シンフォギア世界とデュエルモンスターズ   作:乾燥海藻類

35 / 37
真実を語る者

日常は突然に崩れ去った。

異変を感じたのは登校途中だった。

街に誰もいない。

学生はもちろん、通勤途中のサラリーマンも、ゴミ出しをする主婦も、毎朝散歩をするお爺さんも、誰も見かけない。

ついに学校に到着するまで誰の姿も見えなかった。そして異変は続く。校門が閉鎖されている。俺が一番に登校したということはありえない。

額から冷たい汗が流れる。これは異様な事態だ。暗灰色の空を見上げ、遅まきながらにその可能性へと思い至った。

――と、そこでポケットの携帯端末が振るえた。

「響、無事か?」

『よかった、繋がったよ。遊蓮くん、今どうなってるか分かる?』

「……いや、まるで街中の人間がいなくなったみたいだ」

『ユベルが嫌な気配がするって。邪悪なものが蠢いているって』

「とりあえず合流しよう。学校までこれるか?」

『うん、すぐに行く!』

どうやら穏やかには終わらないらしいな。

了子さんは……繋がらない。

司令は……ダメだ。

緒川さん……くそッ!

「――ッ!?」

俺が端末をいじっていると、視界の端で空間がひしゃげた。空間を裂いて現れたのは、サングラスをかけた短髪の黒ずくめの男。

「誰だ、おまえは?」

「ふふ、私は真実を語る者(トゥルーマン)。ミスターT」

期待して誰何したわけではないが、相手はあっさりと名乗りを上げた。

「貴様を始末し、覇王の力を暴走させる」

「ほぉ、そりゃあ完璧な作戦だな。不可能だという点に目をつぶればよぉー」

「威勢がいいな、ならばこれからそれを証明してやろう」

 

 

『デュエルッ!』

 

 

「私のターン、ドロー。《レスキューラビット》を召喚して、効果発動。このカードを除外して、デッキから《ヴェルズ・ヘリオロープ》2体を特殊召喚。そしてヘリオロープ2体でオーバーレイ。混沌と虚無の空間より現れよ、ランク4《ヴェルズ・オピオン》!」

 

《ヴェルズ・オピオン》

ランク4/闇属性/ドラゴン族/攻2550/守1650

レベル4「ヴェルズ」モンスター×2

(1):X素材を持っているこのカードがモンスターゾーンに存在する限り、

お互いにレベル5以上のモンスターを特殊召喚できない。

(2):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

デッキから「侵略の」魔法・罠カード1枚を手札に加える。

 

「ヴェルズ・オピオンの効果発動。X素材を1つ取り除き、デッキから《侵略の反発感染》を手札に加える。私はカードを2枚伏せてターンエンドだ」

 

ミスターT LP4000 手札4 モンスター1 伏せ2

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー」

 

レベル5以上のモンスターを封殺か。以前のデッキならかなり厳しい戦いだっただろうな。これも巡り合わせか。

 

「俺はファント――」

 

目の前の男、ミスターTの姿はいつの間にか未来の姿へと変じていた。そして周囲が炎に包まれる。

 

「どうして私を見捨てたの? 響のことは助けたのに、私はどうでもよかったの?」

 

子供の頃、俺と響が未来の家で遊んでいた時に火事が起きた。俺は響と未来の手を握り、家の外へと避難した。だが外に出た時、俺が握っていたのは、響の手だけだった。

そんな記憶がよみがえった。

いや違う。流し込まれたんだ。そんな事実は、ない。

五感すべてを支配されたような、圧倒的な幻覚。

そう、これは幻覚だ。虚構だとわかれば、それは自制できる。

 

「無駄だ。そんな小細工、俺には通用しない。タネの割れた手品ほど惨めなものはないぜ」

 

「――貴様、ただの人間ではないな」

 

「ただの人間だよ。ちょっと普通じゃないけどな」

 

「精霊を視る力もない、凡庸な男だと思っていたが、認識を改める必要がありそうだ」

 

「そうかい、デュエルを続けるぞ。《幻影騎士団ラギットグローブ》を召喚。そして《幻影騎士団サイレントブーツ》を特殊召喚。このカードは自分フィールドに「ファントムナイツ」がいる時、手札から特殊召喚できる。レベル3のダスティローブとサイレントブーツの2体でオーバーレイ。戦場に倒れし騎士たちの魂よ。今こそ蘇り、闇を切り裂く光となれ! 現れろ! ランク3、《幻影騎士団ブレイクソード》!」

 

幻影騎士団(ファントム・ナイツ)ブレイクソード》

ランク3/闇属性/戦士族/攻2000/守1000

レベル3モンスター×2

(1):1ターンに1度、このカードのX素材を1つ取り除き、

自分及び相手フィールドのカードを1枚ずつ対象として発動できる。

そのカードを破壊する。

(2):X召喚されたこのカードが破壊された場合、

自分の墓地の同じレベルの「幻影騎士団」モンスター2体を対象として発動できる。

そのモンスターを特殊召喚する。

この効果で特殊召喚したモンスターのレベルは1つ上がる。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分は闇属性モンスターしか特殊召喚できない。

 

ラギットグローブの効果で、ブレイクソードの攻撃力は3000となっている。このまま戦闘破壊でもいけそうだが、試してみるか。

 

「X素材を1つ取り除き、ブレイクソードの効果発動。このカードとオピオンを破壊する」

 

「ふん、自爆特攻か。だがそうはいかん。《スキル・プリズナー》を《ヴェルズ・オピオン》を対象に発動。その効果を無効にする」

 

やはりか。侵略の反発感染で魔法・罠から守り、スキル・プリズナーでモンスター効果から守る。盤石な態勢といったところだが――。

 

「ならば上から叩く! バトルだ。ブレイクソードでオピオンを攻撃!」

 

ミスターT LP4000 → 3550

 

「――ふん。この程度、大した傷ではない」

 

「バトルフェイズを終了し、墓地のサイレントブーツを除外して、デッキから《幻影霧剣(ファントム・フォッグ・ブレード)》を手札に加える。カードを3枚伏せてターンエンド」

 

音羽遊蓮  LP4000 手札2 モンスター1 伏せ3

ミスターT LP3550 手札4 モンスター0 伏せ1

 

――――――――――――

 

「私のターン、ドロー。《闇の誘惑》を発動。カードを2枚ドローし、手札の《ヴェルズ・ザッハーク》を除外する。《ヴェルズ・マンドラゴ》を特殊召喚。このカードは相手フィールドのモンスターの数が自分フィールドのモンスターより多い場合、手札から特殊召喚できる。続けて《ヴェルズ・ケルキオン》を通常召喚し、効果発動。墓地のヘリオロープを除外して、もう1体のヘリオロープを手札に加える。レベル4のマンドラゴ、ケルキオンの2体でオーバーレイネットワークを構築。闇の邪念は全てを侵喰する。闇に堕ちし姿を現せ! 《ヴェルズ・バハムート》!」

 

《ヴェルズ・バハムート》

ランク4/闇属性/ドラゴン族/攻2350/守1350

「ヴェルズ」と名のついたレベル4モンスター×2

1ターンに1度、このカードのエクシーズ素材を1つ取り除き、

相手フィールド上に表側表示で存在するモンスター1体を選択して発動できる。

手札から「ヴェルズ」と名のついたモンスター1体を捨て、

選択した相手モンスターのコントロールを得る。

 

「フフフ、いただくぞ、貴様のモンスターを。ヴェルズ・バハムートの効果発動。X素材を1つ取り除き、手札のヘリオロープを捨て、《幻影騎士団ブレイクソード》のコントロールを得る」

 

「《ヴェルズ・バハムート》を対象に《幻影霧剣》を発動だ。そいつの効果を無効にする」

 

「無駄だ。《侵略の反発感染》を発動。これで私のフィールドの「ヴェルズ」モンスターは、ターン終了時までこのカード以外の魔法・罠カードの効果を受けない」

 

堕ちた氷龍の視線を喰らい、ブレイクソードがフィールドを移る。

 

「バトルだ。《ヴェルズ・バハムート》で攻撃、ダークネス・フリージング・ブラスト!」

 

音羽遊蓮 LP4000 → 1650

 

「終わりだ。己のモンスターで沈むがいい。《幻影騎士団ブレイクソード》でダイレクトアタック!」

 

「そちらは通さんッ! 《幻影騎士団ウロング・マグネリング》を発動。その攻撃を無効にし、その後このカードを効果モンスター(戦士族・闇・星2・攻/守0)として特殊召喚する」

 

「凌いだか。ならば効果を使わせてもらうぞ。ブレイクソード自身と伏せカードを破壊する。貴様の墓地の「幻影騎士団」モンスターは1体。蘇生効果は使えまい」

 

「ならばチェーンして《幻影騎士団ウロング・マグネリング》の効果を発動。このカード自身と《幻影霧剣》を墓地に送り、2枚ドローする」

 

「ほぅ、私はカードを2枚伏せてターンエンド」

 

ミスターT LP3550 手札1 モンスター1 伏せ2

音羽遊蓮  LP1650 手札4 モンスター0 伏せ0

 

――――――――――――

 

「俺のターン、ドロー」

 

伏せが2枚に、墓地には《スキル・プリズナー》か。

 

「墓地の《幻影霧剣》の効果発動。このカードを除外して、墓地の《幻影騎士団ラギットグローブ》を特殊召喚。そして《幻影騎士団ダスティローブ》を通常召喚し、この2体でオーバーレイ。再び現れろ、《幻影騎士団ブレイクソード》!」

 

「この瞬間、《強制脱出装置》を発動。そいつはEXデッキに戻ってもらうぞ」

 

「ならば墓地の《幻影騎士団ラギットグローブ》の効果発動。このカードを除外して、デッキから《幻影翼》を墓地に送り、このカードの効果も発動だ。《幻影翼》を除外して、《幻影騎士団ダスティローブ》を特殊召喚。自分フィールドに「幻影騎士団」モンスターが特殊召喚されたことで、手札の《幻影騎士団ステンドグリーブ》を特殊召喚。この2体でオーバーレイ。ファントムナイツは倒れない! 来い、《幻影騎士団ブレイクソード》! そして効果発動。破壊するのはブレイクソードと伏せカードだ」」

 

「墓地の《スキル・プリズナー》を除外して効果発動。伏せカードを対象として発動したモンスター効果を無効にする」

 

使ったか。よほど伏せカードが大事らしい。チェーン発動しなかったということはフリーチェーンや召喚反応型の罠ではない。ということは――。

 

「魔法カード《おろかな埋葬》を発動。デッキから《幻影騎士団サイレントブーツ》を墓地に送り、効果発動だ。サイレントブーツを除外して、デッキから《RUM-ファントム・フォース》を手札に加える。そして墓地の《幻影騎士団ブレイクソード》を除外して、フィールドの《幻影騎士団ブレイクソード》を対象に《RUM-ファントム・フォース》発動。ランクアップ・エクシーズ・チェンジ! 来いッ! 《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!」

 

叛逆の翼翻し、漆黒の竜は空を舞う。

 

「ダーク・リベリオンの効果発動。X素材を2つ取り除き、《ヴェルズ・バハムート》の攻撃力を半分にし、その数値分を攻撃力に加える」

 

《ヴェルズ・バハムート》 攻撃力2350 → 1175

《ダーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》 攻撃力2500 → 3675

 

「さらに墓地の《幻影騎士団ダスティローブ》の効果発動。このカードを除外して、デッキから《RUM-幻影騎士団ラウンチ》を手札に加え、発動。舞えッ! 《アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》!!」

 

《アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》

ランク5/闇属性/ドラゴン族/攻3000/守2500

レベル5モンスター×3

このカード名の(2)の効果は1ターンに1度しか使用できない。

(1):X召喚したこのカードは効果では破壊されない。

(2):このカードのX素材を1つ取り除いて発動できる。

このカードの攻撃力は、このカード以外のフィールドのモンスターの元々の攻撃力の合計分アップする。

このカードが闇属性XモンスターをX素材としている場合、

さらにこのカード以外のフィールドの全ての表側表示モンスターの効果は無効化される。

この効果の発動後、ターン終了時まで自分はこのカードでしか攻撃宣言できない。

 

「アーク・リベリオンの効果発動。X素材を1つ取り除き、このカード以外のフィールドのモンスターの元々の攻撃力の合計分アップする。オーバーロード・ディスチャージ!」

 

《アーク・リベリオン・エクシーズ・ドラゴン》 攻撃力3000 → 5350

 

「バトルだ! アーク・リベリオンでヴェルズ・バハムートに攻撃、スパーキング・ディスオベイ!」

 

「《聖なるバリア-ミラーフォース-》を発動。貴様のモンスターを破壊する!」

 

「無駄だッ! X召喚したアーク・リベリオンは効果では破壊されない!」

 

「なんだとッ!? ――グァッ!」

 

 

 

ミスターT LP3550 → 0

 

 

 

「どうやら貴様は、油断ならぬ相手のようだ」

ミスターTはそれだけを言い残して消失した。

 

 

 

  1. 目次
  2. 小説情報
  3. 縦書き
  4. しおりを挟む
  5. お気に入り登録
  6. 評価
  7. 感想
  8. ここすき
  9. 誤字
  10. よみあげ
  11. 閲覧設定

▲ページの一番上に飛ぶ
X(Twitter)で読了報告
感想を書く ※感想一覧 ※ログインせずに感想を書き込みたい場合はこちら
内容
0文字 10~5000文字
感想を書き込む前に 感想を投稿する際のガイドライン に違反していないか確認して下さい。
※展開予想はネタ潰しになるだけですので、感想欄ではご遠慮ください。