「えっと、その……フラン姉様? 何だか良く分からないけど……大丈夫? 何があったの?」
エルが死んでしまい、頭が真っ白になってからどの位気絶していたか眠っていたかは分からないけど目覚めた今、私はこの状況が飲み込めずに混乱を来していた。
理由は、身につけている衣服がボロボロかつ血のシミが所々にあり、フラン姉様が私を抱きしめながら大泣きしてたり、良く見たらレミリア姉様たちも泣いたり喜んだりしていたからと言う、訳が分からない状況であるからだ。
更に、見知らぬ妖精らしきメイドさんが5人居て、クレイナの雰囲気と見た目が少し変わってたり、身体が痛くて思う様に動かしづらかったり、いつの間にか発光する首飾りをつけられてたりしてた事で、余計に分からなくなった。
けど、明らかに不味い事態が起きたのは明白であるから、泣きじゃくるフラン姉様を労りつつもこの状況の説明を求める。
「リーシェの馬鹿! 大丈夫な訳ないでしょ!? だって、だってぇ……!!」
「……」
しかし、フラン姉様は何かによって興奮しているのか、私を強く抱きしめながら大泣きするばかりで、質問に答えてくれる事はなかった。まあ、私に対して馬鹿と直球で言ってくる位なんだから、記憶のない間に想像以上の何かを私がしていたのだろう。
「リーシェ。その事について、フランの代わりに幾つかに分けて説明するけど……貴女にとって聞きたくないだろう事もあるから、覚悟して聞いてね」
「……うん、分かった」
などと頭の中で考えていると、フラン姉様程ではないものの、目に涙を浮かべていたレミリア姉様から、私がエルの死で頭が真っ白になって以降に一体何が起こったのかを説明するわと声をかけられた。
レミリア姉様曰く、私にとって聞きたくない事も含まれるから覚悟しておいてとの事らしいけど、だとしても聞かなければ駄目だろう。そう考えた私は、覚悟を決めて話を聞く態勢を整える。
「そんな……暴走しただけに飽き足らず、エルの死を喜んだ挙げ句に
しかし、聞かされた最初の話の内容が暴走していた私がエルの死を喜んだ挙げ句、狂った様に楽しみながらレミリア姉様やフラン姉様、パチュリーに攻撃を仕掛けていたと言う予想を遥かに超えるものだったため、覚悟云々の問題ではなくなってしまった。
どう言う戦いだったのかは全く分からないけど、私の衣服が悲惨な事になっているのを見れば、相当激しい戦いであったのは想像に難くない。
(私って、本当は……)
これが、エルの死をきっかけとして暴走し、迷惑をかけただけであれば、それでもまだマシであっただろう。
だけど、私がレミリア姉様たちへの攻撃を
だから、3人に対する謝罪は当然の如くするけれど、これで許してもらえなくておかしくはない。むしろ、嫌われたり怖がられたりしてしまっても仕方ないと言えた。
「リーシェ。貴女の暴走をね、私とフランとパチェは『変える事の出来なかった運命』と捉えてるの。だから、泣いて謝る必要なんてないわ。誰も悪くないから」
「ぐすっ……うん。お姉様の言う通り、だよ。どうせリーシェの事だから、私たちが嫌ったりしてるって思ったんだろうけど、勿論そんな事は
「そうね。あの暴走と性格のねじ曲がりは、精神の破壊を防ぐための、反射的な生命反応の様なものだから。まあ、その分身体への負担が絶大になってしまった訳だけれど」
ただ、そんな私の心配はレミリア姉様やいつの間にか泣き止んでたフラン姉様、パチュリーの優しい言葉によって強く否定される事となった。随分と痛くて辛い思いをしたはずなのに、一切責めてくる事はなかったから、それだけで救われた気がした。
更に、この場に居た美鈴やクレイナもその話に乗ってくれて、当時まだ居なかったらしい5人の妖精メイドたちも、満面の笑みで私は悪くないと断言してくれたから、尚更だった。
「ありがとう、皆。でも、私がまた暴走したら……」
「心配しなくても大丈夫よ。そうならないための、リーシェにつけられてる首飾りなのだから」
「えっと……ぼんやり光ってるこれ?」
しかし、それでも全く心配事がなくなった訳ではない。今後もまた、その時の様に私が暴走して皆に迷惑をかけてしまう可能性が存在していたからである。
レミリア姉様曰く、この首飾りは『
レミリア姉様やフラン姉様も多少は協力したらしいけど、発案と研究開発者はパチュリーで、完成させるのに20年もの歳月と猛烈な努力の末に完成にこぎ着けたもののようだ。
ちなみに、フラン姉様があれ程までに号泣していたのは、その首飾りが完成するまでの20年間、私が封印されていたためにふれあいどころか話すら出来なかったかららしい。自分の立場で置き換えてみると、確かに地獄の様な長さに感じたから、納得である。
「そうだったんだ……パチュリー。20年間、こんな私のために貴重な時間を割いてくれてありがとう。館の皆のために動いたりしてくれてありがとう。そして、レミリア姉様とフラン姉様に幸せそうな笑顔を戻してくれてありがとう。いつか必ず、それに見合うだけのお返しをするから待っててね」
「どういたしまして、リィ。後、お返しは貴女が元気で目覚めてくれたのと、心のこもったお礼の一言で十分だから別になくて良いのだけど……くれると言うなら楽しみにしてるわ。でも、無理はしないで」
「うん、分かったよ。パチュリー」
当然、その話を聞いた私は私だけでなく、レミリア姉様やフラン姉様、館の皆の恩人と言えるパチュリーに対してこの上ない程の感謝の意を伝え、使ってくれた20年に見合うだけのお返しをすると、そう約束した。
パチュリー本人は別にお返しがなくても平気な感じみたいだけど、いらないとはっきり言って来ない限りはやはり、何かしら贈る必要があるだろうと判断したためだ。
「フラン姉様。もう大丈夫だよ。これから毎日、楽しく遊んで話したり、ふれあったり出来るから……あっ、でも今は身体が痛くて上手く動かせないから、会話しか出来ないかな。ごめんね。レミリア姉様も、私が快復したら沢山ふれあったりしようね」
パチュリーへのお礼の一言を言い終えた後は、フラン姉様には会話ならともかく、ふれあいの方に関しては今はまだ出来ないけどごめんねと伝えた。レミリア姉様にも同じ思いを抱いているため、そう伝える。
「今日は無理かぁ……でもまあ、快復したら沢山ふれあえるし、お話出来るなら快復するまでなんて、余裕で待てるよ!」
「ふふっ、そうね。会話さえ出来れば、リーシェが快復するまでふれあいを待つ程度、大した事なんてないのは私もフランと同じだから」
すると、フラン姉様もレミリア姉様も、会話さえ出来れば私の身体が快復するまでなら余裕で待てると言ってくれた。やはり、心身共に完全でなければふれあいで幸せになれないと、姉様2人は考えているみたいだ。
「さてと……そうと決まれば、リーシェ。今すぐ部屋に向かうわよ。身体が痛くて動かしづらいみたいだから、自分じゃどうしても出来ない身の回りのお世話は基本、
「えへへ、リーシェに早く良くなってもらえるように私、頑張るからね!」
そんな感じで思考を頭の中で巡らせていると、レミリア姉様に早速部屋に向かおうと言われた。それと同時に、今の私にどうしても出来ない様な身の回りのお世話は姉様2人が主に、たまにクレイナたちがやってくれると言う事も矢継ぎ早に決まる。
本当なら、全部自分でやるつもりではいるけど……現状、どれだけ頑張っても短時間立ち上がってゆっくり歩く位しか出来そうにないから、致し方ないだろう。
まあ、流石に恥ずかしさを含めた色々な意味で不味い事しかないから、お風呂や着替えはともかくとして、トイレだけは意地でも自分でやろうと決意を固めた。全く動けない訳ではなく、あくまでも動かしづらいだけなのだし。
「えっと……よろしくね。レミリア姉様、フラン姉様」
「勿論よ。動く事が出来る様になるまでは任せなさい!」
「はーい! じゃあ、リーシェの部屋までは私が連れてってあげるね!」
そして、なんやかんやで私の身の回りのお世話云々の話が済んだ後は、やたらテンションが高くなったフラン姉様に何故かお姫様抱っこをされながら、ベッドに寝かされるために私の部屋へと向かう事となった。
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1日遅れになりますが、今年もよろしくお願いします。