「おのれ、紅魔の天使ぃ!! 貴様さえ居なければ……があっ!?」
「ああ、そう。さよなら」
切り札となる魔法の『サジタリウスの
私の切り札魔法などで撃破出来た敵が予想よりも少なかったせいで、レミリア姉様やフラン姉様が全力を振るって敵を薙ぎ倒し、美鈴も謎のオーラを纏った本気の形態で敵を追い込んでいっているにも関わらず、私やパチュリーの方にも敵がかなり流れ込んできてしまっていた。
更に、地上だけではなく空中からも敵の攻撃がひっきりなしにやって来るものだから、レミリア姉様たちの援護が出来ずにいる状態である。
「ちぃっ!
「ああ。魔女の魔法が的確に吸血鬼の弱点を突いてきてる上に、こんなアホみたいな量の天使の弾幕が襲いかかって来ちまえば、まともに近づけやしねぇ!」
ただ、前もって能力や2つの防御魔法を使用して防御面で万全の態勢を整え、パチュリーの光と水属性魔法による強力な援護もあったお陰で、私の迎撃と反撃は上手く決まっていた。このままの状況が続けば、レミリア姉様の援護に回れる余裕も少しは出来るはずだ。
「だから言ったんだ! 俺たちだけでしばらくは止めろとか消耗させろとか無茶苦茶――」
「貴方たち、言い争ってる暇なんてあるのかしら?」
「「「なっ……」」」
そんな感じで戦いを比較的有利に進めていると、突如として謎の言い争いを始めた上空の5人の敵を、パチュリーがまとめて白い炎の壁で包み込んで逃げられない様に包囲する魔法を使った事で、周囲に居る敵の視線が魔法に囲われた敵の方へと向けられた。
「クソッ、コイツはただの炎じゃねぇ! 光属性も混じってやがる!」
「ヤバいぞ……触れるのはおろか、並の魔法防御じゃ近づくだけでも
「おい、焦ってる場合じゃない……ぐぉぉっ!」
結構な量のパチュリーの魔力が霧散していったのを見るに、相当な効力を持つ魔法には違いない。囲われた敵は言うまでもないけど、助けようとする敵の身体も太陽光に焼かれた時の様に、少しずつ灰になっていく事からも、それが見て取れる。
(よし、今だ!)
これはほんの数秒の間の事だったけど、私はパチュリーが作ってくれたこの隙を逃さず、密集している敵には『
「ええい、こんな時に天使の攻撃だと! 魔女の魔法に気を取られ過ぎたか!」
「さっきよりも僅かに動きが鈍っている様な気がするが、そんなもん慰めにもならねぇ!」
「ぎゃぁぁぁぁ!!」
結果、再び相手が動き始めるまでに6人位の敵を撃ち抜くか、雷でボロボロにするかして撃破する事に成功し、更に攻撃頻度が少なくなったお陰で、レミリア姉様たちの援護に頑張れば少しだけ手を回す余裕が生まれた。
と言っても、今のところは本気の姉様2人と美鈴の協力態勢が数の不利を覆し、戦況を少し有利に傾けているみたいだから、取り敢えずは私とパチュリーへ襲い来る敵を減らしていく事に力を注ごう。
(はぁ……にしても、敵の数が多すぎる!)
しかし、恐らくレミリア姉様たちが協力して敵を始末し、私もパチュリーと協力して減らしていっているにも関わらず、能力によって反応する敵の数は相変わらず、最大である60よりも減ってくれない。
今までこう言った事態に備えて訓練を重ねてきたとは言え、かなり長い時間を戦闘に費やしているため、体力や魔力の消費などによる疲労が少しずつ蓄積している状態である。
私やパチュリーはそれでもまだマシな方だけど、レミリア姉様たちはその傾向が顕著だった。物凄い勢いで動いたり飛んだりしているから、無理もないだろう。
「リーシェ、パチュリー! 大変そうだけど、援護は必要?」
「ううん、パチュリーのお陰で今のところは大丈夫!」
「同じく、リィのお陰で何とか持ってるわ。それよりも、早くレミィたちのところに戻りなさい! 援護は取り敢えず大丈夫だから!」
「分かった! 頑張ってね!」
すると、フラン姉様が3人の分身に戦闘を任せ、私とパチュリーのところに敵を叩き潰しながらやって来て、援護は必要かと聞いてきた。どうやら、私とパチュリー側に向かって多くの敵が来た事から、援護が必要かもしれないと思ったらしい。
しかし、今のところは援護がなくともやっていける位には状況は良かっため、私は今はパチュリーのお陰で大丈夫だと答え、パチュリーは私が居るから何とか持っていると答えた上で、レミリア姉様たちのところへ戻れと強めにそう言った。
結果、フラン姉様は一瞬だけ満面の笑みを見せてから、再びレミリア姉様たちのところへ戦いに戻っていったため、その表情を悲しみで満たす事のない様に私はより一層、守るための戦闘に励もうと決意を新たにした。
「さてと、リィ。私たちのところへと襲い来る敵も少なくなってきた事だし、気合いを入れて殲滅したらレミィのところへと援護に行くわよ!」
「うん、勿論だよ……っ!?」
気合いを入れ、疲労に耐えながらパチュリーと共に協力しながら向かってくる敵を射抜き続け、ようやくレミリア姉様の援護に大手を振って行けるところまで来たと思ったその瞬間、今まで探知出来ていなかったコルベルシア伯爵の位置を探知したものの、恐怖でしかなかった。
何故なら、初めて探知した位置が紅魔館からたった5㎞程度しかなく、音速の1.6倍と言う速度で高度を下げながら接近して来ている上、そのまま近づいた場合に推定される未来位置が、レミリア姉様の真正面だったためである。
(レミリア姉様が、居なくなるかも……そんなのは嫌だ!!)
故に、頭の中で愛する姉が居なくなる地獄の未来を想像してしまった私は、迫り来る攻撃から庇うために使える防御魔法を自分にいくつか素早く多重掛けし、レミリア姉様の前に立ち塞がった。
「くたばれレミ……何だと!?」
「ああぁぁぁぁぁーー!!」
刹那、気を失いそうな猛烈な痛みと衝撃が全身に走ったものの、思い切り叫ぶ事で何とか気を持たせ、レミリア姉様に一切の傷を負わせる事なく、ほぼ全ての防御魔法を突破されながらも、20秒にも渡る攻撃を防ぎきる事に成功した。皆が何かを言ってるのが聞こえてきたけど、返す余裕はなかった。
「はあっ、はあっ……レミリア姉様の命は……絶対に取らせない! 喰らって、消えろ!!」
「っ! コイツ、まだこんな――」
レミリア姉様を守り切った代償として、私の身体は悲惨極まりない状態になっているものの、まだギリギリ一撃を入れられる位の力は残っていた。故に、酷く痛む身体を無理矢理動かして弓を構え、ほんの僅かな一瞬だけ唖然としていたコルベルシア伯爵と思われる吸血鬼に超至近距離から『
(あっ……)
しかし、それと同時に最後まで残っていた『
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