跳ねるように進み出て、その場でバク宙。まるで曲芸師か軽業師のような身のこなしだ。
紅蓮のような髪に、同じく燃えるような瞳。何よりも無邪気で、デュエルを楽しもうとする姿勢には好感が持てる。
「オマエがワタシの相手か?」
「うん。わたし立花響。よろしくね!」
「おー、ワタシはミカだゾ。よろしくナ」
「じゃあ始めようか」
「おー、全力で行くゾー」
『デュエルッ!』
「わたしのターン、ドロー! 《融合》を発動。手札の《E・HERO シャドーミスト》と《ユベル》を融合。来て、漆黒の益荒男《E・HERO エスクリダオ》!」
ん? 響のヤツ、ヒーローデッキにユベルを組み込んだのか。大丈夫かな? ユベルは専用デッキじゃないと動かしにくいと思うが、ちゃんと回るのか?
「シャドーミストの効果で《E・HERO エアーマン》を手札に加えて、召喚。効果で《E・HERO ブレイズマン》を手札に加えるよ。わたしはカードを2枚伏せてターンエンド」
立花響 LP4000 手札2 モンスター2 伏せ2
――――――――――――
「ワタシのターン、ドローだゾ。まずは伏せカードを破壊するゾ。《ツインツイスター》を発動。手札を1枚捨てて、2枚の伏せカードを破壊ダ」
ミカが捨てたカードは《
「そうはいかないよ。チェーンして墓地の《ユベル》を対象に、永続罠《リミット・リバース》を発動。更にチェーンして《
「でもリミット・リバースは永続罠だから、呼び出してもすぐに破壊されるゾ」
「ユベルには破壊された時に発動できる効果がある。デッキから《ユベル-Das Abscheulich Ritter》を特殊召喚するよ」
ユベルの第二形態、ドラゴンのような双頭を持つ悪魔が出現する。ミカは怯える様子もなく、むしろ興味深げにユベルを見上げた。
「ん? 攻撃力0? あ、ガリィが言ってたゾ。攻撃力が0のモンスターは厄介なヤツが多いから気をつけろって。えーっと、攻撃しちゃダメなのか。あとは破壊、おお、そいつ強いナ!」
「うん。ユベルは強くて面倒なヤツなんだよ。――え? ち、ちがうよ。効果の話だよ」
「?? じゃあワタシは《BK スイッチヒッター》を召喚して、効果発動だゾ。墓地の《BK グラスジョー》を特殊召喚ダ。そんでこの2体でオーバーレイ。現れろー、《BK 拘束蛮兵リードブロー》!」
《
ランク4/炎属性/戦士族/攻2200/守2000
「BK」と名のついたレベル4モンスター×2
自分フィールド上の「BK」と名のついたモンスターが
戦闘またはカードの効果によって破壊される場合、
その破壊されるモンスター1体の代わりに
このカードのエクシーズ素材を1つ取り除く事ができる。
また、このカードのエクシーズ素材が取り除かれた時、
このカードの攻撃力は800ポイントアップする。
「バトルだゾ。リードブローでエアーマンを攻撃、バーニングレイン!」
リードブローの鎖がエアーマンを打擲する。鎖の一撃はエアーマンのガードをこじ開けて粉砕した。
立花響 LP4000 → 3600
「ワタシはカードを1枚伏せてターンエンドだゾ」
ミカ LP4000 手札2 モンスター1 伏せ1
立花響 LP3600 手札4 モンスター2 伏せ0
――――――――――――
「わたしのターン、ドロー! えーっと、エスクリダオでリードブローを攻撃、エスクリダオは墓地の「E・HERO」の数×100ポイントアップする。行け! ダーク・デフュージョン!」
ミカ LP4000 → 3500
「リードブローはX素材を1つ取り除くことで破壊を無効にできるゾ。そして攻撃力が800アップするゾ」
《BK 拘束蛮兵リードブロー》 攻撃力2200 → 3000
「わたしはこれでターンエンドだよ」
やっぱり動きが鈍いな。ユベルを能動的に破壊するギミックがないから、テンポアドバンテージが失われてる。
「エンドフェイズにユベルの効果発動。このカード以外のモンスターを全て破壊する」
「リードブローのX素材を1つ取り除くことで破壊を無効にするゾ。そんで効果で墓地にいったグラスジョーの効果で、《BK スイッチヒッター》を手札に加えるゾ」
《BK 拘束蛮兵リードブロー》 攻撃力3000 → 3800
立花響 LP3600 手札5 モンスター1 伏せ0
ミカ LP3500 手札3 モンスター1 伏せ1
――――――――――――
「ワタシのターン、ドローだゾ。《BK スイッチヒッター》を召喚して、効果発動だゾ。墓地の《BK グラスジョー》を特殊召喚ダ。そんでこの2体でオーバーレイ。現れろー、2体目の《BK 拘束蛮兵リードブロー》!」
拘束具を纏った戦士と、拘束から解放された戦士が並ぶ。
「魔法カード《エクシーズ・ギフト》を発動だゾ。リードブローのX素材を2つ取り除いて、2枚ドロー。うーん、ワタシはカードを1枚伏せてターンエンドだゾ」
ミカも攻めあぐねてるな。これは長期戦になりそうだ。
ミカ LP3500 手札3 モンスター2 伏せ2
立花響 LP3600 手札5 モンスター1 伏せ0
――――――――――――
「わたしのターン、ドロー! カードを1枚伏せてターンエンド。ユベルの効果で2体のリードブローを破壊するよ」
「ムムム、じゃあもう使っちゃうゾ。ガリィに貰ったカード《火霊術-「紅」》を発動だゾ。リードブローをリリースして、元々の攻撃力分のダメージをオマエに与えるゾ」
「えぇ!? 元々の攻撃力分ってことは、2200!?」
リードブローが炎へと変わり、響へと直撃する。
立花響 LP3600 → 1400
「熱っっい、気がする!」
立花響 LP1400 手札5 モンスター1 伏せ1
ミカ LP3500 手札3 モンスター0 伏せ1
――――――――――――
「ワタシのターン、ドローだゾ。魔法カード《増援》を発動。デッキから《BK スイッチヒッター》を手札に加えて、そのまま召喚ダ。効果で墓地の《BK グラスジョー》を特殊召喚して、この2体でオーバーレイ。現れろー、《No.79 BK 新星のカイザー》!」
《No.79
ランク4/炎属性/戦士族/攻2300/守1600
レベル4モンスター×2
1ターンに1度、自分のメインフェイズ時に発動できる。
自分の手札・墓地から「BK」と名のついたモンスター1体を選んで、
このカードの下に重ねてエクシーズ素材とする。
このカードの攻撃力は、このカードのエクシーズ素材の数×100ポイントアップする。
また、このカードが相手によって破壊され墓地へ送られた時、
その時にこのカードが持っていたエクシーズ素材の数まで、
自分の墓地からレベル4以下の「BK」と名のついたモンスターを選択して特殊召喚できる。
「新星のカイザーの効果発動。墓地の《BK スイッチヒッター》をエクシーズ素材にするゾ。そんでワタシはカードを1枚伏せてターンエンドダ」
ミカ LP3500 手札2 モンスター1 伏せ2
立花響 LP1400 手札5 モンスター1 伏せ1
――――――――――――
「わたしのターン、ドロー! ここは攻める! 《E・HERO ブレイズマン》を召喚して、効果発動。デッキから《融合》を手札に加える。そして発動。手札の《E・HERO フォレストマン》と《E・HERO オーシャン》を融合。来て! 太陽の使者《E・HERO サンライザー》!」
深紅の衣装に身を包み、それとは対照的な紫紺のマントを翻して、一人の英雄が降り立った。
「サンライザーの効果でデッキから《ミラクル・フュージョン》を手札に加える」
一気呵成に攻めるつもりか。ミカのデッキに火霊術が1枚しかないという保証はない。ガリィの手が入っているなら、もっとえげつないカードが出てきてもおかしくはないからな。
「そうはいかないゾ。カウンター罠《エクシーズ・ブロック》を発動ダ。新星のカイザーのX素材を1つ取り除いて、そいつの効果を無効にして破壊するゾ!」
効果を発動しようとしたサンライザーは、新星のカイザーの一撃を受けて吹き飛んだ。
「――くっ、なら手札を1枚捨てて、《超融合》を発動。フィールドの《E・HERO ブレイズマン》とミカちゃんの《No.79 BK 新星のカイザー》を融合。来て、紅蓮の勇者《E・HERO ノヴァマスター》!」
ここで超融合か。新星のカイザーの効果を上手く封じたな。先にこちらを発動していたら《エクシーズ・ブロック》の妨害は避けられたが、まあ今さらだな。
「最後に《死者蘇生》を発動。墓地から《E・HERO シャドーミスト》を特殊召喚。効果でデッキから《マスク・チェンジ》を手札に加える。さあ行くよ、バトル! シャドーミストとノヴァマスターでダイレクトアタック!」
闇と炎、2体のヒーローの総攻撃力は3600。十分な威力だが、ミカに焦った様子はない。
「にゃはッ! かかったゾ! 《業炎のバリア-ファイアー・フォース-》を発動ダ!」
「――ッ! 《攻撃の無敵化》を《E・HERO ノヴァマスター》を対象に発動! ノヴァマスターはこのバトルフェイズ中、戦闘及びカードの効果では破壊されない!」
炎の障壁がシャドーミストとユベルを包み込む。影の英雄と双頭の悪魔は熱波に飲まれて焼失した。猛る炎がそのままふたりに襲い掛かる。
「赤い方は躱したカ! まずはワタシがダメージを受けるゾ!」
ミカ LP3500 → 3000
「そして返すゾ!」
立花響 LP1400 → 900
「ぐぅぅっ、だけどライフは残った。でもゴメン。キミがやられちゃった」
ギリギリ残ったか。ユベルはタイミングを逃したな。
「バトルを続行、ノヴァマスターでダイレクトアタック!」
ミカ LP3000 → 400
「よしッ! 続けて手札から――」
「おっと、その前にワタシは手札から《BK ベイル》を守備表示で特殊召喚するゾ。そして受けたダメージを回復ダ」
追撃を掛けようと手札に手を掛けた響に、ミカが待ったをかける。ミカの手札から盾を構えた屈強な戦士が飛び出してきた。
ミカ LP 400 → 3000
「ウソッ!? ……わたしはカードを1枚伏せてターンエンド」
立花響 LP 900 手札0 モンスター1 伏せ1
ミカ LP3000 手札1 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「ワタシのターン、ドローだゾ。――オオ? ワタシがドローしたのはこれダ! 《
ここで引くか。凄いドロー力だな。
「《RUM-七皇の剣》を発動ダ。EXデッキから《No.105 BK 流星のセスタス》を特殊召喚し、その上に重ねて《CNo.105 BK 彗星のカエストス》をX召喚扱いとしてEXデッキから特殊召喚するゾ」
《CNo.105
ランク5/炎属性/戦士族/攻2800/守2000
レベル5モンスター×4
このカードが戦闘によってモンスターを破壊し墓地へ送った時、
破壊したモンスターの元々の攻撃力の半分のダメージを相手ライフに与える。
また、このカードが「No.105 BK 流星のセスタス」を
エクシーズ素材としている場合、以下の効果を得る。
●1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、
相手フィールド上のモンスター1体を選択して発動できる。
選択したモンスターを破壊し、
破壊したモンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与える。
効果を読み取った響が眉を顰める。
「彗星のカエストスの効果発動ダ。X素材を1つ取り除き、オマエのノヴァマスターを破壊! そしてその攻撃力分のダメージを与えるゾ。ペネトレイトロッド!」
「させないよッ! 伏せていた《マスク・チェンジ》を発動! ノヴァマスターを墓地に送り、EXデッキから《M・HERO 剛火》を特殊召喚!」
カエストスの渾身のストレートから発射された真紅の光線は空を切り、ノヴァマスターが消失した場所から、同じく赤い英雄が姿を現した。
「剛火は散っていった仲間たちの思いを受け継ぎ、それを力と変える!」
《M・HERO 剛火》 攻撃力2200 → 3000
剛火の全身から噴火の如くパワーが溢れ出す。
「オマエ、面白いナ。じゃあ攻撃ダ。カエストスで剛火を攻撃、バーニングハート・メカニクス!!」
「攻撃ッ!? くっ、迎え撃って、剛火!」
嫌な予感を抱きつつも、響は剛火に指示を下す。両者の拳が触れ合うその一瞬――。
「手札から《BK カウンターブロー》の効果発動ダ。このカードを除外して、カエストスの攻撃力を1000アップするゾ!」
カエストスの拳が一気に膨れ上がり、剛火のボディを貫いた。
立花響 LP 900 → 100
「そしてカエストスの効果発動! そいつの元々の攻撃力の半分のダメージをオマエに与えるゾ!」
剛火を打ち砕いた拳から炎が舞い上がり、それはそのまま響を襲った。
立花響 LP 100 → 0
特大の炎を浴びて、響は悲鳴を上げながら、大の字になって天を仰いだ。
うーむ。ユベルには悪いが、ユベルは抜いた方が良さそうだな。ユベル入りのヒーローデッキを回せるのは「あの人」くらいだろ。
ユベルには、そのうち専用のデッキを構築してやるか。
「これで二勝二敗、まさかオレまで縺れ込むことになるとはな」
思考を遮ったのは、歌うような声音。
胸が躍るといった様子で、金糸のような髪をなびかせながら、ひとりの少女が歩み出た。