アンケートへの回答ありがとうございます。その結果を考慮し、今後は幻想郷に行くまでの話では、時間を大きく飛ばす頻度を少し増やして行きます
「ふぅ……ただ単に封印を解除すると言うだけなのに、凄い緊張するわね……」
勿論、封印を解除する
ただ、今のリィは強力かつ持続的な睡眠と少しの魔力抑制効果のある水球内部に対象を閉じ込める『
なので、少しでも解除の手順を間違えたり、何らかの原因で手間取りすぎてしまえば、反動であの時と同等かそれ以上の猛烈な勢いで魔力が増大して再び暴走を始め、私たちだけでなくリィ自身の身体が酷い事になる可能性が極めて高い……と言うか、絶対になると断言出来る。故に、どうしても緊張せざるを得なかった。
「仕方ないわよ、パチェ。これ程の大役を背負ってる訳だからね」
「そうだよ! 私たちはいくらでも待つから、パチュリーはゆっくり緊張をほぐしていって!」
「そうですよ、パチュリーさん。レミリアお嬢様とフランお嬢様の言う通りです。時間はたっぷりあるのですから、緊張をほぐしてから行きましょう。焦っては、普段失敗しない場面で失敗してしまいますし」
すると、そんな事を考えていて緊張感が高まった私を見てか、レミィの私に対する同意の発言を筆頭として、皆がいくらでも待つから緊張感をほぐしていってと優しい言葉をかけてくれたのを聞いた。
言葉にしてはいなかったものの、いざとなれば私たちに任せておいてとの、強い意思の様なものも感じる。
「ええ、確かにその通りだわ。気を遣ってくれてありがとうね……さてと、やるわよ!!」
そんな、優しい皆の応援お陰で心を縛っていた緊張感は完全ではないものの、封印解除に大きな影響を及ぼしてしまう程ではなくなった。なので私は、手に首飾りを握り締めて決意を新たにしながら、早速封印解除の作業を始めた。
「すぅ……」
まずは、リィを取り囲んでいる球状に成形された『封水』に触れた上で『賢者の石』を使用、それを構成する術式にほんの一瞬だけ魔力の波動を流し込み、崩壊させて即座に霧散させた。
そして、間髪入れずにリィの脚に精密制御した風の刃で傷をつけ、垂れてきた数滴の血を首飾りのオリハルコン部分で受け止め、あらかじめ組み込んでいた魔法を発動させて紐付けし、着けた際に効果を発揮させる準備を完璧に整える。
「よしっ、何とか上手く行ったわ! 後は……」
2つ目の作業の際に多少もたついたものの、まだ許容範囲内だった事から封印解除を続行しようと決め、リィの四肢を縛っている『光縛の鎖』の消滅に取りかかった。先程の様に全部一気に消してしまうと身体への負担が大きすぎるため、少しずつこの魔法を構成する術式を消していった。
この作業での間違いや手間取りすぎは即最悪の事態を招きかねないものの、これを乗り切れば私が余程狂った行動を取らない限りは終わったも同然であるため、全神経を集中させて繊細かつ素早く手を進めていく。
(キツいわね……でも、頑張らなきゃ!)
大親友のレミィとその妹であるフランが愛し、館の皆が慕い、同じ魔導師のよしみでもあるリィの命がかかっているとだけあり、私の神経がどんどん削り取られていくのを感じていたが、一瞬たりとも集中を切らしてたまるかと、自分で自分に心の中で気合いを入れる。
「ふぅ……皆。何とか全部終わったわ。後は時間が経って、首飾りの効力がある程度発揮されれば目覚めるはずよ。ただ、少し手間取りすぎたせいで、目覚めてから2週間は何時もの様には動けないわ。ごめんなさい」
「「「っ!!」」」
封印解除に取りかかってからおよそ30分、リィを縛っていた鎖の最後の1つを消し、落ちてきた彼女を抱えて首飾りを身につけさせた事で、ようやく全ての作業を大きな失敗もなく完了させる事に成功した。
「パチェ、謝る事なんてないわ。命が助かって後遺症もなく、リーシェの暴走が抑えられたのならこの上ない程の出来なのだから」
「そうだね! 私とお姉様は封印魔法なんて使えないし、叩きのめす位しか出来ないから、もっと酷い事になってただろうし……うん。ありがとうね、パチュリー!」
惜しむらくは、もう少し手早く作業を済ませられれば、目覚めてからすぐにでも活発に動く事が可能だった点なのだけど……後遺症などが残り、最悪命に関わる可能性が生じる50分を切れただけでも、上出来だと思おう。それを伝えた時のレミィやフランが、その程度なら全然問題ないと言ってくれたのだから。
「んぅ……パチュリー……? どうして私、こんなにボロボロになって――」
封印解除の作業を終え、リィにつけた首飾りの宝石が強い輝きを放ちながらしっかりと効力を発揮している事を確認しつつ30分が過ぎた頃、リィが遂に目を開けた。
エルの死によるショックやそれによる暴走しながらの戦闘の影響が大きかったのか、私とレミィとフランの3人と戦闘を行った記憶が抜けていたらしく、随分と混乱している様だった。
「ぐすっ……リーシェ……うぁぁぁ……!!」
首飾りをつけている今なら、リィにとって酷な事実を伝えたとしても20年前みたいに暴走する心配は皆無である。そう思った私は早速、何故こんなにも身につけている衣服がボロボロなのかを伝えようとしたものの、目覚めたリィの声を聞いた瞬間に大泣きしたフランが私から奪い取っていったため、その試みは出来ずに終わった。
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