目覚めたら、レミリアとフランの妹になっていました   作:松雨

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今話はレミリア視点です


レミリアたちの総意

「は? えっと……クレイナ、それって本当なの?」

 

 当主としての仕事が一段落し、何も考えずにのんびり自室で過ごしていた私は、息を切らしながら駆け込んできたクレイナからの話を聞き、驚いた表紙に飲みかけの紅茶を机の上にこぼしてしまっていた。

 

 基本どんな来客に対しても穏便に接する美鈴が来客に激怒して一触即発、お墓の掃除を妖精メイドと共にしていたリーシェがそれに反応して白い光の衣を纏い、雷の弓を携えて援護に向かったと言う話だったからだ。

 

 それだけでも驚いたのに、私を呼んでくれとまで言っていたと聞けば、唖然とするしかない。本気を出したリーシェがそこまで警戒する程の相手の心当たりと言えば、口に出したくもない奴ら(コルベルシア家)しかない訳なのだから。

 

「ちなみに、フランさんも呼んでくれと言っていたので、妖精メイドさんが呼びに行ってます。もしかしたら、先に向かっているかもしれません」

「フランまで!? くっ、一家総出で来たのかも知れないわね!」

 

 すると、更にフランまでも呼んでくれとリーシェがお願いした事までもが判明してしまった。つまり、アイツらが家族総出でやって来た可能性を、本格的に考えなければいけないと言う事だ。

 

「クレイナ、知らせてくれてありがとう! じゃあ、行ってくるわ!」

「はい。レミィさん、どうかお気をつけて……」

 

 そうと決まれば、こんなところでのんびりしている暇などない。持てる全力で解放し、私の得物である『グングニル』を手に持ち、クレイナに知らせてくれたお礼を簡単に済ませると、急いで館の外まで駆けていった。

 途中でばったりと出会い、ぶつかりそうになったせいで驚かせてしまった妖精メイドには申し訳ない事をしたけど、事が事だから謝罪は後回しにさせてもらおう。その分、後でお詫びはしっかりとしておく事も忘れない。

 

「美鈴! フランにリーシェも、大丈夫……っ!」

 

 そして、クレイナから知らせを受けて1分以内に門の前にたどり着き、騒ぎの渦中に居る美鈴とリーシェ、先に知らせを受けて来ていたフランに大丈夫かと呼び掛けをした瞬間、視界にコルベルシア家の長女『サティー』の姿がバッチリと写ってしまった。

 

 15年経った今でも忘れもしない、サティーの()()()()が脳裏によぎり、グングニルの柄を握る力が自然と強くなっていく。

 コルベルシア家の面々の中でアイツしか居ないのは色々な意味で幸いだったが、その周りに居る奴らもなかなか厄介な、コルベルシア家の配下らしき中堅吸血鬼だったから、油断は出来ない。

 

「おっ、レミリアも来たか。なら早速……ぐぁっ!?」

「レミリア姉様。これを開いて、中身を見て」

「リーシェ? 何この紙……っ!?」

 

 すると、怒りが既に限界を突破しかけていると分かるリーシェが、喋ろうとしたサティーの両足を雷の矢で素早く全力で射抜いて黙らせた後、くしゃくしゃに丸められた紙を渡してきた。

 見た感じはゴミにしか見えないものの、開いてみてと言われたため指示通りに丸められた紙を開いてそこに書かれていた事を見てみると、あまりにも酷い内容の文に怒りを通り越して、感情が一瞬無になってしまった。

 

 何故なら、スカーレット家がコルベルシア家の下僕になれと言う命令文が書かれた紙だったからである。

 ご丁寧に、この命令に逆らった場合は()()()実力などのあらゆる手段を以て攻め滅ぼすだの、どうしてそんな事が書けるのかと呆れ果てる内容の文までちゃんと記されていた。

 

 しかも、下僕になるための条件として、大勢の前で私とフランがアイツらに這いつくばって懇願する事が必要だとか、リーシェを……いや、この先は一瞬目にしただけで反吐が出そうになったから、読むのを止めてくしゃくしゃにした後、フランに渡してとある指示を下した。

 

「フラン。これをコイツらの目の前で、盛大に燃やしてやりなさい」

「はーい! せーの……えいっ!」

 

 それは、この紙をアイツらの目の前で盛大に燃やせと言う指示である。わざわざ捨てたり突き返したりせず、この場であえて盛大に燃やして消してやる事で、そんな命令など絶対に何があろうと聞かず、挑んでくるなら精一杯抵抗してやるとの意思表示をする意味があった。

 後は、フラストレーションが溜まっているフランに、少しでも発散させるためにやらせると言うのも、1つの理由である。

 

「これがスカーレット家の総意だ、サティー。分かったら、さっさとここから立ち去れ! 私たちは、決してお前たちに屈したりはしない!!」

「くっ……後悔しても知らないぞ、レミリア!」

 

 私の指示によってフランがくしゃくしゃに丸めた紙を全力で空に投げ、どう考えても過剰な火炎放射でそれを消し炭にした後、傷の再生中のサティーに向けて、私はお前たちには屈しないと宣言した。これで、本格的にスカーレット家とコルベルシア家が完全な敵対関係となってしまった訳で、本格的な攻撃がいずれやって来る事が確定事項となった。

 

「はぁ……申し訳ないわね、美鈴。それに、フランとリーシェにも苦労をかける事になりそうだわ……」

「レミリアお嬢様、これは仕方ないですよ。向こうから宣戦布告してきた様なものですから」

「うん! あれは仕方ないって私も思ってるから!」

「私も、フラン姉様と同じ。もしも、アイツらが館にやって来たら、容赦なく撃ち落とせば良いんだし」

 

 これによって美鈴は勿論の事、フランやリーシェ、パチュリーやこあ、クレイナや他のメイドたちに、より一層苦労がかかる事になる。しかし、大変な思いは多少させても、決して誰かが犠牲になると言った事は絶対にさせない。誰も欠ける事なく、敵から守りきる事を誓おう。

 

(ふぅ……さてと、頑張りましょうか!)

 

 こうして、色々と考えながらやって来たコルベルシア家の使者を強制的に追い返した後、館の中に居る皆にもこの事を伝えるため、私は先に館内へと戻っていった。




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