ジャックは青ざめた顔で自室のベッドで寝転がっていた
あそこまでの恐怖は生きてきた中でも随一である
ジャックはとにかく忘れようと思うが
とてつもない殺気に当てられたせいか
まるで走馬燈のように脳裏に焼き付いて離れない
その時、厨房の方から声が聞こえてきた
「ご主人、大丈夫ですかにゃ?」
厨房から出てきたのは
ジャックの専属のコックアイルーである
コックニャワサキである
「軽食を作りましたニャ
何か食べれば少しは気が紛れますニャ」
コックニャワサキはテーブルに軽食を置いてジャックに食べるように促した
「そうだな、少しくらい食べておくよ
ありがとう」
ジャックは苦笑いをしながらそう言って
机の上にある軽食を一口、口に付けると
自宅の扉が開いた
「ん?」
扉の方へ顔を向けるとそこには病室にいるはずの少女がいた
「えっ!?」
「あの、ジャックさん・・・ですよね?」
「あ、ちょっ、ゲホッ!」
ジャックは突然のことでむせてしまった
「き、君、たしかまだ病室に・・・」
「少し横になっていたら随分良くなってお医者様から
もう出歩いても大丈夫だろうと」
「そ、そうなんだ、よかった」
ジャックは食べていたものを皿に戻し立ち上がった
すると、へクターがレイアと共に入ってきた
「へクター先生、どうしたんで?」
「お嬢ちゃん、いや、レイアが迷子になってないか少し気になってにゃ」
「レイア?この子の名前かい?」
「は、はい、レイアって言います
あの、助けて頂きありがとうございます」
レイアは深々と礼をすると
「そ、それでは」
そう言って足早に去って行こうとする
「ちょ、ちょっと、君家はこの辺にあるの?」
「い、いえ・・・」
「だったら、しばらくはこの村でゆっくりするといい
集会場の中には宿泊施設もあるからそこで寝泊まりをして」
ジャックの提案に対して乗り気ではない表情で
「いえ、会わなければいけない人がいて・・・」
レイアがそう言って出ようとすると
「お嬢ちゃん待つにゃ」
へクターがレイアの前に立ちふさがった
「誰に会うのか分からにゃいが
この村を出るには通行手形が必要にゃ
お嬢ちゃんは持っているのかにゃ?」
「そ、それは・・・」
レイアは通行手形が必要なことを知らず困った表情をしている
恐らくどうしてもこの村を出なければいけないらしい
「よしわかった」
急にジャックが大きな声でそう言った
「おらがその人のところまで連れて行ってあげよう」
ジャックはさっきまで怯えていた事など忘れて胸を張りながらそう言った
「い、いいんです、一人で行けますから」
レイアは迷惑そうな顔をしているが
ジャックは必要に付いて行くと行って聞かなかった
その後、レイアは根負けしジャックを同行させてその人物に会いに行くことになった
ココット村 夜
殆どの村民が寝静まり外を出歩くものはいない深夜
そんな中を一人静かに村を出ようとする者の姿があった
それは、レイアだった
「ジャックさん、すみません
お世話になりました」
ジャックの家の前でそうつぶやくと
村を出ようと門の方へ振り返ると
「お嬢ちゃんも随分おいたが過ぎるにゃあ」
そこにはへクターの姿があった
「へ、へクターさん・・・」
「困るにゃあ、患者が勝手に出歩いちゃあ
そんなことをされたらうちの信用がガタ落ちにゃ」
へクターは煙管を一息吸い込み煙を吐き出した
「出て行くことは勝手にゃ
でも、こんな時間に出てモンスターに襲われたとあっちゃあ
あんた以外にもこの村全体にも悪影響にゃ
出るなら朝方の時間にするにゃ
それか、ジャックと出るかだにゃ」
レイアは意外にも大人しくへクターの言うとおりに病室へと戻っていった
「妙なガキだにゃ」
ココット村 早朝
ジャックはレイアを連れて村の外へ出るために準備をしていた
そんな所にレイアがやって来た
「ん?どうしたの?」
「じ、実は、外に出るのではなくて
森丘に向かって欲しいんです」
「森丘に?一体何で?」
「その・・・」
レイアはどうしても言いたくない様子でもじもじとしている
ジャックはその様子を見て
「よし、じゃあ、森丘に行こう」
「い、いいんですか?」
「でも、そうなると丸腰じゃ危険だから
何か装備が必要だな」
ジャックはそう言ってレイアを連れて
加工屋に向かった
「ここは?」
「ここは加工屋
武器や防具を作ってるれるんだ」
二人が話していると加工屋の主人が出てきた
「ん~、何ねこんな朝早くに」
「ドリアンさん、朝早くに申し訳ない
実はこの子に手頃な武器と防具を見繕って欲しいんだ」
ドリアンは寝ぼけ眼でレイアをつま先から頭のてっぺんまでを舐めるように見ると
「う~ん、この子だったら、ハンターシリーズとハンターナイフが1番かねぇ」
ドリアンはそう言うと店の奥に消えていき
すぐに装備を一式持って出てきた
「これなら、1800Gだね
ハンターナイフは負けといてやる」
「助かるよ
それじゃあ、これで」
ジャックはお金の入った袋を手渡すと
レイアに装備を一式渡して
「それじゃ、コレを着て
おらの家で着てくるとイイ」
「は、はい」
レイアはジャックの家に入っていった
すると、ドリアンが
「ジャック、あの子、もしかしてハンター認定証を持ってないね」
「ん?」
ドリアンが鋭い目つきでジャックに問いかけるが
ジャックは白々しい表情でとぼけた
「あんたがどうするかは自由だが
あの子を死なせるような真似はするなよ」
「安心してよ、おらはそんなに弱くないから」
「そう願うよ」
そうこうしているうちに
レイアが装備を着てやって来た
「それじゃあ、行こうか」
「はい」
森丘
昨日の一件でかなり警戒していたが
森丘は昨日とは打って変わってとても穏やかだった
「そういえば、その人とは何か約束をしているのかい?」
「え、えぇまぁ・・・」
二人は簡単な会話をしながら森丘を奥へ奥へと進んでいく
そんな道中でランポスの群れに出くわした
「なるほど、昨日のことが原因で降りてきたのかな」
「昨日?」
「いや、何でも無いよ」
ジャックはレイアの前に立ち
「下がってて」
そう言うと、ジャックは武器を構えずに前に進んだ
すると、ランポスの群れはジャックを取り囲んだ
「四体か、これ以上は増えなさそうだな」
ジャックは落ち着いた様子でランポス達を観察している
すると、一体のランポスが吠え
それに合わせるように残りの三体が一斉に飛びかかった
「ジャックさん!」
レイアが声を上げるが
ジャックは落ち着いて身構え
右から飛びかかってくるランポスの顔面を殴る
その腕をそのまま後ろに振り抜き裏拳の容量で
左から襲いかかるランポスを殴り飛ばした
そして、後ろから襲いかかってきたランポスには
裏拳とも言えない腕の振り抜き攻撃で殴り飛ばした
ランポス達は思いがけない攻撃で吹き飛ばされるが
流石にそれで死ぬことはないが
ジャックのとんでもない威力のパンチは
襲ってきたランポスの歯を折る程の威力で
あまりのことにランポス達は立ち上がるが
完全に怯えてしまいそのまま逃げて行ってしまった
「ふぅ、良かった」
レイアはハンターの戦い方を知らないが
その光景は誰が見ても異様であると分かる
「お、お強いんですね」
「まぁね、おらの師匠が無駄な殺生は好まない人だったから
さ、そんなことより進もうこのさきにいるのかな?」
「え、えぇ、恐らくではありますが」
「じゃあ、急がないと」
二人はまた進み出し森丘の奥へと入って行く
すると、奇妙な生物に遭遇した
「何だ?あの小さな飛龍?は」
「!」
そこには傷だらけの小さな飛龍がいた
ジャックは初めて見る小さな飛龍に対して不思議そうに見ているが
レイアは驚愕し走ってその小さな飛龍の元へ行き
「大丈夫!」
レイアは心配そうに駆け寄り声を掛ける
ジャックはレイアの態度に驚きつつもレイアの元に駆け寄る
「ど、どうしたの?」
「何があったの、こんなに傷だらけに・・・」
ジャックが声を掛けるも
レイアには届いていないのか一切反応を見せない
そんな時、何かの大きな羽音が聞こえてくる
「な、何だ!?」
「まさか、レア!」
レイアは上を見てそう言うが
上空から飛んでくるのは
「あ、あれはイャンクック!」
怪鳥と呼ばれるイャンクックが突如として現れた
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