キャプテン・デク / ザ・ロンリー・アベンジャー   作:minmin

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作品全体の時系列としては真ん中辺り。デク君の回想シーンです。


キャプテン・デク / ホーム・カミング
エンドゲーム1


 

 最初に感じたのは、痛み。

 

 思考するより先に自分の身体を隅々まで確認する。動かせない部位はないか。痛み。動かすとまずい部位は。全身が恐らく打撲で痛むけれども、動ける。

 飛び起きて周囲を確認する。瓦礫の山、山、山。取り敢えず危険はない。そこでようやく記憶が戻ってきた。轟音、衝撃。そして崩壊。よくこの瓦礫の山に潰されなかったものだ。

 

「……また貴方に命を救われました、陛下」

 

 言いながら左腕に取り付けていた盾を撫でる。青、赤、白の3色で彩られた、オールマイトのコスチュームを意識した盾。どんな衝撃も吸収するという()()()()()()()()()()。いくら超人的な肉体でも、この盾がなければ死んでいたかもしれない。とはいえ、感慨に耽ってばかりではいられない。

 盾を構えつつ基地の残骸をかき分けて進む。周囲は比較的崩壊具合がマシだったようだけど、水漏れが所々に見られる。他の皆は無事だろうか。少しばかり進むと、前方に人影。あの太いシルエットは――

 

「ソーさん!」

 

「……デクか」

 

 駆け寄る。大丈夫そうだ。大きな怪我はしていない。ただ、返事はしてくれても振り返りはしない。ずっと前方を睨んだままだ。その視線の、先、には。

 

「奴の様子は?」

 

 背後から聞きなれた声。僕がやって来た反対側から、スタークさんとキャプテンが歩いてきていた。

 

「ずっとあのままだ」

 

「そうか――ああ、君も無事だったかボーイ。盾は?あるな?よーしそれでいい。誰かさんと違って君は優秀だな」

 

 いつも通りの軽口。好まない人もいるけれど、僕にとっては心地良い。安心する。

 

「……ストーンは何処だ」

 

「構造から考えると、多分下に落ちていったんじゃないでしょうか。探すのは、骨が折れるかと」

 

「まだ奴も手にしてないみたいだな」

 

 僕とスタークさんの言葉に頷くキャプテン。その視線は、ソーさんと同じ場所に向けられていて、既に戦闘態勢だ。

 

「絶対に渡すな」

 

「きっとこれは罠だ」

 

「あぁ。――それでも、構わない」

 

 ああ、それでも構わない。3人の言葉が、僕に力をくれる。視線の先にいる敵が、どんなに強力な存在でも関係ない。プルス・ウルトラ(更に向こうへ)。乗り越えないと、このユニバースに未来はない。

 

「よし。じゃあ意見は一致したってことだな」

 

 ソーさんが両手を掲げる。迸る光、轟く雷鳴。北欧神話に於けるトールそのもの。本物の雷神の力が沸き上がっていく。そして、引き寄せられ両の手に収まる斧とハンマー。

 

「今度は奴を正しく殺す」

 

 

 

 

 

 

 

「足りなければ余所から持ってくる。当たり前の話だ」

 

 泰然と瓦礫に掛けて敵が語る。全ての元凶、僕たちアベンジャーズの最大の仇敵(ヴィラン)――サノスが。

 

多次元宇宙(マルチバース)――この世界ではない、別の次元の宇宙から資源と食料を調達することで、全ての命を救うことができると思っていた。だが、ストーンの力を以てしても、こちらに引き寄せることができたのは、無力な小僧1人のみだった」

 

 そう言って僕を見る。このサノスは、僕たちが知るサノスとは別のはずだけど。僕の事を聞いているのか、知っているのか。……どちらにせよ、やることに変わりはない。

 

「ならば次善の策として、世界の半分の命を消すことで、もう半分を救えると思った。だがそれは叶わなかった」

 

 4人でサノスを取り囲むように動く。僕はキャプテンの向かい側。身体に染みついた、いつものフォーメーション。

 

「過去を知る者が生き残っている限り、新しい世界を受け入れられない者が必ずや存在し、抵抗する」

 

「ああ。我々は頑固でね」

 

「ああ、感謝するよ。今やっと、何をすべきかわかった」

 

 スタークさんに白々しい感謝を述べ立ち上がるサノス。傍らに刺してあった両剣に掛けた兜を被る。さあ――来るぞ。ソーさんが両手の武器に雷を纏わせる。アイコンタクトで、呼吸を合わせる。

 

「この宇宙を一旦原子レベルまで壊し、ストーンの力で世界を作り直す。そこに生きる命は、失ったことを嘆かず、与えられたものを享受する。感謝に満ちた世界だ」

 

「その為の犠牲は!?」

 

 キャプテンが吠える。返答は予想通りのものだった。

 

「誰も知ることはない。お前たちはここで死ぬからな。それに、そこの小僧。お前は例外だからな。残ったのが偶然なのか必然なのか――確かめる術もない以上、特に念入りに殺させてもらおう」

 

 直後、ソーさんが雄叫びと共に駆ける。スタークさんが右手からブレードを出し斬りかかり、キャプテンと僕が合わせて盾を投擲する。

 

 僕の、アヴェンジャーズとしての最終決戦(エンドゲーム)が、始まった。

 

 

 

 




おいおい書きますがデク君はある日突然MCUの世界に飛ばされて、なんやかんやあってキャプテンやバッキ―と同レベルの超人になってます。

水古戦場、3,4戦目強すぎるよーという息抜きから衝動的に書いた。まあいつの間にか4本引いてたメテオラが役に立ったのは嬉しいけどね。ちなみに杉玉2本のヴァルナ編成です。
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