そ、それより薬草とハチミツ」

 

どうみても何でも無いようには見えない表情で

パンパンに詰め込まれた薬草とハチミツをへクターに手渡した

 

「まぁ、深くは詮索しにゃいけど

 そうそう、あの子目を覚ましたにゃ

 顔だけでも出してやるにゃ」

 

「そ、そうだな、少し休んでから行く」

 

そう言ってジャックは真っ青な顔で自宅へ帰っていった

 

「ふむ、にゃんだかきな臭くなってきたにゃ」




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