目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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一昨日投稿した100話目は削除し、代わりに今話を100話目として投稿しました。理由は、今後の話づくりに難が生じてしまったためです。個人的な都合で、大変申し訳ありませんでした。

今話はパチュリー視点です


間章その3『封じられた天使』
パチュリーの悩みとフランの懇願


「パチュリー。リーシェの封印を解いても問題なくなる物……えっと、波鎮(なみしず)めの首飾りだっけ? それの研究開発、上手く行ってる?」

「全然、上手く行ってないわ……」

 

 レミィやフランと協力してリィの封印を行い、いずれ封印を解いても問題ない様に、波鎮めの首飾りと名付けた魔道具の研究開発を始めてから今日で8年もの月日が経ったものの、未だに大きく進展がなく、私は大いに悩んでいた。

 

 1つ目は、あの時のリィの余剰魔力込みの暴走を抑え込める強度を達成するために、長い時間をかけて選び抜いて調達した素材の想像を超える魔法耐性と馬鹿みたいな硬度のお陰で、殆んどお手上げであったからだ。術式開発の方に力を注いでいた事もあって、こちらは遅々として進んでいない。

 

 もう1つは、完成した首飾りに付与する術式開発の途中で凄絶なトラブルが発生し、色々とめちゃくちゃになると言う地獄の様な事態に陥ったからだった。こちらの方はそのトラブルが起きて少し経った後から集中して修復に努めたため、今は何とかトラブル前にまで戻す事が出来ていた。

 

 こんな状態で上手く行っているなどと言える訳がないために、正直に全く上手く行ってないと答えざるを得なかった。本当はリィと会話すら出来ずにストレスを溜め込み、封印部屋かレミィの自室にこもって何かする回数が増えたり、若干情緒不安定になっているフランをこれ以上追い詰めたくなかったのだけど、致し方ないだろう。

 

「そうなんだ。まだ上手く行ってないんだね……」

「ええ。力不足で申し訳ないわね、フラン」

「ううん、パチュリーは頑張ってくれてるから悪くないよ。悪くないけど……もう8年も経ってるから、寂しいの。リーシェの温もりが恋しいの。愛しい妹の声すら聞けないなんて、もう嫌だよ……!」

 

 当然、そんな私の返事を聞いたフランは、見てるこっちまで辛くなってくる位にまで落ち込んだかと思えば、突如として声を押し殺しながら涙を流したりするなど、色々と目まぐるしく感情が変化していく。

 

 まあ、リィの感情が爆発した結果の物凄い暴走と比べれば、フランのこれはまだ可愛いと言える方だと思うけど、このまま放置しておけばあれに準ずる出来事が起こりかねない。なので、早急に研究開発を進め、目的の魔道具を完成させる必要があるのだけど、如何せんあの硬度と魔法耐性を突破する目処が立っていないから、どうも出来ない。

 

「すぅ、はぁ……ねえ、パチュリー。疑問に思ってたんだけどさ、どうして上手く行ってないの? お願い、教えてよ」

「勿論良いわ。実はね……」

 

 頭の中で悩んでいると、何回か深呼吸をして落ち着いたらしいフランが、首飾りの研究開発が上手く行かない理由が知りたいらしく、潤んだ瞳で私を見つめながら教えて欲しいとお願いをしてきた。特に隠す理由もなかったため、包み隠す事なく全てを話す。

 

「じゃあ、首飾りに使う『オリハルコン』の加工が上手く行けば良いの?」

「そうよ。それさえ上手く行けば、第1段階は突破する事が出来るわ」

「そっか。それじゃあ……」

 

 すると、私の話を最後まで聞き終えたフランが突如として立ち上がり、少し距離を取った後に『狂気の啓示』を使用して全魔力を解放、満面の笑みを浮かべながら私の膝の上に座ってきた。その行動の意図が分からず戸惑っていたところ、その後にフランが言ってきた一言で、意図が解明された。

 

「ほら、パチュリー! 私も協力するから、何でも指示を出して! もし、私の魔力とか翼の宝石とか血とかを使えば早くなるなら、自由に使っても良い……と言うか、使って! きっと痛くて辛い思いもするだろうけど、全然構わないから!」

「えっと……フラン? 協力はありがたいけど、自分を差し出すのは流石に不味いわ。止めた方が……」

 

 それは、自分も波鎮めの首飾りを早く作るために協力を惜しまず、それに寄与するのであれば翼の宝石でも魔力でも血でも使ってくれと、それに伴うであろう痛みや辛さにも耐えて見せると言うものであった。

 

 確かに、フランはリィの事を溺愛しているのは分かる。しかし、製作への協力はともかくとして、自分自身を材料として差し出すのは色々な意味で如何なものかと思ったため、それを何とか止めようと説得を試みる。

 

「ううん、止めない! だって、それに伴う痛みや辛さよりも、リーシェとお話出来ないふれあえない辛さの方が()()()()辛いから! それに私、たった1人の妹であるリーシェの事……とっても愛してるもの!」

「はぁ……全く、フランのリィに対する狂気的な愛の強さには驚かされるわ……分かった。フラン、よろしく頼むわね」

「えへへ、はーい! 任せてね!」

 

 しかし、私の説得などどこ吹く風と言わんばかりに、フランはいざと言う時には自分自身を材料として使ってくれと言う意思を、全く変える事はなかった。そのため、フランのリィに対する狂気的な愛情の強さに少し呆れつつも、仕方なくそれも含めて協力をお願いし、今日から首飾りの製作にフランも加わる事が決まった。

 




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