「パチュリー、今って暇? お願い事をしても良い?」
「特に暇って事はないけど、別に良いわよ。それで、お願い事って何かしら?」
「えっと、私と一緒に魔法の研究開発をしない?」
会議場でのレイブン家を巻き込んだ大乱闘事件があってから3年が経ったある日、私はパチュリーの所にとあるお願い事を持ちかけるために地下の大図書館へと、今までの魔法の研究成果を書いた魔導書を持って訪れていた。
そのお願い事とは、私とパチュリーの2人で新しい魔法の研究開発をやらないかと言うものである。
きっかけとしてはやはり、半年前の大乱闘事件がある。レイブン家の皆が居なければ、現時点である魔法はレミリア姉様とフラン姉様よりも強いコルベルシア家からの襲撃を、余裕を持って凌ぎきる事が不可能と判断したためだ。
今までは魔法の開発研究をするのに私1人でも時間をかければ出来たけど、コルベルシア家と言う敵が存在する以上、彼らに通用する魔法の開発ともなれば、1人では時間がかかりすぎる。故に、あらゆる魔法に長けているパチュリーの助力があれば、かなり早まると思ったからと言う理由もある。
それに、相手がコルベルシア家でなくとも、彼らクラスかそれ以上の強敵が私たちと相対した場合でも相性が良くない限りは同様と言う訳だから、尚更である。
「共同で魔法の研究開発? 一応聞くけど、どうして?」
「うん。今のままだと、レイブン家の助力なしでコルベルシア家クラスの敵が来襲したら、皆を守りきれないかもって不安なの。私の目の前で大好きな皆が無惨に死んでいく姿なんか、見たくないから」
「ええ、確かにそうね。私もレミィたちが殺される光景を見るのは、冗談抜きで嫌だし」
「それに、私1人だと気づけない事にも、パチュリーだったら気づけそうだと思ったし。後、もしかしたらパチュリーの気づけなかった事にも、私が気づくかもしれないでしょ?」
すると、パチュリーがどうしてそんな提案を持ちかけてきたのかと、真剣な表情で疑問を投げかけてきた。まあ、今までそんな提案をした事はないから、至極当然な疑問と言えるだろう。
そんな事を思いながら、この提案を持ちかけた理由を私は懇切丁寧にパチュリーに対して説明した。
「なるほど……確かに1人でやるよりも、リィと2人でやった方が強力な魔法が出来そうだしね。それに、皆を守りきれないかもって言う思いも分かったし、一緒にやりましょう。でも、1人で研究開発する時間も確保はしたいから、そこのところはよろしくね」
「勿論だよ、パチュリー! ありがとう!」
結果、パチュリーは私の説明に納得してくれたらしい。1人での魔法研究の時間なども確保してくれるのならと言う条件付きで、一緒に私との共同での魔法研究を承諾してくれた。
1人での時間が欲しいと言うのは私も同じだし、姉様2人との幸せな時間を過ごす暇も欲しいからパチュリーの出した条件を即座に承諾し、これで共同での魔法研究を行う事が決まる。
「さて、共同での魔法研究を行う事は決まった訳だけど……どう言った魔法を研究開発するのか決めないとね。一応聞くけどリィ、構想を練ってたりはする?」
「うん。私や姉様2人よりも強い、例えばコルベルシア家の奴らみたいな敵が大挙して押し寄せてきても、死者を出さずに防ぎきれる様になる補助系の魔法の構想はあるよ。この本に、その構想が書いてあるんだけど見てくれる?」
そうして、魔法の共同での研究開発が決まると、パチュリーは研究して開発する魔法の構想は練っているのかと聞いてきた。私が2人でやろうと持ちかけてきた以上、構想位はあるだろうと思うのは当然だろう。
当たり前だけど、構想すらなしにパチュリーにこんな提案を持ちかけるはずなどない。対格上と対多数を想定した、相手の魔力や妖力に作用し、一定の時間うまく扱えなくしてしまう光の波動を放つ『
「うーん、なるほどね……」
「パチュリー? もしかして、実現は無理? 一応理論立てて計算とかもしてみて、実現は可能って結論なんだけど、致命的な思い違いだったのかな……?」
勿論、実現可能かどうかは机上で何度も計算したし、加えて大図書館から持ってきたやたらと難しい事が書かれた魔導書を数え切れない程沢山読み返して、私なりに理論立てたりした魔法なのだけど……パチュリーの反応はあまり芳しくはないから、少し心配になる。
(大丈夫かな……?)
私よりも魔法に長けているパチュリーから見たら欠点がないとは言い切れないだろうし、それを指摘されるだけなら良い。
ただ、根拠とした理論が破綻しているなどの理由から、そもそも実現すら不可能だと言われてしまえば、完全に全てがやり直しになる訳で、そうなれば流石に少し自信を失ってしまう。
「いえ、実現自体は不可能ではないから大丈夫よ。ただ、複雑怪奇なこの魔法が実現するにはかなりの苦難と時間が伴うだろうから、万が一が起こる前に完成させる事は難しいかもしれないって思っただけ」
「なるほどね……」
しかし、パチュリーが単にこの魔法が複雑怪奇過ぎて、いざと言う時までに完成させるのが難しいかもしれないと思い、心配しているだけである事が分かったため、少しだけホッとした。
ただ、パチュリーですらかなりの時間と苦難が伴うと判断し、いざと言う時までに開発が出来ない可能性があると言ってきたと言う事は、本当にそうなる確率が高いのだろう。だから、少し心配にもなった。
「大丈夫! それでも私はやるよ!」
「分かったわ、リィ。じゃあ、早速話し合いましょうか」
だけど、時間がかかりすぎるからと言ってこれをやらないよりは、時間がかかってもやった方が良いのは明白である。なので、私はパチュリーにそれでもやるよと決意を表し、今日から早速その魔法の開発に力を入れる事を決めた。
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