目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はパチュリー視点です


待ち望んでいた時

「こあ、遂に完成したわ……!」

「おめでとうございます、パチュリー様! これでようやく、封印したリーシェ様を解放する事が出来ますね! きっと、皆様も喜ぶ事でしょう!」

 

 リィを3人がかりで封印したあの日からちょうど20年が経った今日、私はようやく『波鎮(なみしず)めの首飾り』に付与する魔法術式を含め、全ての研究開発や実験・調整を終わらせ、完成させる事が出来た。

 

 本来であれば、これは20年と言う短い期間では()()()()()()()()()()()()()()()()()()と言えただろう。しかし、これ程短い期間で終える事が出来たのは、レミィやフラン自身の魔力媒体の提供などによる協力、召喚したこあの大図書館管理があったためである。本当に、3人には感謝しかない。

 

 更に、8年程前にレミィが連れてきた5人の愉快な妖精たちも、想定された色々な問題はありはするものの、今居る人間メイドと遜色ない程にまで成長してくれた。

 それどころか、もう働けなくなったメイドたちの代わりとして連れてこられた妖精たち15人に対して、メイドの仕事を教える役目を担うまでになった。リィの封印を解くタイミングとしては、今日がこの上ない日となるだろう。

 

「ええ、そうね。これも、レミィやフランのお陰もあるのは当然として、こあのお陰でもあるのよ。貴女が図書館の管理を頑張ってくれたから、私がこっちに集中出来た訳だから。ありがとう、感謝しているわ」

「いえ、その……えっと、褒めて頂きありがとうございます! パチュリー様!」

 

 そんな事を考えながら首飾りの完成を祝ってくれたこあに対して、私は誠意を込めて頭を下げ、お礼を言った。労働の対価としてはあまりにも少な過ぎるような気しかしないけど、当の本人が非常に喜んでいたから取り敢えずは良しとしよう。とは言え、一応何か別のお礼を考えてはおかなければならない。

 

「それはそうと、パチュリー様。この事を今すぐレミリア様とフラン様たちにお伝えしようと思いますが、よろしいでしょうか?」

「勿論よ。こあさえ良ければお願いするわ」

「分かりました。では、行ってきます!」

 

 頭の中でそんな思考を巡らせていると、こあが首飾りの完成をレミィとフランに先に伝えてくるけど問題ないかと、私に声をかけてきた。

 当然、こあのしようとしてくれている事に問題などあるはずないし、むしろ最後の準備に割ける時間が増えると言う意味では助かるため、ここは彼女の好意に甘えて伝え役をお願いする事に決める。

 

「はぁっ、はぁっ、パチュリー!! こあが言ってたけど、首飾りが出来たって本当なの? ねえ、本当なの!?」

「ちょっとフラン……うわっ!?」

 

 そうして待つ事5分、図書館の入り口の扉が壊れそうな勢いで開くのと共に、明らかに興奮していると分かるフランが間髪入れずにこっちに飛びついて来るのを確認した私は、急いで防御魔法の準備に入った。

 結果、飛びつかれる後1秒と言ったところで何とか魔法が発動し、衝撃で床に叩きつけられたものの、どこも怪我をせずに済む事となる。

 

「フラン。私は身体能力に関しては人と大して変わらないの。だから、あんな感じで急に来られると危ないし、もうしないでね。今回は防御魔法が間に合ったから良かったけど……それと、一応聞いておくわ。どうして飛び付いてきたの?」

「あっ、ごめんなさい……えっとね、ようやくリーシェの温もりを感じられるんだと思うと嬉しくてつい……」

「やはりね。まあ、怪我もしなかったし、フランの気持ちは良く分かってるから大丈夫よ」

 

 で、飛びついてきたフランを起こし、今回は防御魔法が間に合ったから良かったけれど、本来であれば貴女の飛びつきは私にとってはとても危険なものであると言い、今みたいに不意に飛びついて来ない様に釘を刺した。

 

 すると、私の言った事をすぐに理解してくれたフランが、申し訳なさそうに謝ってきてくれた。加えて、興奮して飛びつきたくなるフランの気持ちも理解出来る上に怪我とかもしてないから、この話はもう終わりにする事に決める。

 

 それにしても、まだ封印を解いてないにも関わらずこの興奮のしようだけど、封印を解いたら一体フランはどうなるのだろう。嬉しさのあまりに気絶とかするのか、はたまた目覚めてからすぐに言えない何かをするつもりなのか、それは分からないけど。

 

「やっと、やっとこの日が来たわ! ふふっ……こんなに嬉しかった事、今まであったかしら?」

「ようやく、リーシェお嬢様の封印が解除……ですか。待ち遠しかったですね」

「20年、とても長かったですよね。まあ、レミィさんたちにとっては短い期間でしょうけれど」

「リーシェさまって、どう言う性格の吸血鬼なのかな? 楽しみ!」

 

 なんて事を思いながらフランと会話を交わす事数分、こあに連れられた愉快な妖精メイド5人とクレイナ、レミィに美鈴が各々盛り上がりながら大図書館の中へと入ってきた。

 

 全員、リィの封印が解かれる事に喜びを見せているけれど、特にレミィの喜び様は凄い。顔は緩みきり、翼をパタパタとはためかせ、今にもフランの様に私に飛びついてきそうな感じであったからだ。

 

「えへへ……パチェ、ありがとう! 貴女には本当に感謝しているわ!」

「どういたしまして。にしても、フランと喜び方がそっくりね」

 

 などと考えていたら、本当にレミィが私に飛びついてきた。フランよりは幾ばくか落ち着いてはいたものの、喜び方は姉妹だからか非常にそっくりであった。フランの様に態度にはあまり出さなかったけれど、リィと楽しく過ごす事が出来ずに不満が溜まっていると分かる一幕である。

 

「さて、そろそろ封印解除に行くけど……皆、準備は良いかしら?」

「「「勿論!!」」」

 

 そして、私がこの場に集まった皆に対して封印解除に行くけど準備は良いかと尋ねると、息ピッタリに勿論と答えてきたため、作った波鎮めの首飾りを手に持ってリィを封印している部屋へと向かっていった。




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