「パチェ。こあが来てから、研究の調子はどうかしら? 後、体調の方は大丈夫?」
紅魔館に新しく『小悪魔のこあ』が住人として加わってからあっという間に1年が経った今日、私はとある案件の相談のためにパチュリーの所へ訪れ、その流れで波鎮めの首飾りに付与する各種魔法術式の研究の進み具合と体調の良し悪しを聞いていた。
こあが来る前は、研究開発と同時に本の管理やだだっ広い図書館の掃除を1人でやっていた訳である。他にも色々と原因があったとは言っても、これでは研究を進めるのも一苦労するだろう事は、たまにお願いされて図書館内の掃除をフランと手伝った時に痛感せざるを得ない。
「研究の方はかなり好調よ。何せ、今まで自分でやってた図書館の本の管理や掃除を、こあと小さいこあたちに大抵やってもらえるようになってから、首飾りに付与する魔法術式の研究とかに割ける時間が増えたし。体調の方は特に変わりないわ。喘息の発作とかもないし、普通よ」
「なるほど……良かった。本当、いつもありがとうね」
「気にしなくても良いわ、レミィ。私が自分から言い出した事だから」
すると、そんな私の質問に対して、パチェは研究の方はかなり好調であり、体調の方も特に今までと変わりなく普通であると答えてくれた。やはり、こあが居る事によってパチェも非常に助かっている様で、本当に良かったと思うと同時に、リーシェのためにここまでやってくれている事に対する感謝を、この場で言葉して伝えるのを忘れない。
にしても、パチェの言っていた
「取り敢えず前置きはここまでにしておいて……今日はパチェに、折り入って相談があるのだけど、良いかしら?」
「相談? 勿論良いけど、何についての相談なの? レミィがそんな事を言ってくるなんて、相当重要な事柄なのよね?」
「ええ。首飾りが完成してリーシェの封印解除以降、新しく入れるメイドについてどうしたものかって言うね」
なんて事を考えながら、ここに来た1番の目的であるリーシェの封印解除以降、新しく入れるメイドをどうするか相談し、出来れば結論を出すと言うのを達成するため、パチェに相談を持ちかけても良い かと問いかけると、二つ返事で私のお願いを了承してくれた。
で、当然であるけど、折り入って相談を持ちかけてくる程と言う事は相当重要な事柄についてなのだろうと聞かれたため、その事柄についてを洗いざらい話す。
「……確かに重要な事柄ね。それは」
「でしょう? いくら首飾りが完成したとしても、それでもわざわざ刺激する事なんてしたくないのよ」
結果、パチェは私の話を聞き終えると、それは確かに重要な事柄であるとすぐに理解してくれた。まあ、リーシェと互いに魔法談義をする位の仲だったし、話せば理解してくれるだろう事は既に分かってはいたけど。
「レミィの気持ち、良く理解出来るわ。あの首飾りはあくまでも保険だからね。さてと、新しく入れるメイドをどうするかと言う問題だけど……普通の妖精はどう? この辺りはおすすめするわ」
「えっ、妖精?」
「そうよ。物覚えも人間と比べれば劣り、自由奔放で恐れ知らずな性格の持ち主が多いけど、何より
そう頭の中で思いつつ会話を続けていた時、突然数秒の間を置いたパチェが、新しく入れるメイドは妖精にしてはどうかと提案を持ちかけてきた。
確かに、自然が存在する限りは死んでも数日で復活し、寿命もないと言う意味ではこの上ない存在と言える。
ただ、一部例外はあれど、妖精と言うのはパチェの言う通り物覚えが人間よりも劣り、自由奔放かつ恐れ知らずな性格の持ち主が多い。故に、どちらかと言えば暗めで、ワイワイ騒ぐよりもゆったりのんびり過ごすのを好むリーシェと相性が良くないのは明らかだ。
更に、そんな性格だから仮にメイドの仕事をやらせたとしても、途中で仲間たちと遊び呆けてしまう可能性が人間や他種族のメイドよりも大きく上がってしまうのが欠点ではある。
「妖精ね……うーん、吸血鬼とかこあみたいな感じの悪魔とかはどう思う?」
「人間よりは寿命も長いし、強さそのものや他の面でも悪くはないと思うから……そうね。妖精が駄目なら、そっちの線でも考えてみると良いわ」
しかし、それらの不都合な要素を意味のないものとする『自然さえあれば復活する』と言う要素がやはり大きく、私の中では次の新しい館のメイドには、妖精を迎え入れようと決めた。
ただ、それでしばらく試してみて、想定を遥かに超えるデメリットのようなものがあったなら、本格的に同族や他の悪魔のメイドを多く迎え入れる方針に転換する事も今この場で決める。
「パチェ、相談に乗ってくれてありがとうね」
「ええ。まあ、頑張ってねレミィ。私も首飾りの方は頑張るから」
そして、わざわざ相談に乗ってくれたパチェにお礼を言った後、この館で妖精を迎え入れるための準備を早速始めるため、私はこの場を後にした。
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