「着いたわ、こあ。あの子が私とフランの妹、リーシェよ」
「あの方が、お2人の妹さんのリーシェ様……まさか、見るからに頑丈そうな封印魔法を二重掛けされる程とは、一体何が……」
パチュリーの召喚した小悪魔のこあとお姉様がお互いに自己紹介を終えた後、流れで私はお姉様やパチュリーと一緒に、リーシェをこあに紹介するために封印部屋へと訪れていた。
四肢を強力な魔法陣で拘束し、その魔法陣ごと宙に浮かぶ水球で囲んで封印していると言う厳重さにやはりと言うべきか、こあは驚きのあまり、唖然としたままリーシェに視線を送っている。それだけではなく、吸血鬼なのに容姿が天使の様である事にも衝撃を受けていそうではあるけど。
「まあ、全部説明すると長くなるから所々省くけど、リーシェがああなったのは、親しかった人間の『エル』って言うメイドが死んで、ショックのあまり暴走したからなの。私とフランとパチェで、何とか抑えたのよ」
「人間のメイド、ですか?」
「ええ。あの子、私とフランを含めた館の住人のような、親しくしてる人が傷ついたりすると、反射的に自分を犠牲にしてでも守りきろうとする性格の持ち主なの。お母様や幽閉時代に親しかったメイドの死を経て強くなってきて……そう。私とフランを殺すって言った吸血鬼を、問答無用で
そして、そんな感じで驚いているこあをよそに、お姉様はリーシェがこうなった経緯を、性格なども含めて説明をし始めた。
私やパチュリーにとってはもう既に分かっている事だったため、当たり前だけど特に何だと言う事はない。けれど、何も知らないこあにとっては中々衝撃的な話だったのか、それとも思う所があったのか、はたまたお姉様に怯えているからかは分からないけど、普通よりも真剣な面持ちでその話を聞いていた。
「あぁ……それは確かに、レミリア様から伝え聞いたリーシェ様の性格から考えると、そうなるのも納得が行きますね。何せ、寿命で死んだのであれば誰も悪くないですし、当たり散らす対象が居ないですから。しかし、レミリア様とフラン様、パチュリー様が3人がかりで抑える程とは……危険ですね。これだけ厳重なのも頷けます」
「でしょう? だから今、そう言った要因で暴走しそうになったら抑えてくれる、
で、お姉様がリーシェが封印される事になった経緯と簡単な性格の説明を終えると、こあはそれに非常に納得してくれたと同時に、3人がかりで抑えたその暴走がとても危険なものであると感じたらしく、恐れを抱いていた。
実際、あの時のリーシェと1対1だと最悪、私やお姉様でも相討ちか、勝ててもかなり酷い事になっていただろうから、こあの恐れる気持ちは当然の反応と言える。
「確かあの、パチュリー様の机に置いてあった、フラン様の翼の宝石にそっくりな形をした琥珀色に少し紫色が混じり合ったような、不思議な色の宝石にですよね。その魔道具が完全に完成すれば、晴れて封印解除と言う訳と……私はそれに関しては何も出来ませんが、早くそれが完成して、また仲良く出来る様になると良いですね」
そんな事を考えつつ、お姉様が波鎮めの首飾りをパチュリーに作ってもらっている事に対する感謝を述べていると、こあが慈しみに満ちた眼差しで私とお姉様を交互に見た後、早く封印が解けてまた仲良く出来る様になると良いですねと、そう言ってくれたのを聞いた。
出会ってまだ1時間すら経っておらず、お姉様に至っては今会ったばかりであるにも関わらず、こあはまるで長い付き合いであるかの様な感じで私たちを思いやってくれた。何故そこまで言ってくれるのかは分からないけど嬉しかったし、封印が解けた後もリーシェと上手く付き合ってくれそうな気がしたから、内心はどうであれ良い気しかしない。
「ふふっ……ありがとうね、こあ。何でか分からないけど、初めて会ったばかりなのに、私たち姉妹の事をそこまで思ってくれて」
「いえ、お礼だなんていりませんよ。ただ、レミリア様とフラン様がとても辛そうに見えたものですから……」
お姉様もそんなこあの取った態度が嬉しかったのか、何故初対面なのにそれ程の思いを抱いてくれているのか疑問に思いつつも、笑みを浮かべながらお礼を言っていた。
で、お姉様からお礼を言われたこあは、単に私たちが辛そうに見えたからこう言う言葉をかけただけであり、お礼はいらないと謙遜していた。
そんな彼女を見て思ったけど、ついさっき対面したばかりの私たちに
「フラン。こあはもう皆に紹介済みかしら?」
「うん! お姉様で最後だよ!」
「分かったわ。じゃあ、うちの住人として改めて歓迎するわ。こあ」
「はい、よろしくお願いします。レミリア様!」
なんて事を考えていると、お姉様からこあの紹介は全員に済んでいるのかと聞かれた。
そのため、パチュリーや私は勿論の事、美鈴やクレイナ含むメイドさんたちにも紹介済みであり、お姉様が1番最後であったため、私がそう答える。
すると、分かったわと一言答えた後にお姉様が改めて歓迎の意を示し、笑顔でこあが握手を交わした事によって、この出来事は幕を閉じる事となった。
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