シンフォギア世界とデュエルモンスターズ   作:乾燥海藻類

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サンジェルマンとデュエルする話

「つまり、重力子を使い異次元へと移動するのよ。すなわちデュエルの精霊たちの居る世界へ」

長々と説明されたことを纏めるとそういうことだった。デュエルエナジーを解析していたはずなのに、何故異世界に行くという論理にすり替わったのか、これが分からない。

分かることといえば、俺たちがこれから精霊の世界へ行く可能性があるということだ。

「それで私が呼ばれたということね」

いまいち納得していない表情でマリアさんが髪をかき上げた。

「でも面白そうです。異世界なんて」

いまいち事態を理解してない様子で響が軽口を零す。

そう、異世界に行くのはこの3人だ。ツヴァイウィングはアイドル活動で忙しいし、司令たちは業務があるし、調と切歌は色々な意味で論外だろう。

他にも職員はいそうなものだが、どうもデュエルエナジーが一定値以上ないと、次元の障壁に弾かれるらしい。

ますますデュエルエナジーがどういうものか分からなくなってきた。

マリアさんがどう丸め込まれたかは知らないが、俺と響はバイト代の上乗せで手を打った。だが、若干後悔中である。母親には泊りがけのバイトだといってある。夏休みだからか、許可はあっさりと取れた。

大荷物のリュックを背負い、特殊なワイヤーの命綱で結ばれ、目の前の次元の裂け目へと飛び込む。

漆黒のトンネルを抜けた先、そこは確かに精霊の世界だった。何故分かったかって? そりゃあ、上空にハーピィレディが旋回しているからね。まるで獲物を狙うように。獲物が何かって? それ答える必要ある?

「《サファイアドラゴン》を召喚!」

ハーピィレディの爪とサファイアドラゴンの爪がぶつかり合う。傷を負ったハーピィレディは逃げるように去って行った。

やはり攻撃力がものを言う世界か。しかし本当に実体化するとは。ソリッドビジョンと違って、確かな手触りがある。

おっと、関心を抱いている場合じゃないな。ワイヤーロープは切れている。同じ入口に入ったはずなのに、何故かふたりは見当たらない。次元の穴も見当たらない。通信機もダメだ。

……よし、ひとまず落ち着こう。こういう時は素数を数えるんだ。えーと。

《No.2ゲート・オブ・ヌメロン-ドゥヴェー》、《No.3ゲート・オブ・ヌメロン-トゥリーニ》、《No.5亡朧竜デス・キマイラ・ドラゴン》、《No.7ラッキー・ストライプ》、《No.11ビッグ・アイ》…………《No.101S・H・ArkKnight》、《No.103神葬零嬢ラグナ・ゼロ》、《No.107銀河眼の時空竜》、よっしゃ完璧。

「とりあえず探すしかないか。背中に乗せてもらうぞ、サファイアドラゴン」

横たわって眠そうにしていたサファイアドラゴンは、こちらの意思が通じたように大きく嘶いた。

 

 

 

 

 

探索しながらの飛行ということで、速度は抑えてある。小さな町がふたつほど見つかったが、どちらも廃墟だった。

ここらで現地人の誰かとエンカウントでもしそうなものだが、そんな気配はまるでない。もしかして違う世界か?

確か十二次元宇宙……だったよな。世界は12あるはずだから、そういうこともあるのか。

俺の視線と意識は、当然だが下に向いている。だから飛行中のサファイアドラゴンが急に傾いだことに慌てた。

蔵も手綱もない裸乗りだ。落下しなかったのは僥倖だった。

俺たちがいた場所を火球が通り過ぎる。誰だかしらないが、随分と手荒なファーストコンタクトだ。

見れば相手もドラゴンに乗っていた。漆黒のドラゴンだ。体躯はサファイアドラゴンよりも二回りは大きい。

アリスブルーの長髪を揺らしながら、男装の麗人は「ついてこい」と叫んで身を翻した。

ただ従うのは癪ではあったが、こちらも情報が欲しい。渋々ながらもあとを追う。

十五分ほど飛び、漆黒のドラゴンは下降を始めた。

丸い建物。まるで闘技場のようだ。

「音羽遊蓮。おまえは何のためにこの世界へ来た?」

なんで俺はこんなにも名前を知られているのだろう。キャロルの言っていたように、幻魔事変は結構知られているのか?

だが生憎とその問いに対する明確な答えは、持ち合わせていなかった。あの変わり者の研究者に付き合わされただけなのだが、強いて言うのならば。

「調査……ですかね?」

意図せず疑問形になってしまったのは仕方のないことだと思う。

「あの女たちもおまえの仲間か?」

「あー、響とマリアさんですかね?」

「やはりか。ならば、カリオストロとプレラーティの(かたき)、とらせてもらう」

「いや、何を……」

「私の名はサンジェルマン。構えろ、音羽遊蓮!」

あ、ダメだこの人。他人(ひと)の話を聞かないタイプだ。

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「私のターン、ドロー。手札のレベル8《暗黒の魔王ディアボロス》を墓地に送り、《ハードアームドラゴン》を特殊召喚」

 

《ハードアームドラゴン》

星4/地属性/ドラゴン族/攻1500/守 800

(1):このカードは手札のレベル8以上のモンスター1体を墓地へ送り、

手札から特殊召喚できる。

(2):このカードをリリースして召喚したレベル7以上のモンスターは

効果では破壊されない。

 

「魔法カード《ワン・フォー・ワン》を発動。手札の《黄泉ガエル》を墓地に送り、デッキから《イービル・ソーン》を特殊召喚。そしてこのカードをリリースして効果発動。相手に300ダメージを与え、デッキからイービル・ソーンを2体、攻撃表示で特殊召喚する」

 

音羽遊蓮 LP4000 → 3700

 

「2体のイービル・ソーンとハードアームドラゴンをリリースして《邪神アバター》を召喚する」

 

《邪神アバター》

星10/闇属性/悪魔族/攻 ?/守 ?

このカードは特殊召喚できない。

自分フィールドのモンスター3体をリリースした場合のみ通常召喚できる。

(1):このカードが召喚に成功した場合に発動する。

相手ターンで数えて2ターンの間、相手は魔法・罠カードを発動できない。

(2):このカードの攻撃力・守備力は、「邪神アバター」以外の

フィールドの攻撃力が一番高いモンスターの攻撃力+100の数値になる。

 

アバター!? 何故アバターがここに? さすがにそれは聞いてない! しかも先攻1ターン目で呼び出すとは。アバターはその特性上、戦闘破壊はほぼ不可能。ハードアームドラゴンの効果で効果破壊もできないときた。

 

「私はこれでターンエンドだ」

 

サンジェルマン LP4000 手札1 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。何故貴方が三邪神のカードを持ってるんです?」

 

「白々しい。アバターはドレッド・ルートやイレイザーとは違うぞ。容易く破れるとは思わないことだ」

 

やっぱり話が噛み合ってないな。察するに、マリアさんと響があの人の仲間のカリオストロとプレラーティってのを倒したってとこなんだろうけど。なんにせよ、邪神を放っておくわけにもいかないだろう。なんたって邪神だし。

 

「モンスターをセットしてターンエンド」

 

とはいえ魔法も罠も発動できない状況の今は耐えるしかない。

 

音羽遊蓮    LP3700 手札5 モンスター1 伏せ0

サンジェルマン LP4000 手札1 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「私のターン、ドロー。スタンバイフェイズに黄泉ガエルが復活する。そして黄泉ガエルをリリースして《軍神ガープ》をアドバンス召喚」

 

《軍神ガープ》

星6/闇属性/悪魔族/攻2200/守2000

このカードがフィールド上に表側表示で存在する限り、

フィールド上に存在するモンスターは全て表側攻撃表示となり、

表示形式を変更する事ができない。

この時、リバース効果モンスターの効果は発動しない。

また、1ターンに1度、手札の悪魔族モンスターを任意の枚数見せる事で、

このカードの攻撃力はエンドフェイズ時まで、

見せた枚数×300ポイントアップする。

 

伏せモンスター《仮面竜》が強制的に攻撃表示になる。マズい展開だ。

 

「バトルだ。ガープで仮面竜に攻撃」

 

音羽遊蓮 LP3700 → 2900

 

「仮面竜の効果でデッキから2体目の《仮面竜》を守備表示で特殊召喚」

 

「無駄だ。仮面竜は強制的に攻撃表示になる。アバターで仮面竜に攻撃」

 

黒い球体からガープの姿に変異したアバターが仮面竜を粉砕する。

 

音羽遊蓮 LP2900 → 2000

 

「仮面竜の効果で《アームド・ドラゴン LV3》を特殊召喚」

 

「私はこれでターンエンドだ」

 

サンジェルマン LP4000 手札1 モンスター2 伏せ0

音羽遊蓮    LP2000 手札5 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。スタンバイフェイズに《アームド・ドラゴン LV3》の効果発動。このカードを墓地に送り、デッキから《アームド・ドラゴン LV5》を特殊召喚」

 

まずはガープを破壊する。あの効果は厄介だ。

 

「バトル。アームド・ドラゴンでガープを攻撃」

 

サンジェルマン LP4000 → 3800

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンド。そしてエンドフェイズに《アームド・ドラゴン LV5》の効果発動。このカードを墓地に送り、デッキから《アームド・ドラゴン LV7》を攻撃表示で特殊召喚」

 

音羽遊蓮    LP2000 手札4 モンスター1 伏せ2

サンジェルマン LP3800 手札1 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「私のターン、ドロー。スタンバイフェイズに黄泉ガエルが復活する。《悪王アフリマ》を通常召喚。そしてふたつめの効果を発動。このカード自身をリリースして1枚ドロー。自分フィールド上の闇属性モンスターがリリースされたことで、墓地の《暗黒の魔王ディアボロス》の効果発動。このカードを特殊召喚する」

 

《暗黒の魔王ディアボロス》

星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2000

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札・墓地に存在し、自分フィールドの闇属性モンスターがリリースされた場合に発動できる。

このカードを特殊召喚する。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

相手はこのカードをリリースできず、効果の対象にもできない。

(3):自分フィールドの闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。

相手は手札を1枚選んでデッキの一番上または一番下に戻す。

 

アバターの姿が漆黒のアームド・ドラゴンから暗黒の魔王へと変化する。

 

「バトルだ。アバターでアームド・ドラゴンを攻撃」

 

「攻撃宣言時に《ブレイクスルー・スキル》を発動。アバターの効果を無効にする」

 

「無駄だ。手札から速攻魔法《禁じられた聖槍》をアバターに発動。ターン終了時まで攻撃力が800ダウンし、このカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない。だが、最終的にアバターの攻撃力は元に戻る」

 

「更にチェーンして《次元幽閉》を発動。アバターを除外する」

 

「――なんだとッ!?」

 

サンジェルマンの表情が驚愕に歪む。アバターは次元の穴に吸い込まれ、消失した。

 

「くっ! アバターは消えたが、まだバトルフェイズは続いている。ディアボロスでアームド・ドラゴンを攻撃。シャドウ・ディスペアー!」

 

音羽遊蓮 LP2000 → 1800

 

「私はこれでターンエンドだ」

 

サンジェルマン LP3800 手札1 モンスター2 伏せ0

音羽遊蓮    LP1800 手札4 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー」

 

ようやく自由に動ける。反撃開始だ。

 

「魔法カード《封印の黄金櫃》を発動。デッキから《雷鳥龍-サンダー・ドラゴン》を除外する。この効果で手札を3枚デッキに戻してシャッフル。その後3枚ドローする。魔法カード《闇の誘惑》を発動。2枚ドローし、《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》を除外する。効果でデッキから《雷電龍-サンダー・ドラゴン》を守備表示で特殊召喚。手札の雷源龍の効果発動、雷電龍の攻撃力を500アップする」

 

この強化自体に意味はない。重要なのは手札で雷族モンスターの効果が発動したことだ。

 

「フィールドの雷電龍をリリースして、EXデッキから《超雷龍-サンダー・ドラゴン》を特殊召喚。雷電龍がフィールドから墓地に送られたことで効果発動。デッキから《雷龍融合》を手札に加える。そして発動。除外されている《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》と墓地の《雷源龍-サンダー・ドラゴン》と《雷電龍-サンダー・ドラゴン》をデッキに戻して融合召喚。現れろ、《雷神龍-サンダー・ドラゴン》!」

 

天上の雷雲を切り裂き、三つ首の雷龍が姿を現した。

 

「《レスキューラビット》を通常召喚。このカードを除外して、デッキから《アレキサンドライドラゴン》2体を特殊召喚する。バトルだ。雷神龍でディアボロスを攻撃!」

 

三つの首より放たれた雷のブレスを喰らい、暗黒の魔王が消滅する。

 

サンジェルマン LP3800 → 3600

 

「――クッ!」

 

「アレキサンドライドラゴンで黄泉ガエルを攻撃。続けて2体目のアレキサンドライドラゴンでダイレクトアタック!」

 

サンジェルマン LP3600 → 1600

 

「ラストだ! 超雷龍-サンダー・ドラゴンでダイレクトアタック、サンダー・パニッシャー!」

 

 

 

サンジェルマン LP1600 → 0

 

 

 

デュエルの喧噪は静寂へと変わり、サンジェルマンは虚ろな表情で膝をついた。

訊きたいことは色々とあった。アバターやこの世界についてもそうだが、それよりも響とマリアさんの動向を知る必要がある。

声をかけようと近づくが、唐突にサンジェルマンの身体が淡い光に包まれた。

「業腹ではあるが、最後の務めを果たす」

淡い光が強烈なものへと変わった。その閃光に目蓋を閉じる。

瞳を開いたとき、サンジェルマンの姿はなく、景色も変わっていた。そこは祭壇のようでもあった。その中心、つまりは俺の目の前に、美丈夫がひとり佇んでいる。

男は深く瞑想しているようにも見えた。その時間はごく短いもので、眠りから覚めるようにゆっくりと覚醒し、こちらへと視線を向ける。

「キミか、残ったのは。ならば仕上げをしなければね、この僕の手で」

 

 

 

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