キャプテン・デク / ザ・ロンリー・アベンジャー   作:minmin

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再びMCUフェイズ。今回のデクの戦闘シーンを妄想するところからこの作品が始まりました。


エンドゲーム2

 

「――やれ!ソー!」

 

 アイアンマンスーツの背部パーツを展開させたスタークさんの合図の直後、力を溜めていたソーさんがムジョルニアとストームブレイカーを打ち合わせて雷を放出する。雷を司る神のエネルギーを取り込み、人間の科学技術で増幅させたレーザー光線は、サノスでさえ両剣を使って受けに注力せざるを得ない威力を持っていた。

 

「っっ……はぁ!」

 

 キャプテンと同時に盾を投擲する。直後に疾走。跳ね返った盾をキャッチして、足刈の蹴り。キャプテンは右ストレート。サノスがぐらついた。飛び上がって回し蹴りで光線を受けている武器を狙う――!

 

「ふんっ!」

 

 のだが、一瞬早くサノスが光線を受けきって弾き飛ばした。蹴り足をそのまま掴んで放り投げられる。地面と水平に数mも飛ばされ瓦礫の山に激突。

 

「がっ……」

 

 背中を強打した激しい痛みが全身を襲う。意識はある。ハッキリしているけれど、呼吸が整わない。動けない。スタークさんが僕と同じように吹き飛ばされるのを、這いつくばって眺めることしかできなかった。続けざまにソーさんがいく。ストームブレイカーでムジョルニアを打ち飛ばすも防がれた。ストームブレイカーも投擲。躱されて――捕まった。滅多打ちにされている。

 

 焦るな、落ち着け。焦っても状況が良くなることはない。落ち着いて、呼吸を整えろ。そして成せること、成すべきことを成せ。それが戦士の心構えだ。

 

 ティ・チャラ陛下の言葉を思い出す。一刻でも早く走り出せるように回復に努める。ソーさんがストームブレイカーを引き寄せようとしてサノスに奪われた。力で押されている。止めなくては、まだか、まだか。あと少し。

 仲間が死に近づくのを見ていることしかできない自分の無力に腹が立つ。悔しいが、キャプテンや僕は超人とは言ってもあくまで人間に過ぎない。人間が人間のまま得られる最高の身体能力を備えてはいるけれども、人間の枠を超えることはできない。端的に言って、サノスを倒すには火力が足りないのだ。だからこそ、戦略の面からしてもこのままソーさんを失うわけにはいかない。

 痛む全身に力を込めて立ち上がる。体当たりでもなんでもいい。兎に角止めないと、と走り出したところで――

 

            ――雷神の証である槌が、サノスの横っ面を痛打した。

 

 ムジョルニアはそのまま引き寄せられて急後退。まるで昔ながらの武器のように馴染んだ姿で、キャプテンの右手に収まった。

 

「ハ!やっぱりな。持てると思ってた!」

 

 場違いなヤケに明るいソーさんの声が響く。それが気に障ったのか、サノスのパンチでノックアウトされてしまった。

 なんだか事情はわからないけどこれは好機だ。ふくよかになったソーさんではなく、キャプテンがムジョルニアの能力を引き出せるなら話は違う。予定を変更して吹き飛ばされた盾を取りに走ると、背後で鈍い音。そして、見なくともハッキリとわかる雷の気配。――いける!

 

 盾を回収して来た道を急いで戻る。戦いを見やると、雷神の槌が巨人の腕から武器を弾き飛ばしたところだった。盾の表が向くようにして、ムジョルニア目掛けて投げつける。僕はあれを持つことはできないだろうけど、これなら。澄んだ音を響かせて盾が槌を跳ね返すと、巨人の背中に直撃する。つんのめったサノスにすかさずキャプテンの膝蹴り。盾の投擲。顔面を直撃して空中に跳ね上がったキャプテンの盾を僕がジャンプしてキャッチして彼に返す。着して自分の盾を回収し、シールドバッシュ。合わせてキャプテンが雷を纏わせたままハンマーを打ち付ける。後頭部へ盾を投げる。キャプテンがハンマーで直接打ち返す。

 

「お、おぉぉぉ!」

 

 巨人が吠える。追い詰められている――効いている!

 

「サノスぅぅぅぅっ!」

 

「ああああぁぁぁぁ!」

 

 僕たちも吠える。このままスタークさんやソーさん、バナー博士やバートンさんが来るまで持ちこたえる――!

 

 

 

                   視界が強烈な光で白に染まる

 

 

                        何が、起こった?

 

「ぐっ……がはっ……」

 

 気がづけば、キャプテンも僕も吹き飛ばされて地面に倒れ伏していた。サノスに投げ飛ばされた時以上の衝撃。身体が、動かない。かろうじて頭部だけを動かすと、サノスは荒い息を吐きながらも両の足で立っていた。

 

「……認めよう。お前たちはよくやった」

 

 ゆっくりと両剣を掲げる巨人。それを合図にして、雲の合間から、地から湧き出てくるあれは――サノスの、軍勢。

 

「見下したことを詫びよう。侮ったことを反省しよう。だからこそ――憎しみを持って、お前たちを念入りに捻り潰す」

 

 続々と、いっそ無限にではないかと思える程に増える軍勢。空には宇宙船、それも軍艦らしきものも見える。僕たちは、あれの攻撃にやられたのか。しかし、この、戦力差は……。

 

「……っ」

 

 キャプテンが、ゆっくりと、立ち上がる。欠けた盾を支えにして、絶望的な戦力差を前に、それでも尚立ち上がる。彼は、ヒーローだから。ヒーローであると、己の魂に誓ったから。――そうだ、何をしている緑谷出久。萎えかけた心と身体にもう一度力を入れる。大丈夫だ、まだ動ける。動けるなら、何度でも立ち上がれ。お前は、ヒーローになるんじゃなかったのか!

 

 

 

 ――キャップ。

 

 

 

 突然、通信が入る。この、声は。

 

 ――キャップ、サムだ。聞こえるか?

 

 忘れるはずもない。ファルコン――サムさんの声。

 

 ――左から失礼。

 

 右耳の通信機に手を当てて困惑するキャプテンの、言葉通り左側の空間に突如として円形の穴が空き。蘇った鷹が、軽やかに大空を舞った。

 それを皮切りに次々と空間を超えて援軍がやってくる。様々な感情のこもった瞳でキャプテンを見つめるティ・チャラ陛下。シュリさんにオコエさん、ワカンダの戦士たち。ヴァルキリーさん率いるアスガルドの軍勢。世界中からやってきた魔術師たち。ああ、地下から巨大化したスコットさんが。掌からバナー博士とローディーさん。ロケットさんが肩に乗ってる。ポッツさんがアーマーを着て空を飛んでいる。そして。

 

 自ら開いたゲートから、優雅に舞い降りる至高の魔術師。その後ろから、ロケットさんの仲間たちと――見紛うはずもない、あのスイング姿――この世界での、僕の親友。

 

 待ち望んだ再会のはずなのに、お互い言葉が出ない。溢れ出しそうになる涙を堪えて、ただ無言で頷きあう。さっきの陛下とキャプテンも、同じ気持ちだったんだろうか。

 

「アヴェンジャーズ!」

 

 キャプテンの声が聞こえる。そうだ、今はまだ、戦わなくちゃいけない。ピーターともう1度頷きあい、前を向く。

 

「…………アッセンブル」

 

 敵味方の雄叫びと共に、最後の戦いの終わりが始まった。

 

 




2人の超人兵士で盾をパスしあいながら、ムジョルニアを盾でホッケーしながらサノスを虐めるアクションシーンがあったらカッコよくない?
次回はまた雄英フェイズに戻ります。
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