「えへへ、おはよう! リーシェ、体調はどう?」
「レミリア姉様やフラン姉様たちのお陰で、随分と良くなってきてるよ。日常生活は勿論、全力の試し撃ちを含めた魔法研究を再開しようと思えば出来る位にはね」
リーシェの封印が解かれてから1ヵ月経った今日の夕方、私は何時もの様に人の血とメイドさんたちの作ってくれた食事、紅茶の入ったティーポットを持って、様子見も兼ねて部屋へと訪れていた。
早く良くなって欲しい一心で、例え頑張れば動けたとしても部屋からの外出をトイレ以外では固く禁じ、部屋の中でも身体に負担をかけてしまう様なあらゆる行動を自制してもらっていた。
そのお陰なのか、1週間が経つ頃には痛みで強く苦しまなくても生活を送れる様になり、1ヵ月経った今では封印前と遜色ない位にまで体調が回復してくれていた。この調子で行けば、そう遠くない内に魔法研究も戦闘も普通に行える位にはなるはずだ。
「そっか。なら良かったけど……怒ってない? 実は、リーシェの体調を考えていたのは事実だけど、私1人の欲も混じった思いもあってリーシェの行動を制限したりしてたから、えっと……」
ただ、リーシェの体調が良くなってくれたのを確認して泣きたくなる位嬉しかったと同時に、もしかしたら不満を抱かれ、心の中で怒られているかもしれないと言う心配が急に頭をよぎった。
あの日から1週間経って、日常生活位なら1人でもほぼ送れる様になったのに封印前と同じになるまで駄目だと私が強く禁じ、1ヵ月経って魔法の使用もある程度なら可能となったと、パチュリーのお墨付きをもらった今日ですら、何だかんだ上手い事言って部屋に閉じ込めてる状態であったからだ。
これが、
そして、お姉様たちは言わずもがな、この事が明るみになった際のリーシェの反応を想像しただけで震えそうになるほど怖かった。けれど、これ以上隠してバレた時の反応の方が何倍も何十倍も怖いだろうし、抱いた罪悪感に耐えられなくなりそうだったから、勇気を振り絞って全てを話す。
「あははっ! その程度の事で私がフラン姉様に不満を抱く? ましてや怒る? 天地がひっくり返ってもあり得ないよ!」
「えっ、どうして……?」
正直、少しは怒られたり不快感を出されたりする事を想定していたため、リーシェが大きな声で笑いながら不満を抱いたり、ましてや怒る訳がないだろうと否定してきた時は本当に驚いた。思わず、何故そう思うのかと聞き返してしまう位には。
「そんなの、フラン姉様が大好きだからって理由しかないよ。大好きな人と一緒に居れる時間が、幸せじゃないはずがないでしょ?」
「私が大好きで、一緒だと幸せ?」
「そう。あっ……ごめん。もう1つあったんだけど、強いて言えば時々、私とふれあいたいのを凄い我慢してるなって感じる場面があったからかな。私の身体の調子を優先してくれてるのも分かったから、欲求解消のためにやってるそれ位なら良いやって」
すると、そんな私の問いに対してリーシェは、私が大好きで一緒だと幸せだからと、笑みを浮かべつつも即答してくれた。で、少し間をおいて、私がリーシェとふれあいたいと言う思いが言わずとも分かったからだとも、そう伝えられた。
「あっ、バレてたんだ……」
「ふふっ、大好きなフラン姉様の事だもの。雰囲気や仕草から、全ては無理でもある程度は分かるよ。多分、レミリア姉様にもバレてるんじゃないかな。にしても、こんなに私の事を好きでいてくれるなんて、本当に幸せ者だなぁ……」
まあ、正当な理由があれど、あれだけべったりくっついていれば薄々バレるだろうなとは思っていたけど、いざ当の本人からそう言われると、驚かざるを得なかった。
けれど幸いなのは、リーシェ自身が満更でもなさそうだった……と言うか、幸せそうであった事だろう。私の欲求解消が、意図せず喜ばせていたのは運が良いと言える。
「えっ……!?」
「だから、これは私からのお礼。もし、フラン姉様が強く望むなら……今からふれあい、する? 体調の事なら心配しなくても私、今とっても調子良いから。むしろ、私自身が姉様とふれあいしたい位だし」
などと、頭の中で考えていたその時、幸せに浸っていたリーシェが私にとって全く予想していなかった行動を取ったため、面食らう事になった。それは、リーシェが私をぐっと抱き寄せると、間髪入れずにふれあいでする様なキスを10秒程してきて、かつふれあいのお誘いまでしてきたからだ。
リーシェ本人からしてきた上に今まで我慢してきただけあって、たった10秒程度のキスですら私の心に強い幸福感と、吸血行為に勝るとも劣らない快楽が植え付けられた。今の行為で、私のリーシェに対する依存度が増した気がする。
「うん、勿論するよ! リーシェ!」
「分かったよ、フラン姉様」
当然、理性など粉微塵に吹き飛んだ私は反射的にリーシェからのお誘いを了承、流れでふれあいをする事となった。
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