キャプテン・デク / ザ・ロンリー・アベンジャー   作:minmin

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久しぶりの近いうち投稿。少なくとも敵襲撃は勢いのまま終わらせたいなー
あ、村正は引けませんでしたよコンチクセウ!



敵襲撃2

 

 ――どういうことだ?こいつは今何をした?

 

 頭の中が疑問でうまる。その訝しげな様子から、どうやらこの手男が何らかの“個性”を発動させたのは間違いないみたいだ。ただ、それは僕の盾には通用しなかったらしい。でも、それならどうして……

 

「つっ!!」

 

 纏まらない思考を中断し、盾を背中に回しながら横っ飛びする。直後、僕がいた場所に何らかが一斉に着弾した。射撃系の個性持ちが複数いる。さて、どうするか。

 

「馬鹿野郎、緑谷!何してる!」

 

 上から降ってきた声に視線を向けると、その身に纏わせた帯を巧みに操りながら相澤先生がこちらに向かってきていた。帯を敵に引っ掛け、動きを封じ、体勢を崩させ、見事に敵を翻弄している。

 

「敵の狙いも能力もわからないまま単身突っ込むなんざ不合理の極みだぞ」

 

 敵の包囲を突破しつつ僕と合流し、背中合わせになったまま先生が言う。うん、100%僕が悪いな、これは。

 

「すみません。あいつを見た瞬間、まずいと体中で感じて……直感で動いてしまいました」

 

「……まあ、今更言っても仕方ない。今は、この状況をどうにかして生き残ることだけを考えろ」

 

「わかりました」

 

 言葉が終わると同時にお互い盾と帯を構える。誰かに背中をあずけて戦うこの感じ――ああ、懐かしくて、たまらない。

 

「たった2人で俺たちをやろうってか!?なめてんじゃねえぞ!!」

 

 激高した敵たちが突っ込んでくる。異形型、パワー型の個性もちが接近戦を、後方から射撃型の個性もちが援護する。セオリー通りだけどその分効果的だ。厄介だったろう、相澤先生がいなかったら。

 一際大柄な異形型の敵の拳を盾で防ぐ。拳から伝わる感触に困惑しているようだ。ヴィブラニウムの衝撃吸収性は、その金属的な見た目からは想像もできないほど高い。そして――パワーなら僕も負けちゃいない!

 

「はっ!」

 

 受けた拳を盾で跳ね上げ、がら空きになったボディにストレートを打ち込むと、敵は腹を抱えてその場でうずくまった。次!

 相澤先生、いや、イレイザーヘッドの帯で足元を掬われて膝をついた敵の顎を蹴り上げる。これで2。イレイザーヘッドに飛んできた射撃を射線に入り込んで盾で受け、そのまま盾を投げつけて3!跳ね返りで4!

 盾を回収しに走ると、敵たちがそれを阻もうとしてくる。けれど、変身型だろう敵は体を変化させることができずに困惑し、増強型の敵は突然“力”が消えたことによりバランスを崩してすっ転んだ。その間に盾を拾って再び構える。……あのゴーグルが、先生の個性をより効果的にしているんだ。何処に視線を向けているかわからないから、今誰の個性が消されいるのかがわからなくなる。今みたいな乱戦中だと特にだ。

 しかし、少し戦ってみてもあまり手強いとは感じない。雄英の施設に直接乗り込んでくるにしては。警戒するべきはやっぱりあの手男と、黒い霧の……いない?あいつは、何処に消えた!?

 

「ちっ……一瞬のまばたきの隙に、一番厄介そうな奴を……!」

 

 イレイザーヘッドの声に階段の上を見ると、黒い霧がクラスの皆を取り込むところだった。人のまばたき程度の瞬間で、あそこまで僕らに気づかれずにワープしたっていうのか?ドクターの魔術だってもう少し前兆や発動の出みたいなのがあるっていうのに!

 

 霧がはれた時、皆の姿は綺麗サッパリ消えていた。どこかに飛ばされたか……どうする?

 危険度でいえば、生徒の皆のほうが断然上だろう。けれど、ここで僕とイレイザーヘッドが2手に分かれるのは……だめだろう。1人だと多勢に無勢だし、何か想定外のアクシデントが起こったときにフォローができない。たたでさえこちらの方が戦力が少ないのに、更に戦力を分散するのは下策だ。一番良いのは、ここの敵を出来るだけ早く無力化して、どこかに飛ばされた皆を探すこと……!

 

「イレイザーヘッド!ここを早くむ……!」

 

「おっと、そこまでです」

 

 僕の声が届く前に、目の前が一瞬で黒に包まれる。嘘だろう?いくらなんでも早すぎる……予測ができない!

 

「貴方は他の生徒たちより少々厄介そうなので……特別に、念入りに『高く』してあげましょう」

 

 

――――暗転。

 

 

 

 

 

 

 

 

………………

 

…………

 

……

 

 

 闇を抜けると、そこは空中だった。突如として感じる浮遊感。僕の身体は人より頑丈になっているけれど、やっぱりこの感覚はちょっとひやっとする。スタークさん、普通の身体なのによく空を飛ぶ気になったものだ。アベンジャーズ結成のときは、生身でスターク・タワーから飛び出して空中でスーツを装着したこともあったとか。

 とりとめもないことを考えていると、ようやく水面が近づいてきた。盾を背中に背負い、息を止めて身体をなるべく真っ直ぐにする。落下時間から考えると宣言通りかなり高いところから落とされたようだけど――この程度なら、僕はパラシュートなんて必要ない。

 

 着水。

 

 見えていたのか、音に反応したのか。予想通り早速敵が近寄ってくる。水中に適応しているらしい異形型の個性持ちだ。右腕を前に出して……水を、吸ってる?

 

「(ヤバっ!)」

 

 咄嗟に背中に回していた盾を慌てて構える。直後、もの凄い衝撃で僕は一気に水中から吹き飛ばされていた。おそらく吸い込んだ水に圧をかけて一気に放出したんだろう。

 

「(なんて威力だ……!でも、背後が偶然船で助かった!これならこのまま船の上に上がれる)」

 

 それなりの勢いで空中に逆戻りしたけれど、服が水を吸って重くなったせいかほんの僅か距離が足りなかった。仕方ない。さっきの攻撃で明らかに沈没寸前まで壊れてはいるけれど、ごめんなさい……ここ!

 

「ふっ!」

 

 

 船の側面になるべく水平になるように盾を打ち込む。ヴィブラニウムと、僕の身体の頑丈さがなければできない強引な方法だ。盾と身体能力の両方を使って衝撃を抑え込む。

 

「ふぅ……」

 

 右腕だけで盾にぶらさがって、どうしたものかな、なんて考えていると。左腕がそっと何かに包まれた。顔を上げるとあったのは、梅雨ちゃんの笑顔。なんだか、安心してしまった。

 

 

 

 

 

 

「オールマイトを……先生が言ってた通り、緻密に計画を練ってから実行に移したみたいだね。実際、ここにも水に適した個性持ちが集まってる。ただ、梅雨ちゃんがここに飛ばされてるってことは……」

 

「ケロ。ことは?」

 

 上着を捻って水分を絞り出しながら言う。船の上にいたのは、梅雨ちゃんと峰田君。2人の説明のおかげで、大体状況は把握できた。連中、本気だ。本気で平和の象徴、オールマイトを殺しに来てる。早くここを突破して、外部に救援を求めて……なるべく多くの人と合流しないと。

 

「生徒の個性までは敵は把握してない、ってことだと思う。僕が敵なら梅雨ちゃんは火災ゾーンにでも飛ばしてるよ」

 

「もしそうだったとしてどうするって言うんだよ!無個性とこんなくっつくだけの戦闘向きじゃない個性じゃどうしようもねえだろうがよおぉぉぉ!」

 

 僕を見ながらやっぱり筋肉か……筋肉なのか……なんてぶつぶつ言ってた峰田君が自分のもぎもぎを手当たりしだいに敵に向かって放り投げる。水面に浮いたそれを、敵たちは警戒してふれようとはしない……。やっぱり、こちらの個性は漏れてはいない。

 どうする?最大のアドバンテージをどう活かす?僕たちの手札は、僕の盾と身体能力、2人の個性……盾と、個性……?傍らに置いてある盾を眺める。おそらくは手男の個性によって塗装が剥がれた、僕の盾。

 

「峰田君。ちょっと試してみたいことがあるんだけど……」

 

 ――船が沈むまで、あと数分。さあ、アベンジを始めよう。

 

 

 

 

 




具体的な作戦はともかく、盾がどういう反応をするのかは予想がついてる方も多そうよね。
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