目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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末妹の決意

(ふぅ……終わったみたいだね)

 

 黄髪(おうはつ)の妖精さんを怪我させ殺めようとした恨むべき敵がフラン姉様に連れ出された後、ベッドシーツなどを使って怪我の応急手当てを終わらせて後の治療を引き継いだ私は、ようやく事が済んだとひと安心していた。

 何故なら、能力を介して見ていたパーティー会場兼会議場で先程まで行われていた()()()()()が、少し前にようやく終わりを告げたためである。

 

 勿論、分かっていて最初から見ていたのではない。突如として少しだけ聞こえた爆発音らしき音が切っ掛けで一体何があったのだと焦り、能力を使ってみたら全力の姉様2人にレイブン伯爵とルーテ夫人、知らない3人が戦っているのを能力越しで探知したからと言う経緯があった。

 

 最終的にはパチュリーの登場で完全制圧された後、知らない3人の敵が誰かに連れ出されて終わったため、私が約束を破って駆けつけなくても済んだのは良かった。でも、その分フラン姉様とレミリア姉様とパチュリーに負担をかけてしまったのは、心が痛かった。

 だから、私の部屋に来たら精一杯労ってあげよう。ここに居ざるを得なかった私には、それ位しか出来ないのだから。

 

 そして、姉様たちと一緒に戦ってくれたレイブン伯爵と夫人、パチュリーを呼びに行ってくれた兄弟2人にも何かお礼をしなければならないだろう。何をすれば良いのか、皆目検討がつかないけど。

 

(パチュリー、やっぱり凄いなぁ。魔法に関しては勝てる気しないや)

 

 それにしても、パチュリーが登場してから割りとすぐに終わった訳だけど、一体どんな魔法を使ったのかが不思議でしょうがない。

 

 けど何にせよ、パチュリーは皆に守られながらとは言え、姉様2人よりも強い魔力持ちの吸血鬼すら制圧してしまう様な、私でも使えない強力無比な魔法を使った事だけは確かである。雷属性魔法や防御・回避系魔法はともかく、その他の魔法や知識では勝てる気が全くしないと、改めて実感した。

 

「リーシェ! 顔も見たくないのが居なくなったからもう部屋から出ても――」

「フラン姉様、お疲れ! 何が原因で戦いになったのかは知らないけど、大変だったよね!」

「うわっ!? びっくりしたぁ……リーシェ。私、今凄く自分と忌まわしい奴らの血で汚いのに、抱きついてきて大丈夫なの……?」

 

 そんな事を思いながら、暇潰しに本棚にあった本を適当に手に取って読んでいると、服が所々破れている上に血で汚れているフラン姉様が、部屋に入ってきた事に気づいた。

 

 故に私は、さっき部屋に来たら労ってあげようと考えていた事もあり、読んでいた本を置いた後に何かを言いかけてたフラン姉様に抱きつく。

 自分がしたいと言う気持ちもあるけど、何よりこうすると、フラン姉様が凄く幸せそうにして喜んでくれるからと言う理由が大きい。

 

「そんなのは後で一緒にお風呂に入れば良いし、血の臭いなんて今まで数えきれない回数嗅いできたから、全然大丈夫だよ」

「そっか。えへへ、私って幸せだなぁ……」

 

 現に今、自分の血と戦っていた敵の血で汚れてるのに大丈夫なのかと心配していたフラン姉様が、私が気にしないと分かると表情を緩めてとても幸せそうにしている。

 それを見て思わず、このままふれあいに誘ってみようかと言う考えが頭をよぎるけど、戦いで疲弊しているフラン姉様を誘う訳にもいかないので、自分の中に閉まっておこう。勿論、向こうから誘ってきたのなら、その限りではないけど。

 

「あっ、そうだ! 何となく気づいてるだろうけど、定例会議がコルベルシア家との戦いのせいで全部出来ずにお開きになったから、もう部屋から出ても大丈夫だよ! 会議場も、悲惨な事になってるからね!」

「コルベルシア家……」

 

 色々と考え事をしながらお互い幸せに浸っていると、ハッとして私から離れたフラン姉様から、コルベルシア家との戦いで定例会議が完全にお開きになった影響で、部屋からの外出が大丈夫な様になった事が伝えられた。

 

 と言うか、姉様たちとレイブン伯爵とルーテ夫人が戦っていた相手がコルベルシア家の面々だった事を、私は今この場で知った。ついでに、黄髪の妖精さんを傷つけ殺めようとした敵もその面々であったと教えてもらった。

 

(そうか、コルベルシア家が妖精さんを、ひいては姉様たちを傷つけて……許さない!)

 

 なるほど。つまり、コルベルシア家は私たちスカーレット家と紅魔館にとって、今この時から()()()()()()()()()()()となった訳だ。怒りが1周回って無の境地と化したらしいレミリア姉様も、今後はそんな感じの方針で動いていくとの事。

 

 ちなみに、何でレミリア姉様がそこまで怒りの炎を燃やしたかについては、フラン姉様に聞いても教えてもらえなかった。まあ、例え教えてもらえなくても、黄髪の妖精さんだけに飽き足らずに姉様2人までも傷つけた奴らなんか、言われなくても敵認定するに決まっている。

 むしろ、()()()()()()今すぐにでも消してやりたい位だけど、実際はそうも行かないから耐え忍ぼう。

 

 しかし、コルベルシア家の魔力量から推定するに、姉様2人と私だけで相対すると、もしかしたら非常に危なかったかも知れない。今回大した事なく制圧出来たのも、レイブン家が居たからと言えた。

 

 だから、今後レイブン家の面々抜きで相対する事になった時に姉様2人や館の皆を守りきれる様に、私自身の能力と魔力の増強、魔法の研究開発や改良にこれまで以上の精を出そうと決意を固める。

 

「なるほど。まあ、あれだけの事があれば会場が悲惨な事になってるのは当然かな」

「うん。だから今ね、お姉様とパチュリーと美鈴、レイブン家の皆も後片付けに協力してくれてるの。無理強いはしないけど、もし良かったらリーシェも一緒に後片付けして欲しいな」

「分かった。それ位ならやるよ」

「本当? ありがとう!」

 

 と言う感じで、心の中で今後に向けての決意を強く固めつつ会話を交わしていると、フラン姉様から戦闘があった会場の後片付けに協力出来ればして欲しいとのお願いをされた。

 

 当然、今日の体調は万全である上、姉様たちと一緒に戦ってくれたレイブン伯爵とルーテ夫人、色々と協力してくれた兄弟2人に対してお礼を言う絶好の機会である今を逃す訳には行かない。そう思った私はフラン姉様のお願いを聞き入れ、一緒に会場の後片付けを行いに向かった。




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