「サンジェルマンは最後の仕事を果たしたようだ。歓迎しよう、音羽遊蓮」
「……どこだ、ここは? アンタは?」
「生贄の祭壇だよ、ここは。僕はアダム、アダム・ヴァイスハウプト。上司さ、サンジェルマンの」
アダムと名乗った美丈夫の視線がこちらを向く。顔立ちは整っているが、その男の表情は形容しがたいものだった。一言で言えば、不気味。
「障害は取り除く、それが些細な石ころであっても。あの女共のように」
「あの女……ども? 響とマリアさんのことか?」
「さて、そんな名前だったかな」
「――おまえッ!」
「良い憎悪だ。では、始めるとしよう」
『デュエルッ!』
「俺のターン、ドロー! 俺は手札の《サンダー・ドラゴン》の効果発動。このカードを捨てて、デッキから《サンダー・ドラゴン》2枚を手札に加える。そして《竜魔導の守護者》を召喚して効果発動。手札の《サンダー・ドラゴン》を捨て、デッキから《
《竜魔導の守護者》
星4/闇属性/ドラゴン族/攻1800/守1300
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できず、
このカードの効果を発動するターン、自分は融合モンスターしかEXデッキから特殊召喚できない。
(1):このカードが召喚・特殊召喚に成功した場合、手札を1枚捨てて発動できる。
デッキから「融合」通常魔法カードまたは「フュージョン」通常魔法カード1枚を手札に加える。
(2):EXデッキの融合モンスター1体を相手に見せて発動できる。
そのモンスターにカード名が記されている融合素材モンスター1体を自分の墓地から選んで裏側守備表示で特殊召喚する。
「さらに竜魔導の守護者のふたつめの効果を発動。EXデッキの《超雷龍-サンダー・ドラゴン》を公開し、墓地のサンダー・ドラゴンを裏側守備表示で特殊召喚する。そしてこのサンダー・ドラゴンをリリースして《超雷龍-サンダー・ドラゴン》を特殊召喚」
と、そこで相手の反応を見る。白いスーツを着た美丈夫は余裕を崩すこともなく、こちらを見下すような笑みを浮かべていた。
「続けて《闇の誘惑》を発動。2枚ドローし、《雷獣龍-サンダー・ドラゴン》を除外する。除外された雷獣龍の効果で、デッキから《雷源龍-サンダー・ドラゴン》を特殊召喚する。そして《雷龍融合》を発動。除外されている雷獣龍と墓地のサンダー・ドラゴン2体をデッキに戻して《雷神龍-サンダー・ドラゴン》融合召喚。俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ。エンドフェイズに雷源龍は手札に戻る」
音羽遊蓮 LP4000 手札4 モンスター3 伏せ2
――――――――――――
「僕のターン、ドロー。まずは消えてもらおう、その厄介なモンスター共には。プレゼントだよ、キミに。超雷龍と雷神龍をリリース」
《溶岩魔神ラヴァ・ゴーレム》
星8/炎属性/悪魔族/攻3000/守2500
このカードは通常召喚できない。
相手フィールドのモンスター2体をリリースした場合に相手フィールドに特殊召喚できる。
このカードを特殊召喚するターン、自分は通常召喚できない。
(1):自分スタンバイフェイズに発動する。
自分は1000ダメージを受ける。
俺のフィールドに炎を纏った巨体が出現する。くそっ! そういうデッキか。
「カードを3枚伏せてターンエンドだ」
アダム LP4000 手札2 モンスター0 伏せ3
音羽遊蓮 LP4000 手札4 モンスター2 伏せ2
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。スタンバイフェイズにラヴァ・ゴーレムの効果が発動し、1000ダメージを受ける」
「それにチェーンして《洗脳解除》を発動だ。返してもらうよ、僕のモンスターを」
炎の魔神がフィールドを移る。取り返したということは、《魔法の筒》や《ディメンション・ウォール》で返り討ちにするデッキではないか。
音羽遊蓮 LP4000 → 3000
「《サファイアドラゴン》を通常召喚。そしてレベル4の竜魔導の守護者とサファイアドラゴンでオーバーレイ。漆黒の闇より現れし反逆の牙! 舞い降りろ、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》
ランク4/闇属性/ドラゴン族/攻2500/守2000
レベル4モンスター×2
(1):このカードのX素材を2つ取り除き、
相手フィールドの表側表示モンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力を半分にし、
その数値分このカードの攻撃力をアップする。
「ダーク・リベリオンのX素材を2つ取り除き、ラヴァ・ゴーレムを対象に効果発動。トリーズン・ディスチャージ!」
「そうはいかない。《デストラクト・ポーション》を発動。ラヴァ・ゴーレムを破壊し、その攻撃力分のライフを回復する」
アダム LP4000 → 7000
「ならば攻撃だ。ダーク・リベリオンでダイレクトアタック。ライトニング・ディスオベイ!」
アダム LP7000 → 4500
「メインフェイズ2に手札の《サンダー・ドラゴン》の効果発動。このカードを捨てて、デッキから《サンダー・ドラゴン》2枚を手札に加える。続けて墓地の《雷龍融合》を除外して、《雷電龍-サンダー・ドラゴン》を手札に加える。そして雷電龍を捨てて、同名カードを手札に加えて、ターンエンド」
「デッキ圧縮か、足掻くものだ」
音羽遊蓮 LP3000 手札6 モンスター1 伏せ2
アダム LP4500 手札2 モンスター0 伏せ1
――――――――――――
「僕のターン、ドロー。《限界竜シュヴァルツシルト》2体を特殊召喚。このカードは、相手フィールドに攻撃力2000以上のモンスターが存在する場合、手札から特殊召喚できる。そしてレベル8のシュヴァルツシルト2体でオーバーレイネットワークを構築。《No.97 龍影神ドラッグラビオン》を守備表示でエクシーズ召喚」
《No.97 龍影神ドラッグラビオン》
ランク8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守3000
レベル8モンスター×2
このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードは相手の効果の対象にならない。
(2):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
自分のEXデッキ・墓地から「No.97 龍影神ドラッグラビオン」以外のドラゴン族の「No.」モンスター2種類を選ぶ。
その内の1体を特殊召喚し、もう1体をそのモンスターの下に重ねてX素材とする。
この効果の発動後、ターン終了時まで自分はモンスターを特殊召喚できず、
この効果で特殊召喚したモンスターでしか攻撃宣言できない。
「ドラッグラビオンの効果発動。《No.100 ヌメロン・ドラゴン》を特殊召喚し、もう1体をエクシーズ素材としてその下に置く。続けて発動だ、魔法カード《希望の記憶》。自分フィールドの「No.」エクシーズモンスターの種類の数だけ、デッキからドローする。よって2枚ドロー」
《No.100 ヌメロン・ドラゴン》
ランク1/光属性/ドラゴン族/攻 0/守 0
同じランクの同名「No.」Xモンスター×2
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
このカードの攻撃力は相手ターン終了時まで、
フィールドのXモンスターのランクの合計×1000アップする。
(2):このカードが効果で破壊された時に発動できる。
フィールドのモンスターを全て破壊する。
その後、お互いは自身の墓地の魔法・罠カードを1枚選んでフィールドにセットする。
(3):このカードが墓地に存在し、自分の手札・フィールドにカードが無い場合、
相手の直接攻撃宣言時に発動できる。
このカードを特殊召喚する。
「ふむ。用済みだな、このカードも。《マジック・プランター》を発動。《洗脳解除》を墓地に送り、2枚ドロー。X素材を1つ取り除いて、ヌメロン・ドラゴンの効果発動だ。このカードの攻撃力は相手ターン終了時まで、フィールドのXモンスターのランクの合計×1000アップする」
《No.100 ヌメロン・ドラゴン》 攻撃力 0 → 13000
「攻撃力……13000か」
「ではバトルだ。ヌメロン・ドラゴンでダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴンを攻撃。沈め! アルティメット・ヌメロン・ディザスター!」
聖光に包まれた黄金龍から無数の光線が放たれる。
「攻撃宣言時に《攻撃の無敵化》を発動。このバトルフェイズで発生する戦闘ダメージを0にする」
「だが破壊される。そのモンスターはね」
光の波状攻撃によって漆黒の竜は消え去った。
「僕はこれでターンエンドだ」
アダム LP4500 手札3 モンスター2 伏せ1
音羽遊蓮 LP3000 手札6 モンスター0 伏せ1
――――――――――――
「俺のターン、ドロー。魔法カード《打ち出の小槌》を発動。手札5枚をデッキに戻してシャッフル。その後5枚ドロー。《レスキューラビット》を召喚して効果発動。このカードを除外して、デッキから《アレキサンドライドラゴン》2体を特殊召喚。魔法カード《シャイニング・アブソーブ》を発動。選択するのはヌメロン・ドラゴン」
《シャイニング・アブソーブ》
通常魔法
相手フィールド上に表側表示で存在する光属性モンスター1体を選択して発動する。
自分フィールド上に表側攻撃表示で存在する全てのモンスターの攻撃力は
エンドフェイズ時まで、選択したモンスターの攻撃力分アップする。
「シャイニング・アブソーブの効果で、2体のアレキサンドライドラゴンの攻撃力は13000アップ。バトルだ。ヌメロン・ドラゴンとドラッグラビオンを攻撃」
アダム LP4500 → 2500
光の龍と闇の龍が崩れ去る。これでアダムのフィールドはがら空きになった。
「やってくれる。だが、僕はこのカードを特殊召喚する。条件を満たしたからね」
《異界の棘紫竜》
星5/闇属性/ドラゴン族/攻2200/守1100
自分フィールド上のモンスターが
戦闘またはカードの効果によって破壊され墓地へ送られた場合、
このカードを手札から特殊召喚できる。
「メインフェイズ2に、2体のアレキサンドライドラゴンでオーバーレイ。ランク4《竜巻竜》を守備表示でエクシーズ召喚」
《
ランク4/風属性/幻竜族/攻2100/守2000
レベル4モンスター×2
(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、
フィールドの魔法・罠カード1枚を対象として発動できる。
そのカードを破壊する。
この効果は相手ターンでも発動できる。
「竜巻竜の効果発動。X素材を1つ取り除き、伏せカードを破壊する」
「フッ、セットしたカードは《壊獣捕獲大作戦》だ。よって2枚ドロー」
「壊獣……ね。俺はカードを1枚伏せてターンエンド」
音羽遊蓮 LP3000 手札3 モンスター1 伏せ2
アダム LP2500 手札4 モンスター1 伏せ0
――――――――――――
「僕のターン、ドロー。《幻影王 ハイド・ライド》を召喚。レベル5の異界の棘紫竜に、レベル3の幻影王 ハイド・ライドをチューニング。魔神を束ねし蠅の王よ! 混沌より来たれ、《魔王龍 べエルゼ》!」
《魔王龍 ベエルゼ》
星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守3000
闇属性チューナー+チューナー以外のモンスター1体以上
このカードは戦闘及びカードの効果では破壊されない。
また、このカードの戦闘または相手のカードの効果によって
自分がダメージを受けた時に発動する。
このカードの攻撃力は、そのダメージの数値分アップする。
「バトルだ。竜巻竜に攻撃、ベエルズ・カーニバル!」
「リバースカードオープン《聖なるバリア-ミラーフォース》」
「愚かだね。そんなものは通じない、ベエルゼにはね」
「百も承知だ。チェーンして《ブレイクスルー・スキル》をベエルゼを対象に発動」
「言っている、無駄だと! 手札から発動だ、《禁じられた聖槍》をね」
「くっ、またそれかッ!」
「砕け散れッ!」
ベエルゼの一撃で竜巻竜が吹き飛ぶ。
「――ハッ、カードを1枚伏せてターンエンドだ」
アダム LP2500 手札2 モンスター1 伏せ1
音羽遊蓮 LP3000 手札3 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「俺のターン、ドローッ! 魔法カード《貪欲な壺》を発動。墓地の《超雷龍-サンダー・ドラゴン》、《雷神龍-サンダー・ドラゴン》、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》、《サンダー・ドラゴン》、《アレキサンドライドラゴン》をデッキに戻してシャッフル。その後2枚ドロー。《雷鳥龍-サンダー・ドラゴン》の効果発動。このカードを捨てて、墓地の《雷電龍-サンダー・ドラゴン》を特殊召喚。雷族モンスターの効果が手札で発動したため、条件をクリア。再び現れろ、《超雷龍-サンダー・ドラゴン》!」
再び稲妻を帯びた雷龍が姿を現す。だが、まだ足りない。
「フィールドから墓地に送られた雷電龍の効果で、デッキから《雷源龍-サンダー・ドラゴン》を手札に加える。手札の《雷源龍-サンダー・ドラゴン》と、フィールドの《超雷龍-サンダー・ドラゴン》をゲームから除外して、《雷神龍-サンダー・ドラゴン》を特殊召喚。除外された雷源龍の効果でデッキから同名カードを手札に加える。そして墓地の《ブレイクスルー・スキル》を《魔王龍 ベエルゼ》を対象に発動だ」
「あったな、そんなカードも。ならば発動だ《闇の幻影》」
「――ッ! 俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ」
音羽遊蓮 LP3000 手札3 モンスター1 伏せ2
アダム LP2500 手札2 モンスター1 伏せ0
――――――――――――
「僕のターン、ドロー。まずは手札の《多次元壊獣ラディアン》を墓地に送り、雷神龍を対象に《禁じられた一滴》を発動」
《禁じられた
速攻魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):自分の手札・フィールドから、
このカード以外のカードを任意の数だけ墓地へ送って発動できる。
その数だけ相手フィールドの効果モンスターを選ぶ。
そのモンスターはターン終了時まで、攻撃力が半分になり、効果は無効化される。
このカードの発動に対して、相手はこのカードを発動するために墓地へ送ったカードと
元々の種類(モンスター・魔法・罠)が同じカードの効果を発動できない。
天から零れ落ちた一滴を浴びて、雷神龍の三つ首が項垂れる。
《雷神龍-サンダー・ドラゴン》 攻撃力3200 → 1600
「続けて発動だ。《
《
星12/闇属性/ドラゴン族/攻5000/守5000
ドラゴン族モンスター×5
このカードは融合召喚でしか特殊召喚できない。
(1):このカードは闇・地・水・炎・風属性モンスターとの戦闘では破壊されない。
「バトルだ。F・G・Dで雷神龍に攻撃、アルティメット・クインタプル・バースト!」
五つの首から螺旋のブレスが一斉に放射される。
「《ダメージ・ダイエット》を発動。続けて雷源龍の効果を発動!」
《雷神龍-サンダー・ドラゴン》 攻撃力 1600 → 2100
音羽遊蓮 LP3000 → 1550
「ベエルゼでダイレクトアタック!」
音羽遊蓮 LP1550 → 50
「生き残ったか。ターンエンドだ」
アダム LP2500 手札0 モンスター2 伏せ0
音羽遊蓮 LP 50 手札2 モンスター0 伏せ1
――――――――――――
「俺のターン、ドロー! リバースカードオープン《戦線復帰》。墓地の《アレキサンドライドラゴン》を特殊召喚する。そして《アレキサンドライドラゴン》を通常召喚。レベル4のアレキサンドライドラゴン2体でオーバーレイ。再度舞い降りろ、《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」
漆黒の竜が、その牙を輝かせ再臨する。
「ダーク・リベリオンのX素材を2つ取り除き、F・G・Dを対象に効果発動。トリーズン・ディスチャージ!」
《F・G・D》 攻撃力 5000 → 2500
《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》攻撃力 2500 → 5000
F・G・Dの力を吸収し、ダーク・リベリオンの牙に一層の力が漲る。ここで初めてアダムの相貌に歪みが見えた。
「バトルだ。ダーク・リベリオンでF・G・Dを攻撃、反逆のライトニング・ディスオベイ!」
アダム LP2500 → 0
「――クッ、ハハハハッッ! もう遅い、既に覇王の種は芽吹き、大輪へと至った。無秩序な世界はひとつの完全なる世界になり、復活する。彼女が、神に並び立てる力がッ! 神を超える力がッ!」
「……覇王? 彼女だと?」
「見ているぞ、次元の果てから。貴様の、世界の顛末を。フハハハハッッ!!」
怨嗟の言葉を吐きながら、男が笑う。それはとても哀れに見えた。最期にすら他人を呪う言葉しか残せないこの男が、滑稽な道化のように映ったのだ。
哄笑の中で砂塵が舞う。ほんの一瞬目を瞑り、再び開いたとき、そこには誰もいなかった。