目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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招かれざる客

「ふぅ、やっと綺麗になった。クレイナ、手伝ってくれてありがとうね。妖精メイドさんたちも、ありがとう」

「いえ、お礼などいりませんよ。リィさん」

「「どういたしましてー!」」

 

 コルベルシア家との乱闘騒ぎから早いもので15年もの月日が経った今日、私はクレイナと愉快な妖精5人組の実質的な部下である妖精メイドさん3人と共に、庭の隅の大木周辺にあるお墓のお参りと掃除を行い、それを終わらせていた。

 

 本来であれば、お墓とその周りの掃除に関してはメイドさんたちが数日ごとにやってくれる仕事だから、やらなくても問題は何もない。しかし、それだと何だか悪いなと感じた私は、他のメイドさんたちに混じって一緒に手伝おうと決め、時々こうやって掃除に精を出している。

 ちなみに、レミリア姉様とフラン姉様も私が手伝う様になってから、時々手伝いに来たりする様になった。

 

「リィさん、随分と増えてしまいましたね」

「うん。やっぱり、今まで楽しく話してた優しいメイドさんたちが居なくなるのは、本当に辛い。今でも考えるだけで、胸が痛くなるもの」

 

 そんな事を考えながら一息つきつつ、掃除用具を片付けようとした時、不意にクレイナが一言、そびえ立つ大木とお墓に交互に視線を送りながら、辛そうにしてそう言ったのが聞こえた。

 

 掃除中は考えない様にしていたけど、確かにクレイナの言った通り、この10年間で随分とお墓の数が()()()()()()()()()。厳しくも優しく接してくれたメイドさんが、私の目の前からひとりひとり居なくなっていくのを見るのは、自分が傷つくよりも遥かに辛い。

 

 そして、当たり前であるけどその対象には、今現在居るメイドさんの中で特に親しくしている1人であるクレイナも入っている。エルの時は現実を受け止められずに暴走してしまったけれど、いずれまたその時が来たら……首飾りの力も借りて、この目で最期まで見送ろう。クレイナの手をそっと握りながら、固く心に誓った。

 

「リーシェさま、クレイナさま! 元気出しましょー! お空の人たちも、どんより沈んでる所なんか見たくないと思いますよー!」

「そうだよ! もう一生会えないのは辛いけど、お空で見守ってる皆を安心させたいでしょ? なら、普段は元気出して行こ!」

 

 すると、一緒に掃除をしてくれていた3人の妖精メイドさんが、いつもの様な笑顔を見せながら、私とクレイナに元気を出そうと言ってきた。どうやら、お空の人……死んでしまったメイドさんたちと、辛そうに見えた私たち2人を同時に気遣ってくれている様だ。

 

(妖精さんたちも辛そうにしていたのに、そこまで考えて実行に移せるなんて……強いなぁ。私とは大違い)

 

 私なんか、今でも考えれば胸が痛くなるからお墓掃除の時は現実逃避しているのに、妖精さんたちは現実をしっかりと受け止めた上で元気でいれる。この事実に、妖精さんよりも遥かに()()で負けていると、そう実感せざるを得なかった。

 

「言われてみれば、その通りですね。妖精さん、ありがとうございます」

「確かにそうだね。元気づけてくれてありがとう、妖精さんたち!」

「「「はーい!!」」」

 

 で、元気いっぱいの妖精さんたちを見ていると、少しずつ沈んでいた気分がどんどん浮かび上がって来るのを感じた。同じく気持ちが沈んでいたクレイナも同様みたいで、晴れ晴れとした表情に戻った後、元気づけてくれた妖精さんたちに頭を下げてお礼を言っていた。

 

「さてと。掃除も終わった事だし、魔法の研究の続きでもしようかな」

「リーシェさま。研究も良いけど、無理しないで――」

 

 クレイナに続き、私も元気づけてくれた妖精さんに対してお礼を言い、魔法の研究の続きをするために戻ろうとしたけど、門の方から美鈴の怒鳴り声が聞こえてきたために、そうもいかなくなってしまった。

 

「この様なふざけた()()、レミリアお嬢様に伝えるまでもありません! 今すぐ引き返しなさい! 引き返さない場合はあなたたちを侵入者と見なし、実力行使も辞しませんよ!」

 

 しかも、今まで1度も聞いた事がない位に、門前に居る誰かに激昂している様だ。聞こえる声だけでは何が起きているのか判断しかねるけど、レミリア姉様関連で何かロクでもない事が起きたのだけは確からしい。

 

(うわぁ……何か覚えのある魔力の持ち主が居るんだけど……)

 

 更に、能力を使って美鈴と相対している相手を調べてみた結果、忘れもしない15年前の乱闘騒ぎの際、レミリア姉様にあっさりと叩き潰されていたコルベルシア家の面々の1人が居る事が判明してしまった。他にも4人居るけど、それらは全員知らない人物だったから、恐らくコルベルシア家の従者と言ったところだろうか。

 

「クレイナ。何かまずい事態みたいだから、レミリア姉様を呼んできて。妖精さんはフラン姉様の方をお願い。私は美鈴のところに行ってるから」

「了解です」

「「「任せて下さい!」」」

 

 一瞬、相手がコルベルシア家の関係者であれば、レミリア姉様も会わせたくないみたいだったし、私は出ない方が良いかもしれないと思った。

 しかし、あの様子からして美鈴だけに任せておいたら、門前の奴らに酷い目に遭わされてしまうかもしれない。そう思った私はひとまずクレイナと妖精メイドさんたちには姉様2人を呼んでもらうように頼むと、美鈴の身の安全を鑑みた結果、門前へと向かう事を決意した。




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