目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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第1章 吸血鬼転生編
目覚めたら、吸血鬼でした


「……姉様……妹……ないの」

「そうよ……まだ……は……めてないわ」

 

 ある日、私は自分の部屋で本を読み、絵を描いたり、音楽を聞いたり、ゲームをやったり等、いつも通り怠惰の限りを尽くしていた。

 

 そして、夜更かしの限界を超えて机に突っ伏したまま眠りについてしばらく経った時、聞き慣れない女の子の途切れ途切れの声によって目覚めた。とは言っても、催眠術にかかったかのように目は開かないし、1ミリたりとも身体は動かせないけれど。

 

 身体が動かない中、幸いにも呼吸は問題なく出来ていたけど、それをする度に鼻に通る匂いが違う事に違和感しか感じない。そもそも机の上で寝ていたはずなのに、背中に感じるのはフカフカのベッドの感触であった。一体どうなっているのだろうか。

 

(どうなってるの……? ただ机の上で寝ていただけなのに……)

 

 などと、考えていても私を取り巻く状況は変わらない。身動き出来ないこの状況で出来る事と言えば、動けるまでひたすら待ち続けるのみである。だから、何故こうなったのかを考えるのはやめて、何か別の事を考えるようにした。

 

 しばらく経ち、大分言葉が聞き取れるようになってきた時、『リーシェ、抱っこするね』と言う問いかけと共に突然浮遊感に襲われ、女の子に抱き抱えられる感覚に陥った。この取り巻く状況を鑑みるに、恐らく『転生』と言う超常現象によって私が『リーシェ』に生まれ変わると言う出来事が自分の身に起きたのだろう。つまり、今の私は赤ちゃんになっていると言う事である。

 

(あ……何だか凄く落ち着く……ん?)

 

 女の子の温もりで強い安心感を得ていると、今まで縛られているかのように全く動かせなかった自分の身体が、若干重たい感じがするものの、動かせるようになってきたのを感じた。催眠術にかかったかのように開かなかった目もようやく開き、周りを見回す事が出来るようになった。視界に靄がかかっているように見えづらいから、私を抱いている女の子の顔はまだ良く分からないけれど、髪の色くらいなら分かる。

 

「あ、目を開けた! お姉様、リーシェが目を開けたよ! ほら見て!」

「やったわね、フラン! 全然起きてくれなかったから、本当に」

「うん! リーシェ、私が分かる? 貴女の姉になる『フランドール』って言うの! よろしくね!」

 

 すると、私を抱いている金髪の女の子が『フランドール』と名乗り、元気良く挨拶をしてきた。それを聞いて、何だか聞き覚えがある名前だなと思ったけど……何だったか思い出せない。

 

(まあそれはともかく、転生したこの世界での私の姉なのだから……呼び方は姉様で良いかな?)

 

「フラン、貴女ばかり抱いててズルいわ。私にも抱かせて」

「うん、分かった」

 

 考え事をしていると、フランドール姉様が『お姉様』と呼ぶ水色がかった青髪の子に私を渡した。今まで感じていたのと同等の心地良さに、思わず気が緩んだ。

 

「私もフランと同じ、貴女の姉になる『レミリア』よ。よろしくね、リーシェ」

 

 水色がかった青髪の子は『レミリア』と名乗った。フランドール姉様がレミリア姉様をお姉様と言ったので、私は3人姉妹の末っ子なのだろう。

 

 そう言えば、視界の靄が少しずつ取れていくにつれて2人の姉様の背中から生えていた翼がハッキリと分かるようになってきた。レミリア姉様は蝙蝠のような感じで、フランドール姉様は枝に7色の宝石がついているような奇妙な形をしていた。明らかに吸血鬼のそれであった。

 

 と言う事は、私にも姉様みたいな翼が生えてるはずだけど……まさか、転生して種族が吸血鬼になるとは夢にも思わなかったなと、姉様たちを見ながら考える。

 

「レミリア、フラン。私の部屋で騒いでどうしたのです?」

 

 すると、私と姉様2人が居るこの部屋に、立派な翼を生やした黒髪の女の人が入ってきた。女性曰く、この騒ぎを聞き付けて部屋に入ってきたらしい。

 

「あ、お母様見てよ! リーシェが起きたの!」

「……え?」

「フランが抱いてたら起きたのよ。本当にビックリしたわ」

「……」

 

 そうしてフランドール姉様が、お母様と呼んだ女性に対して『リーシェが起きたよ!』と嬉しそうにしながら、私を差し出す。まあ、結構長い間眠っていたらしいから、母親からしたら毎日が気が気ではなかっただろう。

 

「リーシェ……起きてくれてありがとう……」

 

 案の定、予想通りであった。女性……いや、母様は起きている私を見るなり涙を流し、優しく頭を撫でながらありがとうと、そう語りかけてきた。

 

(色々驚く事ばかりだけど……母様。こちらこそ、私を産んでくれてありがとう)

 

 母様のありがとうと言う言葉に対して、今はまだお礼を色々な意味で出来ないため、心の中でありがとうと私は言った。

 

 そう言えば母様は居るけれど、父様の姿がどこにも見えない。何らかの理由で来れないだけか、既に死んでいるのか、もしかして私自身が興味を持たれていないのか……

 

 まあ、父様が今ここに居ない理由が何であれ、吸血鬼としてこの世界に生を受けた以上、私は頑張って生き抜く事に心に誓った。

 

 




ここまで読んで頂き感謝です。
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