シンフォギア世界とデュエルモンスターズ   作:乾燥海藻類

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閑話-限界バトル

俺は最近ひとりの女性のことについて考えている。

そう、ユベルである。正確にはユベルデッキについて、だ。

本人の意見も聞きたいところだが、俺には彼女の姿を見ることも、声を聞くこともできない。

なので通訳として響の協力が必要なのだが、それだとデッキの内容がもろバレになるので、最初の対戦相手にと約束している響にとってはカンニングのようで望ましくないというわけだ。

そんなわけで独り寂しく頭を悩ませていたのだが、ヒントは過去からやってきた。取っ掛かりが出来たことで構築は順調に進み、ようやくデッキが完成した。

「ということで、デッキ調整に付き合ってもらおう」

「望むところだよッ! はい、これ」

快い返事を口にした響から『ユベルカード』を受け取る。

その3枚のカードをデッキに差し込んで、準備完了。

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「先攻は俺か、ドロー」

 

初手にユベルがいないのは、運命力が足りないせいか? まあ、ユベルはデッキから呼ぶ方が簡単だから、助かるといえば助かるが。

 

「モンスターをセット、カードを1枚伏せてターンエンド」

 

音羽遊蓮 LP4000 手札4 モンスター1 伏せ1

 

――――――――――――

 

「わたしのターン、ドロー! 魔法カード《E-エマージェンシーコール》を発動。デッキから《E・HERO エアーマン》を手札に加えて――」

 

「チェーンして《相乗り》を発動だ。乗らせてもらうぞ、1枚ドロー」

 

サーチを多用するヒーローデッキには刺さるカードだ。サーチ自体を阻止できる《捕違い》もあるが、これは好みの差だな。

 

「うーん。いや、このまま突き進むッ!」

 

響は一瞬考えた後、答えを出した。どうやら展開は止めないらしい。

 

「《E・HERO エアーマン》を召喚して効果発動。エアーマンの効果で《E・HERO シャドー・ミスト》を手札に加えるよ。そして《融合》を発動。手札の《E・HERO シャドー・ミスト》と《E・HERO オーシャン》を融合。来て! 太陽の使者《E・HERO サンライザー》!」

 

相変わらず、初手融合率がハンパねぇな。とりあえず1枚ドローっと。

 

「シャドー・ミストの効果でデッキから《E・HERO ブレイズマン》を、サンライザーの効果で《ミラクル・フュージョン》を手札に加えて、そのまま発動。フィールドの《E・HERO エアーマン》と墓地の《E・HERO オーシャン》を除外して融合。来て! 絶対零度の支配者《E・HERO アブソルートZero》!」

 

太陽の使者と絶対零度の支配者、二人の英雄が腕を組んでこちらを睨みつける。それはそうと2枚ドロー。

 

「さあ行くよ、バトル! ゼロで攻撃、そしてサンライザーの効果でセットモンスターを破壊!」

 

「セットモンスターは《破械童子ラキア》だ。効果によってデッキから《雙極の破械神》を特殊召喚する。特殊召喚時の効果は発動しない」

 

雙極(そうきょく)の破械神》

星8/闇属性/悪魔族/攻3000/守1500

自分は「雙極の破械神」を1ターンに1度しか特殊召喚できない。

(1):自分フィールドのカードが戦闘・効果で破壊された場合に発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが特殊召喚に成功した場合、手札を1枚捨てて発動できる。

フィールドのカード1枚を選んで破壊する。

(3):フィールドのこのカードが破壊され墓地へ送られたターンのエンドフェイズに発動できる。

このカードを墓地から特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したこのカードは、フィールドから離れた場合に持ち主のデッキの一番下に戻る。

 

「ええー、絶対《キラー・トマト》だと思ったのに」

 

確かに《キラー・トマト》はデッキから《ユベル》を呼べる便利なリクルーターだが、戦闘という手間を挟まなければならないので、信用という点では一歩劣る。

 

「――なら、手札から速攻魔法《超融合》を発動。手札を1枚捨てて、ゼロと雙極の破械神を融合。来て、漆黒の益荒男《E・HERO エスクリダオ》! いけッ! エスクリダオでダイレクトアタック!」

 

「直接攻撃宣言時に《バトルフェーダー》の効果発動。このカードを手札から特殊召喚し、その後バトルフェイズを終了する」

 

「むっ、じゃあわたしはカードを1枚伏せてターンエンドだよ」

 

立花響  LP4000 手札1 モンスター2 伏せ1

音羽遊蓮 LP4000 手札7 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。フィールド魔法《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》を発動だ」

 

《闇黒世界-シャドウ・ディストピア-》

フィールド魔法

(1):フィールドの表側表示モンスターは闇属性になる。

(2):1ターンに1度、自分がカードの効果を発動するために自分フィールドのモンスターをリリースする場合、

自分フィールドのモンスター1体の代わりに相手フィールドの闇属性モンスター1体をリリースできる。

(3):自分・相手のエンドフェイズに発動する。

このターンにこのカードが表側表示で存在する状態でリリースされたモンスターの数まで、

ターンプレイヤーのフィールドに「シャドウトークン」(悪魔族・闇・星3・攻/守1000)を可能な限り守備表示で特殊召喚する。

 

「あー、なるほど。そのカードでわたしのヒーローをユベルのコストにするつもりなんだね」

 

「まあな。だが肝心のユベルはまだいない。だからぼちぼちやるさ。俺は《悪王アフリマ》を召喚。そして、おまえのサンライザーをリリースして効果発動」

 

アフリマから立ち昇る瘴気に捕らわれ、太陽の使者は闇となってアフリマの掌中に潜る。

 

「俺はデッキから《暗黒の魔王ディアボロス》を手札に加える。そして《トレード・イン》を発動。ディアボロスを捨てて、2枚ドロー。続けて《闇の誘惑》を発動。2枚ドローして、《ユベル》を除外する」

 

「えっ!? 除外するの?」

 

響が驚いて声を上げる。背中がピリピリするのはユベルの視線か?

だが手札の1枚を指でたたくと、納得したらしく、それは治まった。

 

「俺はカードを2枚伏せてターンエンドだ。エンドフェイズにフィールド魔法の効果でシャドウトークンを守備表示で特殊召喚する」

 

音羽遊蓮 LP4000 手札5 モンスター3 伏せ2

立花響  LP4000 手札1 モンスター1 伏せ1

 

――――――――――――

 

「わたしのターン、ドロー。魔法カード《HEROの遺産》を発動。墓地の《E・HERO アブソルートZero》と《E・HERO サンライザー》をEXデッキに戻して、3枚ドローするよ」

 

「チェーンして《闇霊術-「欲」》を発動。おまえのエスクリダオをリリースして、2枚ドローする。おまえは手札から魔法カード1枚を見せてこのカードの効果を無効にできるが、今のおまえの手札はブレイズマン1枚。よって2枚ドローできる」

 

「甘いよッ! さらにチェーンして《融合準備》を発動。EXデッキの《E・HERO ジ・アース》を見せて、デッキから《E・HERO フォレストマン》を、墓地から《融合》を手札に加える。そして《闇霊術-「欲」》の効果処理時に《融合》を見せることで、その効果を無効にする。その後《HEROの遺産》の効果で3枚ドロー!」

 

響の手札が、一気に6枚まで増える。さすがに1:3交換は欲張りすぎたか。

 

「わたしは《E・HERO リキッドマン》を召喚して、効果発動。墓地の《E・HERO シャドー・ミスト》を特殊召喚。シャドー・ミストの効果で、デッキから《マスク・チェンジ》を手札に加えるよ。そして《融合》発動! フィールドの《E・HERO リキッドマン》と手札の《E・HERO フォレストマン》を融合。再度降臨せよ! 《E・HERO アブソルートZero》!」

 

響の手札には《マスク・チェンジ》がある。あのコンボはマズい。だがどの順番でチェーンを組むかで結果は変わる。タイミングを逃すのは仕方ないが、チャンスは残る。

 

「手札から速攻魔法《マスク・チェンジ》を発動。ゼロを墓地に送り、EXデッキから《M・HERO アシッド》を特殊召喚。いくよッ! アシッド・レインとフリージング・クラッシュのダブルアタックだッ!」

 

「《闇次元の解放》を発動。除外されている《ユベル》を特殊召喚する」

 

吹き荒れる氷の飛礫によって、俺のフィールドは全滅した。ユベルはタイミングを逃したが、狙い通り墓地に送られた。

 

「バトルッ! シャドー・ミストでダイレクトアタック!」

 

音羽遊蓮 LP4000 → 3000

 

「この瞬間、手札の《冥府の使者ゴーズ》の効果発動だ。ゴーズを攻撃表示で特殊召喚。続いて攻守1000の冥府の使者カイエントークンを守備表示で特殊召喚」

 

「くっ、アシッドでカイエントークンを攻撃!」

 

ゴーズの影、カイエンがアシッドの一撃を受けて破壊される。

 

「わたしはカードを1枚伏せてターンエンド」

 

立花響  LP4000 手札2 モンスター2 伏せ1

音羽遊蓮 LP3000 手札4 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。《悪魔嬢リリス》を通常召喚。そしてこのカード自身をリリースして効果発動。デッキから通常罠カード3枚を相手に見せ、相手はその中からランダムに1枚選ぶ。そのカード1枚を自分フィールドにセットし、残りのカードはデッキに戻す。俺が選ぶ3枚はこれだ。

《聖なるバリア-ミラーフォース-》

《神風のバリア-エア・フォース-》

《リミット・リバース》

さあ、選べ」

 

ソリッドビジョンのカードが大判になって浮かび上がる。

 

「なかなかに嫌な三択だね、じゃあ真ん中で」

 

「選んだ1枚をセットして、残りはデッキに戻す。そして自分フィールドの闇属性モンスターがリリースされたので、墓地の《暗黒の魔王ディアボロス》を特殊召喚」

 

《暗黒の魔王ディアボロス》

星8/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2000

このカード名の(1)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):このカードが手札・墓地に存在し、自分フィールドの闇属性モンスターがリリースされた場合に発動できる。

このカードを特殊召喚する。

(2):このカードがモンスターゾーンに存在する限り、

相手はこのカードをリリースできず、効果の対象にもできない。

(3):自分フィールドの闇属性モンスター1体をリリースして発動できる。

相手は手札を1枚選んでデッキの一番上または一番下に戻す。

 

「バトル。ゴーズでアシッドを、ディアボロスでシャドー・ミストを攻撃だ」

 

立花響 LP4000 → 3900 → 1900

 

「シャドー・ミストの効果で、デッキから《E・HERO ソリッドマン》を手札に加えるよ」

 

「俺はさらにカードを1枚伏せてターンエンドだ」

 

「エンドフェイズに《戦線復帰》を発動。墓地の《E・HERO フォレストマン》を守備表示で特殊召喚」

 

音羽遊蓮 LP3000 手札3 モンスター2 伏せ2

立花響  LP1900 手札3 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「わたしのターン、ドロー。スタンバイフェイズにフォレストマンの効果発動。デッキから《置換融合》を手札に加える。そして《E・HERO ソリッドマン》を召喚して、《R-ライトジャスティス》を発動するよ」

 

「俺は三分の一に勝ったぞ。墓地の《ユベル》を対象に《リミット・リバース》を発動。さらにチェーンして《ダメージ・ダイエット》を発動」

 

《R-ライトジャスティス》は《E・HERO エアーマン》と同じく「選んで破壊する」という効果だが、エアーマンとは決定的に違う点がある。エアーマンは「HERO」の数まで(・・)破壊する。ライトジャスティスは「E・HERO」の数だけ(・・)破壊する。

 

「ユベルが破壊されたことで効果発動。デッキから《ユベル-Das Abscheulich Ritter》を特殊召喚」

 

「ダメージ・ダイエットは想定外だけど、リミット・リバースは想定内だよ。魔法カード《置換融合》を発動。フィールドの《E・HERO ソリッドマン》と《E・HERO フォレストマン》を融合。来て、大地の王者《E・HERO ガイア》!」

 

大地を割って、鉱物めいた巨人が現れる。その巨体から漂うオーラに、冥府の使者が絡め捕られた。

 

「ガイアの効果発動。ゴーズの攻撃力を半分にして、その数値分攻撃力をアップする!」

 

《冥府の使者ゴーズ》   攻撃力2700 → 1350

《E・HERO ガイア》  攻撃力2200 → 3550

 

「続けてソリッドマンの効果発動。墓地のシャドー・ミストを守備表示で特殊召喚。効果でデッキから《マスク・チェンジ》を手札に加える。さらに《貪欲な壺》を発動。墓地の《E・HERO ソリッドマン》、《E・HERO リキッドマン》、《E・HERO フォレストマン》、《E・HERO アブソルートZero》、《M・HERO アシッド》をデッキに戻してシャッフル、その後2枚ドロー。装備魔法《フェイバリット・ヒーロー》をガイアに装備して、バトル!」

 

響の気勢が一気に高まる。フェイバリット・ヒーロー、攻撃力上昇はともかく、効果の対象にならないってのは地味に厄介だな。

 

「バトルフェイズ開始時に《フェイバリット・ヒーロー》の効果で、デッキから《摩天楼-スカイスクレイパー-》を発動。フィールドゾーンにカードが置かれたことで、ガイアの攻撃力が元々の守備力分アップする!」

 

《E・HERO ガイア》 攻撃力3550 → 6150

 

「いくよッ! ガイアでゴーズを攻撃、コンチネンタルハンマー!」

 

音羽遊蓮 LP3000 → 600

 

「手札から速攻魔法《マスク・チェンジ》を発動。シャドー・ミストを墓地に送り、EXデッキから《M・HERO 闇鬼》を特殊召喚。闇鬼は与えるダメージを半分にしてダイレクトアタックが出来る! ダークネス・ファング!」

 

「それを通すわけにはいかない! 手札から《虹クリボー》の効果発動。このカードを闇鬼に装備する。これで闇鬼は攻撃できない」

 

「届かなかったかぁ。わたしはカードを1枚伏せてターンエンド」

 

危ない危ない。なんとか耐えきったか。

 

立花響  LP1900 手札1 モンスター2 伏せ1

音羽遊蓮 LP 600 手札2 モンスター1 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。《強欲で金満な壺》を発動。EXデッキのカードをランダムに6枚、裏側表示で除外して、2枚ドロー」

 

元よりEXデッキはほぼ使わない構築だ。どれが除外されても大勢に影響はない。

よし、来たか。これでユベルを最終進化できる。が、仕掛けるにはまだ早い。伏せカードもあるし、響の墓地には序盤の《超融合》のコストで捨てられたあのカードがある。

 

「俺はカードを1枚伏せてターンエンドだ。エンドフェイズにユベルの効果発動。このカード以外のモンスターは全て破壊される。フェロー・サクリファイス!」

 

「その効果処理後に《強化蘇生》を発動。墓地のシャドー・ミストを特殊召喚。効果でデッキから最後の《マスク・チェンジ》を手札に加えるよ」

 

音羽遊蓮 LP 600 手札3 モンスター1 伏せ1

立花響  LP1900 手札2 モンスター0 伏せ1

 

――――――――――――

 

「わたしのターン、ドロー。まずは墓地の《置換融合》の効果を発動。このカードを除外して、《M・HERO 闇鬼》をEXデッキに戻す。その後、1枚ドロー。手札から《マスク・チェンジ》を発動! もう一度お願い、闇鬼!」

 

漆黒の鬼神が、再び姿を見せる。

 

「シャドー・ミストの効果でデッキから《E・HERO リキッドマン》を手札に加えて、バトル! 闇鬼でダイレクトアタック! 与えるダメージは半分になるけど、今はそれで充分!」

 

「ところがギッチョン! 《大捕り物》を発動だ! 闇鬼のコントロールを得る!」

 

「――うぇぇ!?」

 

攻撃態勢になっていた闇鬼は縛につき、こちらに場所を移す。

 

「とはいえ、見ての通りの状態だ。攻撃できず、効果の発動もできない」

 

「くっ、わたしはカードを1枚伏せてターンエンド」

 

立花響  LP1900 手札3 モンスター0 伏せ1

音羽遊蓮 LP 600 手札3 モンスター2 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー。手札の《破械童子アルハ》の効果発動。フィールドのユベルを破壊して、このカードを特殊召喚する。そしてユベルの効果発動。デッキから《ユベル-Das Extremer Traurig Drachen》を特殊召喚する」

 

ユベルの最終進化形態、異形の悪魔が四枚の羽根を広げて飛び立った。

 

《ユベル-Das Extremer(ダス・エクストレーム・) Traurig Drachen(トラウリヒ・ドラッヘ)

星12/闇属性/悪魔族/攻 0/守 0

このカードは通常召喚できない。

「ユベル-Das Abscheulich Ritter」の効果でのみ特殊召喚できる。

このカードは戦闘では破壊されず、

このカードの戦闘によって発生する自分への戦闘ダメージは0になる。

フィールド上に表側攻撃表示で存在するこのカードが

相手モンスターと戦闘を行ったダメージステップ終了時、

相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与え、そのモンスターを破壊する。

 

「バトルフェイズに入り、手札から速攻魔法《神秘の中華なべ》を発動。闇鬼をリリースして、ライフを2800回復する」

 

音羽遊蓮 LP 600 → 3400

 

「自分フィールドの闇属性モンスターがリリースされたことで、墓地のディアボロスを特殊召喚」

 

墓地より漆黒の暴龍が舞い戻る。

 

「魔王はこのディアボロスだッ! 依然変わりなくッ! シャドウ・ディスペアー(闇の炎に抱かれて消えろッ)!」

 

「墓地の《ネクロ・ガードナー》の効果発動! その攻撃を無効にする!」

 

「まだだッ! まだ追撃の手は残っている。手札から《ジュラゲド》の効果発動。こいつを特殊召喚し、ライフを1000回復する」

 

音羽遊蓮 LP3400 → 4400

 

「ジュラゲドでダイレクトアタック!」

 

「……ライフで受ける!」

 

立花響 LP1900 → 200

 

響の視線が、一瞬だが手札に落ちた。何かあるのか?

 

「続けてアルハで攻撃!」

 

「手札から《護封剣の剣士》を特殊召喚! その後、アルハを破壊する!」

 

「チェーンしてジュラゲドの効果発動。このカードをリリースして、アルハの攻撃力を次のターン終了時まで1000アップする。アルハの攻撃力が護封剣の剣士の守備力を上回ったことで、護封剣の剣士の破壊効果は不発になる。アルハで護封剣の剣士を攻撃!」

 

漆黒の爪と光の剣がぶつかり合う。光の剣は砕かれ、剣士は爪によって引き裂かれた。

 

そういうことか。おそらく響の想定では、ジュラゲドの攻撃に護封剣の剣士の効果を発動した場合、チェーンしてジュラゲドの効果を発動され、破壊効果をかわしつつ、アルハの攻撃力をアップ。ユベルで護封剣の剣士を破壊。アルハのダイレクトアタックでゲームエンド。

咄嗟にそこまで思い至ったのだろう。が、それは早とちりというか、響の勘違いだ。

ユベルの効果は「戦闘を行ったダメージステップ終了時、相手モンスターの攻撃力分のダメージを相手ライフに与え、そのモンスターを破壊する」というものだが、護封剣の剣士の攻撃力は0。つまりダメージを与えられない。なので、後の処理である破壊効果が発動しないのだ。

ちょっとした盲点である。

 

バトルフェイズを終了し、改めて自分のフィールドを見渡す。

ディアボロスは効果の対象とならず、リリースもされない、攻撃力3000の最上級モンスター。

アルハは戦闘破壊のみならず、自身の効果以外で効果破壊された場合でも後続を呼び出せる優秀なリクルーターだ。攻撃力も1000アップしているので、上級モンスター並になっている。

そして最終形態のユベル。

さらに、墓地には虹クリボーもいる。

ライフも初期値超えの4400。

 

対して響は、伏せカードが1枚と、手札にはブレイズマンとリキッドマン。ディアボロスのハンデス効果を使うかは悩みどころだ。

ライフは僅かに200、嫌なラインではあるが。

 

「……俺はこれでターンエンドだ」

 

「エンドフェイズに《貪欲な瓶》を発動。墓地の《HEROの遺産》、《マスク・チェンジ》、《フォーム・チェンジ》、《ミラクル・フュージョン》、《超融合》をデッキに戻してシャッフル。その後、1枚ドロー!」

 

音羽遊蓮 LP4400 手札1 モンスター3 伏せ0

立花響  LP 200 手札3 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「わたしのターン、ドロー! 魔法カード《HEROの遺産》を発動。墓地の《E・HERO エスクリダオ》と《E・HERO ガイア》をEXデッキに戻して、3枚ドロー! よしッ! このターンで決めるよッ!」

 

勝利の方程式が出来上がったのか、響は高らかに決着を宣言した。

 

「《E・HERO ブレイズマン》を召喚。効果でデッキから《融合》を手札に加えて、発動。フィールドの《E・HERO ブレイズマン》と手札の《E・HERO ボルテック》を融合。もう一度来て、《E・HERO サンライザー》!」

 

太陽の使者が再び姿を現す。これは大量展開の流れか?

 

「サンライザーの効果でデッキから《ミラクル・フュージョン》を手札に加えて、そのまま発動。墓地の《E・HERO ブレイズマン》と《E・HERO ボルテック》を除外して融合。来て、閃光の絶対者《E・HERO The シャイニング》!」

 

目もくらむような閃光を放ち、光のヒーローが降り立つ。

 

「シャイニングの攻撃力は除外されている「E・HERO」の数×300ポイントアップする」

 

《E・HERO The シャイニング》 攻撃力2600 → 3800

 

「さらに墓地の装備魔法《フェイバリット・ヒーロー》を除外して、このカードを特殊召喚する! 来いッ! ゴッドフェニックス! ギアフリィィィドッ!」

 

現れたのは、白銀の鎧と白銀の剣を携えた炎の戦士。これはちょっとマズいか。

 

《ゴッドフェニックス・ギア・フリード》

星9/炎属性/戦士族/攻3000/守2200

このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。

(1):自分のフィールド・墓地から装備魔法カード1枚を除外して発動できる。

このカードを手札から特殊召喚する。

(2):このカードが攻撃するダメージステップ開始時に発動できる。

このカード以外のフィールドの表側表示モンスター1体を選び、

攻撃力500アップの装備カード扱いとしてこのカードに装備する(1体のみ装備可能)。

(3):モンスターの効果が発動した時、自分フィールドの表側表示の装備カード1枚を墓地へ送って発動できる。

その発動を無効にし破壊する。

 

「バトル! ゴッドフェニックス・ギア・フリードでディアボロスに攻撃。そしてダメージステップ開始時に効果発動! ユベルは返してもらうよ! 戻ってこいッ! ユベルッ!」

 

……その言い方はおかしくねぇ? 確かに借りてたけどさ。まるで俺で強奪したみたいに聞こえる。

 

「サンライザーの効果でみんなの攻撃力はアップしている! 不死鳥神剣(フェニックス・ゴッドブレード)!」

 

ユベルがフィールドを移し、ディアボロスが白銀の剣で両断される。

 

音羽遊蓮 LP4400 → 3500

 

「これでラストッ! シャイニングでアルハを攻撃、そして攻撃宣言時にサンライザーの第3の効果が発動。アルハを破壊する」

 

「破壊されたアルハの効果発動。手札・デッキから「破械童子アルハ」以外の「破械」モンスター1体を特殊召喚できる」

 

「ギア・フリードの効果発動。装備カードとなったユベルを墓地に送り、その発動を無効にして破壊する!」

 

まあそうなるよな。破械童子は共通効果でリクルート能力を持っている。それぞれにターン1の制限はあるが、壁としては優秀なモンスターだ。だが、無効にされれば意味がない。

 

「これでモンスターはいなくなった! オプティカル・ストーム(光になれぇぇぇッ)!!」

 

バトルステップの巻き戻しの範囲に「攻撃宣言」は含まれない。上手く虹クリボーの効果をかわされたな。

 

 

 

音羽遊蓮 LP3500 → 0

 

 

 

奔流のように溢れ出た光に押し流され、俺のライフは尽きた。

「完敗だな。やはりあの時ディアボロスで、いや、いいわけだな」

「そんなことないよ。ひやひやする場面もあったし、最後のドローが良かったからだよ」

「そこで引けるのが、おまえの強さだよ」

笑いながら、響の髪をくしゃりと撫でた。

 

 

 

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