キャプテン・デク / ザ・ロンリー・アベンジャー   作:minmin

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前回から引き続きヒロアカフェイズ。次回も戦闘訓練2になるよていです。




戦闘訓練1

 

 

 入学式の翌日からは、思ったよりまともな高校生活が始まった。カリキュラムを見るに、どうやら必修の一般教養科目は午前中に集中させてあるらしい。久しぶりの日本の学校で、友人たちと授業らしい授業。英語担当のプレゼント・マイク先生がやたらとテンション高かったことを除けばごく普通の内容だったけれども、僕にはそれが嬉しかった。(現代文の授業で縦書き日本語満載の教科書を読んでて泣きそうになったのは内緒だ)

 

 昼は学食。大食堂で一流の料理を安価で頂ける。白米に落ち着くよね最終的に!!とは食堂担当のクックヒーロー・ランチラッシュの弁。全く同意だ。メインの鯖の味噌煮も、ご飯も味噌汁もものすごく美味しかった。飯田君には渋いな君は!と言われた。(味と懐かしさで泣きそうになったのはやっぱり内緒だ)

 

 ――そして午後。

 

「わーたーしーがー!!普通にドアから来た!!」

 

 ヒーロー科独自の科目、ついでに単位数も最大のヒーロー基礎学の授業の時間。1人だけ画風が違いすぎるトップヒーロー、オールマイトがシルバーエイジのコスチュームで教室に入ってくる。合否通知で聞かされたけど、本当に教師やってるんだなあ。まあ、ヒーロー基礎学しか担当しないらしいので、教員免許持ってない、プロヒーローとしての講師枠なのかもしれないけど。しかしそう考えると、プレゼント・マイク先生のわかりやすい授業や、エクトプラズム先生のあの数学への造詣の深さってすごいことなんだなあ。

 

「着替えたら順次グラウンド・βに集まるんだ!!」

 

 おっと、いけないいけない。集中しないと。

 

「格好から入るってのも大切なことだぜ少年少女!!自覚するのだ!!!!今日から自分は……ヒーローなんだと!!」

 

 皆個性届と要望に沿って作られた、思い思いのコスチュームを着てグラウンドに移動する。ちなみに僕は無個性なので、丈夫に作られてる以外はほぼ見た目だけ。向こうでのキャプテンの戦闘服からマスクを抜いた感じだ。因みに、ファッションセンスはキャプテンが70年前の人なんだと実感する話題の1つでもあったりする。個性社会である『こちら』ならともかく、ヒーローが最近まであまり認知されていなかった『あちら』でキャプテン・アメリカの初代コスチュームを着るのは中々勇気のあることだと思うんだけど……キャプテン、現代でも普通に着こなしてたなあ。多分あちらの人からすると、日本で言う昭和のファッションや髪型の人がそのまま現代で動いてるようなものだったと思う。

 

 あちらに思いを馳せている中、オールマイト先生の説明は続く。屋内での対人戦闘訓練……僕たちが「敵組」と「ヒーロー組」に分かれての2対2の屋内戦、か。

 

「勝敗のシステムはどうなります?」「ブッ飛ばしてもいいんスか」「また相澤先生みたいな除籍とかあるんですか……?」「分かれるとはどのような分かれ方をすればよろしいですか」「このマントやばくない?」「いや青山君それはおかしい」

 

「んんん~~聖徳太子ィィ!!!」

 

 おっと思わず最後に青山君に突っ込んでしまった、反省。そして慌ててカンペを見ながら説明をするオールマイト。失礼だが控えめに言っても先生っぽくないし、明らかに慣れていない。元から驚異の倍率の雄英高校だ、集客の為じゃないだろう。今年の合格者の中にどうしてもNo.1ヒーローの指導を受けたいという政財界の重鎮の子どもがいた、なんて非現実的な理由じゃなければ――高校側か、オールマイト。あるいはその両方に、オールマイトが赴任しなければならない理由がある、ってことか。……気にはなるけれど、今は授業に真面目に取り組もう。折角縁がある人と同じペアになれたみたいだしね。

 

 

 

 状況設定は『敵組』がアジトのビルに核兵器を隠していて、それをめぐる攻防戦。制限時間は15分。支給された「確保テープ」を巻きつけてお互いを捉えるか、制限時間までに核兵器を回収するか、守り切るか。ヒーロー組は敵組の5分後に行動開始で、ヒーロー側に核兵器の位置は知らされていないという点まで含めて、かなり実践的な内容だ。どちらの勝利条件の達成を目指すかで、とるべき行動が大きく変わってくるな。

 

「え、えーと。作戦はどうする?」

 

 完全ランダムのくじで僕とコンビ、ヒーロー組になった麗日さんが緊張気味に相談してきた。先にアジトの中に入ったのはかっちゃんと飯田君の敵組。……なんだか縁がある人ばかりだな。

 

「そうだね。これは予想……でも99%当たると思ってるんだけど。まず間違いなくかっちゃんが単騎で突撃してくる。何せ短気だからねかっちゃんは」

 

「っそ、そうなん?」

 

 笑いを噛み殺しつつ聞き返す麗日さん。うん、緊張は少し解れたかな。

 

「うん。個人的怨恨とかそういう理由で。正直なところ、これがあるとはいっても麗日さんを守りながらかっちゃんを正面突破するのは……簡単じゃない、かな。だから――」

 

 できない、とは言わない。ただ、今回はそういう授業じゃないだろう。盾を装着した腕を上げて、ガッツポーズする。

 

「麗日さん、逃げようか」

 

「ほへ?」

 

 変な声を出してきょとんとする麗日さん、カワイイ。

 

 

 BOOM!

 

 曲がり角、音を殺した綺麗な奇襲。やっぱり来た。麗日さんを背にしつつ、盾を構えて爆発から身を守る。麗日さんとアイコンタクトをして頷きあう。

 

「避けてんじゃねえよクソデクがぁ!」

 

 続けて右の大振り。これも予想通り。右腕を掴んでかっちゃんの懐に入り込み、左手で左手首を掴んで抑える。そのまま、片手1本背負い!

 

「ガハッ……!!」

 

「当然避けるよ。僕は――デクノボウじゃないからね」

 

 距離を取りつつ敢えて挑発的に言う。追撃や確保テープを巻きにはいかない。かっちゃんなら、僕に捕らえられるくらいなら自爆する、なんてのは普通にやりそうだから。さて、どうなるかな?

 

「……ムカツクなあ」

 

 大の字に転がったまま、ポツリと漏らすかっちゃん。そのまま、ゆっくりと立ち上がる。

 

「チョーシ乗ってんじゃねえぞクソナードォ!」

 

 両手の爆破で勢いをつけてからの飛び蹴り。盾を構えつつ、僕は予定通りに後退を開始した。かっちゃんの攻撃を防ぎ、躱し、時には反撃して攻撃の出を抑えつつ慎重に後退する。確かにかっちゃんは凄い。僕とは違って、才能の塊のような男。それでも、あの天才――トニー・スタークには及ばない。生身同士ならかっちゃんが勝つだろうけど――アイアンマンには及ばない。しのぐだけならできる。両の掌から推進力を得て加速するその移動法は、あの人の姿に重なるから!

 

『デク君、聞こえる?4階も大丈夫やった。今から5階に上がるね』

 

「了解。気をつけて」

 

 かっちゃんに気づかれないように、盾を掲げて口元を隠しながら小声で麗日さんからの通信に返事をする。予定通りだ。かっちゃんは、麗日さんがいなくなっている事に気づいていないか、気づいていても気にしていない。さて、上手くいくかな。

 

 

 

 

「ぬかったなヒーロー!!フハハハハハ」

 

 綺麗に片付けられた5階の真ん中のフロアで笑う飯田君。様に……!!なってる……!! そのままじりじりと近づいてくるけれど、手を構えるとちょっと下がる。うん、デク君の言った通り。

 

「デク君、今飯田君に見つかったよ。場所は5階の真ん中のフロア。間取りは同じで、障害物はなし!」

 

『ありがとう。それじゃあ、打ち合わせ通りに!』

 

「わかった!」

 

 ってうわ!下から凄い爆発音。けど、飯田君も戸惑ってる……チャンスだよね。個性を自分に使って、走り出したあと……飯田君の手前で、ジャンプ!

 

「自身も浮かせられるのか!!」

 

「解除!!――負担の大きい超必です!」

 

 空中で解除して、落下しながら核を狙うけど……抱えて逃げられちゃった。

 

「君の個性は触れられない限り脅威ではない!このまま時間いっぱい粘らせてもらうぜ!ぐへへへへ!」

 

 やっぱり、積極的には近づいてこずに逃げ回るつもりだ。……デク君、すごいなあ。 

 

「ぬう……!」

 

 悔し気に唸りながら立ち上がって、飯田君の方を向いたまま窓を開ける。気にしては……ない、よね?またちょっとずつ牽制で近づいてくる飯田君……もう少し。

 

「デク君、10時の方向、中心から7m。……お願いします!」

 

 窓の外に一瞬ふわっと現れたデク君が、盾を投げて落ちていった。投げられた盾が、壁や柱に当たって跳ねる音がする。

 

「む!な、なんだ!?」

 

 驚いてる飯田君の横を通り過ぎて、背後の壁に当たって跳ね返る――今!さっきと同じように、ジャンプ!

 

「確保!!!」

 

「ぐぉっ!!ってああーー核ーー!!!」

 

 うちが核に抱きついたのと、背中を盾に打たれた飯田君が立ち上がるのがほぼ同時。

 

『ヒーローチーム……W I I I I I N !!』

 

 やったね、デク君!

 

 

 




行間とか段落の間隔とか、読みやすい『間』っていのうがまだ掴めてないので、読みにくかったら感想とかでご指摘ください。
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