「おい、デュエルしろよ」
公園で休憩がてら、デッキ構築に頭をひねっていたら、いきなり
声の主に目を向けてみると、そこには眼鏡をかけた同年代くらいの、いかにも文学少女といった感じの可愛らしい女の子。
その後ろには保護者らしき女性がいる。親子にしては微妙な年齢差だ。姉妹にしても、あまり似ていない。
「というのは冗談なワケダが、久しぶりだな、音羽遊蓮」
口ぶりからして、以前に会ったことがあるようだが、どうにも記憶にない。これくらい可愛い子なら忘れないと思うのだが。
「ねぇ、プレラーティ。この子、あーしらとは面識ないんじゃない? ほら、あの時は気を失ってたし」
「ん? そうだったか、そうだったな。では改めて自己紹介なワケダ。私はプレラーティ。こっちがカリオストロ。サンジェルマンの友人なワケダ。サンジェルマンは知ってるだろう?」
「ええ、まあ」
そうか、サンジェルマン……さんの。言われてみれば、聞き覚えのある名前だ。
「で、えっと、俺とデュエルでしたか?」
「それは冗談だと言ったワケダ。S.O.N.G.に向かう途中で、目に入ったから声をかけただけだ。おまえに中まで案内してもらう方が、話は早いワケダからな」
「S.O.N.G.には何を?」
「ちょっとしたリベンジなワケダ。あの時に不覚をとったのは
「ついでに立花響ちゃんも呼んどいてね」
有無を言わせぬ圧力でこちらに迫ってくる。断っても面倒なことになりそうだし、ここは恩を売るとしよう。
了子さんに連絡を入れると、都合よくマリアさんも待機しているらしい。次いで響に電話すると、案の定あっさり了承した。
S.O.N.G.のデュエル場では、すでに準備は終わっていた。
適当に挨拶を済まし、たわいのない世間話を交わした後、勝負が始まる。
『デュエルッ!』
「私の先攻なワケダ、ドロー。《トレード・イン》を発動。《ギミック・パペット-ネクロ・ドール》を捨てて、2枚ドロー。続けて《闇の誘惑》を発動。2枚ドローして《ギミック・パペット-シャドーフィーラー》を除外する。《ギミック・パペット-ギア・チェンジャー》を通常召喚し、《ギミック・パペット-マグネ・ドール》を特殊召喚。こいつは私のフィールドのモンスターが「ギミック・パペット」のみの場合、手札から特殊召喚できるワケダ。そしてギア・チェンジャーの効果で、こいつをマグネ・ドールと同じレベル8にする」
レベル8が2体。いきなりランク8エクシーズか。
「レベル8の《ギミック・パペット-ギア・チェンジャー》と《ギミック・パペット-マグネ・ドール》でオーバーレイネットワークを構築。闇の大河を貫き、現れるワケダ《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》!」
《No.38 希望魁竜タイタニック・ギャラクシー》
ランク8/光属性/ドラゴン族/攻3000/守2500
レベル8モンスター×2
(1):1ターンに1度、魔法カードの効果がフィールドで発動した時に発動できる。
その効果を無効にし、フィールドのそのカードをこのカードの下に重ねてX素材とする。
(2):相手の攻撃宣言時、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。
攻撃対象をこのカードに移し替えてダメージ計算を行う。
(3):自分フィールドの他のXモンスターが戦闘・効果で破壊された場合、
自分フィールドのXモンスター1体を対象として発動できる。
そのモンスターの攻撃力は、破壊されたそのモンスター1体の元々の攻撃力分アップする。
「「「ギミック・パペットじゃねぇのかよ!」」」
何人かのツッコミが入る。想定よりも多かったのか、プレラーティさんは軽くほほを引きつらせた。
「う、うるさい! 先攻で出すならこっちの方が良いワケダ! 私はカードを2枚伏せてターンエンド」
プレラーティ LP4000 手札2 モンスター1 伏せ2
――――――――――――
「マイターン、ドロー。まずはそのドラゴンを黙らせましょう。《禁じられた聖杯》を発動」
「ムッ、攻撃力400アップか。通してもいいが、いややはり無効にする。そしてそいつをタイタニック・ギャラクシーのX素材にするワケダ」
「続けて《デステニー・ドロー》を発動。《D-HERO ダイヤモンドガイ》を捨てて、2枚ドロー。そして《フュージョン・デステニー》を発動よ。デッキから《D-HERO ドレッドガイ》、《D-HERO ディアボリックガイ》、《D-HERO ディスクガイ》を墓地に送り、融合召喚。来なさい! 《D-HERO ドミネイトガイ》!」
《D-HERO ドミネイトガイ》
星10/闇属性/戦士族/攻2900/守2600
「D-HERO」モンスター×3
このカード名の(1)(2)(3)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):自分メインフェイズに発動できる。
自分または相手のデッキの上からカードを5枚確認し、好きな順番でデッキの上に戻す。
(2):このカードが戦闘で相手モンスターを破壊した時に発動できる。
自分はデッキから1枚ドローする。
(3):融合召喚したこのカードが戦闘・効果で破壊された場合、
自分の墓地のレベル9以下の「D-HERO」モンスター3体を対象として発動できる(同名カードは1枚まで)。
そのモンスターを特殊召喚する。
「チッ、本命を通したワケダ」
「ドミネイトガイの効果発動。私のデッキの上からカードを5枚確認し、好きな順番でデッキの上に戻す。そして、これが通れば私の勝ちよ」
「早々に勝利宣言とはな。何をするつもりなワケダ?」
「見せてあげるわ。私は手札を1枚捨てて、《一撃必殺!居合いドロー》を発動!」
《一撃必殺!居合いドロー》
通常魔法
このカード名のカードは1ターンに1枚しか発動できない。
(1):手札を1枚捨てて発動できる。
相手フィールドのカードの数だけ自分のデッキの上からカードを墓地へ送り、
その後自分はデッキから1枚ドローし、お互いに確認する。
それが「一撃必殺!居合いドロー」だった場合、
それを墓地へ送り、フィールドのカードを全て破壊する。
その後、この効果で破壊され墓地へ送られたカードの数×2000ダメージを相手に与える。
違った場合、自分はこの効果でデッキから墓地へ送ったカードの数だけ、
自分の墓地のカードを選んでデッキに戻す。
なるほどな。普通に使えばほぼ成功の見込みはないカードだが、デッキ操作から発動すれば確実に成功するってことか。
「やってくれるワケダ。チェーンして《闇次元の解放》を発動。《ギミック・パペット-シャドーフィーラー》を守備表示で特殊召喚」
これでプレラーティさんのフィールドのカードが1枚増えた。あとはマリアさんの計算が狂うかどうかだが。
「では4枚のカードを墓地に送るわ。
一枚目《D-HERO ディバインガイ》
二枚目《D-HERO ドローガイ》
三枚目《オーバー・デステニー》
四枚目《一撃必殺!居合いドロー》
その後1枚ドローし、お互いに確認する。私がドローしたのは、《デステニー・ドロー》よ」
どうやら引っかけはなかったらしい。あのセリフは誘導かとも思ったが、さすがにそこまで悪辣ではないか。
「違った場合、自分はこの効果でデッキから墓地へ送ったカードの数だけ、自分の墓地のカードを選んでデッキに戻す。私は《デステニー・ドロー》、《フュージョン・デステニー》、《オーバー・デステニー》、《一撃必殺!居合いドロー》をデッキに戻すわ。そして墓地のディアボリックガイの効果発動。このカードを除外して同名カードをデッキから特殊召喚する。続けて《デステニー・ドロー》を発動。《D-HERO ディシジョンガイ》を捨てて、2枚ドロー」
次々と発動するドローカード。墓地もどんどん肥えていってる。
「まだまだいくわよ。《融合》を発動。フィールドの《D-HERO ディアボリックガイ》と手札の《D-HERO ダイナマイトガイ》を融合。来なさい! 《D-HERO ディストピアガイ》!」
フィールドに並ぶ2人の闇の戦士。それを見下ろす光のドラゴン。なかなか絵になる構図だな。
「《D-HERO ディストピアガイ》の効果発動。墓地の《D-HERO ディバインガイ》の攻撃力分のダメージを相手に与える。スクイズ・パーム!」
プレラーティ LP4000 → 2400
「《D-HERO ドリルガイ》を通常召喚。そして墓地の《D-HERO ダイナマイトガイ》を除外して、ディストピアガイの攻撃力を1000アップする! バトルよ。ディストピアガイでタイタニック・ギャラクシーに攻撃、ディストピアブロー!」
漆黒の稲妻を帯びた拳が巨竜へと突き刺さる。タイタニック・ギャラクシーは末期の嘶きを上げて倒れた。
プレラーティ LP2400 → 1600
「攻撃反応型のトラップではなさそうね。ならば、ドミネイトガイでシャドーフィーラーを攻撃」
戦士の一撃によって、青白い異形のパペットが粉々に粉砕される。
「ドミネイトガイの効果で1枚ドロー。これでラストッ! ドリルガイでダイレクトアタック!」
「調子に乗るなッ! 《
1枚から4枚出てきたぞ。相手に依存するみたいだが、アドの塊みたいなカードだな。
「くっ、ここまで展開するなんて。ドリルガイでビスク・ドールを攻撃」
プレラーティ LP1600 → 1000
「そしてディストピアガイの攻撃力を元に戻して、伏せてある《RUM-アージェント・カオス・フォース》を破壊するわ。私はカードを1枚伏せてターンエンド」
マリア LP4000 手札0 モンスター3 伏せ1
プレラーティ LP1000 手札2 モンスター2 伏せ0
――――――――――――
「私のターン、ドロー」
「スタンバイフェイズにドローガイの効果発動よ。このカードを特殊召喚して、お互いに1枚ドロー。続けて《D-タクティクス》を発動。私のフィールドにいる「HERO」の攻撃力は400アップする」
「ではありがたくドローさせてもらうワケダ。ふむ、まずは《アドバンスドロー》を発動。《ギミック・パペット-ナイトメア》をリリースして、2枚ドロー。続けて墓地のビスク・ドールを除外して効果発動。これでこのターン、私のフィールドの「ギミック・パペット」は相手の効果の対象にならないワケダ」
これでディストピアガイの効果がほぼ死に札になったわけか。
「ならチェーンしてディストピアガイの効果を発動よ。《ギミック・パペット-テラー・ベビー》を破壊するわ」
「その程度は想定内なワケダ。2体目の《ギミック・パペット-テラー・ベビー》を通常召喚。効果で墓地の《ギミック・パペット-ギア・チェンジャー》を守備表示で特殊召喚する。そしてギア・チェンジャーの効果でこのカードをテラー・ベビーと同じレベル4にするワケダ。条件はそろった。テラー・ベビーとギア・チェンジャーでオーバーレイネットワークを構築。運命の糸に繋がれし闇の傀儡よ、来いッ! 《ギミック・パペット-ギガンテス・ドール》!」
《ギミック・パペット-ギガンテス・ドール》
ランク4/闇属性/機械族/攻 0/守2000
レベル4「ギミック・パペット」モンスター×2
このカード名の(1)(2)の効果はそれぞれ1ターンに1度しか使用できない。
(1):このカードのX素材を2つ取り除き、
相手フィールドのモンスターを2体まで対象として発動できる。
そのモンスターのコントロールをエンドフェイズまで得る。
この効果を発動したターン、自分は「ギミック・パペット」モンスターしか特殊召喚できず、
Xモンスターでしか攻撃宣言できない。
(2):このカードをリリースして発動できる。
自分フィールドの全てのモンスターのレベルはターン終了時まで8になる。
「ギガンテス・ドールの効果発動。X素材を2つ取り除き、おまえのドミネイトガイとドリルガイのコントロールを得るワケダ!」
「なっ!? コントロール奪取ですって!?」
ギガンテス・ドールから放たれた漆黒の糸に捕らわれ、2体のD-HEROがフィールドを移す。
「ギガンテス・ドールの更なる効果! このカードをリリースすることで、自分フィールドの全てのモンスターのレベルはターン終了時まで8になるワケダ! レベル8となったドミネイトガイとドリルガイでオーバーレイネットワークを構築。現れろ、運命の糸を操る堕天人形! 《No.40 ギミック・パペット-ヘブンズ・ストリングス》!」
破壊ではなく、X素材となったドミネイトガイの効果はもう使えない。相手のモンスターを奪取してX素材にするとは、凄まじい効果だな。
「自分フィールドにランク5以上のXモンスターが特殊召喚されたことで、墓地の《RUM-アージェント・カオス・フォース》を手札に加える。ヘブンズ・ストリングスの効果発動。X素材を1つ取り除き、このカード以外のフィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターにストリングカウンターを1つ置くワケダ。そして《RUM-アージェント・カオス・フォース》を発動。人類の叡智の結晶で、悪魔よ蘇れ! 《CNo.40 ギミック・パペット-デビルズ・ストリングス》!」
《CNo.40 ギミック・パペット-デビルズ・ストリングス》
ランク9/闇属性/機械族/攻3300/守2000
レベル9モンスター×3
このカードが特殊召喚に成功した時、
フィールド上のストリングカウンターが乗っているモンスターを全て破壊し、
自分はデッキからカードを1枚ドローする。
その後、この効果で破壊され墓地へ送られたモンスターの内、
元々の攻撃力が一番高いモンスターのその数値分のダメージを相手ライフに与える。
また、1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除いて発動できる。
相手フィールド上に表側表示で存在する全てのモンスターにストリングカウンターを1つ置く。
「デビルズ・ストリングスの効果発動。おまえのモンスターを全て破壊して、1枚ドロー。そして2800のダメージを与えるワケダ!」
悪魔の人形から放射された暗黒のオーラが2体のD-HEROを破壊し、そのままマリアさんへと伸びる。
「墓地のディシジョンガイの効果発動。このカードを手札に戻し、その効果で私が受けるダメージを0にする!」
「まだ終わりじゃないワケダ。墓地の《ギミック・パペット-ネクロ・ドール》の効果発動。《ギミック・パペット-マグネ・ドール》を除外して、このカードを特殊召喚。さらに《ジャンク・パペット》を発動。墓地の《ギミック・パペット-ナイトメア》を特殊召喚するワケダ。そしてレベル8のネクロ・ドールとマグネ・ドールでオーバーレイネットワークを構築。2体目だ! 《No.40 ギミック・パペット-ヘブンズ・ストリングス》!」
ランク8のヘブンズ・ストリングスにランク9のデビルズ・ストリングス。マリアさんの場にモンスターはいない。通ればゲームエンドか。
「バトル! ヘブンズ・ストリングスでダイレクトアタック!」
「攻撃宣言時に《アンクリボー》の効果を発動よ。このカードを捨てて、墓地の《D-HERO ディストピアガイ》を特殊召喚する!」
「そう何度も使いまわされてたまるかッ! 手札から《D.D.クロウ》の効果発動。そいつを除外するワケダ!」
マリア LP4000 → 1000
「――ッ! この程度でッ!」
「続けていくぞ! デビルズ・ストリングスでダイレクトアタック! デストロイ・バースト!」
「墓地の《ネクロ・ガードナー》の効果発動! このカードを除外して攻撃を無効にするわ!」
「チッ、居合いドローの時に捨てていたワケダ。私はカードを2枚伏せてターンエンド」
プレラーティ LP1000 手札1 モンスター2 伏せ2
マリア LP1000 手札1 モンスター0 伏せ0
――――――――――――
「マイターン、ドロー。《D-HERO ディシジョンガイ》を召喚して、カードを1枚伏せる。これで私の手札は0。墓地のディバインガイの効果発動。このカードとドリルガイを除外して2枚ドロー。伏せていた《死者蘇生》を発動。墓地からディスクガイを特殊召喚し、効果で2枚ドロー。《大欲な壺》を発動。除外されている《D-HERO ディストピアガイ》、《D-HERO ディアボリックガイ》、《D-HERO ダイナマイトガイ》をデッキに戻してシャッフル。その後、1枚ドロー」
これで手札は補充できた。さてどう動く?
「墓地のディアボリックガイを除外して、デッキから同名カードを特殊召喚。そしてディシジョンガイ、ディアボリックガイ、ディスクガイの3体をリリースッ! 来なさい! 《D-HERO Bloo-D》!」
漆黒の翼を翻し、天より「究極のD」が降り立つ。
「そしてレベル8以上の「D-HERO」が特殊召喚したことで《D-タクティクス》の第2の効果を発動するわ。相手の手札・フィールド・墓地のカード1枚を選んで除外する」
「――くっ、選んで除外か。とりあえず、そいつには消えてもらうワケダ。《
「ならば私は、もう1枚の伏せカードを除外する」
伏せられていたのは《パルス・ボム》。あれはフリーチェーンで発動できるカードだ。それをあえて発動しなかった。守りたかったのはモンスターか、それとも。
「……たとえ
「やらせんッ! 手札の《エフェクト・ヴェーラー》を捨てて、その効果を無効にするワケダ!」
「速攻魔法《融合解除》。ディストピアガイをEXデッキに戻し、その素材であるダッシュガイとダイナマイトガイを墓地から特殊召喚。これで《エフェクト・ヴェーラー》は対象を失い不発。ディストピアガイの効果が適用されるわ」
「――クッ、やはりディスクガイに撃つべきだったか。最後まで、そいつにしてやられたワケダ」
プレラーティ LP1000 → 0
「ねぇねぇプレラーティ。勇んでリベンジに来たのに返り討ちにあった気分はどう? ねぇねぇ、今どんな気持ち?」
「本当に嫌味なヤツだな、おまえは……」
「ここでわたしが大~登~場~! お久しぶりです。プレラーティさん、カリオストロさん」
陽気なヒーロー使いがようやくやってきた。