原子操作術で、来たるべき時に備えよう。   作:非対称ジメチルヒドラジン

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第2話

「原子操作、水素と酸素の生成。」

 

風呂につかりながらそう唱える。

ブクブクっと泡が発生したところで、ライターの火を近づける。

 

瞬間、ポンと言う破裂音がした。

 

これは水素が引火した音、つまり水素爆発の音だ。

この能力を使えば水を、酸素と水素に分離出来るらしい。

 

この能力を応用すれば、最近政府が推進している水素車、アレの燃料を好きなだけ供給することができる。

 

酸素の工業的利用についてはあまり詳しくないが、こちらもなかなかの高値で売り捌ける筈だ。

 

さあ次行こう次。

 

「原子操作、シャンプーを各構成原子ごとに分離せよ」

 

瞬間、シャンプーが様々な色の元素に分離した。

中にはあまりよろしくない物も見え隠れしている。

 

淡黄色の斜方晶。比重は2.07,硫黄だ。人体にとってあまりよろしくない。おそらく中に入っていた硫酸ナトリウム系の洗浄剤が分解される過程で発生した物だろう。

 

変な化学反応を起こされても困るので、俺は排水溝にそれらを流してその日はさっさと寝た。

 

 

 

 

次の日。

冷蔵庫の中にあった缶詰を開けて食べる。

鯖の缶詰だ。4缶くらい開けたらそれに向かって念じる。

 

「原子操作、缶をぺしゃんこにして」

 

缶は音を立てて潰れた。

硬い金属もこの原子操作の影響を受けるのか。

感心しながら再度念じる。

 

「原子操作、缶を一つに」

 

缶同士が引き寄せられ、ギリギリという金属音を発した。

そして缶は原型を崩し、一つの塊へと進化する。

 

鉄とスズの合金だ。手に持つと少し重い。

なるほど、こんなこともできるのか。

 

原子操作、この能力は相当楽しそうだ。

 

ワルーイ事が次々と思いつく。

カジノでイカサマ、ポルターガイストの誘発....

 

 

何故だろう、ワクワクが止まらない。

 

ニヤケが収まらないこの顔は今、きっと歪んでいるだろう。だが悪魔的思考は収まらない。

それどころか考えが加速する。

悪質なイタズラから悪魔的犯罪まで、この能力すらあれば全て可能になるだろう。都心部での大規模テロ、核戦争の誘発すら可能かもしれない。

 

だがあまり派手なことは行わない。

バレない程度に私財を溜め込んでやろう。

名誉は要らない。必要なのは金と物だけだ。

所得隠しも可能だろう。この能力さえあれば。

 

自分だけ、自分一人だけいい思いをするための施策を片っ端から絞り出し終えたら、今日の所は気持ちを整える準備期間としよう。

 

まずは可及的速やかにカジノを潰しに行く。

マカオまで出張だ。カジノを2軒ほど潰してその金を巻き上げてやろう。

 

そう自分に言い聞かせながら俺は高鳴る気持ちを抑え、この能力の猛訓練に励むことにした。

 

 

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