目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話もフラン視点です


愉快な妖精たち

「うわぁ……わたしの知らない物がいっぱいある……」

「こうまかん、だっけ? スッゴく広いから、面白そうなものもいっぱいあるよね、きっと」

「いいなー。人間さんたち可愛いお洋服着てるけど、私も着れるのかなー?」

「確か、レミリアさまは『メイド服』って言ってたよ。わたしたちも仕事する時になったら着れるらしいから、楽しみにしてるといいかも」

 

 館の門前で、お姉様の連れてきた5人の妖精さんとの自己紹介を終え、館内の案内をお姉様と一緒に始めていた私だったけど、早速彼女たちの高過ぎるテンションに2人揃って振り回されていた。

 

 彼女たちが自由奔放な性格が多い妖精と言う種族である以上、館の案内がスムーズに行かない事は想定していた。しかし、廊下の風景やメイドさんたちの格好など、見るもの全てが妖精さんたちの興味を強くそそり、色々と寄り道が増えて遅々として案内が進まない程とは想定外だった。正直、甘く見ていたと言わざるを得ないだろう。

 

「はぁ……正直、妖精たちの好奇心の強さを甘く見ていたと言わざるを得ないわ。それよりも、こんな調子でメイドの仕事、大丈夫かしらね……?」

 

 ちなみに、一緒に案内をしているお姉様も私と同じく、連れてきた5人の妖精たちの好奇心の強さを甘く見ていたみたいで、思い思いにはしゃぐ彼女たちを見ながらメイドの仕事をしっかりこなしてくれるかと、心配そうにしていた。

 

 確かに、想定を超える妖精さんのはしゃぐ様子を見ていれば、お姉様がそう思うのも理解出来る。仕事を教えている途中や、してもらってる最中に()()が視界に入ったり耳に聞こえたりすれば、そっちの方へと興味が移ってしまう可能性が大いにあると示された訳だから。

 

「うーん、どうなのかな? 妖精さんたちを誘う時、メイドの仕事について全部説明した上で面白そうだってついてきたなら、大丈夫とは思うけど……」

「そう? まあ、能力も使って変な運命みたいなのは見えなかったから、フランの言う通り大丈夫かしらね」

「へぇ、能力も使ったんだ。まあ、変な運命が見えなかったのなら大丈夫だね、お姉様!」

 

 ただ、お姉様が妖精さん5人を連れてくる際に、負担のかかる能力を使って運命を見て、少なくとも酷い目に合わない事を確認済みである事が分かった。つまり、私の考えている様な事が仮に起こったとしても、さほど大したものにはならない訳である。それなら、特に心配しなくても大丈夫だろう。

 

「ちょっと良いかしら? クレイナ。この子たちが、今度うちのメイドになってくれる妖精たちよ」

「あっ……レミィさん、お帰りなさい。随分と可愛らしい妖精さんですね」

 

 そんな事を考えつつ、時間をかけつつ上手い事5人の妖精さんを誘導しながら館の案内を行い、メイドたちの部屋の前を通り抜けようとした時、ちょうどその部屋から出てきたクレイナと鉢合わせた。私服であったため、今日は仕事を休んでる日らしい。

 

 で、これは良いタイミングだと言わんばかりにお姉様が話しかけ、クレイナに対して連れてきた妖精さん5人を、今度メイドとなってくれる子だと紹介した。

 もしかしたら、お互いに性格が合わないかもしれない心配もあったけど、クレイナと妖精さんたちが目を合わせた時の反応を見れば、そんな心配はするだけ無駄だったと思い知らされる。

 

「ふふっ。それと後、この子たちが館の環境に慣れて仕事を始める様になったら、クレイナに主に教えてもらう事に決めたから、どうかよろしく頼むわね」

「わ、私ですか!?」

「ええ、そうよ。私がクレイナを優れてるメイドだって判断したから声をかけたのだけど、嫌だったかしら?」

 

 そんな光景を見て微笑んだお姉様は更に、この連れてきた妖精さん5人が館の環境に慣れ、仕事を始めようとなった時に教える役目をクレイナに任せると、相談もなしにお願いし始めた。

 どうやら、クレイナが今居るメイドさんたちの中で1番適任であると判断したかららしい。確かに、私も誰かに何かを教えるのには彼女が優れているとは思うけど……

 

「いえ、突然の事で驚いただけで、別に嫌ではないので大丈夫ですよ……と言う訳で、貴女たちがメイドの仕事を始めたら教える事になった『クレイナ』です。よろしくね、可愛い妖精さんたち」

 

 お姉様から何の脈絡もなく突然そうお願いされたクレイナは、当然少し驚き戸惑った様な反応を見せはしたものの、別に嫌ではなかったらしい。そのお願いを了承すると、妖精さんの目線の高さに合わせ、見た人を安心させる様な笑顔をしながら挨拶を始めた。

 

 すると、5人の妖精さんたちは持ち前の明るさを遺憾なく発揮し、息ピッタリによろしくお願いしますと返した。その時の表情が先程よりも幸せそうな感じに見えたけど、クレイナとは相性が良かったのだろう。まあ、何よりである。

 

「さて、次のところ行くわよ」

「はーい! みんな、レミリアさまが次のところ行くって言うから行くよー」

「「「りょーかい!」」」

 

 そして、クレイナと5人の妖精さんの簡単な自己紹介を含めた会話が終わり、お姉様が次のところに行くわよと呼び掛けたため、私も一緒にこの場を後にした。

 

 勿論、この後も相変わらずテンションが高く、好奇心旺盛な妖精さんたちの寄り道に付き合いつつ、時間をかけて上手く誘導しながら案内をすると言う流れはほぼ変わる事はなかったけど、何とかクレイナ以外のメイドさんたちにも紹介し終える事が出来た。

 この時点で相当時間が経った上に色々な意味で疲れたけれど、後は大図書館に居るパチュリーに紹介するだけだから、私もお姉様も頑張って行こうと決める。

 

「えっと、レミリアさまに連れてこられてメイドになる事になった妖精です! よろしくお願いします!」

「「「よろしくお願いしまーす!」」」

「ええ。私は『パチュリー・ノーレッジ』よ。こちらこそよろしくね。にしても、随分とテンション高いわね……」

「私もまさかこれ程までとは思わなかったわ、パチェ。でも、これから暮らす事になるから、このテンションと多少の粗相は多めに見てくれると助かるわ」

「勿論よ、レミィ」

 

 最後に大図書館に居るパチュリーのところに向かい、お姉様が妖精さんたちに促した事でお互いの挨拶が始まった。

 性格がリーシェ寄りと言えるパチュリーは、案の定妖精さんたちの高過ぎるテンションに少し引いていたものの、感触は悪くはなさそうだ。これなら、余程不味い出来事が起こらなければ、そう遠くない内に慣れてくれる事だろう。

 

(ふぅ……やっと終わったぁ)

 

 こうして、お姉様が連れてきた5人の妖精さんの案内と紹介は、彼女たちに色々と振り回されて疲れたものの、平穏無事に幕を閉じた。

 




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